アメリカの親には、いろいろなタイプがあります。その一つでもあるタイガーペアレンツとは、一言でいうなら「教育ママ」と言えるかもしれません。ただしお勉強のことだけでなく、スポーツや芸術などのアクティビティにおいてもタイガーペアレンツは存在します。
目次
1.タイガーペアレンツとは?
タイガーペアレンツとは、2011年にアメリカで出版された「Battle Hymn of the Tiger Mother」という書籍を起源としています。日本でも出版されたので、もしかしたら詠んだことがある人もいるかもしれませんね。

本の中では、中国系の母親の教育法がスポットライトを浴びていました。しかし中国系だけでなく、日本人も韓国人も自国の教育方法を実践すると、それはアメリカでは「タイガーペアレンツ」なのかもしれません。
タイガーペアレンツは、
- 完璧な結果を出すために、自己を犠牲にするべき
- 今日の幸せより、明日の成功
- 努力するなら結果を出せ。結果が出ない努力は努力とは呼ばない。
などの概念に基づいています。日本人なら、賛成するかどうかは別として「はいはい、分かりますよ」という教育方針ではないでしょうか。日本で生まれ育った人ならきっと、多かれ少なかれタイガー的な教育や育児を受けていると思います。
タイガーペアレンツにも、いろいろな度合いがあります。度を超えた強烈なタイガーペアレンツになってしまうと、
- 友達との遊びは生産性がなく無駄。遊ぶべからず。
- 結果の出ない習い事は時間の無駄。
- 将来に役立つ学校の勉強と習い事以外は、一切を禁止。
と、子供にとっては拷問のような日々を強いることになってしまいます。
2.アジア人はタイガーペアレンツだと思われてる!その理由は?
アメリカでは、アジア人の親はタイガーペアレンツだというステレオタイプがあります。もしも子供の成績が良ければ、かなり高い確率で「もしかしてあなた、タイガーペアレンツなの?」と聞かれるでしょう。
その言葉の背景には、「あなたのお子さん、優秀なのね!」と称賛してくれているのか、それとも「そんな風には見えないのにね」というネガティブな意味があるのか、その辺は分かりません。でも多くのアジア人父兄は、この言葉を耳にしていると思います。

アジア人がタイガーペアレンツだと言われるのは、上記の通り、私達が慣れ親しんできた教育システムが大きく関係しています。日本も韓国も、そして中国も、世界でも有数の「受験大国」です。受験大国では、結果を出すことが全てです。どれだけ頑張っても、結果を伴わなければ目標とする学校に入学できません。そのために、親子は一丸となってなりふり構わず受験に取り組むわけですね。
日本には、子供4人全員を東大に入れた佐藤ママという方がいらっしゃいます。日本のメディアによく出演していらっしゃいますし、彼女の教育方法を少しでも知りたいというママたちに対して、講演会などもしていらっしゃいます。彼女も教育方法も、やはり根底にあるのはタイガーペアレンツ思想です。
日本では近年、「結果ではなく、努力をたたえよう」という褒める教育がトレンドとなっています。しかしそれでも、結果を出さなければ受験に勝てない日本人にとっては、褒めることで成績が上がってくれたらいいなとか、褒めてやる気が出るなら褒めようと、結果ありきの「褒める育児」なのかもしれません。
3.タイガーペアレンツのメリットとデメリット
タイガーペアレンツ育児には、メリットとデメリットがあります。
メリット
- 自分の感情をコントロールするスキルが身につく
- 結果を視野に入れての努力ができる
- 目標達成率が高くなる
- 将来の選択肢が広がる
デメリット
- 個性や創造性が育たない
- 社交性が身につかない
- 子供時代に幅広い経験ができない
- 勉強が得意でない子供にとっては地獄
4.子供に与える影響
タイガーペアレンツというと、どうしてもアメリカではネガティブなイメージがあるかもしれません。実際に、マイナスの意味で使われることが多い単語です、しかし、メリットもたくさんあることを忘れてはいけません。
「Battle Hymn of the Tiger Mother」は、アメリカ国内でも一台センセーショナルを巻き起こしました。特に、それまで結果重視ではなく努力重視で「褒める教育」しか知らなかったヨーロッパ系の父兄にとっては、目からうろこが出る育児本だったようです。
この本の出版後、著者の元には「私もタイガーペアレンツになりたいのですが、もっと具体的に何をしたらよいのか教えてほしい」というリクエストが殺到したのだとか。
タイガーの名言「スポーツするなら個人スポーツ」
以前、中国系のタイガーペアレンツから聞いた言葉があります。
「スポーツをするなとは言わない。才能があるならすればいい。だけど、自分の頑張りがストレートに反映される個人スポーツのみ。だってチームスポーツは、自分の頑張りが他の子の手柄になってしまうからね。」
はい、タイガーペアレンツ様。その通りだと思います。名言です。

私も子供に対しては、タイガーペアレンツの要素が満載の育児をしてきました。チームスポーツもしてきた中では、息子の頑張りが他の子の手柄になったことも、数えきれないほどあります。息子は陸上という個人スポーツもしていたので、その違いは、経験を通して実感しましたね。
我が家の場合には、チームスポーツから学べることもたくさんあると考えて続けてきました。それはそれで、息子にとっては素晴らしい経験だったと思います。どこで線引きをするかは、その家庭次第という事なのかもしれません。
もしもタイガーペアレンツの由来となった本を読んでみたい方は、こちらからどうぞ。日本語版もあります。