アメリカで賃貸アパートを借りる場合、自分自身に安定した収入があって勤続何年もあれば、アパートの賃貸契約で保証人を見つける必要はありません。独身でも家族持ちでも、自分一人の契約ができます。
しかし、新卒就職で職歴もなければ収入もないという人、海外から転職できたのでアメリカ国内の収入と言われてもそんなものないという人など、アメリカでアパートを借りたい人にはいろいろな人がいます。自分一人では賃貸アパートの契約ができない、という人も少なくありません。
大学を卒業した息子様は、就職先がカリフォルニアに決まりました。新卒での就職です。その際、当然ですが住む場所を確保しなければいけないため、春からアパートを探しました。
息子様のアパート探しについての記事はこちらから
その際、保証人のことでいろいろ考えさせられることがあったので、今回は保証人について検証してみました!
目次
1.保証人に求められる条件とは?
保証人は通常、親がなることが多いのではないでしょうか。もしも親がすでに定年して収入面で不安がある場合には、兄弟などの親族へお願いすることになると思いますけれど、家族とはいえ保証人になることを手放しで喜ぶ人は、いないと思います。
それに、親が保証人になるつもりでも、条件を満たさなければ親でも保証人になれないという事態は十分に起こります。
アメリカで一般的に保証人に求められる条件は、
- 年収が一定レベル以上あること(家賃の何倍以上という条件があります)
- 安定した収入があること(仕事をしているかどうか)
- クレジットスコアが700以上あること
- 住んでいる地域が条件になっていることもある
年収が一定レベル以上あること
保証人は、万が一借主が家賃を払わなかった場合には、経済的な責任が発生します。そのため、アパートの管理会社は保証人に一定以上の経済力を求めます。
息子様のアパートの場合、保証人には家賃の2.5倍以上の収入がなければいけないと言われました。これは借主となる息子本人に求められる月収と同じ基準だったのですけれど、年収に換算すると家賃の30倍以上の年収が必要という事です。
この何倍という数字は、エリアによっても異なりますし、アパートによっても違います。例えば息子様が契約したサンフランシスコのアパートでも、もしかしたら保証人に求められる年収が家賃の10倍でOKという所があるかもしれませんし、40倍なければ貸さないというアパートもあるかもしれません。
ちなみに、賃貸アパートの激戦区として知られているニューヨーク市(NYC)では、保証人には、アパート家賃の80倍から100倍の年収が求められるのだとか。家賃があんなに高い場所で100倍の収入が必要ということは、大半のアメリカ人では保証人になれないという事です。
例えば、NYCでボロボロなワンルーム(Studio)を借りようとすると、家賃が最低でも$2,000~$3,000ほど必要となります。その100倍ということは、つまり保証人の年収は$200K~$300K(2,600万円~3,900万円)なければいけないという事です。
軽く年収$200Kなんて言いますけれど、正直、これは簡単に稼げる年収ではありません。つまりNYCにアパートを借りられるのは、収入面で選ばれた人、そしてその子息、という事なのかもしれません。
安定した収入があること
安定した収入があるというのは、毎月きちんと一定額の収入が入ってくるかどうか、という点です。今たくさん貯金を持っていても、1年分の家賃を保証できる額以上でなければ、考慮はしてもらえません。
安定した収入があるかどうかのチェックは、保証人の勤務先からVerification of Employmentという雇用証明書を取得させることでチェックします。提出できなければ、あーでもないこーでもないと文句を言われた挙句、保証人にはなれません残念でした、という結果になる可能性は大です。
クレジットスコアが700以上あること
保証人には、きちんとしたマトモな経済観念も求められます。クレジットスコアというのは、
- ローンやカードなどの金融商品をどのぐらい借りているか
- 借り入れ上限に対して比率はどのぐらいか
- 返済状況はどうか
- 遅延などはないか
と言った普段の行いがスコアとして評価されるものです。
アメリカで普通に生活していて、クレジットカードの残債が借り入れマックスの50%以下なら、クレジットスコアは750を超えることができます。借り入れ額が多くても、返済遅延がなければ、スコアは700を越えられることが大半です。
しかし、クレジットスコアが700以下になる人もいます。それは、過去7年間に延滞やバックレをした黒歴史がある人、子供や学生などでクレジットヒストリーがない人などはこれに該当します。
つまり、金銭感覚に不安のある人だと、保証人にはなれない可能性が高いですね。
住んでいる地域が条件になっていることもある
息子様のアパートでは、サンフランシスコに借りるアパートの保証人に、東海岸のDC周辺に住んでいる私の夫が問題なくなれました。
しかしエリアやアパートによっては、そんな遠方の人は保証人になれないというルールを決めている所もあります。
例えば、NYCでは、保証人はニューヨーク州と近隣のニュージャージー州、もしくはコネチカット州に住んでいることが条件として求められるそうです。これは、万が一のトラブルで訴訟になった時、保証人を訴えやすくするためですね。
カリフォルニア州のロサンゼルスでも、保証人は州内に住んでいる人でなければいけないというルールを定めているアパートが少なくないそうです。
つまり、もし息子様がそうしたエリアでアパートを借りようとしたら、私の夫はどんなに収入があってクレジットスコアが良くても、保証人になることはできません。
2.保証人がいない!どうすればよい?
保証人がいなければ、借りたいアパートを契約できません。おそらくアメリカ国内には、そんな人がたくさんいるのではないでしょうか。
もしもそうした地獄シナリオに突入してしまったら、どんな選択肢があるのでしょうか?
- 保証人になってくれるサービスを利用する(もちろん有料)
- アパートの家賃を値上げして大家と交渉する
- 誰かのルームメートになる
- 共同住宅(Co-living)に住む
- 家賃保険に加入する
- 保証人いらないよ、という大家を探す
保証人になってくれるサービスを利用する
家庭内に保証人になれる人が1人もいない場合、保証人サービスを利用するという選択肢があります。海外から来たばかりの人の多くは、こうしたサービスを利用してり、アパート側は個人よりも業者の方が信頼できるという点で、喜んでこうした保証人サービスを受け入れているのだとか。
またコロナ禍による大量解雇やレイオフの影響で、この保証人サービスを利用する人の数も激増しているそうです。保証人になってくれるサービスなので、お安い手数料ではないと思いますけれど、背に腹は変えられないという人にとっては、藁にもすがる思いで利用を検討したいサービスかもしれません。
アパートの家賃を値上げして大家と交渉する
交渉スキルが求められる選択肢ですが、大家が設定している賃料よりも多く払うので保証人なしでも貸してほしい、と交渉することは可能です。お金はあるけれどアメリカに来たばかりの外国人だったりすると、家賃を2倍払うからノー保証人で、なんて交渉をする人がいそうですし、それを受け入れる大家もいそうな気がしますね。
地域によっては、家賃プラス100ドルでノー保証人で賃貸契約を結べるケースもあるそうです。
誰かのルームメートになる
家賃が高い都会では、知らない人とルームメートになることは珍しい暮らし方ではありません。しかも、すでに住んでいる人のルームメートになれば、あえて保証人を付けなくても貸してもらえる可能性は十分にあります。
共同住宅(Co-living)に住む
共同住宅というのは、アパートではなく部屋を借りるという賃貸方法です。基本的には5ベッドルームぐらいある大きな物件に、1つの寝室だけがプライベートな空間となり、キッチンやリビングはほかの住人と共同で使うという寮のような暮らし方となります。
都市部には、こうした共同住宅がありますし、中には同じエリアに物件をいくつも持っている不動産グループがあり、気に入った物件を見つけたら契約期間の途中でも引っ越せるサービスがついていたりもします。
共同住宅は、まったく知らない他人と生活を共にするため、人によっては精神的なストレスになってしまうかもしれません。しかし勤続年数が一定以上になれば、保証人がいなくても自分一人でアパートの契約ができるようになります。その日が来るまで耐えることも、アメリカでアパートを借りるためには必要なことなのかもしれませんね。
家賃保険に加入する
比較的新しい保険なので、すべてのアパートが家賃保険を受け入れているわけではありません。またこの保険は、借主ではなくて貸主が加入する保険で、保険料はアパートの家賃に追加して貸主から毎月徴収されることになります。
保証人いらないよ、という大家を探す
保証人を付けろとか、保証人の条件を厳しく決めているアパートは、売り手市場の人気物件が多いです。アパートはたくさんあり、ヤバいエリアで借主がなかなか見つからないアパートとか、ボロボロすぎて誰も住みたくないアパートだったりすると、貸主は「保証人なんて付けなくていいから、とにかく今すぐ借りてくれよ」という態度だったりもします。
もちろん、保証人が不要というアパートがすべてそうした安全面で疑問な物件ばかりではありません。そのため、時間と労力をかけて探しまくれば、そうしたアパートが見つかる可能性もゼロではないでしょう。
3.短期なら借りられることもある
息子様が大学3年の夏に、ある地方都市へ3か月ほどインターンへ行きました。その時には、会社側が住む場所を提供していなかったので、私達が自力で探したわけですけれど、その時には、3か月だけだったことも手伝ってか、比較的難なく借りることができました。
ただその時も、大学生に貸して家賃を回収できるか不安だった大家から言われて、雇用主から「3か月だけの雇用だけれど、住宅手当としてXXドルを給料とは別に渡してますよ」というお手紙を書いてもらいました。その物件は、息子と同じインターンをしていた別の大学の学生と二人で借りたのですけれど、保証人がうんぬんとは言われることなく契約できましたね。
アメリカでアパートを借りる際、保証人が見つからないケースは決して珍しくありません。いくつか選択肢があるので、早い段階からアパート探しを始めて、可能な選択肢を絞り込みながら生活の基盤を見つけることをおすすめします。