私が経験した悪徳デンタルクリニック

business care clean clinic

すでに20年ぐらい昔の話ですが、私がアメリカで最初に足を運んだ歯科クリニックで、とんでもないトラブルになったエピソードをご紹介します。

  1. アメリカ人は歯が大切
  2. 教訓1:料金に納得するまでは口は開くべからず
  3. 歯医者のアドミンが健康保険適用を拒否
  4. 教訓2:困ったら健康保険に泣きつけ
  5. トラブルはそこで終わらなかった
  6. その後どうなったのか?

1.アメリカ人は歯が大切

私がカリフォルニアに住んでいた時、アメリカではじめてデンタルクリニックへ行きました。それまで日本で生まれ育った私には、クリーニングのために歯科に行くとか、虫歯がないかをチェックしてもらいに行くという感覚は、残念ながらありませんでした。親知らずが生えてきたときにも、当時はネットで情報収集などできませんから、あれよあれよという間に生え方の悪かった親知らずが私の歯並びを崩壊させてしまっても、何が原因か分からなかったほど、情弱でした。

woman with red lipstick smiling

アメリカに来てから感じたことは、アメリカ人はほぼ例外なく、歯並びが良いということです。これは、日本人と欧米人のあごの幅が若干違うことにも由来しているのでしょうけれど、当時の私は、歯並びが悪いことがコンプレックスになってしまいました。

そこで一大決心して、歯医者に行くことに決めました。

2.料金に納得するまでは口は開くべからず

歯医者に行くと、まあ想定内でしたが、日本では虫歯と言われなかったところも「虫歯になりかけているので治療したほうが良い」とアドバイスを受けました。

その他、歯並びをどうにかしたいと相談したところ、入れ歯、ブリッジ、歯列矯正、インプラントの選択肢があると言われました。

当時、インプラントはまだ登場したばかりで、金額的に雲の上の存在でした。歯列矯正は期間が長くかかるし30歳以上だと戻る可能性が高いといわれ、あまりお勧めされませんでした。

私に残された選択肢は、入れ歯かブリッジです。30歳で入れ歯なんて、絶対に嫌です。でもブリッジって何?と全く知らなかったので、その場で医師に質問したところ、説明を受けました。

私はここで、大きな過ちを犯しました。いくらかかるかを聞かずに、治療が始まってしまったのです。医師は、「保険会社に問い合わせてるから、見積もりできたら持ってくるし」と言い、さっさとブリッジの治療を始めました。

ブリッジの治療ってご存じですか?私は後にも先にもあの時1度きりなのですが、問題のある歯(私の場合、歯並びが悪い健康な歯)を1本抜いて、両側の歯を三角形に削り、そこに3本続きの義歯をスッポリとパズルのように入れて見た目をよくするという治療法です。

数十分後に見積もりをいただいた時には、すでに私の歯は半分以上削られており、後戻りできない状態でした。

そこで見せられた金額は、なんと3000ドル。当時はお金もありませんでしたので、目の前が真っ白になりましたね。

その先の治療は、もう支払いをどうしようと、そればかりを考えていたのを、今でも覚えています。

今から考えると、私が足を踏み入れた歯科は、歯科医のテクニックという点では問題はありませんでしたが、アドミン側が問題ありきだったのだと思います。

アメリカでは、同じ治療をしても、かかる費用は健康保険によって大きく異なります。だからこそ、クリニック側は最初に料金を提示してくれますし、納得してから治療を始めるのです。

いくらかかるか分からないまま口を開けた私は、本当に大バカ者でした。

3.歯医者のアドミンが健康保険適用を拒否

見積もりを見ても、正直、何がどうなっているのかわかりませんでした。アメリカで初めての歯科で、日本とはずいぶん勝手が違います。それに、なにやら記載されているコードもよくわかりませんでした。

試行錯誤しているうちに、ようやく気づきました。ブリッジの治療が、健康保険適用となっていませんでした。

当時の私は、かなりつたない英語でした。しかしそれでも、分からないことを放置するのは性分に合わなかったので、健康保険会社へ問い合わせたのです。そしたら、「ブリッジには適用されるので、クリニックで訂正してもらいなさい。」と言われました。

しかし何と、クリニックはまさかの健康保険適用拒否!あちらの言い分は、「審美目的だから、健康保険は適用しない」というのです。

いや、ちょっと待って。健康保険会社は適用と言ってるし、と押し問答しましたが、あちらにとっては私は「英語をまともに話せない移民女」なわけです。どれだけ粘っても、相手にしてもらえませんでした。

4.教訓2:困ったら健康保険に泣きつけ

私は再び、当時加入していた健康保険会社Aetna(エトナ)に電話をしました。あの一件では電話をした回数が尋常ではなく、カスタマーサービスにつながるたびに、あちらは過去の履歴に目を通さなければいけなかったので、「ちょっと待ってね、今これまでのいきさつに目を通すから」と言われて2,3分待たされました。

事情を話すと、「一体全体どこでそんなイカサマクリニックを見つけたのですか?」と聞かれました。もちろん、見つけたのはAetnaのネットワークリストです。

その後、Aetna様がそのデンタルクリニックの本社へその場で連絡を入れて、治療料金の修正をしてくれました。

もう治療は終了しているので、私はそのクリニックへ足を運ぶ必要はありませんでした。

トラブルはそこで終わった、はずでした。

5.トラブルはそこで終わらなかった

アメリカのクリニックでは、治療後に請求書が自宅に届く仕組みとなっています。私も例にもれず、請求書を受け取りました。しかしその金額、金額の修正が反映されていませんでした。

クリニックの本社に電話を入れると、「そんなの知らない。データがないから分からない」とけんもほろろ。

仕方ない。またAetnaへ電話をして、事情を説明しました。

すでに何回も連絡をしていたため、事情を話すと私の電話を保留にしてクリニックの本社へ連絡してくれました。そこの責任者が直接対応してくれたらしく、私はAetnaに「今度は大丈夫だと思います。」と言われました。

その直後に、クリニック本社のBilling Departmentの責任者という女性から、電話をいただきました。どうやら、金額を修正した際に歯科クリニックのアドミンが腹を立て、私の治療データをすべて削除したらしいのです。そのせいで、本社側は「金額を修正しろ」と言われても治療コードと照らし合わせる作業ができず、そのまま請求書を未修正で発送したとのことでした。

責任者の女性は、「クリニックのアドミンに、なぜ削除したのか問いただしたけれど、答えることはできませんでした。でも私が責任をもって叱っておいたので、安心してください。」とおっしゃってました。

6.その後どうなったのか?

その後、Aetnaの中で協議が行われたらしく、そのイカサマ歯科クリニックは、Aetnaネットワークから外されるという処分を受けたようです。ネットワークから外されるということは、Aetnaに加入している患者は、そこには行かないことになります。クリニックにとっては、大きな代償だったのでしょう。

その数年後、その歯科医は廃業となっていました。

投稿者: samuraipassport

こんにちは!アメリカ在住のジャーナリスト兼ライターです。アメリカへの移住から生活まで初心者が知っておきたい情報を発信していきます!アメリカに住んでみたい人や海外に憧れている人にとっても役立つ情報が満載です!

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。