私と子供、どっちが大事?~アメリカ編~

昭和の時代には、仕事で帰宅が遅い夫に対して、専業主婦の妻が「私と仕事どっちが大事なの?」と迫るシーンをテレビで見る機会が多くありました。現実的には、どちらも大事で選べない人が多いと思います。しかしどちらかを選べと言われれば、その人自身の価値観によって、妻を選ぶ人もいれば仕事を選ぶ人もいるのではないでしょうか。

それでは、比較する対象が「配偶者」と「子供」とでは、どうでしょうか?もちろん、どちらも大切ですが、究極の選択をするならば、どちらを選びますか?

目次

  1. アメリカ人は配偶者ファースト
  2. 配偶者ファーストの文化はこんなところに
  3. 私は子供ファーストで育児しました
  4. 結論

1.アメリカ人は配偶者ファースト

アメリカ人は、多くの人が「配偶者」を選びます。配偶者が大切で、子供は大切じゃない、という事ではありません。しかし、いくつかの価値観に基づき、多くの専門家も「子供よりも配偶者の方が大切であるべき」と説いています。

理由1:キリスト教の教え

私はキリスト教徒ではありません。キリスト教信者の友人によると、子供はいつか巣立ってしまうもので、子供が最も大切だと考えてしまう人は、子供が巣立った時に自分を見失ってしまう。そうならないためには、子供よりも配偶者の方が重要だと考えるべきなのでそうです。

また、キリスト教においては、離婚は罪なのだそうです。そのため、例えば敬虔なカトリック信者が多いイタリアでは自由恋愛が盛んなイメージがありますが、離婚率はとても低いです。

理由2:安定した夫婦関係で子供を育てるべき

アメリカの専門家の多くは、子供に最適な育児環境を与えるためには、夫婦関係が安定していることが基盤になると説いています。夫婦関係が壊れている家庭では、子供は心身共に健康的な成長ができないのだとか。

子供を育てるためにも、まずは配偶者を大切にしましょう、という事なのでしょう。

理由3:世界でも有数の離婚率に歯止めをかけたい

アメリカの離婚率は世界でもトップレベルに高く、50%ともいわれています。女性も男性同様に働く世帯が多く、経済的な理由で離婚を思いとどまるケースが少ないことが、この離婚率の高さと大きな関係があります。

離婚率が高くなるという事は、子供を持つ人にとっては「配偶者」よりも「子供」を大切にした方が良いのではないかという価値観へシフトすることを意味しています。私の周囲にいるバツ持ちの人達は、「配偶者も大切だけれど、一番大切なのは子供」と口をそろえて言います。配偶者はチェンジできても、子供のチェンジはできないから。

2.配偶者ファーストの文化はこんなところに

アメリカの配偶者ファースト文化は、私たちの日常生活の中にたくさんあります。

例えば、ベビーシッターを雇用しやすい環境がありますよね。日本では、子供が赤ちゃんの時にベビーシッターを雇って夫婦だけで外出してばかりいると、周囲からは眉を顰められてしまうでしょう。しかしアメリカでは、夫婦の時間を大切にしていると高評価です。

ベビーシッターは、資格を持つ大人がパート的にすることもありますけれど、アメリカでは子供のアルバイトが多いですね。州によっていろいろな条件はあるものの、そうしたことはさておき、近所の小学校高学年ぐらいの子供に安くシッターしてもらう人もたくさんいます。

3.私は子供ファーストで育児しました

配偶者ファーストの文化においては、多少子供をおざなりにしても、配偶者との恋愛関係を楽しむべし、という雰囲気が漂います。私は一人息子を溺愛する親バカだったので、息子ファーストの育児をしてきました。でも義妹からは、さんざんバッシングを受けました。

  • 結婚記念日は子供と一緒に祝うべきじゃない
  • 週末は配偶者とロマンチックな時間。子供は実家へでも預けておけ。
  • 育児方針で夫婦がぶつかり合うなんて信じられない
  • 親が子供を叱る時には、もう片方の親も加わって夫婦vs子供の対決になるべき

など、色々ありました。正直、息子様ファーストの私にとっては信じられないものが多かったのですが、彼女はそう信じていたので、きっと彼女自身はそのように育児したのだと予想します。

配偶者ファーストな文化で育った夫からは、たまに愚痴を言われます。そこは、残念ながら耐えるしかないですね(笑)。

4.結論

配偶者ファーストでも子供ファーストでも、夫婦が納得していれば、それがその家庭にとってはベストだと思います。専門家がこう言っているから従うべきだというルールはありません。

ちなみに息子ファーストの私ですが、夫のことも、とても大切です。私の中では、息子様、夫様、ニャンコ様、そして自分、という隠れ順位がついています。ま、それも夫に言わせると狂気なのだそうですが。