アメリカの多くの州では、代理出産が認められています。代理出産においては、胎児を出産までお腹の中で育ててくれる代理母が必要不可欠なのですが、代理出産のニーズがあるということは、代理母のニーズもあるという事。ここでは、代理母になるための方法をざっくりご紹介します。
代理母になるためには、法的な問題が数多く存在します。そのため、必ず弁護士もしくは斡旋業者に相談しながら正しい方法で手続きをしてください。
目次
1.まずは条件を満たすか確認しよう
代理母になりたいと希望しても、誰でもなれるわけではありません。代理母を斡旋する仲介業者は、それぞれ代理母に求める条件を設けており、まずはその条件を満たす必要があります。
- アメリカ市民もしくは永住権保持者(合法的に住んでいること)
- 年齢は21歳から45歳ぐらいまで
- 健康状態が良好 →高血圧や糖尿病、高脂血などを持っている人はNG
- 肥満でない事
- 精神状態が安定している
- 犯罪歴がないこと
- 過去に妊娠で合併症を起こしていない事
などが多いようですね。
2.身体検査があります
当然ですが、代理母になれるかどうか、身体的及び精神的な面で健康診断を受けなければいけません。場合によっては、胎児にリスクのある風疹や水痘などの疾患を予防するためのワクチン接種が必要になることもあります。
検査に関しては、代理母として妊娠した後にも、遺伝子のスクリーニングをはじめとした各種の検査を受ける事もあります。これは、代理出産のサービスを利用する人からのリクエストによって異なります。
代理母になれる条件を満たしていると判断されれば、いよいよ代理出産を斡旋する仲介業者と契約を結ぶことになります。
3.カウンセリングが必要です
代理母になりたい人の中には、ただ妊娠して出産するだけで年収ほどの金額をもらえるだけでなく、妊娠中の食事なども提供してもらえることでラッキー、なんて軽く考えている人がいるものです。
しかし代理母は、お腹の中で育てた胎児を出産しても、自分の子供として育てることはできません。そのつらさは経験したことがない人にしか分からないものですが、そうした心理面について、あらかじめカウンセリングを受ける必要があります。
4.妊娠に向けた準備
代理母は、代理出産を希望する人とのマッチングよりも前から、ビタミン剤を服用してスタンバイします。これは、いつでも代理母として契約できるように体を準備するための作業です。
代理母の側で準備完了となれば、いよいよ代理出産を希望する人とマッチングをしてもらうことができます。
マッチングが成立したら、まず最初に法的な契約を締結します。アメリカの中には、少数ではあるものの代理出産を認めていない州もあります。その州で代理母となることは、州法によって禁止されています。
仲介業者を利用する際には問題ありませんが、もしも家族や友人のために業者を通さず代理母になろうと考えている場合でも、契約書の締結では、弁護士に作成してもらうのがベストです。その理由は、代理出産ではいろいろな問題が後から起こる可能性があるからですね。
契約書の中では、
- 代理母が受け取る報酬の金額
- 妊娠中、出産時、退院までの医療費は誰が支払うのか
- 妊娠中に予期せぬトラブルが起こった場合、子どもの親権はどうするのか
- もしも双子や三つ子が生まれたら、親権はどうなるのか
- 流産したらどうするのか
- 代理母もしくはクライアントが中絶を希望したらどうなるのか
- 妊娠中のマタニティ服や食事に関するケア
- 出生後の子供の引き渡し方
など、細かく決めていきます。
契約を締結したら、いよいよ妊娠です。
5.妊娠は不妊治療クリニックでの受精処置
妊娠に向けて、ビタミン剤を服用したりと言った準備はあるものの、実際の妊娠は人工授精もしくは体外受精で行います。不妊治療を行うクリニックで処置してもらうのが一般的です。
受精の前に、代理母が妊娠していないかどうかを確認する検査も行います。
6.代理母の役割は出産まで
妊娠期間中には、代理出産を依頼した人とコミュニケーションをとる機会が多く、人間関係を築く代理母もいます。
しかし覚えておきましょう。代理母は、出産しても母親になることはできません。家族や友人のために代理母になるのなら、出産した後にも赤ちゃんの成長を見ることが可能かもしれません。しかし多くの場合には、できません。
妊娠前に締結した契約書では、出産後にいつどこで赤ちゃんを両親へ引き渡すかという点についても明記されています。多くの場合、出産直後に赤ちゃんを抱いてしまうと愛情がわくという理由で、代理母は出産した赤ちゃんを抱くことなくお務めが終了となることもあります。