日本には、チップという習慣はありません。会計で1000円と言われたら、1000円ピッタリを払えばよいわけです。しかしアメリカでは、会計の1000円に対して、チップを上乗せすることが求められています。
目次
1.日本にはない慣習!チップとは?
日本になく、アメリカにある風習の一つと言えば、チップ(tip)がありますよね。これは、法律や制度で決められているものではなく、あくまでも「感謝」の気持ちを表すというアメリカの風習です。なので、必ずこうしなければいけないとか、うっかり忘れると逮捕される、なんてことはありません。
チップは、何かサービスをしてくれた人に対して支払うものです。私たち日本人にとっては、いつ、誰に、どんなタイミングで支払えばよいのかが分かりませんし、金額はいくらぐらいが相場なのかという点も、分かりませんよね。
チップは英語で、Tip(ティップ、と発音)と呼びます。その他には、Service ChargeとかGratuityと呼ばれることもあります。
2.チップは誰に払うモノ?
チップは基本的に、何かサービスをしてくれた人に対して支払います。
例えば、レストランなら、お会計の際にサーバーへチップを払いますし、ホテルでは客室清掃をしてくれるスタッフに対して支払ったり、スーツケースを部屋まで運んでくれるスタッフ、またはタクシーを呼んでくれたスタッフなどに対して白羽うこともあります。
アメリカで生活していると、その他にもチップを支払う機会はたくさんあります。家のメンテナンスで業者に自宅まで来てもらった場合には、チップを支払う習慣がありますし、美容室やネイルサロンなどでも、支払います。
3.チップの相場
チップは、いくらぐらい支払えばよいのでしょうか?これは、場所やサービスの内容によっても違いますし、感謝の度合いによっても変わりますね。
飲食店の場合

飲食店と言っても、レストランもあればファストフードなどもありますし、ビュッフェなどもあります。また昨今ではグルメのデリバリーも増えていて、こうしたサービスでもチップは必要です。
タイプ | チップの目安 |
ファストフード | 不要 |
フードコート | 不要 |
レストラン | 15%~20% |
軽食のみのカフェ | 10%~15% |
食べ放題のビュッフェ | 一人当たり1ドル~2ドル |
グルメのデリバリー | 10%~15% |
バーやクラブの場合



アメリカには、バーやクラブがあり、お洒落な大人のスポットとして人気がありますね。バーやクラブでは、バーテンダーが働いているカウンターでドリンクを注文し、客はドリンクが出てくるのを待ち、カウンターで受け取って支払いをします。
このように、ドリンクを注文する度に支払いをするタイプのバーやクラブなら、チップはドリンク1杯ごとに1ドル~2ドルを支払うのがマナーですね。ただし、顔を覚えている常連客に対しては、クレジットカードをOpenと言って預かってくれていて、1日の最期に飲んだ分をカードでまとめて支払えるタイプのバーやカウンターなどもあります。この場合には、約10%~15%のチップを支払代金につけるのが良いでしょう。
美容室(Hair Salon)やネイルサロン、エステの場合



アメリカでは、美容室などのサロンでも、チップが求められます。高い料金を支払っているうえに、更にチップだなんて!と思う人がいるかもしれませんが、こうしたサロンではチップは支払代金の15%~20%が相場なので、きちんと払いたいものですね。
サロンの場合には、大抵支払いはクレジットカードやデビットカードを受け付けているので、その際にチップもつけてカード払いにするのが便利です。
タクシーにもチップが必要



アメリカでは、タクシーに乗ってもチップが必要です。8ドルのタクシー料金で10ドル札で支払い、「Keep the Change!(お釣りは取っておいて!)」とスマートにできれば理想的ですよね。しかし近年では、タクシー料金にもカード払いが増えているため、チップもカードで支払うのが一般的です。
タクシーのチップは、メーター料金の15%~20%程度が目安です。
ツアーバスやツアーガイド



アメリカへ観光にやってくる人は、ツアーガイド付きのツアーを利用したり、ツアーバスを使ってたくさんの場所を効率的に回るのが、賢い遊び方です。留学生や移住した人でも、遠く離れた都市へ観光に行く際には、ツアーバスやツアーガイドのサービスを利用することがあり、その際にもチップが必要です。
ツアーガードの場合には、グループあたり5ドル~20ドルぐらいが妥当でしょう。グループの人数や、ツアーの所要時間などを考慮して、金額を決めるのがおすすめです。
ツアーでは、ツアーバスのドライバーに対してもチップを渡したいものです。リムジンのような専属のドライバーがつくラグジュアリーなツアーなら、かかったサービス料金の15%~20%程度が目安となりますが、大勢が乗る観光バスの場合には、1人当たり1ドル~2ドル程度でOKです。
ただし、バスと言っても、公共の交通機関であるバス(街中を走るコミュニティバスなど)では、チップは必要ありません。
4.観光客が多い場所では代金にチップが含まれていることもある



世界中から観光客が集まるニューヨークシティやラスベガスなどのエリアでは、レストラン料金の中に、すでにチップが含まれているケースが少なくありません。全ての飲食店でチップ込みの料金を請求されるというわけではありませんが、チップがすでに代金に含まれている場合には、更にチップを上乗せして支払う必要はありません。注意しましょう。
チップが代金に含まれているかを確認するためには、お会計の時にいただく請求書を見ると、そこに明記されています。
レストランなどの飲食店では、食事を終えてお会計(Check,please)と頼むと、何を注文したのかアイテムごとに代金が記載されたレシートのような紙を持ってきてくれます。そこには、代金の合計分、そして税金が加算された合計金額がかかれています。
もしもチップが代金の中に含まれている場合には、そこにGratuityとかService Chargeなどの名目で、いくらかが上乗せされています。
ここで注意しなければいけない点は、チップが含まれているかに関わらず、Tipを自分で加算する項目が必ず設けられているという点です。チップが代金に含まれていない通常のレストランの場合には、そこにチップ分を自分で計算して、代金とチップの合計金額を支払えばOKです。
代金にチップが含まれている場合には、Tipと書かれた部分に「ー」と横傍線を引き、払いませんという意思表示をすれば問題ありません。
5.チップの注意点
チップを支払う際には、いくつかの注意点があります。
サービスがイマイチだった。チップを払わなくてもよい?
チップは、サービスに対して支払うものです。サービスが良くないと、払いたくないという気持ちになってしまいますよね。しかし、払いたくないからと言ってチップがゼロというのは、相手を激怒させかねません。特に、レストランのサーバーなど、お給料を客からのチップに頼っている職種の人にとっては、チップがゼロだと、生活できなくなってしまうかもしれません。
もしもサービスが悪く、チップを払いたくない場合には、払わないのではなく、チップの金額を低めにすることで、サービスの質が悪かったことを相手に伝えると良いでしょう。
チップをサッと簡単に計算したい
チップをいくらにするか、サッとスマートに計算するためには、
- 加算されている税金を2倍にする→代金の18%程度になります
- 代金を10分の1にする→代金の10%になります
という方法が簡単です。
日本食レストランでもチップは必要?



日本食レストランや寿司レストランでは、サーバーに日本人が働いていることが少なくありません。しかしこの場合でも、アメリカの飲食店なので、チップは必要です。
日本食レストランだからと言って、従業員の給料体制も日本式というわけではありません。オーナーはアメリカ人の可能性がありますし、従業員のお給料は、客からのチップを想定して低めの金額に設定されている可能性も高いです。
レジの前にグラスがあり、お金が入っている。チップはそこへ入れるの?



ショップによっては、レジの前にグラスとかお皿などがおいてあり、小銭などがチップのように入っていることがあります。しかし、それは基本的に「現金で支払った人が、細かいお釣りを持ち歩きたくないので、そこへ寄付する」という意味合いが多いですね。
現金払いをして、チップもそこから払いたい。どうしよう?
もしも、チップも含めた金額を現金払いするなら、支払う際に「 I don’t need change」とか「Keep the chaneg」などと伝えればOKです。うっかり伝え損ねて、お釣りを受け取った場合には、そこからチップ分を手渡ししても、問題ありません。
もしも現金払いをしてチップもそこから払いたいけれど、金額が大きいお札で支払うからお釣りも欲しい、という時には、お釣りを受け取ったうえでチップ分を手渡しするのが良いでしょう。