冷凍マグロは生食できる?刺身グレードじゃないのは平気?

アメリカで生活していると、気軽に足を運べる「回る寿司屋」にはなかなか出会うことができません。もし見つけたとしても、1皿100円のような日本価格ではなく、1皿3ドルから5ドルという高級品になってしまいます。回らない寿司なんて、正直怖くて行けないというのが、多くの庶民ジャパニーズの本音ではないでしょうか。

そんな状況でも、刺身や寿司が食べたくなるのが日本人の悲しい習性です。寿司屋が無理ならスーパーで販売されている冷凍のマグロにかぶりついても死なないか??と本気で考える人は、私だけではないはず。

目次

  1. アメリカの魚は冷凍が多い
  2. Sashimiグレードとそうじゃないグレードの違いとは?
  3. Sashimiグレード以外の冷凍マグロは食べても平気?

1.アメリカの魚は冷凍が多い

日本人が多い都市部とか、新鮮なお魚が市場で取引されている漁港などは別ですが、アジア人がそれほど多くないアメリカの大部分では、スーパーなどで販売されているお魚は、大半が冷凍です。ラインナップとしては、

  • Salmon(鮭)
  • Cod(西洋鱈)
  • Catfish(ナマズ)
  • Tilapia(ティラピア:白身の川魚)
  • Swai(ナマズ:白身のお魚)
  • Ahi/Tune(まぐろ)
  • White Fish(ホワイトフィッシュ:白身の淡水魚)
  • Flounder(カレイ)

などがありますね。日本と大きく違うのは、すべて切り身の状態で販売されているという点です。頭としっぽが切り落とされているだけでなく、内臓も皮も骨もありません。たまに皮つきの鮭などはありますが、アメリカ人には多分、好まれていないような気がします。

これらのお魚ですが、冷凍された状態でもショップによって、一つ一つの切り身が個別に真空パックされているものもあれば、冷凍された魚の切り身が大きな袋にゴロゴロとは言っているものもあります。

2.Sashimiグレードとそうじゃないグレードの違いとは?

こうした冷凍された魚の中でも、個別に真空冷凍パックされている鮭やマグロは、正直、生の状態でかぶりついてもイケそうな気がしていました。でも何となく勇気がなく、生でイケたらサイコーなのに!と思いながらも、加熱調理していたのです。

ALDIの冷凍マグロ

チェーン系のスーパー「ALDI]では、Sashimiグレードと明記された冷凍のマグロが販売されています。これは、生食できますよということなので、そのまま解凍して寿司でも刺身でも、お好きなようにいただけます。

Sam’sで販売されている冷凍マグロ

私が普段足を運ぶSam’sでも、冷凍のマグロは販売されています。ALDIと同じように、個別に冷凍真空パックされた状態です。しかも、養殖ではないWild Caught。しかし、SASHIMIグレードの表記はありません。

食べたいな~、でもあたったら怖いしな~と思いつつ、先日調べてみました。

Sashimi グレードの定義は不明瞭だった

このSashimiグレードという言葉、気になりますよね?生食できますよ、というお知らせであることは誰でも理解できます。しかし実は、Sashimiグレードという明確な定義はなく、生食できるかの申告基準などに関しても明確な線引きはありません。

一般的に、Sashimiグレードとして販売されている魚の品質は

  • 水揚げされてから冷凍処理されるまでの時間
  • 保管温度
  • 細菌レベル
  • 見た目の評価

を、なんとパッケージ業者が独自に判断したものなのだそうです。つまり私達のような一般消費者にとっては、その業者や流通ネットワークを信頼できるかどうかで、自己判断しなければいけないことになります。

最悪の場合、Sashimiグレードと書かれたマグロを食べてお腹を壊しても、そのスーパーやメーカーを訴えることはできないというわけです。だって、法的な線引きがないのですから。

水揚げ後の冷凍保存でどこまで殺菌できるのか?

魚は、他の食品と比較すると傷みやすいという性質があります。冷凍された状態で販売されているのも、鮮度を少しでも長もちさせるための工夫です。冷凍することによって、風味や旨味という点では、多少劣化するものの、日本のように「今朝水揚げされた魚だよ!」という店はアメリカではごくまれなので、魚を食用できる品質で流通するために、冷凍という手段を取っているのでしょう。

ちなみに、魚には寄生虫や細菌が含まれています。特殊な環境で養殖した魚なら、寄生虫が最初から存在しない魚を育てることは可能です。しかしWild Caughtタイプの魚は、魚の種類に限らず、寄生虫ゼロは不可能です。

寄生虫に関しては、

  • マイナス4℉(マイナス20℃)以下で7日間保管
  • マイナス31℉(マイナス35℃)以下で15時間保管

で、大半は死滅してくれます。一般家庭の場合には、家庭の冷凍庫なら、7日間入れておけばとりあえず寄生虫は死んでくれますよ、ということです。

しかし細菌に関しては、残念ながら冷凍しても死滅してはくれません。これは日本でもアメリカでも同じですし、冷凍の温度によっても変わりません。ただし、温度が低ければ細菌は増殖しにくいし動きも鈍いので、その状態のうちに生食するのが安全、ということです。

3.Sashimiグレード以外の冷凍マグロは食べても平気?

自分でいろいろと調べたり、アメリカに長く住んでいる日本人の先輩方から話を伺った結果、冷凍マグロはパッケージにSashimiグレードと表記されているいないに関わらず、状態が良ければ生食できるのではないかという結論に達しました。

これまでは、寿司や刺身をお腹いっぱい食べたいという気持ちから、わざわざ遠方のショップからSashimiグレードの鮭やマグロなどを取り寄せていました。Sashimiグレードの魚が個別に真空パックされているだけでなく、大量のドライアイスで覆われているため、自宅に届く魚たちは、自宅の冷凍庫に入っているよりも確実に低温でコチコチな状態で我が家にやってきます。「バナナで釘が打てる」というテレビCMが昭和の時代にありましたが、ドライアイスで最強に凍らせた魚も、まさにその状態です。

でも、送料に100ドル近くかかるので、気軽に週1で寿司や刺身を楽しめるというわけではありません。特別な時に数百ドル分をまとめ買いして、自宅でチビチビいただくわけです。

もっと思い切り、分厚くスライスしたマグロたちを口の中一杯にほおばりたい!と思い、体を張って冷凍マグロチャレンジをしてみました。

解凍は冷水で20分だけ

冷凍マグロをできるだけ新鮮な状態でいただくためには、細菌の増殖を最低限に抑えることがマストです。そのため、我が家では、コチコチの冷凍マグロを冷蔵庫に入れて解凍するのではなく、水道水を貯めたボウルの中に浸して解凍します。この方法だと、解凍できるまでにかかる時間はたったの20分程度で、超速です!

使う水は、冷たい水でOKです。気を遣ってぬるま湯にする、なんて配慮は一切不要です。キンキンに冷えた水だと、冷凍のマグロを入れることで氷が張る可能性はありますが、その場合には、キンキンではない水にすれば問題ないです。

審判の時、いよいよ試食!

解凍したマグロをいただく際には、真空パックから出したら、サッと軽く水洗いしてあげます。これは、個別処理する際に、魚の表面についていた細菌や寄生虫を洗い流すための防衛手段です。しつこく洗うと、魚のうまみが逃げてしまうので、洗うのはほんの一瞬だけがおすすめです。

そして、何よりも大切なことは、魚の色やニオイ、手で触れた感触など、自分の経験と勘で最終チェックすることです。我が家でも頻繁に刺身を食べますが、必ず私なりの品質チェックはしています。

日本で生活した経験がある人なら、どんな状態が「食べたら危険」な状態なのかは、感覚的にわかっているでしょう。具体的には、

  • 色が茶色っぽくて新鮮な感じがしない
  • 手で触れたときにネットリとぬめり、ねばねばがある
  • ニオイが食欲をそそらない

というときには、命が大切ですから、生食はあきらめることを強くおすすめします。

腹痛もなし、生きてる!食の楽しみが広がった

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初めてSashimiグレードではないマグロを生食する時は、正直、少しだけ不安でした。私と夫が共倒れしたら息子は誰が面倒を見ればよい?なんて大げさなことを考えて、私が初回は毒味をしたほどです。

実際に生食したところ、やっぱりSashimiグレードと明記されているかどうかではなく、魚の鮮度によって美味しさは大きく変わると思います。

我が家では、現在は「冷凍保存」「個別包装」「マグロに限る」を条件に、Sam’sで販売されている冷凍マグロを刺身で生食しています。これまで何回もいただいていますが、我が家では誰も腹痛になったことはありませんし、病院へ緊急搬送された人もいません。なので、我が家に関しては、大丈夫です。

注意:冷凍マグロの生食を推奨しているわけではありません。あくまでも個人責任でトライしてください。

FDAの見解は?

アメリカのFDAでは、法律で明確な線引きが定められていないので、どこまでの生食がOKか、どこからかNGかは、全て個人の責任の範疇でするように、との見解を示しています。しかし大まかには、「寄生虫が死滅している状態なら、冷凍マグロを生食しても、たぶん大丈夫。個人でいただく場合には、注意して楽しんでください」とのことです。

しかし、レストランなどの飲食業を経営している人は、FDAが定める厳しい衛生環境や流通経路などの条件を満たさなければ、生食用の魚は提供できないのだとか。そのため、副業で寿司や刺身を販売してお金をいただく、というのは避けたほうが無難ですね。

アメリカで刺身用包丁を買うならSantoku一択

アメリカの包丁は、みなさんご存知の通り、切れ味がイマイチです。いえ、最悪です。特に生魚をさばくのに適した包丁はほとんどないので、もしも見つけることができたなら、家宝レベルで大切にメンテすることをおすすめします。

我が家では、普段使いする包丁には、ドイツのヘンケル(Henckels)を使っています。他のブランドと比べると圧倒的な切れ味のよさなので、少しお高いなという気はしますが、愛用しています。

しかし、普段使いの包丁で刺身を切ろうとすると、大切なお魚様がつぶれてしまいます。そこで、友人おすすめのSantokuブランドを使ってみた所、驚愕的な切れ味にひれ伏しました。

ちなみにその友人は、Santokuの包丁を甘く見た所、指をスパッと切ってしまい、血が止まらなくなって病院で縫う羽目になったのだとか。皆さんは、そうならないように気を付けてくださいね。

投稿者: samuraipassport

こんにちは!アメリカ在住のジャーナリスト兼ライターです。アメリカへの移住から生活まで初心者が知っておきたい情報を発信していきます!アメリカに住んでみたい人や海外に憧れている人にとっても役立つ情報が満載です!

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