少し前に、韓国でハロウィーンを楽しむ人たちが狭い路地で押し合いへし合いとなり、将棋倒しになって多くの人が死亡するという悲しい事件が起こりました。原因はいろいろありますけれど、パーソナルスペースもその背景にあったようですね。
そこで今回は、パーソナルスペースについて考えてみました!
目次
1.パーソナルスペースは国や文化によって大きく変わる
パーソナルスペースとは、自分だけの快適な空間のこと。そこに他人が入り込むと、不快感を覚えるのが特徴です。これは人種や国、文化に限らず誰もが持っているものですが、どこまでの距離感なら不快に感じないという点は、文化圏によって大きく変わります。
パーソナルスペースが広い国
国 | 距離(パーソナルスペース) |
ルーマニア | 139㎝ |
ハンガリー | 130㎝ |
サウジアラビア | 126㎝ |
トルコ | 123㎝ |
こうした国では、例えば開店前のラーメン屋の前で人が行列を作る場合でも、距離がかなり開いています。「コロナ禍だから距離を取りましょう」と言われなくても自主的に普段から距離を開ける文化圏ですね。
パーソナルスペースが広い国は、一般的にシャイな文化を持つ国が多いです。初対面の人とハグやキスなんてとんでもない!握手もしない!離れた所からお辞儀や笑顔だけで十分!と考える人が多いのかもしれません。
パーソナルスペースが狭い国
国 | 距離(パーソナルスペース) |
アルゼンチン | 76㎝ |
ペルー | 79㎝ |
ブルガリア | 81㎝ |
ウクライナ | 81㎝ |
オーストリア | 88㎝ |
パーソナルスペースが狭い国は、ハグやキスの習慣があったり、初対面の挨拶では最低でも握手などの文化があります。ラテンの国はパーソナルスペースが狭い傾向にありますね。
2.アメリカと日本の差はどのぐらい?
アメリカのパーソナルスペースは95㎝。つまり、自分の半径95㎝以内に人が入ってくると、不快に感じたり脅威に感じるという事ですね。
そして日本は90㎝。アメリカとそれほど変わりませんが、体感的には、日本の方が知らない人との距離が近くても不快に感じない傾向があるような気がします。
その理由は、日本の文化と大きく関係しています。例えば日本では、多くの人が通学や通勤でバスや電車を利用します。ラッシュアワーになると、乗車率300%程度になってしまう路線もあり、そうなると、他人とぴったり密着するのは当たり前、圧迫されて苦しくて呼吸ができないなんてことはさすがにありませんが、顔が痒くてもポリポリできないという事は普通にあったりします。
アメリカでも、NYCなどにはラッシュアワーがあります。しかし日本の山手線並みの混雑や密着になる路線はありません。混んではいるものの、まったく知らない人の顔の毛穴をマジマジと見るなんて距離にはならないでしょう。
3.パーソナルスペースの違いを感じるのはどんな時?
国ごとに異なるパーソナルスペースの違いを感じる瞬間は、日常生活の中でよくあります。その中でも多くの人が体感するのは、
列に並ぶとき
ではないでしょうか。どんなふうに列に並ぶかを見ると、パーソナルスペースの背後にその国の文化が見えてくることは多いですね。

例えば中国だと、社交の場でも男女を問わずに距離感が近く、ボディタッチが多めの文化なのだそうです。パーソナルスペースが狭いのは、だからなのかもしれませんね。
ただしこの国には「列に横入りしてもOK」という慣習があり、「横入されるのは、隙間を作っていた人が悪い」と考えます。だから列に並ぶときには特に、隙間を作らないように意識するのだそうです。パーソナルスペースだけの問題ではないようですね。

インドのパーソナルスペースも、写真を見ての通り、とても近いです。インドは人口が多くて大家族、人口密度が高いので、他人との距離を気にしていたら生きていけないのかもしれません。

人口密度が低い国では、他人と否応なくぴったりくっつくことはありません。自分から意識してくっつこうとしない限りは、そうなる状況がないのです。特に北欧や東欧では、南欧と比べるとシャイな文化だからでしょうか、みなさん「え?これって並んでるの?」というぐらいの距離を開けるのがデフォルトのようです。
番外編
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