アメリカには、日本人学校や補習校などがあります。子供がいる家庭なら、実際に通うかどうかは別として、一度ぐらい検討したことがあるのではないでしょうか?ここでは、アメリカにある日本人学校や補習校は何をする所なのか、そして自分の子供を通わせた方が良いのかどうかについてご紹介しますね。
目次
1.日本人学校とは?

日本人学校とは、海外にある日本人のための学校のことで、文部科学省がある程度の経費を負担してくれています。基本的には義務教育の年齢が対象となるので、小学校と中学校がメイン、高校も探せばあります。
日本人学校はアメリカだけでなく世界中に設置されていて、その数は95。そのうち5校がアメリカにあります。
カリフォルニア | 西大和学園カリフォルニア校 |
イリノイ | シカゴ日本人学校 |
ニュージャージー | ニュージャージー日本人学校 |
ニューヨーク | ニューヨーク日本人学校 |
グアム | グアム日本人学校 |
メリット
- 場所は海外だけれど日本の学校
- カリキュラムは日本の公立の学校と同じ(文部科学省が認定)
- 全日制で、月曜日から金曜日まで、日本の学校と同じように通学できる
- 教科書は日本国内で実際に使われているものを採用
- 現地の日本人会が運営
- 卒業すれば日本国内の学校と同じ卒業資格を得られる
- 日本語での授業、友達との付き合いもすべて日本語
- 校長や教頭は日本から派遣
デメリット
- 現地の人と交流する機会が少ない
- 現地の言語を習得できる環境が少ない
- 現地の税金は投入されない、私立校の扱い
- 学費は無料ではない
- 入学審査や定員がある
- PTA参加義務など、親の関わりが求められる
- ロケーションが限定されている
日本人学校に向いているのはどんな人?
- 数年間の駐在で、日本へ帰ることが分かっている人
- 海外に駐在している間に、子供の教育面がとても心配な人
- 日本へ帰って子供が高校や大学を受験しなければいけない人
- 日本人としてのアイデンティティを強く持ち続けたい人
2.補習校とは?

補習校とは、土日にだけ行われる塾のようなもので、普段は現地の学校に通っている子どもたちが、週末に補習校に通うというスタンスが一般的です。日本人学校へ通わせたいけれど定員で入れなかった場合や、すぐそばに日本人学校がないので補習校という選択肢しかないなど、補習校を選ぶケースは様々です。
補習校は、世界中に229校あり、アメリカにも大小さまざまな補習校があります。
メリット
- 日本人学校で使われている教材を採用
- 授業は日本語
- 土日のみなので、現地校に通える
- 義務教育以外の年齢、幼稚部や高等部が設置されていることもアリ
- 運営は現地の日本人会
- 入学式や運動会、遠足や七夕などの伝統行事もアリ
- 現地の言語を習得しやすい
- 現地の友人を作りやすい
- 現地の学校へ進学する際にスムーズな移行が可能
- 保護者主体のクラブ活動もある
デメリット
- 全教科を習うわけではない。国語と数学がメイン。
- 宿題が多く、現地校とのバランスが難しい
- 週末はスポーツの試合や習い事などで忙しい
- ロケーションが限られており、場合によっては片道数時間かかることもアリ
- 学費がかかる
- 日本国内の学校を卒業した場合と同等の資格は得られない
- 学校によってカリキュラムの内容や進度がちがう
- 狭い日本人社会の中で人間関係のトラブルが生まれるかも
- 親の負担は少なからずある
補習校に向いているのはどんな人?
- アメリカ人としてのアイデンティティを確立しながらも、日本人のアイデンティティも維持したい人
- 日本へ帰国の際には帰国子女の枠で受験することを考えている人
- 国語と算数をしっかり学べれば良いと考えている人
- 現地校と補習校からの宿題のどちらにもしっかり取り組める人
- 親が子供の学習をサポートできる人
- 将来は現地校への進学を考えている人
- 日本のカリキュラムよりアメリカのカリキュラムに沿うことのメリットが大きな移住組
3.現地校との掛け持ち、大変じゃないの?
全日制の日本人学校なら、現地の人とあまり関与することなく数年間のアメリカ生活を全うし、日本のカリキュラムに遅れることなく帰国できる可能性は高いでしょう。しかし平日は現地校、そして週末は補習校となると、子供は週休0日で学校に通うことになります。掛け持ち、大変ではないのでしょうか?

宿題は大変です
補習校と現地校を掛け持ちしている家庭からよく聞くことは、宿題が多くて大変、ということですね。アメリカの現地校では、年齢が上がるにつれてどんどん宿題の量が増えていきます。ハイスクールになると、毎日数時間、宿題をしなければいけないということもあります。
だからと言って、補習校は手加減してくれません。補習校に通う子供の中には、日本へ帰国する前提で通っている子もいるので、しっかりカリキュラムをこなしてほしいという希望は少なくありません。1週間分の授業を土日の2日間に凝縮して行い、宿題も1週間分がみっちり出される、というスタンスなのです。
子供によっては、現地校からの宿題と、補習校からの宿題の両方を、毎日することが習慣になる子もいるようです。宿題が忙しすぎて現地校のクラブ活動とか、お友達と遊ぶこともできないというケースも珍しくありません。
年齢が上がると社交面で問題が浮上しやすい
子供達が社交に積極的になり、Sleep OverとかSlumber Partyと言った「お泊り会」をするようになると、「補習校はもう行きたくない」「休みたい」という子が増えます。そうしたお泊り会は金曜日の夜に行われることが多く、土曜の朝早くから補習校に行かなければいけない子だと、参加しづらいからです。
また、現地校でスポーツなどのクラブ活動をしている場合にも、週末ずっと補習校ということは、問題が生じてしまいます。アメリカのクラブ活動は、練習は平日の放課後、そして試合は土日だからですね。
子供の年齢が9歳か10歳ぐらいになると、多くの家庭では「そろそろ補習校は辞め時なのかしら?」という壁にぶつかるのだとか。
4.アイデンティティ、そして将来の教育設計で決めるべし
補習校に子供を通わせるかどうか、またいつまで通わせればよいのかを決めるには、家庭の中で長期的なプランニングが必要です。
我が家の例ですが、我が家では子供を補習校へ通わせませんでした。その理由は、
- 夫は転勤族だったため、日本のカリキュラムに沿った教育を継続できる確証がなかった
- 子供は現地校でのクラブ活動やお友達との社交に積極的だった
- 将来はアメリカの大学へ進学する予定だったので、アメリカのカリキュラムで学んでほしいと考えた
- 国語と数学に関しては、私が自宅で教えることが可能だった
- 日本語という言語よりも文化を学べば良いと考えた
- 帰国の予定はなかった
などですね。
私は学生の頃に数学が得意で、アルバイトで塾や予備校の講師をした経験がありました。そのため、息子はキンダーから高校を卒業するまで長期休みも含めて毎日30分~1時間、私と一緒にテーブルに座って「ママ塾」をしていました。
マンツーマンで教えることは、限られた時間の中でも密度の濃い内容で学べるというメリットがあります。教える側も、マンツーマンなら解き方を観察しながら弱点を把握し、克服のための応用問題を出せます。
親子で学習習慣をつけたことは、子供が大学へ進学してからも、それなりに役立ったような気がします。長時間の勉強でもそれほどストレスに感じないようですし、息子はコンピューターサイエンス(CS)を専攻しており、基本的な数学的な考え方ができることは、少なからず役立っているようです。そうした些細な成果があっただけでも、親としては息子の人生に役立ったような気がして、嬉しいですね。
私の周囲には、最初から補習校は検討していないという人もいましたし、絶対に補習校はマストという人もいました。いろいろな口コミを聞いた中で、「行かない」という決断をした場合に考えられるデメリットをいくつかご紹介しますね。
- 日本人のお友達が少ない
- 日本語で会話できる人が親以外にいない場合も
- 日本語の読み書きに関しては、補習校に通っている子よりもレベルが劣る
などが挙げられます。途中まで通わせていたけれど辞めたという家庭では、宿題の量が減ってストレスが減ったとか、補習校関連の親子喧嘩が減ったなど、良いこともあるようです。
補習校に通わなくても、こんなチャンスがあります
補習校に通わないという選択をすると、どうしても日本語の読み書きや会話のレベルは、補習校でスパルタ的に学んでいる子よりも劣ります。これは、仕方ないと思います。
しかし、「それなり」のレベルでも日本語をある程度話せる子なら、大学で日本語をダブルメジャーで専攻して完成度を上げるという方法もあります。
息子の友人は、小学校2年生まで補習校に通っていました。日常会話は問題ないレベル、しかし学術的な分野ではイマイチだったそうですが、大学に入って経済学を専攻するのと並行して日本語も専攻した所、ゼロの状態から始める同級生と比べるとやはり基本が既にできていることは大きなメリットだったらしく、大学2年生でも上級生向けのクラスを受けていました。もちろん成績優秀者として、就職の際の履歴書にもしっかり記入したそうです!
そういう例もあるということで、ご参考にしてくださいね。