アメリカでは高校までずっと公立高校があり、入学の際に受験などは必要ありません。法律で定められた義務教育というわけではなくても、普通に生活していればキンダーから高校までは自宅そばの学校へ通うことができます。
しかし、親の転勤などで引っ越すことになった場合、親ももちろん大変なのですが、子供がもしもハイスクールなら、ただ学校を転校すれば済むだけの話ではありません。転校してから「こんなはずじゃなかった」と激しく後悔したり、子供から長期にわたって恨まれるリスクすらあるでしょう。
その理由は「クラスの単位のトランスファー」で想定外の事態が起こってしまうことがあるからです。
もしも、お子さんがハイスクール中にISD外、もしくは州外へ引っ越す人は、ぜひこの記事を読んで事前にしっかりと準備することをおすすめします。
私は運よく、転校先の学校を調べる中で、この落とし穴を見つけました。そして、リサーチすればするほど、怖くなって震えてしまいました。
目次
1.クラスの難易度とGPAの関係
まず最初に、アメリカのハイスクールでどんな難易度のクラスがあって、GPAがどうなるのかを簡単にご紹介しますね。
アメリカのハイスクールは、ISDによっても州によっても、どのレベルのクラスがラインナップされているかが異なります。学校がオファーするクラスの難易度には、
クラス | 難易度 | GPA(例) |
Basic (Traditional) | 基礎を教える簡単なクラス | Aで4.0 |
Pre-AP | BasicとAPの中間(中級レベル) | Aで4.3 |
AP | 難関クラス(AP試験の結果次第) | Aで5.0 |
Dual Credit | 州立大学の単位になるチャンスあり(試験なし) | Aで4.5 |
IB | インターナショナルな学校に多い | Aで5.0 |
などがあります。これはあくまでも一例です。例えば同じISD内に、IBクラスをオファーする学校もあれば、しない学校もあったりします。
GPAの計算方法も違います。息子が通っていた学校では、APクラスの方がDual CreditよりもGPAは高かったのですが、他の学校ではDual Creditが一番高いという違いがありました。
同じ基準で計算されるなら、それほど問題になることはありません。しかし転校となると、受け入れ先の学校には独自のルールがあるので、今のルールがマイナスに影響することがあります。
例えば、
- どの難易度のクラスが、何年生からオファーされているか
- 他州からの受け入れGPAへの換算方法
などは、独自のルールがあるのです。この「ISDごとによる違い」が、転校する時には大きく足を引っ張ることになることがあります。
2.どうしてそこまで神経質になる必要が?

学校によって、GPAの計算方法が違うことは、私は以前から知っていました。そのため、引っ越し先の学校ではどうなるか興味本位で計算してみたところ、GPAが驚くほど低くなってしまったのです。
「え?」
と思い、詳しくガイドラインを読んでみて、恐ろしいことに気づきました。
詳しい話は省きますけれど、転入する学校次第では、息子の「最高の頑張り」が、「それなりに頑張った」ぐらいにしか評価されなくなることを知りました。
私はもうパニックです。引っ越しの準備で多忙を極めていたものの、知り合いの何人かに聞いてみました。しかしママ友に尋ねても、皆さん答えは
「知らない」
なのです。ハイスクールのカウンセラーに尋ねても、「…Should be…」と分からない様子。プリントアウトして持参したガイドラインを見てもらったところ、「ありえない」「信じられない」「えー?」みたいな反応でした。
しかし最終的には「仕方なくない?」と。
おいおい、ちょっと待ってくれ。仕方なくない?では済まないだろ。まぁそう言うしかなかったのでしょうけれど、息子の頑張りが評価半分にされることに対して、私は断固拒否しようと思いました。
しかし、私が拒否しようとしまいと、学校の評価基準は変わりません。その時点で私ができることと言えば、
「住む場所を学区で決める」
という事でした。
幸運にも、引っ越し先で住む場所をまだ決めていませんでした。そこで各ハイスクールへ息子のレポートカード(成績表)をメールに添付し、私が心配していること、私の理解が正しいかを聞きました。
その中で、レスポンスよく返信してくれたハイスクールでは、運よく息子の頑張りが評価半分にならずに済むとのことだったので、そこへ通わせることにしたのです。
ちなみに、業者や学校でもいい加減な人が多いアメリカ。いくつか連絡したハイスクールの中には、なんとノー返信、まさに既読スルーな学校もありました。その後、電話もかけてメッセージを残しましたが、折り返し電話をいただくことはありませんでした。
ちなみに、カウンセラーがそういういい加減な学校は、できるなら避けるのが賢明です。
なぜならハイスクールでは特に、カウンセラーが生徒と大学との懸け橋となります。カウンセラーがいい加減だと大学の願書出願やそれ以降のやり取りが間に合わなかったりして、生徒が地獄を見ることになりかねません。
トランスファー不可のケースもある
我が家の場合には、前のハイスクールで取得したクラスは、とりあえず全クラスがトランスファーできました。計算方法で不満があったために学校選びの段階で難航したものの、取得したのに受け入れてもらえない単位が発生するという事はありませんでした。
しかし、海外や州外から単位をトランスファーする場合には、受け入れてもらえないケースが少なくありません。特に多いのは語学で、例えば前の学校で「Japanese」のクラスをとっていても、受け入れ先でそのようなクラスをオファーしていなければ、手続きする際にコードがないためにトランスファー不可となってしまいます。
語学だけに限らず、受け入れ先のカリキュラム次第では、受け入れられなかったり、そのために単位が不足して卒業できない、なんて事態になるリスクもゼロではありません。
たかが単位、されど単位。
子供のことだからこそ、親としてはできるだけ不要な障害物は取り除いてあげたいと思います。はい、私はブルドーザーペアレントです。
ブルドーザーペアレンツについては、こちらから