アメリカの親離れ・子離れ

私の息子様は、すでに22歳。しかし私は息子様を溺愛するバカ親です。

「そんなお前が子離れを語るな!」という罵声が聞こえてきそうですが、今回は勇気を振り絞ってアメリカにおける親離れや子離れをざっくりと検証します!

目次

  1. 親離れはある日突然やってくる
  2. 子離れできない親は多い?

1.親離れはある日突然やってくる

アメリカでは基本的に、子供がなかなか親離れできない社会システムがあります。だって小学生のうちは、子供が一人で自宅でお留守番することも認められていませんし、学校へ一人で徒歩通学することも禁止となっていたりします。

それに、アメリカではどこへ行くのも車が必要な場所が大半です。子供が友人宅へ行くにしても、親が送迎。送迎なしではたどり着く前に日が暮れるか誘拐されてしまいます。

一方の日本では、小学校に入学すると子供は親とは違う世界を少しずつ持ち始め、学校への通学やコンビニへのお出かけ、習い事や塾へも一人で行く子は多いですよね。子供たちはそうやって親とは別の世界を経験しながら、少しずつ親離れしていきます。

そうした時間を確保できないアメリカの子供は、小中学校で親離れすることは至難の業です。しかしハイスクールに入って自身の運転免許を取得すると、一気に親離れの機会が到来します。

我が家もそうでしたね。

アメリカでは、州にもよりますけれどハイスクールの早い段階で免許を取得できます。免許の取得には日本の様に教習所に通わなければいけないことはありませんし、お金と時間がたくさんかかることもありません。それに、免許取得に対して前向きな親が多く、免許取得記念に車を買い与える家庭も多いです。

はい、バカ親の我が家も例外ではありません。

そうすると、16歳ぐらいで免許を取得し、学校への通学にはもう親の送迎なんて不要です。自分で勝手に車を運転していきますし、中には友達をピックアップしていくという兵もいます。

免許を取ったら自由が手に入るというのは、アメリカの子供たちの中ではドリームとなっているのかもしれません。息子もハイスクールに入ると、免許も取っていない分際でどんな車が欲しいかを語りだし、マスタングが欲しいとか、チャージャーでもいいとか、まったく意味不明は事を言い始めました。

バカ親な私は、息子の希望を少しでもかなえようと、マッスルカーについて研究したのですが、調べれば調べるほど、免許取りたての子供には不適切な車ということが分かったので、結局はトヨタのRav4というコンパクトなSUVを買い与えました。

足を確保できれば、年齢的に親から離れて自立したいという気持ちが強くなることも手伝って、子供たちは一気にアルバイトを始めたり、週末には糸が切れた凧のように友達と一緒にその辺へ繰り出し、深夜になってもなかなか帰ってこなかったりもします。

そう、子供の親離れは運転免許と共に突然訪れます。

2.子離れできない親は多い?

子供が親離れしたからといって、親もハイそうですねとなるわけではありません。親離れして飛び立とうとする子供の両足を掴み、飛び立てないように必死で阻止する親もいたりします。これは、アメリカでは毒親認定です。実際に私が見たり聞いたりした中には、

  • 子供が進学先の大学を決める段階になって、うちはお金ないよと告げた親→その子は自宅から通学できるコミュニティカレッジへ進学しました
  • 子供が大学へ進学したいと言ったら、家の家賃は誰が払うんだ?と言った親→進学をあきらめて就職してました
  • 高校を卒業して働きだした息子から家賃という名目で金銭を搾取し、さらには値上げまでした親→親に愛想をつかして裸一貫で引っ越していきました
  • 就職は自宅のそばじゃなきゃダメという親

など、啞然とするケースも少なからずあります。

そこまで極端ではなくても、子離れできずにいつまでも子供の手となり足となってしまう親は多いですね。ブルドーザー親とかヘリコプター親なんて言うのも、その類かもしれませんし、私もおそらくその一人です。

ちなみに息子の大学には、そんな親がワンサカいます。例を挙げると、

  • キャンパスの学食の飯がマズイと学長へクレームする親
  • 子供の誕生日にケーキをデリバリーしたいけれど閉店だとパニックになる親
  • 子供の体調が悪いからと、遠隔操作で医者を予約、タクシーも手配する親

などは、息子が在学4年間に実際に見聞した実例です。

心当たりのある方は、私と一緒に気を付けましょう!

まぁ、他にも子離れできない親がたくさんいるから自分もしなくて良い、というわけではありません。しかし私自身これでも、息子大学に入ったことでかなり子離れできたと自負しています。これからも、できるだけ息子の人生経験の邪魔をしないよう、陰ながら応援していきたいと思います。

アメリカの親あるある!NOと言わないエレファント・ペアレンツは毒親?

日本にも、育児の仕方を例える表現はたくさんあります。過保護、放任主義、教育ママなど、どれも子供によかれと思ってしている育児方法なのですが、メリットもあればデメリットもあります。それでは、アメリカに多い「Elephant Parents(エレファント・ペアレンツ)とは、どのような育児方法なのでしょうか?

目次

  1. エレファント・ペアレンツとは?
  2. エレファント・ペアレンツの傾向
  3. 結果vs努力、どちらが大切?

1.エレファント・ペアレンツとは?

エレファント・ペアレンツとは、一言でいうなら「何よりも子供の感情を最優先する」という育児スタイルです。子供の気持ちを大切に考える、という一般的なレベルではなく、学業や運動で結果を残すことよりも、その時の子供の気持ちを優先してしまうのが、この育児スタイルの特徴です。

エレファント・ペアレンツのメリットは、子供は精神的なストレスを感じることが少なく、好きなことをのびのびと楽しみながら成長できるという点です。このタイプの親は、子供が「これは嫌い」と言えば強要することはほぼありません。そのため、子供にとっては「好きなことだけをして、嫌いなことはしなくて良い」という考え方となってしまう傾向があります。また、嫌なことは親に言えば何でも解決してくれますし、子供が直接対峙する必要もありません。

エレファント・ペアレンツは「行き過ぎた過保護」とも表現できるかもしれませんね。日本にも多いと思いますけれど、私がいろいろ見てきた中では、アメリカの方が多い気がします。

2.エレファント・ペアレンツの傾向

私がこれまで見てきたエレファント・ペアレンツには、以下のような行動をする人がいました。

  • 子供が「数学は嫌い」だと言えば、数学は勉強する必要なし。「数学なんてやらなくても生きていける」と逆に励ます。
  • テストの点が悪くても、子供が「頑張った」と言えば叱ることはない。
  • 長期的なスパンではなく、目の前の幸福度で物事を判断する
  • 子供が「クラブ活動を辞めたい」と言えば、即OK
  • 子供のスポーツ試合をしても、抗議してスコアを禁止させる
  • 勝敗がつくイベントを嫌う

つまり分かりやすく言うと、子供の気持ちや感情を優先するあまり、子供に「辛くても将来役立つことだから頑張ろう」と教えるのではなく、「ツライものを続けても意味がない」と教えるのがエレファント・ペアレンの特徴です。

エレファント・ペアレンツは、子供にとっては、「自分の気持ちを理解し、サポートしてくれるよき理解者」です。子供の中には、そうした親の育児方針に感謝し、何事にも全力で頑張る子もいるでしょう。しかし残念ながら、全ての子供が、それほど人間的にできた子ではありません。

子ともにとっては、何をしても文句を言われず、勉強せずにテストの点が悪くても、「頑張った」と言えば御咎めなし。これはもう、親ガチャ大当たりですよね。

エレファント・ペアレンツな育て方は、子供の能力やポテンシャルを無駄にするリスクが高く、長期的には子供にとって大きなダメージがあることも、理解しておいた方が良いと思います。

3.結果vs努力、どちらが大切?

アメリカでは、結果よりもそこに至るまでの過程を評価しよう、という風潮が日本よりも強いです。大学受験のプロセスを見ても分かりますが、試験の結果だけでなく、それまでに頑張ったボランティアとかクラブ活動などが幅広く評価の対象となっています。

私は日本で生まれ育った昭和女子です。だから、勉強でもスポーツでも芸術でも、結果を出してナンボ、という価値観を持っています。努力をするのは当たり前。その中で、結果を出せる人が勝利するという、誰にとっても分かりやすい図式で、客観的な評価をしやすい環境であることが大切だと教えられてきました。

しかしアメリカでは、結果が悪くても交渉次第で「特別に」覆ることが少なくありません。

例えば学校で、80点以上がAというルールだったとします。アメリカでは、75点の生徒が教師に「どうしてもAでなければ困る」とアピールすることは珍しくありません。日本人ならきっとそういう光景を見ても、「だったら最初から勉強しろよ」「頑張りが足りなかったんだ」と思うところでしょう。

アメリカにも、そういう先生はもちろんいます。でも生徒は食らいつき、「何をしたらAにしてくれますか?」と交渉しようと試みるのです。

先生の中には、根負けして「じゃあ、レポート書いてきたら特別に」という人もいれば、「何を言っても無理」と拒否する人もいます。

エレファントペアレンツは、ここでも怯みません。親が学校に電話して、「子供はこんなに頑張ったのだから、教師はそこを評価するべきだ」とクレーマーになることも多いです。

アメリカでも結果を出してナンボ

アメリカでも、努力の有無に関わらず結果が評価されることは、多いですね。特に社会人になると、結果を伴わない頑張りが評価される機会は、かなり少ないのではないでしょうか。

自分はこういう実績を上げたから給料を上げてほしい、という交渉はよく聞きますが、毎日残業して頑張ったのだから給料アップすべきだ、という交渉は、私は未だ聞いたことがありません。

育児のやり方は、家庭ごとに違いますし、子供の性格に合わせて完全カスタマイズするべきだと思います。その中には、もちろん子供の気持ちを大切にすることは大切です。でもそればかりでは。。。ということなのでしょう。何事にも、加減やバランスが大切ですね。