アメリカの親あるある!放任主義はどこまで許される?

子育てには、いろいろなスタイルがあります。こんな子育てをしようと目標を設定する人もいれば、自分が育てられた育児法をそのまま自身の子供に適用する人もいます。私は子供のころ、親がかなりのタイガーペアレンツぶりを発揮していたため、放任主義で何をしても親にうるさく言われない友達が、とても羨ましかったものです。

アメリカにも、放任主義はあります。しかし日本とは異なり、放任主義を認めない厳しい法律も存在しています。ここでは、アメリカの育児における放任主義の実態をご紹介しますね。

目次

  1. 放任主義(Free Range Parents)とは?
  2. 放任主義のメリット
  3. 放任主義のデメリット
  4. アメリカでは放任主義が法律で規制されている
  5. 放任主義は普及するのか?
  6. 過保護から急に放任となるアメリカの子育て

1.放任主義(Free Range Parents)とは?

アメリカの放任主義は、Free Range Parentingと呼ばれています。子供の周囲からリスク要因を積極的に取り除いてしまうヘリコプターペアレンツとは、正反対の場所に位置する育児スタイルです。よく言えば、子供が自身の幸せを「自給自足」で手に入れられる子育て、悪く言えば、子供を「放し飼い」の状態にする子育てです。

放任主義とは、子供が自身で考えて行動をし、経験から学習するという育児スタイルです。きっかけは1946年に出版された「The common sense book of body and child care]という本で、小児医学博士が子供の精神面における発展に関して、親が全てを管理するよりも、子供自身にもっと自由を与えて自身で考えさせた方が長期的にプラスになる、という育児方法を奨励したのが始まりです。

アメリカでは、州によって法律は異なりますが、基本的に放任主義奈子育ては厳しく制限されています。日本では「当たり前」だと考えられていることでも、アメリカでは放任主義、もしくは育児放棄だとみなされることがたくさんあります。例えば、

  • お母さんがちょっと買い物に行く間、子供が一人でお留守番
  • 「はじめてのお使い」のように子供一人での外出
  • カギっ子

これらは、アメリカでは御法度です。日本にいる感覚で気軽にしてしまうと、すぐに通報されて警察から尋問を受けると思います。最悪の場合には、児童虐待のレッテルを貼られて子供は保護施設に連れていかれる可能性すらあります。

2.放任主義のメリット

放任主義というと、親が育児を放棄して子供を野放しにするというようなネガティブなイメージがあるかもしれません。しかし実際に、メリットはたくさんあります。

  • 子供が考えて行動できるようになり、積極性が高くなる
  • 子供に自信がつく
  • 子供の創造性を養うことができる
  • 子供の責任感が育つ
  • 危険を察知するスキルを養える
  • 子供の社交性が身につく

小児児童精神学の研究でも、小学校低学年ぐらいの年齢は、リスクから学ぶスキルを身に着けられる唯一の年齢という結果が出ています。つまりこの年齢の時に、子供が親とは関係ない場所でいろいろな経験をし、怖い思いをしたり、危険から学ぶことによって、その後の人生にも危険察知能力がプラスに作用するのだとか。

もちろん、安全であることが分かっているなら、それもアリだと思います。しかしアメリカの社会の仕組みや事件や事故を見ると、残念ながら現実的なものではないですよね。

3.放任主義のデメリット

放任主義には、いくつかのデメリットももちろんあります。

  • 子供が事件や事故に巻き込まれるリスクが劇的に高くなる
  • 度を超えると育児放棄という犯罪になる
  • 法規制がある場所では、親が逮捕されたり子供が保護施設に入れられる可能性もある

などです。

とくにアメリカでは、子供から一瞬目を離したすきに誘拐される事件が全米各地で日常的に起こっています。年間46万人以上の子供が誘拐されています。もちろん、大半は放任していない家庭でです。そうした環境なので、放任主義で子育てをすると、かなり高い確率で誘拐されてしまいそうです。

4.アメリカでは放任主義が法律で規制されている?

アメリカでは、州やコミュニティごとに、児童労働法などの法律が存在しています。その中で、州によっては具体的に、何歳以下は一人で留守番させてはいけないとか、一人で学校や公園まで行かせてはいけない、と言った規則があります。

例えば、子供が一人で家で留守番できる年齢を見ると、メリーランド州では8歳以上、イリノイ州では12歳以上と年齢が大きく異なります。具体的な年齢を制限していない州もありますが、その場合にはケースバイケースでの対処となっています。

育児放棄との線引きが不明瞭

アメリカの中には、フリーレンジな子育てを認めようという動きの州もあります。しかしそれはまだごく少数で、多くの州では子供の安全を確保するという目的で、子供一人だけの行動は厳しく制限されています。

育児放棄との線引きが難しいという理由もあるでしょう。アメリカでは、育児放棄は犯罪です。児童福祉情報ゲートウェイという公的機関があり、ここでは具体的に何を育児放棄や虐待とみなすのかを細かく定義しています。

5.放任主義は普及するのか?

アメリカでも近年は、育児放棄との線引きを明確にすることで、フリーレンジな子育ても認めようという動きがチラホラ出てきています。

最初に立ち上がったのはユタ州で、2018年に「子供をフリーレンジなスタイルで育てる事」を権利として認めました。ただし何でもOKというわけではなく、どこまでがOKかという線引きがあります。

またテキサス州とオクラホマ州でも、現在ではユタ州と似たような権利が州法によって認められています。

6.過保護から急に放任となるアメリカの子育て

man inside vehicle

上記のように、アメリカで育つ子供はほとんどの場合、どこに行くにも親と一緒、一人で家で留守番することもないという環境で育ちます。学校から徒歩で帰宅することも、州によっては認められていません。公園で遊ぶ際にも、親が監督として目が届く所にいなければなりません。

アメリカでは州によって多少の差はありますが、子供は16歳ごろから自動車の免許を取得できます。車社会のアメリカなので、それまでは親がいなければ1人でどこにも行けなかった子でも、免許を取得すると自分自身の世界が一気に広がります。友人と一緒にドライブするとか、友人の家に遊びに行くのも、親がいなくても車を運転できればお茶の子さいさいです。

私がアメリカで子育てをしてきて感じたことなのですが、アメリカでは、多くの親は自動車の免許を取れない15歳あたりまではとても過保護に育てます。しかし、子供が自動車免許を取ったら突然放任主義になることが多いですね。

その時によく耳にする言葉は「Well, that’s his(her) decision」(子供が決めたことだから)です。悪い判断をしても、そこから学べば良いじゃないかというフリーレンジな子育てのメソッドに基づく子育てへと、突然切り替わるのです。

ここで注意したいのは、突然自分では管理できないほどの自由を手に入れたことで、羽目を外し過ぎてしまったり、事件に巻き込まれて矯正施設へ送られる子もいるということです。高校生ぐらいの年齢は、背伸びして大人になりたくて仕方ない年齢ですし、反抗期の子もいますよね。そこに親から「放任」という特権をもらうことで、良からぬ方向に行ってしまうこともあるのです。

我が家はLife360アプリで問題解決

私の息子も、似たようなものでした。車の免許を取るや否や、週末には夜遅くになっても帰ってこないのです。テキストすればすぐに返信をくれますが、やはり親としては夜中の11時や12時に息子が帰宅しないというのは、心配でたまりません。

息子は「友達の親はみんなもう寝てるから、ママも寝てていいよ」というのですが、心配で寝れるはずがありません。

子供が羽を伸ばして自由を謳歌したいのは理解できます。私自身、親から非現実的な門限を強制されていたため、自身の子供にもそうするのは嫌だという気持ちもありました。それに、学生としての義務はしっかり果たしているのだから、自由を与えるべきだという考えもありましたね。

そこでいろいろリサーチして、Life360というGPSアプリを子供に入れてもらうことにしたのです。このアプリは、以前は無料だったのですが、今では無料版と有料版とがあります。無料版だけでも使い勝手はとても良いので、もしも思春期のお子さんを持つ方には、おすすめですよ!

ちなみに我が家では、

  • Life360を勝手に削除したりDeactivateしないこと
  • 翌日に学校がある日は、深夜に遊ぶのはナシ
  • 金曜と土曜は、12時までに帰ってくること。遅れる時には必ず連絡すること。

というルールを作りました。Meet the half Way、つまり落としどころを決めたわけです。

子供を一方的に押さえつけると、たぶん反発するだけで事態は改善しにくいと思います。しかし野放しにするのも、親としては心配ですよね。家庭で話し合って、両者が歩み寄れる中間地点を作ることが、子育てでは大切なのかなと思います。