海外在住者向け現金受取りガイド

親が日本で暮らしている海外在住者は、たくさんいると思います。その中には、国境を超えると相続がいろいろと大変だろうからという理由で、帰省するタイミングに合わせてアメリカドルを現金で準備していた、なんて親もいるかもしれません。

日本の相続においては、私たちが海外に住んでいても、アメリカ国籍を取得していても、手続きが部分的にでも免除されるとか、住んでいないからという点で優遇されるという事は、一切ありません。日本の法律に従って、粛々と手続を進めるしかありません。

もしも親が独断でアメリカドルを現金で準備していて、封筒に入れて「ほら、小遣いよ」だなんて渡されたとしたら、どうすれば良いのでしょうか?

金額によっては、小遣いとしてありがたく頂戴しても良いでしょう。

しかし、その小遣いが数百万円相当となれば、話は変わってきます。

目次

  1. 多額の現金、そのまま受け取るのは危険
  2. アメリカへ持ち込む際にはどうすれば良い?
  3. アメリカの銀行からIRSへ報告されるかも
  4. TAXでも申告しよう
  5. 安心なのは海外送金

1.多額の現金、そのまま受け取るのは危険

日本の税法では、年間に110万円を超えない贈与に関しては、贈与税はかかりません。そのため、この金額よりも低ければ、基本的には特にどこかに申告する必要はないので、ありがたく頂戴するという方法も、アリです。

しかし110万円を超えると、贈与税の対象となります。海外送金したとか現金で渡したといった贈与の証拠があれば、その人が受け取った贈与として取り扱われるでしょう。

お金の行先が分からず多額のお金が摩訶不思議にどこかへ消えたという場合には、相続の時に「使途不明金」として扱われます。しかしその場合でも、資産として持っていたものが誰かに贈与されたという想定の下に、相続税が計算されるようです。

2.アメリカへ持ち込む際にはどうすれば良い?

アメリカへ帰国する時に、日本の親から受け取った現金をそのまま手荷物として持ち込む場合には、金額によって税関で申告しなければいけません。

飛行機の機内で受け取るカスタムフォームには、

「現金で$10,000以上持っている人は申告してください」

と記述があります。1ドルが155円前後のこのご時世、仮に日本円110万円分をアメリカドルに換金しても$10,000にはならないので、おそらく問題はないと思います。

しかし、もしも$10,000を超える現金を持ち込む場合には、機内で受け取るカスタムのフォームに「私は現金を持ってます」と申告しましょう。

大丈夫、申告するだけです。

入国の際に申告したら、その場で多額の税金を徴収されるのではないか?とビビる人がいるかもしれません。でも大丈夫です。大半は、申告するだけです。

アメリカでは、海外の親から受け取る現金の贈与や相続に関しては、税金はかかりません。アメリカ国内で得た収入ではないので、所得税もかかりません。

しかし、犯罪を防ぐとかいろいろな目的があるため、申告はしなければいけません。

事前にフォームを準備したい人はこちら

3.アメリカの銀行からIRSへ報告されるかも

さて、親から受け取った多額の現金を、ようやくアメリカの自宅まで無事に運ぶことができました。ホッと一安心ですね。

しかし、それでおしまいではありません。

まさか大金をタンス預金する人は、アメリカにはいないと思います。危険です。

できるだけ早く、銀行へ持っていきましょう。

アメリカの銀行では、窓口で入金しても良いですし、ATMでも入金することはできます。多くのATMでは、一日に引き出せる金額には上限がありますが、入金に関しては上限はありません。だから、仮に$10,000でもATMから入金はできます。

ただし、ATMごとに、一度に入金できるお札の数が決まっているので注意してください。私が利用している銀行のATMでは、一度に75枚のお札しか入りません。$100札を入れた場合でも、一度に入金できるのは$7,500までですね。

この場合には、何回か分けて入金すれば、問題ありません。

窓口で入金する場合には、もしかしたら「この現金はどこで手に入れたのですか?」と質問されます。

やましいことをしているわけではないので、正直に「日本の親がくれた」と言えば良いでしょう。

アメリカの銀行では、一定額以上の入金に関しては、IRSへ申告するルールになっています。そのため、もしかしたら私たちが帰った後でこっそりIRSに「この人、大金を手に入れたみたいです!」なんて報告されている可能性もありますね。

でも大丈夫。悪いことをしているわけではありません。

4.TAXでも申告しよう

さて、銀行にお金を入金したら、それで終わりというわけではありません。

海外からの贈与や相続で得た収入に関しては、IRSで報告する義務があります。この場合にも、上記の通り、アメリカ国外で作られたお金なので、所得税も相続税もかかりません。報告するだけ、です。

5.安心なのは海外送金

大きな金額を持ち歩くことは、アメリカではとても危険ですし、日本でもやはり心配なものです。もしも日本の親が海外で暮らす私たちのために贈与を考えているのなら、銀行でアメリカドルにするよりも、銀行の口座から海外送金するとか、ワイズやペイパルで送金する方が、安全だと思います。

ただし、海外送金する際には、金融機関に親がマイナンバーの登録をしなければいけません。それがどうしてもイヤだという人の場合には、今回紹介した方法も、選択肢の一つかもしれませんね。

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投稿者: samuraipassport

こんにちは!アメリカ在住のジャーナリスト兼ライターです。アメリカへの移住から生活まで初心者が知っておきたい情報を発信していきます!アメリカに住んでみたい人や海外に憧れている人にとっても役立つ情報が満載です!

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