スミソニアン博物館を筆頭に、無料の博物館がずらりと勢ぞろいしているワシントンDC。一つ一つが充実しているので、じっくり周るなら、1日に博物館は1つ。2つ周ると足が痛くなるどころか、頭が痛くなってめまいがして、大変な状況になってしまいます。私の場合、ですが。
そんな博物館がずらりと並んでいるナショナルパーク(と言っても何もない砂利や芝生のエリア)の端に位置しているのが、アメリカンインディアン博物館(National Museum of the American Indian)です。
アメリカンインディアンって、ネイティブアメリカンの事ですね。
最近のアメリカでは、アメリカンインディアンというとインド系アメリカ人と間違えやすいからでしょうか、ネイティブアメリカンと呼ぶ人がほとんどだと思います。
今回は、そのネイティブアメリカン博物館をご紹介します!

曲線が美しい建物なので、そばに来ると一発で分かります。
博物館の中には、入り口が小さくてウッカリ通り過ぎてしまう、なんてこともありますけれど、ここは通り過ぎるなんてことはありません。巨大な建物がバーンっと建っています。

入り口は、一つです。博物館によっては複数の入り口がありますが、ここはありません。私は入り口が分からず、建物の周りをグルグルと歩き回りました(笑)。
入り口に入ると、最初に行うのはセキュリティチェック。空港のセキュリティと同じ要領ですね。
ちなみに私が行った時には、ペットボトルなどの液体は持ち込み禁止だったので、外に捨てました。


博物館に入ると、最初はネイティブアメリカンの文化や慣習に関する展示品がずらりと並んでいます。ここは、けっこう楽しいエリアですね。



1階と2階は割とワクワクできるエリアなのですが、3階へ行くと、様相が一気に変わります。
迫害されたネイティブアメリカンの歴史
が証拠とともに展示されているからです。しかも時系列で。


私が通った学校では、小学校も中学校も、そして高校も、「ヨーロッパから来た人が原住民を追い出した」的な一文しか学びませんでした。
息子様が通ったアメリカの学校でも、原住民の民族ごとにおける文化や慣習などに焦点を当てていて、いつ誰がどんな風に原住民を迫害したのか、という点には全く触れていませんでした。
しかしですね、ここでは事実が陳列されています。
けっこうな量です。
ヨーロッパ人側からみた「アメリカの歴史」と、原住民側から見た「アメリカの歴史」が横並びで展示されており、「物事には裏と表がある」なんて言葉では表現できないほど、悲しく重い歴史がありました。
読んでいるうちに胸がいっぱいになって泣きました。
他にも泣いている人は多くいました。
書かれている文字を一つ一つしっかり読んでいると、この階だけでも1時間じゃ足りませんでした。
スミソニアンに共通する「重さ」
この博物館だけではないのですが、スミソニアン博物館の多くは、事実を湾曲したり忖度したりすることなく、証拠とともに展示しています。スミソニアンだからこそできる偉業なのだと私は勝手に想像しています。
ここも例外ではなく、建物を出る時には気持ちがズッシリと重く、鬱のような状態になりました。今でも思い出すと気持ちは沈みます。でもこれって、アメリカの歴史なんですよね。。
というわけで、この博物館は大人にはおすすめですけれど、子供には刺激が強すぎるので、ハイスクール未満にはあまりすすめられないと思いました。
National Museum of the American Indian
4th St SW, Washington, DC 20560 (ナショナルモール内のキャピタル寄り)
おすすめ度 ★★★★★
子供へのおすすめ度 ★★