私のように、もともとは日本国籍で、国際結婚をしてずっとアメリカに住み、その中でアメリカ市民権を取得したという人は、「いつ国籍を選べばよい?」なんて贅沢は言えません。アメリカ市民権を取得した瞬間に、自動的に日本国籍を失うというルールを、日本では決めています。
しかし、私の息子は違います。アメリカ国籍の夫と、日本国籍の私の間に生まれたので、生まれた時には日本とアメリカ、両方の国籍がもれなくついてきました、日米2つのパスポートを持ち、日本のパスポートを問題なくアメリカで更新し続けています。
目次
1.ターニングポイントは20歳
息子はずっと、アメリカで生活しながら日本のパスポートを二重国籍者として更新し続けてきました。
息子はずっとアメリカで生まれ育ち、母国語は英語です。頻繁に日本へ行くわけでもありませんし、将来アメリカと日本のどちらで生活するかを選べと言われたら、迷うことなくアメリカを選ぶアメリカ人です。
そのため、日本のパスポートは絶対に必要なものではなく、「あると便利かもしれない」位置づけです。
そんな息子様のパスポートがちょうど今年、更新の年になりました。これまでは未成年だったので5年ごとの更新でしたが、今回は息子様22歳となり、10年パスポートを初めてゲットできます。
私が住んでいる場所は、日本領事館から遠いため、申請は郵送ですることができ、受け取りだけ本人が直接領事館に足を運ぶ、というルールになっていました。
指定された書類をすべてそろえて郵送で申請した所、パスポート担当の方から、お電話をいただきました。内容は、二重国籍の選択についてでした。
その方のお話によると、
- 選べと言われているけれど、選ばなくても現時点では罰則は特にありません
- 選ばない、選びたくない、選べない、どんな理由でも、選ばないことで処分や処罰を受けることは、今はありません
- もし将来、法務大臣が国籍選択を催告した場合には、強制的にどちらかを選択することになります
- 今は、その可能性がゼロではないことを念頭に入れておいてください
とのことでした。もちろん、公的機関の方ですから、「選ばなくてOK」とはおっしゃいません。そんなこと、言えるはずがありません。
国籍選択については私も了解していたので、そのように伝え、息子様にも伝えました。
息子様も選択に関しては理解していたので、了解しました。
2.国籍を選ばなければどうなるの?
2023年現在では、息子様のように生まれた時に勝手に二重国籍になったという人は、特に国籍を選べと迫られることはありません。
しかしもし将来、法務大臣が「選べ」と催告したなら、その時には必ず選ばなければいけません。具体的にその催告がどんな内容かというと、
- 催告を受けてから1か月以内に国籍を選ぶこと
- 選ばなければ、日本国籍を自動的に喪失します
という流れです。つまり、隠れていれば大丈夫というわけではなく、こちらから何もアクションを起こさなければ、失うのは日本国籍となるのです。
息子のように、アメリカで生まれ育ってアメリカ人という人なら、催告を受けて何もせずに日本国籍を失ったとしても、残念の一言で終わるかもしれません。
しかし出生によって二重国籍となった人の中には、日本で日本人として暮らしている人もたくさんいますよね。そういう人の場合には、選べと催告を受けて選ばなければ、日本国籍がなくなって外国人の扱いになってしまいますし、最悪の場合には不法滞在の外国人の扱いを受け、強制退去とか逮捕なんてことも無きにしも非ず。
怖い怖い。