日本では、健康保険は社会保険料の一部として組み込まれていて、有無を言わせずに毎月のお給料から天引きされますよね。細かい計算式については、都道府県によって異なるものの、収入に対して何パーセントという計算をするのが一般的です。だから、所得が高ければ、健康保険料も驚くほど高額になりますが、所得が低い人は稼ぎにあった負担分を払えばよいということになります。
しかし、アメリカは違います。何がどう違うのか、ご紹介しますね。
目次
1.アメリカの健康保険はショッピング式
アメリカでも、税金をはじめとする社会保険に関しては、収入に対して何パーセントという計算をします。しかし、健康保険に関しては、まったく計算方法が異なります。
アメリカの健康保険は、言うならショッピング方式となっていて、プランごとにすでに価格が決められています。それを見て、加入するかどうか、どのプランに加入するかを従業員が決める仕組みとなっています。
例えば、毎月800ドルの健康保険プランがああったとしましょう。この金額は、毎月の手取りが1,000ドル(12万円程度)の人でも1万ドル(120万円程度)稼ぐ人でも変わりません。月に1万ドル稼ぐ人にとっては、健康保険料800ドルと言われても、それほど大打撃にはならないでしょう。しかし、手取りが1,000ドルの人にとっては、保険代で給料のほぼ全てがなくなってしまうと、家賃が払えなくなってしまうかもしれません。
「健康保険に加入したくても無理」という人が存在するのは、アメリカのこんな健康保険のお値段にも原因があります。
2.「医者には行かない。健康だし」という人は多い
日本でもアメリカでも、頻繁に医者に行く人って少ないですよね。特に若くて健康な人なら、健康保険には加入しているけれど、医者に行くのは健診のために年に1回ということもあるでしょう。
もしも自分の所得が少なくて、健康で医者に行かなくても平気だと考えられる年齢なら、健康保険には加入しないという選択をする人が多くても、それはごく自然なことかもしれません。
それが「金額的に無理」という理由なのか、それとも「月に800ドルも払いたくない」という理由なのかは人によって違うでしょう。しかし長い間アメリカでは、こうした健康保険は「個人に与えられた選択の自由」として認められてきました。
3.無保険の人が病気になると、どうなるの?
自分が無保険だからと言って、病気にならないという保証はどこにもありません。若い頃には、おそらく毎月800ドルの健康保険代を節約しても、それほど痛手はないでしょう。しかし、健康保険には加入しない、医者にもいかないという生活に慣れてしまい、そのまま年齢を重ねるとどうなるのでしょうか?
病気になっても、基本的に病院や医者は、無保険者の面倒は見てくれません。残念ながら、人命第一ではありません。多くのクリニックでは、受診の前に健康保険の確認をされますし、支払い方法を確保するためにクレジットカードの番号を控えられたりもするでしょう。
病院へ入院する場合でも、病室利用料ぐらいは前払いで徴収されることが多いものです。
別の記事でもご紹介しましたが、私の夫は先日、開腹手術で1週間入院しました。その時に受け取った治療費は、健康保険に加入していなかったら$140K(2000万円近く)でした。→記事はこちらから
払えない場合、少額ずつ分割で払う以外には、債券回収業者に回されて嫌がらせを受けるか、それとも破産の手続きをとるか、ぐらいの選択肢しかありません。もしくは、募金を募って見知らぬ他人に助けてもらおうという戦略もあります。ちなみに個人が募金を募るサイトGo Fund Meでは、こうした「医療費が払えないので助けて!」というお願いをよく見かけます。寄付をするかしないかは、完全にあなた次第です。