民間の航空会社はどこも、ガラガラの状態よりも乗客をできるだけ満員にした状態で飛びたいものです。そのため、予約を入れても後からキャンセルする人が出ることを見越し、飛行機の定員よりも若干多めの予約を受け付けることがよくあります。
JALやANAでもするこのオーバーブッキングは、アメリカでももちろんあります。今回は、このアメリカ系航空会社のオーバーブッキングへの対処法と、あとから怒り心頭にならないためのコツをご紹介します!
目次
- 搭乗した後にオーバーブッキング対応?
- 降りても良いボランティアがいない!どうなるの?
- キャッシュのオファーもある!
- ボランティアで降りた人はどうなるの?
- 降りろと言われた。NOと言っても良い?
- バウチャーも現金ももらえないことがある?
1.搭乗した後にオーバーブッキング対応?
私はこれまで、飛行機に搭乗した後にCAが客席を右往左往しながら「オーバーブッキングなので自主的に降りてくれる客」を探している現場に何回か居合わせたことがあります。
皆さん、座席に座っているし、今更降りたくはないわけです。だから大抵は、CAを目を合わせないように下を向いたり寝たふりを決め込みます。
CAにとっては、決められた数をボランティアとして降りてもらわなければいけないので、必死です。誰も手を挙げなければ、あちらから客に声をかけてきます。多くの場合、中高年者が声を掛けられるケースはとても少なく、ターゲットとなるのは「時間にフレキシブルに対応できそうな」若者、特に若い男性などは良く狙われてしまいます。はい、私の息子も、これで何度も声をかけられました。
うちはアメリカン航空のマイルをためているので、基本的にフライトはすべてアメリカン航空にしています。なので、ほかの航空会社の対応方法は分かりません。しかしアメリカン航空の場合には、この状態になると、飛行機は飛びません。以前、ボランティア待ちで2時間ほど遅れたことがありました。
2.降りても良いボランティアがいない!どうなるの?
もしも、CAが必死にボランティアで降りてくれる乗客を探し回っても、誰もYESと言わない場合、航空会社は次に、バウチャーと呼ばれる割引券を提示してきます。
例えば、降りてくれたら1,000ドル分のバウチャーを差し上げます!みたいな飴を差し出してくるわけですね。
このバウチャー、実はとっても注意が必要です。

制限がありすぎて死ぬほど面倒
1,000ドルのバウチャーをもらっても、ネットで次のフライトを予約する時にさっと番号か何かを入力して無料で予約できる、なんて簡単なわけではありません。多くの場合、
- バウチャーを換金するなら電話で予約を取らなければいけない。ネット予約は不可。
- 電話しても予約を入れられない。仮予約しかできない。運を天に任せろということ。
- 本予約するにはフライト時間の24時間前に空港に足を運んで、カウンターで直接予約を入れなければいけない。
- 別の空港で使おうとすると「何それ?見たことない」と拒否されることもある
などの事態が起こるケースが多いのです。
近年ではなんでもデジタルなのだから、バウチャーもデジタルにすればよいのに!と思うところですが、デジタルバウチャーも存在はするようです。しかし、一般乗客は残念ながら使えないらしく、まったく役に立ちません。
一人分しかカバーされない
たとえ1,000ドル分のバウチャーをもらっても、500ドルのチケットを2人分取る時に使えるわけではありません。大半のバウチャーは、受け取った人にしか適用できません。そして、おつりなんて出ません。場合によっては、複数の人が一緒に使えるバウチャーもあるようですが、そこらへんはしっかり説明を受けたほうが良いかもしれません。
3.キャッシュのオファーもある!
航空会社のこのバウチャー作戦は、すでに多くの乗客に知れ渡っています。だから、「いいや、その手には乗らない」という人は多いですね。大学から飛行機で帰省する息子は、何度もこのバウチャーという飴で降りろと言われたそうですが、そのたびに私が「NOと言え」と断らせています。
もしもバウチャーで誰も釣れない場合には、次にキャッシュのオファーを出してくるそうです。もしかしたら、時間的に素早く降りてくれる人を見つけたいときには、バウチャーなんて遠回りなことをせずに、最初からキャッシュオファーをすることも、十分に考えられます。
ちなみに、こうしたキャッシュのオファーには上限はありません。つまり、交渉次第では、思いがけない高額キャッシュをゲットすることも可能です。
もしもキャッシュのオファーなら、時間的にフレキシブルに対応できる人なら、対応するのもアリかもしれません。
4.ボランティアで降りた人はどうなるの?
オーバーブッキングのためにボランティアで飛行機を降りた人は、通常は航空会社が無償で次の便にブッキングしてくれます。ただし、同じ経路というわけではなく、直行便のはずが経由便となったり、場合によっては目的地から数時間離れた「最寄りの」空港で降ろされるなんてこともあります。
食費と宿泊費も出してもらおう
もしも当日便がなく、翌日便になってしまった場合には、乗客側からリクエストした場合に限り、宿泊施設も確保してくれます。これはホテルバウチャーを支給してくれるというもので、もしかしたらこれも制限があるのかもしれません。。。
また、ボランティアで降りたために2時間以上の遅延となる場合には、フードバウチャーと呼ばれるものもリクエストすればもらえます。これも現金ではなくバウチャーとして受け取ることができるもので、リクエストしなければもらえないので注意しましょう
これを、降りる価値があると判断するか、いやいやカネなんていらないから予定通り飛んだほうがマシだと判断するかは、その人次第だと思います。
5.降りろと言われた。NOと言っても良い?



すでに飛行機に搭乗して座席に座っている自分に対して、CAがボランティアで降りてくれないかと圧をかけてきた場合、圧に負けずにNOという事は、もちろん可能です。もしも条件次第で降りても良いと考えるなら、譲れない条件を提示して、それを飲むなら降りてやってもいいぐらいの強気な態度でも良いでしょう。
多くの場合、そうした強気の態度をすぐに飲んでもらえるわけではなく、なんだこいつ的な軽蔑の視線を受けたり、「その条件じゃ無理」と言われるかもしれません。その場合には、「それなら降りない」で問題ありません。
6.バウチャーも現金ももらえないことがある?
アメリカ国内線の場合には、バウチャーや現金のオファーは良くあります。しかし、日本を含めた海外からからアメリカへの便だと、オーバーブッキングされてもこうした特典をもらえないので、注意してください。その理由は、アメリカの法律で認められていないから。つまり、日本からアメリカに来る時の便では、ボランティアで降りても何も見返りをもらえません。