アメリカに限ったことではありませんが、子供が小さい時には、医薬品の誤飲リスクはあるものです。私自身、小さな時に自宅においてあったビオフェルミンという整腸剤がとてもおいしくて、親に隠れてこそこそと食べ続けていました。ビオフェルミンは善玉菌がたっぷりの整腸剤なので、たくさん食べても大きな事故にはなりませんでしたが、過剰摂取するとよろしくない医薬品だったら大変です。
そんな私がアメリカで経験した、息子様の薬誤飲事故をご紹介しますね。
目を離したすきに子供が薬のボトル1本を飲んだ!
確か、息子が1歳のことだったと思います。普段、医薬品は子供の手が届かない高い場所においてあるのですが、その日はたまたま、整腸剤のTumsをリビングルームのテーブルの上に置いたまま、私はキッチンで洗いものをしていました。

Tumsとは、胃もたれの時に服用する医薬品で、有効成分はAntacidというものです。胸やけしたときの制酸剤なのですが、胃もたれ、食べすぎた時に飲むと整腸作用があるようで、我が家でも常備しています。
Antacid(制酸剤)
制酸剤は、胃酸を中和する作用を持つ市販薬です。胃酸の分泌を減少もしくは防止することで、胃痛や胃逆流、胸やけ感や消化不良を改善します。
Healthline
上の写真を見てもらうと分かりますが、ボトル1本に何十錠も入っています。甘くておいしいこの薬を、息子は私が目を離したすきに、おやつのようにボリボリと完食してしまいました。
私はパニック、すぐにポイズンコントロールへ連絡
私がキッチンで洗い物を終えてリビングルームへ戻ってくると、ご機嫌な息子が空っぽののボトルを見せてくれました。一瞬「え?」となりましたが、事情を察知した私はパニックになりました。だって息子はまだ1歳なのです。
何を考えていたのかはわかりませんが、私はとりあえず息子の胃の中を薄めようと思い、水を大量に飲ませました。
その後どうしてよいか分からず、911へ電話することも脳裏をかすめました。しかし息子は元気そうですし、とりあえずたくさん飲んだらどんなリスクがあるのかを確認しようと思い、ボトルの裏面の説明書きを読みました。
すると、特に過剰摂取したときの注意点は書かれておらず、質問があったらここへ電話してください、とPoison Controlの電話番号が記載されていました。
Poison Controlとは、医薬品の専門家が常駐しているサービスで、電話をかけると専門家がどう対処すべきかをリアルタイムで教えてくれます。私はここに電話をしました。
Poison Control 1-800-222-1222
相手はプロ。英語なんてできなくても平気

ポイズンコントロールへ電話をすると、すぐにプロが電話に出てくれました。私が事情を説明すると、彼女はまず、具体的に何を飲んだのか、有効成分は何かと尋ねました。
「有効成分なんて知りません!」
パニックになった私は、有効成分がボトルの裏面に書いてあるなんて考えもせず、そんな専門的なことを聞いてくれるなと泣きながら答えました。
そしたら彼女は、ボトルの裏面にIngredientsと書いてある場所があるから、そこを読んでと指示。Antacidをどう発音してよいか分からない私が、
「発音できない」
と泣きつくと、
「どんな発音でもいいから、とにかく読んでみなさい」
とおっしゃいました。そしてその後、私が何をしたのかも質問してきたので、とりあえず水をたくさん飲ませたと告げました。彼女は、
「水をたくさん飲ませたのは、とても良い判断でした。息子さんの状態は?」
息子はゲラゲラ笑いながらテレビを見ていると話すと、
「ハイリスクな薬ではないので、様子見でOKです。医者に行く必要はありません。」
とアドバイスを受けました。
事なきを終えたのはラッキー
飲んだ薬がAntacidだったので、息子は特にその後、体調を崩すこともありませんでした。しかし、これはラッキーだったのだと思います。もしも飲んだ薬が過剰摂取がNGなものだったら、胃の中を洗浄したり、きっと大変な処置が必要だったかもしれません。
この経験から学んだこと
私がこの経験から学んだことは、どんな薬でも、子供のそばにはおかないという事です。当たり前のことなのですが、息子はいたずらをあまりする子ではなかったため、それまでは私が不注意すぎました。でもこの一件以来、私自身がとても気を付けるようになりました。
最近のChildProofはすごい
過剰摂取すると危険な医薬品は、ボトルにChild Proofがついており、大人でも簡単には開けられないような仕組みになっています。握力がなかったり、開け方のコツを知らないと、大人でも四苦八苦するほど優秀です。
しかも、どんどんそのChild Proof技術は進化していて、難易度も上がっています。そのため近年では、小さな子供が開けられないだけでなく、高齢者も開けることができなかったり、握力が弱い人でも開けることは難しいものが多いですね。
でもこれはすべて安全のための対策です。
ちなみに、このTumsにはChild Proofはついていません。今でも、大人が不注意だと子供は勝手にボトルを開けて完食できるスペックになっています。