アメリカは二重国籍を認めています。しかし、日本は認めていません。国際結婚などで生まれた時に自動的に日米の国籍を取得した人は例外ですが、アメリカに来てから自分の意志でアメリカ市民になった人は、日本国籍がなくなります。
目次
1.みんなも知ってる通り「二重国籍はNG」
法律によると、アメリカ市民になったら自動的に日本国籍がなくなるとのこと。しかし実際には、自分で国籍離脱の手続きをしなくても、公的機関から「あなたアメリカ市民ですよね?日本国籍なくなりましたよね?」なんてお知らせがくることはありません。
だからと言って、沈黙を守ればバレないぞ、ということを言ってるのではありません。これは違法行為となって処罰の対象となります。おそらくにアメリカの警察官とか日本大使館の人が自宅にやってきて逮捕されるなんてことはないでしょうけれど、万が一何か罪を犯した時には、二重国籍を黙って持ってたという刑が追加される可能性は十分にあるでしょう。
日本大使館のサイトを見ても、
自己の意思で米国市民権を取得した場合は、その時点で日本国籍を失いますので二重国籍とはなりません。このことを知りながら既に取得した日本のパスポートを使用したり、新たに日本のパスポートを申請した場合は処罰の対象となります。
アメリカ合衆国日本国大使館Webサイト
と明記されています。
ちなみに、日本国籍を放棄する際には2種類の手続き方法があり、
- 国籍喪失届→すでにアメリカ市民権を持ってる人が行う
- 国籍離脱届→生まれた時から二重国籍の人が行う
という違いがあります。
2.黙って二重国籍だと何が起こる?
アメリカ市民権を取得したときには、誰も「次は忘れずに日本国籍を離脱してくださいね」なんてアドバイスはもらえません。自分で速やかに国籍喪失届を出せば問題ありませんが、方法が分からず放置した場合でも、持っていた日本のパスポートが有効期限切れとなり、アメリカ国内で更新はできなくなります。
だって、市民権を取得したときにグリーンカードは回収されるため、アメリカ国内で日本のパスポートを更新する際に提示しなければいけない「合法的にアメリカに滞在している書類」がありませんから。
そのため、日本へ里帰りする際にはアメリカのパスポートを使って外国人として入国することになります。
だから必然的に、その後はアメリカ人として生活することになるわけですね。アメリカ国内で日本のパスポートを更新したり、日本の海外在住者向け行政サービスを受けることもできなくなります。ま、自分の意志でアメリカ市民権を取得したのですから、それ以降に日本のサービスを受けようと思うなよ、ということなのでしょう。
また日本の親からの相続が起きた時にも、日本の代行サービスを利用できないことが多いです。その理由は「二重国籍は違法ですよね?」だから。
海外にいても日本からの相続はできますが、その際にはその国に合法的に滞在している証明書を提示して、大使館で書類を発行してもらう必要があります。アメリカの場合だとグリーンカードやビザですが、アメリカ市民になってしまうとそうしたものは一切ないので提示できず、「アメリカに合法的に滞在していることで大使館のお墨付きをもらえない」のです。それを嫌がる法律事務所が多いというわけですね。
もちろん、それとこれは別として請け負ってくれる法律事務所は、探せばあります。しかし、選択肢は少なくなってしまいます。
3.国籍喪失の手続き方法
アメリカ市民権を取得したら、法律によると3か月以内に日本国籍喪失の手続きが必要です。しかし3か月を過ぎてしまっても、受け付けてもらえます。
手続き方法は
という3つの方法があります。
日本大使館のサイトはこちらから
アメリカにある日本大使館へ行く
もしも運転できる距離に日本大使館や領事館があるなら、この方法が便利かもしれません。必要な書類
- 国籍喪失届(なぜかネットではダウンロードできないので、窓口で受け取ってその場で記入しましょう)
- 帰化証明書(アメリカ市民権を取得したときにゲットした賞状みたいな証明書です)
- 帰化証明書の日本語訳(大使館のサイトに例があります。自分でできます)
- 日本のパスポート(手続きの際に返却します。有効期限切れでもOKです)
- アメリカの免許証(住所確認のため)
アメリカにある日本大使館へ郵送で手続きする
日本大使館への距離が遠ければ、必要な書類を大使館に郵送して遠隔手続きすることもできます。その場合には、
- 帰化証明書の代わりに宣誓供述書(テンプレートが大使館サイトにあります)
- 宣誓供述書の日本語訳(例文があるので自分でできます)
- 免許のコピー(現物を送ってはいけません)
- 帰化証明書を送る必要はありません。コピーも不要です。
を送ります。一番重要な国籍喪失届は、上記の通りネットでダウンロードできない重要書類なので、面倒ですが「請求シート」なるものを大使館に郵送して送付してもらえるようにお願いしましょう。
日本の役所へ郵送で手続きする
面倒さがさらにアップするので、おすすめしません。どうしてもという人は、本籍がある役所に上記の書類をすべて日本語訳付きで送り付けるという方法で手続きすることになります。