定年退職を迎えたら、いよいよ老後の生活に突入します。老後と言っても60代はまだ体力や気力もありますけれど、80代や90代になったら60代と同じようなライフスタイルを維持することは難しいでしょう。それは、誰でも簡単に想像できますよね。
アメリカで生活していると、頻繁に「定年後はXXに引っ越すの」という話を耳にします。多く耳にするのは、フロリダへ行くという人。どうしてフロリダなのかというと、
- 気候が良い→冬の雪かき作業がなく、関節痛も痛まない
- 州の所得税がない
- 不動産などの物価が安いエリアがまだたくさんある
などの理由が挙げられます。実際に高齢者にとってフロリダは暮らしやすいのでしょう、毎年たくさんの高齢者たちが、定年と同時にフロリダを目指して民族大移動をしています。
目次
- 定年後に住む場所はどう決めたらよい?
- まずはローカルな引っ越しで対応できないかを模索
- 州をまたぐ引っ越しをするなら、税金を詳しく計算しよう
- スノーバードなライフスタイルは実現可能なのか?
- クルーズ船でシニアライフを楽しむことは可能?
- 定年後の収入には限りがある。どう生かすかが大切
1.定年後に住む場所はどう決めたらよい?
定年後に引っ越すといっても、お金がかかります。定年しても同じ場所に居続けることが最安であることは、言うまでもありません。
それに引っ越すとなると、住む場所を確保する必要があります。土地感がゼロの場所に行って、快適に暮らせるとは限りません。友人や家族が全くいない場所へ行くことに対して、不安を持つ人も多いのではないでしょうか。
セカンドライフをエンジョイするために、定年してから住んでみたかった場所に引っ越すことは可能です。しかし、ずっとそこで何十年も暮らしていけるのかどうかは未知数なのです。後から後悔しないためには、事前にきちんとリサーチとお金の計算をしておきましょう。
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カネの計算をするべし
定年後の生活設計をするなら、まずは収支の計算をしっかりしなければいけませんよね。定年後に毎月いくらのAnnuityが入ってくるか、完全に把握していますか?まずは、そこがスタート地点です。
まだまだ定年が先で具体的にイメージできない人なら、把握なんてしていないでしょう。しかし50代になったら、いえ、40代後半ぐらいになったら、できれば定年後の生活を見据えて、お金の計算を始めたほうが賢明です。
現在の収入から定年後にいくら必要かを計算をしたい人はこちらから
2.まずはローカルな引っ越しで対応できないかを模索
州をまたいでの引っ越しでは、引っ越しにコストと労力、時間がかかるだけでなく、手続きの面でも何かと面倒なものです。とりあえず定年したので生活費を下げたいという人なら、州内で引っ越しできる田舎を探すのも悪くありません。
同じ州内でも、カウンティが変われば固定資産税などは大きく変わりますし、不動産購入にかかる費用の相場も大きく変わるでしょう。都会に住んでいて家賃が家計を圧迫している人なら、州内の田舎へ越せば、それだけで毎月の予算に大きな余裕が生まれるかもしれません。
3.州をまたぐ引っ越しをするなら、税金を詳しく計算しよう
州ごとに所得税のかかり方は異なりますし、州によっては定年している高齢者へかかる税率が優遇されている所もあります。そんなの関係ねーとばかりに定年後も同じ税率でがっぽり税金を持っていかれてしまう州もありますが、定年した人には低い税率でOKという州もあります。
定年した人が注意するべき税金は、
- 所得税(ソーシャルセキュリティと民間のペンションなどを含めたすべての収入にかかる)
- 消費税
- 固定資産税
- 相続税
あたりですね。
連邦税と収税は違う
定年退職しても、収入が多ければ当然ですが所得税は多くかかります。所得税がないフロリダやテキサスでも、かからないのは州の所得税。連邦所得税はしっかりかかります。この点には注意が必要ですね。
具体的なシミュレーションをしっかりしよう
州の所得税がかからなくても、代わりに固定資産税がやたら高額な州もあります。そうした点も含めて、総合的にシミュレーションしないと、実際に住み始めてから「こんなはずじゃなかった」となるかもしれません。
4.スノーバードなライフスタイルは実現可能なのか?
スノーバードとは渡り鳥のこと。つまり、寒い冬には南国の温かい所で暮らし、夏には避暑地的に北の都会を楽しむ、といったライフスタイルです。多くの場合、北部で仕事をしていて生活の拠点があり、定年してから温かい場所にセカンドハウス的なものを取得して、季節に合わせて移動するという人が多いですね。
定年していない人に絶大な人気を誇り、憧れのシニアライフ的なイメージがあるスノーバードですが、実際にずっとその暮らし方をしている人は、それほど多くありません。
その理由は、
- 生活の拠点を2つもつので、維持費がかかる
- 年に最低2回の移動が体力的にきつくなる
- 年齢とともに気力がなくなり、移動が面倒になる
のようです。私の友人にも、60代前半で定年し、スノーバードな暮らしを実行した人がいました。彼女の場合、テキサスを拠点とし、もう一つは過去に駐在したことがあるイタリアに別荘を所有して、半年ずつ行ったり来たりの生活をしていたようです。
しかし数年で辞めてしまいました。理由を聞くと、やはり上記の理由でした。彼女曰く、
「イタリアに行くなら旅行で行けば十分」
なのだそうです。
5.クルーズ船でシニアライフを楽しむことは可能?
アメリカ人で意外とよく耳にするのは、バカ高い住宅費の代わりに、クルーズ船に生活の拠点を移すというライフスタイルです。実際に実践している人も多くいらっしゃいますよね。クルーズ船だけでなく、自宅を売却してRVを購入し、好きな場所に移動しながらRVで生活しているという人もいます。
こうした暮らしは、荷物を持たずに身軽に生活できる人や、健康面で心配がない人なら満足できるでしょう。しかし年齢を重ねることで多くの人は健康面に不安が出てきます。その時にはどうするかという点をシミュレーションした上で実行するのが、楽しいセカンドライフを満喫するコツなのかもしれません。
6.定年後の収入には限りがある。どう生かすかが大切
定年後の収入には、限りがあります。限りある収入を最大限に活用するには、どこでどんな暮らしをするのがベストなのかを、実際に定年する前からコツコツ計画することが大切です。
ちなみに私は、どこでも住めば都、定年後も現在と同じ場所で生きていく予定です。温かいハワイに住みたいな、なんて欲望はありますけれど、不動産や生活費が高すぎるという理由で、夫に秒で却下されました(笑)。