アメリカで生活し、こちらで不動産も購入したけれど、事情があって日本へ帰国するという人は少なくありません。日本へ永久帰国なら、所有していた不動産など全て売却してスッキリしてから帰国したいという人は多いでしょう。
- 日本へ帰国して転入する
- アメリカの不動産を売却する
この二つの作業をする時、実はどちらを先にするかによって、日本の税金という点では天国にもなれば地獄にもなることはご存じでしょうか?
天国:不動産を売却してから帰国
日本へ帰国する前に、
- アメリカの不動産を売却してクローズする
- 売却益を受け取る
- 日本に帰って転入届を入れる
という順序が理想的です。
この順序なら、アメリカで売却した不動産に対する税金は、アメリカ側で適切に処理されるため、日本側で二重に課税される心配はありません。
ちなみにアメリカのIRSへの税金申告は、翌年のTax Returnで行いますが、日本への転入届はTax Returnより前に入れて問題ありません。
投資物件ではなく、自身が住んでいた不動産を売却した場合、IRSからの課税は利益が$250,000(夫婦でJointなら$500,000)以内なら税金はかかりません。
ちなみに、この利益というのは売却した価格ではありません。
売却した価格から、自身が購入する時に払った価格を差し引いた金額です。
例えば、10年前に$300Kで購入した家にずっと住んでいて、日本に帰国するので売却したら$500Kで売れた、という場合には、
$500K-$300K=$200K
が利益です。そしてこの金額は、↑の控除内なので、申告をしても税金はかかりません!超ラッキー!
地獄:帰国してから不動産を売却
一方、日本で転入届を入れた後にアメリカの不動産を売却すると、地獄を見ます。
その理由は、
日本の居住者が海外の不動産を売却すると、利益は課税所得となるから。
「え、だってアメリカの不動産なんだから、税金はアメリカに払うでしょ普通」
なんて言ってもダメです。
→国税庁のページで確認したい人はこちらから
外国税額控除を使えばいいじゃん?
アメリカに限らず海外の不動産を売却して、アメリカにしっかり税金も払いました、という人は、日本の確定申告で一定の書類を添付すると、日本へ支払う税金を一定額だけ引いてもらうこともできます。
でも皆さん、考えてみて下さい。
日本の確定申告と、アメリカのTax Returnの時期はほぼ同じです。
つまり、かなり高い確率で、
- 日本へ確定申告をし、日本の税法に基づいて税金を納める
- 次の年の確定申告で、アメリカ側に申請したTax フォームを添付書類として添付
- 精査されてから税金が還付
という順番になりそうです。これ、かなーり時間がかかりますよね。
しかも、順番をすこし工夫すれば払わずに済んだ税金を、自腹で1年以上立て替えるというのは、嫌なものです。
結論:帰国するなら資産を全て売却してから転入しよう
不動産に限らず、車などの資産も、日本へ転入届を入れてから売却すると、全て確定申告の対象となります。
覚えておきましょう。国税庁は、海外資産に対しては目を光らせています。
「知らなかった」という言い訳は通用しませんし、国税庁がやってきた時には何年も経過していたりして、延滞税などがかかるリスクもあります。
面倒です。ストレスです。お金もかかります。
そうならないためには、アメリカで売却する資産はすべて売却し、現金を手にしてから日本へ転入届を入れる、という順番がベストです!