アメリカ引越しで知っておきたい21日ルールとは?

アメリカの国土は、日本と比較すると比較できないほど広大です。その中を私たちは、東海岸から西海岸へ、北部から南部へ向かって引越しをします。自分たちでトラックをレンタルして引っ越す人ももちろんいると思いますが、東西3,000マイル( 約4,800㎞)の距離を何日もかけて運転するのは超絶ハードなので、引越し業者に依頼する人が大半です。

私はこれまで、夫の転勤で何度も引っ越しをしていますが、とりあえず新天地についても私は家にいますから、いつまでに荷物が届かないと大変だと言った焦りは一切ありませんでした。

しかし東海岸から西海岸へ引っ越す息子様の場合には、状況は大きく変わります。息子様は独身ですし、仕事をスタートする日はすでに決まっています。やはり住まいを整えた状態で新生活をスタートして欲しいと思い、私はいろいろリサーチをしました。

引越しで気になることと言えば、やはり

搬出してから引越し先の住所へ搬入してもらえるまで、何日かかるのか?

という事ではないでしょうか。1週間しかかからないのか、それとも最低1ヶ月かかるのかによって、他の準備も大きく変わりますよね。

そんな中、引越し業者なら誰もが理解している21日ルールというものを知りました。今回は、引越しに無縁な人にとっては知る必要もないどうでもよいルールについて、ご紹介します!

目次

  1. 21日ルールとは?
  2. 引越し業者がくれる搬入予定日vs21日、どちらが優先?
  3. イカサマをするクソ業者が増えている
  4. 私たちにできることとは?
  5. 悪いサービスは通報しよう

1.21日ルールとは?

引っ越し業者の21日ルールとは、引越し前の自宅から荷物を搬出した日から、引越し先へ搬入するまでにかかる日数が、距離に関係なく最大で21日を越えてはいけないというものです。これは引っ越す距離に関係なく適用される業界ルールです。

規定によると、もしも21日を超えてしまった場合には、引越し業者から客に対して1日当たり$50程度の補償を支払わなければいけません。

注:守ってない業者はたくさんあります。これまあくまでもルールの話です。

2.引越し業者がくれる搬入予定日vs21日、どちらが優先?

引越し業者を利用する場合、たいていは搬出する日ギリギリのタイミングで、Bill of Landingを作成してコピーをもらいます。ここに、引越し先への搬入予定日が記載されています。

引っ越す場所までの距離によって、このBill of Landingに記載されている日にちは、1週間後だったり10日後だったりするわけですが、これはあくまでも予定なので、必ずしも法的にその日までにデリバリーしなければいけないという法的な責任を負っているわけではありません。

法律によって守られているのは、21日の方です。だから、21日以内に家財道具が届けば、その業者の計画より遅くても、法的には問題なしです。

3.イカサマをするクソ業者が増えている

どんな長距離の引っ越しでも、必ず21日以内に荷物が届くはず。ルール上は、あくまでもそうです。

しかし実際には、届かないケースは少なくありません、しかしそれでも、補償を受けることもできず、中には謝罪の一つもないケースすらあります。

21日を過ぎても届かなければ、客としては補償を受けることができるはずです。それなのに補償も受けられず、その業者が法的に処分されないのは、長距離引越トラックのカラクリにあります。

引越し業者は、客ごとに個別にクレートを準備します。一人暮らしならクレート1本ぐらいで収まるでしょうし、荷物が多いファミリー家庭なら、クレート20本とということもあるでしょう。国内の引越しなら大型のコンテナにすべての家財道具を詰めるという方法も少なくありません。

大型のトラックに何本も積載できるクレートを使った場合には、行先ごとに振り分けてトラックに積みます。複数のクレートが1台のトラックに積載されるので、トラックは最終目的地に行くまで何カ所かに寄り道をしながら、クレートを降ろしたり、別のクレートを積んだりするわけですね。

本来なら、どこに寄り道をしても、出発地から目的地までにかかる日数が21日以内でなければいけません。しかしインチキ業者は、途中の寄り道をしたところで日数をリセットしてしまうことがあります。

そのため、客が21日ルールを指摘しても、業者は涼しい顔で

「僕たちのシステムでは、まだ7日になってるよ」

なんて間抜けなことを言うわけです。

4.私たちにできることとは?

引っ越し業者の中には、私達の家財道具をまるで人質か何かのように考えている所もあります。何日かかろうと、文句を言わないだろうし、金も払うはずだ、と思っているわけですね。

できるだけ信頼できる引越し業者を見つけるなら、

  • 引越しの申し込みをしてから最終的な受け取りまで、窓口は一つの所を選ぶ
  • ローカルな業者はハイリスク・ハイリターン。安心感で選ぶなら大手の業者がおすすめ。
  • 日数には余裕をもって引越しの計画を立てる

ことを念頭に入れましょう。

5.悪いサービスは通報しよう

もしも悪質な引っ越し業者から最悪な経験をさせられたとしたら、おとなしく泣き寝入りをする必要はありません。

まずは引っ越す業者へクレームを入れる

最初の窓口は、引越しの契約をした引越し業者です。たいていの場合、引越し業者は保険に入っていて、ダメージや損害に関しては金銭で解決できます。

クレームを入れる際には、どんな解決策を希望しているのかという最終的な着地点をしっかり念とに入れたうえで、理論的に詰めましょう。感情的に訴えても相手にしてもらえません。

搬出されてから21日が経過しても荷物が一向に届かない場合でも、21日が過ぎるのを待つのではなく、毎日でも良いので「まだですか」「まだですか」と業者の予定していた日を過ぎたらこまめにフォローアップの電話を入れることもまた、圧となります。

レビューを侮ってはいけない

イカサマ業者の悪行に対しては、私達が声をあげて共有するべきです。そうでなければ、被害者がどんどん出るでしょうし、クソ業者が甘い汁を吸い続けることにもなります。

レビューを書く際には、できるだけ分かりやすく事実関係をまとめたうえで書きましょう。Googleレビューでも良いですし、BBBへ通報しても公開してもらえます。

当局へ正式なクレームを入れることもできます

引越し業者を管轄しているのは、FMCSA(Federal Motor Carrier Safety Administration)です。ここへもクレームを入れることができますが、できるだけ強いパンチを放つためには、必要な証拠書類を全てそろえ、しっかりカバーレターもつけ、よりビジネスライクな書類セットに仕上げたものを提出するのが得策です。

ここでも、クレームを入れる際には、どんな解決策を希望しているのかを明確にするのがおすすめです。

オンラインでクレームする人はこちらから

ただし正式にDMCSAへクレームを入れても、刑事及び民事における判断をしてはもらえません。また、クレームだけでは裁判所や警察は動かないでしょう。あくまでもここにクレームを入れて受理されると、悪質業者ポイントが加算されるというだけです。

ついでにBBBへも通報しておこう

BBBはビジネスの質を評価する機関で、ここにも通報することができます。ここもFMCSAと同じように、警察とか裁判所の役割は持っていないので、クレームを入れると悪質業者ポイントが増えるというだけという結果しか期待できません。

しかし、業者を選ぶ際にBBBをチェックする人はとても多く、悪質ポイントが高い業者は避けられるという効果が期待できます。

BBBへの通報はこちらから

トラック協会へも通報

アメリカ国内を運行するトラックは、すべてATA(American Trucking Assoiation)に加盟しています。荷物が遅延続きでなかなか配達してくれないという場合には、このサイトへアクセスしてクレームすると、ATAから引越し業者へ圧をかけてくれます。

ATAへのクレームはこちらから

オンラインでクレーム用紙に記入するならこちらから

損害賠償請求だってできる

家具を破壊されたのに損害賠償を拒否されたなど、金銭的な損害が出て我慢の限界を超えてしまった人は、スモールコートへ損害賠償請求をすることもできます。

基本的にスモールコートは、手続きなども簡単ですし、弁護士を付けなくても自分で対応できる可能性は高いです。しかし、そうはいっても確実に勝利を収めるためには、やはり弁護士に依頼するのが理想的ですね。

ただし、弁護士費用は引越し業者からゲットできる賠償金を超える可能性があるため、その点も含めてあらかじめ弁護士に相談することをおすすめします。

最初のステップとなる申し立てだけなら、有料ですがオンラインでもできます

電話ハラスメントを受けたらどうする?

先日私は、アメリカではじめて業者からのハラスメント電話の被害を受けました。

息子様が夏に引っ越しをする計画だったため、半年前あたりから業者探しをはじめ、見積もりを取りながら比較検討をしました。

アメリカの業者だけでなく、おそらく日本の業者も似たような感じなのかもしれませんが、業者の中には、

  • 他業者の悪口しか言わない。優良な業者は自分だけだと主張する
  • 来週もしくは来月から値上がりして大変なことになるから、今すぐ決めろと急かす

などが数多くあります。

私はこれまで何度も転勤をしているので、引越しの作業がどれだけ大変かは心得ています。しかし夫の転勤による引越しは、業者を決める作業から支払いまで、すべて会社がしてくれるため、私達は自分で業者探しをする必要が一度もありませんでした。

しかし息子様の引っ越しでは、会社側はそこまで手配してくれず、基本的には自分たちで決めなければいけませんでした。

目次

  1. 決めようと思っていた業者。でもやめた。その理由は?
  2. ハラスメントの嵐
  3. 業者からのハラスメント電話、対策はあるのか?
  4. 電話するなリストに載せるのは少しだけ効果あり
  5. 最後の手段は警察へ通報。どうやればよい?

1.決めようと思っていた業者。でもやめた。その理由は?

私がのちにハラスメント攻撃を受ける羽目になった業者は、ファミリーでやってる引っ越しビジネスだと言っていました。引っ越しの仕組みや比較の仕方を詳しく教えてくれたりして、とても献身的だと私は感じたので、いくつか比較したらそこに決めても良いと8割決心していました。

しかし、土壇場で私は別の業者にしました。その理由は、

  • BBBのレビューが悪かった。契約したら音信不通になるというレビュー多数。
  • 急かし方がすごい。来月から値上がりするから、来週から値上がりするに変わり、挙句の果てには明日から高くなるから今ここで決めろとなった。しかも、いくら高くなるか聞いても知らないと言う始末。
  • 少し考えたいと言ったら、じゃあ明日の朝決めろをごり押し。
  • クロスチェックした所、話が違うことに気づいた。不信感が募った。
  • 引っ越す本人が息子なら、息子の電話番号を教えろと迫ってきた

でした。

引っ越し業者は春から夏にかけてが繁忙期です。それは知ってます。その時期に高くなることも、分かってます。でも、だからと言って今すぐ決めることはできないといったところ、半分キレ気味に、考えている間に値上がりするぞと脅してきました。

この時点で、辞めたほうが良さそうだなという勘が働きました。

そのため、大手の引っ越し業者へ見積もりを取り、交渉して値下げしてもらうことができたので、最終的にはそこに決めました。

その大手業者へは何度も電話をしていますが、夫婦がやっているイカサマ事業ではなく、きちんとカスタマーサービスに複数人が勤務しており、きちんと対応してくれているので、満足しています。

2.ハラスメントの嵐

別の業者へ決めて、引越しの準備も着々と進めていた頃、その業者から再び電話がかかってきました。

後から電話がくるのはフォローアップなので、よくあることです。ほかの業者からも、こういう電話はかかってきました。そして大半は、別の業者で決めましたと言えば、分かりましたと言って電話を切ります。

しかしその業者だけは、違いました。

「うちだって安いじゃないか、なんでほかで決めたんだ」

「どこの業者にしたのか教えてくれ!」

「嫌がらせの電話なんてしてないよ!」

と、行き場もなく解決策もでない文句の嵐です。

電話を切っても一瞬でかかってくる。ブロックしても別の番号からかけてくる。放置してもすぐかけ直してくるのです。結局、4分間で10本の電話がかかってきました。

4分間で10本の電話

電話を無視し続け、やんだ瞬間にブロックするという作業をしたところ、最後の2本はUnknown出かけてきましたけれど、私が電話に出る気がないとようやく理解したのか、電話はトータル10本で終わりました。

3.業者からのハラスメント電話、対策はあるのか?

こうしたハラスメント電話は、正直、私がアメリカに住んでから初めての経験でした。本当に嫌な気分というか、怒りがこみ上げてきましたね。

そんな時、冷静かつ迅速に的確で最も効果的な反撃をするためには、どうすればよいのかを知っているかどうかで変わります。

私は残念ながら、ハラスメント被害の経験がなかったので、どうすればよいか分からず、ただ怒りでワナワナするだけでした。

でも、次の万が一に備えようと、調べてみました!

鍵を握るのは電話会社

毎回同じ電話番号からハラスメント電話をかけてくるなら、ブロックすればそこでハラスメントは終わります。しかし私のように、ブロックしても別の電話番号からかけてくる場合は、エンドレスです。

この場合、電話番号に関係なくどこからかけてきたのかを突き止めて根本的にブロックしてくれるかどうかは、電話会社が鍵を握っているそうです。

ちなみに、スマホよりも固定電話の方がこうしたハラスメント対策はしやすいようです。

解決できないケースが大半

私のように、敵がいろいろな電話番号を使ってハラスメント電話をかけてくる場合、この方法なら絶対に解決できるという天才的な方法は、残念ながらありません。スマホのキャリア、そして警察がチームになって取り組んでも、難しいのだそうです。

ネットをくまなく調べたところ、おすすめされているのは

我慢できなければ自分の電話番号を変える

事でした。

4.電話するなリストに載せるのは少しだけ効果

私が受けたハラスメント電話は、人間が嫌がらせ目的でかけてくる電話でした。この場合には、相手がすでに私の電話番号を知っているので、どうすることもできません。

しかし、セールスやマーケティング目的のロボコールや、市場に流通している私たちの電話番号を、ロボコールのリストから削除することはできます。これによって、ロボコールは少しだけ減るのではないでしょうか。

それが、National DO NOT CALL Registryです。これはFederal Trade Commissionという政府機関が運営しているサービスで、私は過去に何度も登録しています。以前では、何年かで有効期限が切れていましたが、近年では一度登録すると半永久的に有効となっています。

National DO NOT CALL Registryへの登録はこちらから

5.最後の手段は警察へ通報。どうやればよい?

私に対して行ったクソ業者のハラスメント行為は、違法行為です。一度だけでおさまれば私も警察へ通報するといった面倒なことはしませんけれど、頻繁に行ったり、あえて深夜とか早朝などにかけてくる完全な嫌がらせ行為に発展した場合には、私も適切な対応をしなければいけないでしょう。

ハラスメント行為は違法なので、証拠をそろえて警察へ通報すれば、面倒だなと思われてもそれなりに刑事事件として取り扱ってもらえる可能性はあります。

  • スマホの着信記録をプリントアウト(上記のスクショなどでもOKです)
  • ハラスメントをしてくる人物に関する情報(名前や住所、電話番号、関係性など

基本的には、この2つが証拠として使われます。メールでデータを送信できるのか、それとも郵送での通報となるかは分かりませんけれど、必ず書類を紛失された場合に備えて、

  • 内容をまとめたカバーレターを作る
  • 自分用のコピーをとる
  • Certified Mailで送り、警察が確実に受け取ったことを確認できるようにする

をしておきましょう。

警察も忙しいですから、いたずら半分のような通報は受け付けてくれません。そのためカバーレターとは別紙で、自身の連絡先を必ず明記してください。

ちなみに、警察はCityやCountyごとに異なります。もしもハラスメント野郎がどこに住んでいるのか分かっているのなら、ハラスメント野郎の住所を管轄している警察署へ書類を送付します。もしも可能なら、直接持参して通報するのがベストです。