国際結婚の片道切符でアメリカに来た人、アメリカで働いていてこのまま骨をうずめようかと考えている人、日本へ帰国する予定がなくずっとアメリカに住んでいる人はたくさんいます。多くの場合、グリーンカードと呼ばれる永住権もしくはアメリカ市民になって生活しているのではないでしょうか。
アメリカ市民権は、アメリカに来てすぐに取得できるモノではなく、一定の条件を満たさなければいけません。しかし条件を満たせば抽選などをすることなく申請して取得できます。長くアメリカに住んでいると、ずっと永住権をキープしたほうが良いのか、それとも市民権をとってアメリカ人になった方が良いのか、迷うことがあるかもしれません。
目次
1.永住権のメリットとデメリット
アメリカ市民にならず、ずっとグリーンカードのステータスを維持することには、メリットとデメリットがあります。
メリット
- 日本のパスポートをずっとキープできる
- 日本へ永住帰国するという選択肢も維持できる
- 日本の親からの相続の際に手続きがスムーズ→外国人だと手続きが煩雑になる
- 将来は日本からの年金もアメリカにいながら受け取れる
- 日本の親の介護や看病で長期間日本に滞在しても問題なし
デメリット
- グリーンカードを定期的に更新しなければいけない。お金もかかる。
- 選挙権がない
- 遺産相続の際に税金控除される金額が低い
- 有事の際には「市民オンリー市民優先」となる可能性が否めない
- 公務員になれない
- 万が一の時には日本へ強制送還されるリスク
- 一定期間以上アメリカを離れるとステータスが失効する
- 社会保障を受けられる範囲が市民よりも限定されている
- アメリカ市民の配偶者と離婚した場合、養育権で不利
2.市民権のメリットとデメリット
それではアメリカの市民権をとると、グリーンカードだった頃と比べてどんなメリットがあるのでしょうか?
メリット
- 夫や子供と同じアメリカのパスポートが持てる→有事の際でも確実にアメリカに帰ってこれる
- 公務員になれる
- 政治家や大統領にも立候補できる
- 国家機密に関わる仕事ができる
- 日本の親を呼び寄せることも可能→永住権の人より手続きがスムーズで早い
- 日本を含めた海外に長期滞在しても、問題なくアメリカへ帰ってこれる
- 公立校で奨学金を受けやすくなる
- 万が一の時でも日本へ強制送還されない
- 養子を迎える際の手続きがスムーズ
- 海外赴任の際にビザ取得がスムーズ
デメリット
- 日本国籍を放棄する手続きをしないと、日本の親からの相続が困難
- 日本の親の介護などで日本に長期滞在すると、不法滞在者となる
- 世界のどこに住んでいてもアメリカへずっと納税しなければいけない
- Jury Dutyと呼ばれる陪審員のお勤めに呼ばれるかもしれない
3.私が市民権をとった理由
私は10年ほど前に、市民権を取得しました。その理由は、
何かあっても夫と息子と同じ家に帰ってきたかったから
というもの。もちろん、そうならない可能性は極めて低いのですけれど、アメリカのパスポートを持っていないということは、少なからず有事の際にはアメリカではなくて日本へ帰されるリスクがあるという事です。
私がそう思うようになったきかっけは、とある日本人女性の記事を読んだ事でした。彼女はアメリカ人の男性と国際結婚をし、子供も生まれて幸せにアメリカで生活していたそうです。しかし何かのきっかけで、ずいぶん昔に彼女が申請した移民ビザの書類に不備があることが分かり、なんと彼女だけ強制送還されたのです。それまでは永住権で生活していたので不法滞在ではないはずですが、発行すべきではないグリーンカードが発行されたとみなされて、彼女はそこから10年間のアメリカ入国禁止になったのだとか。
また当時はグリーンカードを持って海外へ長期滞在する人が多かったのかは知りませんが、グリーンカードを持っていてもアメリカ入国拒否にあったという人や、口論になって立腹した入国管理菅にその場でグリーンカードを捨てられた、なんて話も友人から聞きました。
もちろん、友人から聞いた話は、どこまで本当なのかは分かりません。しかし当時はアメリカ大使館の日本語サイトに、グリーンカードを持っている人が海外に滞在する際の注意書きなどが掲載されたりもしました。なので、それなりに問題があったのだと予想しています。
私はすっかり怖くなり、万が一の時にも夫と息子様と同じ家に帰ってこれるようにとの思いで、アメリカの市民権を取得することに決めました。まぁ日本で暮らしている親とはもともと折り合いが悪かったので、決断するのに迷う要素が少なかったというのもありますが。
グリーンカードを持ってアメリカで生活している人を、怖がらせようとしているわけではありません。今は以前よりもネットでより多くの情報収集ができますし、万が一の時にはヘルプを求めることもできます。ネット社会が進むことは、私達のような立場の人間にとっても、大きなプラスになっている思いますね。