限られた収入!老後資金vs子供の教育費、どちらにするべき?

長いようで短い人生、短いようで意外と長い人生。その中では、お金のかかるイベントが次々と私たちに襲いかかります。子供が生まれたら将来の教育費を心配しなければいけませんし、マイホームだって欲しい。それに、遅かれ早かれいつかはリタイヤして老後に備えなければいけません。そのための資金も必要です。

目次

  1. 老後資金と教育費、どちらを選ぶ?
  2. 老後資金を選ぶべき理由とは?
  3. どちらもするのは無理、じゃあどうすれば良い?

1.老後資金と教育費、どちらを選ぶ?

日本よりも学費が死ぬほど高額なアメリカでは、昔から

「老後資金と教育費、迷うことなく老後資金を選ぶべきだ」

という言葉があります。ファイナンシャルアドバイザーなどに聞いても、10人いたらおそらく10人が口をそろえてそう言うのではないでしょうか。

これは、子供の教育費なんてケツまくっちゃえよという意味ではありません。

収入が限られていて教育費と老後資金の両方の準備ができないのなら、老後資金を選択するべきだ、という意味です。

実際、子供の教育費を親が払っている世帯は、全体の70%程度もいると言われており、その多くは老後資金を削って教育費に当てています。我が家も、そうでしたね。教育費を全額そこから捻出したというわけではないものの、IRA口座などは税金面での控除があるので、教育費という名目で老後資金の口座を使って貯め、そこから出していました。

ファイナンシャルアドバイザーの中には、教育費として払う分を投資してリターンの年利がどのぐらいで、、と煙に巻くように、難しくてよく分からない数字を並べる人がいるかもしれません。具体的に細かく見ていけば、きっとそうなのでしょう。しかし、ざっくりとした判断をする際には、そんな細かいところまで考える必要はないと思います。

2.老後資金を選ぶべき理由とは?

老後資金を優先するべきというのは、いくつか理由があります。

  • 老後資金が不足すると挽回できるチャンスがない
  • 医療や介護で費用が必要になった時、子供と共倒れになるリスクが高い
  • 老後資金が不足したことで家を失うリスクもある
  • 子供は教育ローンを借りても、そこから数十年という時間をかけて返済できる時間的な余裕がある
  • 教育費を捻出しても、回収できるかどうかは完全な未知数。そのため最悪の場合、親が老後を迎え、子供も稼がず、親子でお金がないという状態に陥る可能性がある

つまり、子供の教育費用を捻出するために自分たちの老後資金が空っぽになってしまうと、働けない高齢になってから急な出費が出た時に対応できませんよ、という事ですね。

3.どちらもするのは無理、じゃあどうすれば良い?

10年ごとに2倍になると言われている大学費用は、息子が在学中にも容赦なく上がりましたし、これからも上がり続けるのかもしれません。いくらかかるか見当もつかない金額を貯めろと言われても、何から始めてよいか分からないという人もいるでしょう。

じゃあ、どうすれば良いのでしょうか?

私たちにできることは、今すぐに全力で貯めること。それだけです。

そのお金が将来、老後資金か教育資金かどちらに使われるかは、その時になってから考えれば良いのです。それに、子供が大学に進学するまで時間があるなら、学費を少しでも安くできる方法を模索したり、大学の選び方を見直したり、場合によっては軍隊に数年間入隊することを前提に大学にかかる費用を無料にするという方法もあります。

我が家でも、息子様が成長する中では、いろんな親を見てきました。

  • 大学に行くなら勝手に行きやがれという親
  • お金がかかるから行く必要ないという親
  • 州が提供する529プランに加入して、州立大学の学費をはるか昔にロックインした賢い親
  • 子供に出世払いとして貸し付けた親
  • 特別な作戦もなく必死に貯めた私のような親

どんな選択肢がベストかは、その世帯のライフスタイルや将来設計、子供の数などによってケースバイケースです。でも早いうちから話し合いやカネの計算をすることで、それなりに将来が見えてきますし、どうするのが家庭にとってベストなのかも見えてくると思います。

大学の学費を安くして!ってお願いしたら安くなる?

アメリカでは信じられないほど高額な大学費用。世帯の収入によって学費が決まるため、昇進や転職で収入がアップした!と喜んでいても、その分は学費として大学に持っていかれてしまいます。

そんな高額な大学の費用ですが、私はこれまで学費を安くしてもらったことがありました。その時のエピソードをご紹介しますね。

目次

  1. 原因1:転勤にかかった諸経費にW2が発行された
  2. 原因2:家の頭金でIRから引き出した
  3. 大学2年目の学費が1年目より3万ドルも多かった
  4. 学費が決まった後にアピールした
  5. どんな時に学費値下げの要求ができるのか?

1.原因1:転勤にかかった諸経費にW2が発行された

息子がハイスクール最終年に、私たちは夫の転勤で引っ越しをしました。引っ越しにかかる諸経費はすべて会社が出してくれたのですが、

  • 家財道具の運搬にかかる費用 →会社から業者へ直接支払い
  • 荷物が届くまで3週間程度のホテル代 →私たちが払った分を会社が返金
  • 交通費 →会社がチケットを購入
  • 車の運送代 →私たちが支払った分を会社が返金
  • 新天地で住宅を購入した際にかかった諸経費(頭金以外すべて) →私たちが支払った分を会社が返金

という感じでした。上記の通り経費の中には、私たちが最初にポケットマネーで払った分を会社が返金してくれたものもありました。

しかしこの「返金」、なんと翌年に収入としてW2が発行されたのです!これは、IRSが新しく決めたルールでした。

収入ではなく返金のはずなのに、W2が発行されたせいで、私たちの課税所得額が上がり、そのせいで大学のFAFSAによる学費が高くなってしまいました。

2.原因2:家の頭金でIRから引き出した

原因はもう一つありました。引っ越し先で賃貸物件を探したのですが、なかなかお手頃なものが見つからず、賃貸よりも購入したほうが毎月の支払いが安くなることが分かったのです。

息子の学区のこともありましたので、私たちは住宅を購入することにしました。

それは良いのですが、肝心なのは頭金をどこから捻出するかという問題です。引っ越し前の場所で所有していた住宅は、会社が提携しているRelocation Serviceが買い取ってくれることになっていたため、売れない心配はありませんでした。しかし業者が買い取ってくれるタイミングと、私達が引っ越すタイミングとがイマイチ合わず、1ヶ月ほど家を2軒所有する羽目になったのです。

困ったのは、頭金ですよね。通常なら、前に住んでいた家を売却して、その利益を次の家の頭金にするのが一般的です。しかし私たちは、その時にはタイミングが合わずにそれができませんでした。

そのため、Roth IRAから数万ドルを引き下ろして頭金に当てました。

3.大学2年目の学費が1年目より3万ドルも多かった

上記の2つの理由で、なんと大学2年生の時に計算されるFAFSAが1年目より3万ドルも高くなってしまいました。

そうです。会社が発行したクソW2のせいと、Roth IRAとはいえ、収入が上がったことで大学の学費計算でも多く収入が入ったとみなされてしまったのです。

私はガクガクブルブル。真剣に怖くなりました。だって我が家は庶民なのです!そんな気軽にプラス3万ドルだなんていわれても、払えません!

4.学費が決まった後にアピールした

私は10月初旬にFAFSAの計算をし、夜も眠れないほど怖くなったので、すぐに大学のファイナンシャルエイドオフィスへ電話しました。そして事情を話すと、

「一時的な収入アップは考慮します」

とのお返事をいただけました。

手続き方法としては、5月にFAFSAに基づいて大学の費用が一斉に計算され、その直後に2週間程度のアピール期間があるので、そこでアピールしてくださいとのことでした。

実際にアピールした所、大学側がそうした一時的な収入を除いて学費を計算し直してくれ、なんと1年目よりも2,000ドルほど学費の負担分が安くなるというおまけもついてきました。

5.どんな時に学費値下げの要求ができるのか?

ただ払いたくないという理由で、学費の値下げを要求しても、残念ながらそれは通りません。私もやったことはもちろんありますが、その時には「払えなければ各種ローンを紹介します」と言われただけでした。

それでは、どんな時に学費の値下げを要求できるのでしょうか?

例えば、一時的な収入があった場合です。

  • 引っ越しでかかった経費を会社が返金ではなく収入として扱い、W2を発行した
  • 住宅購入の頭金や医療費の支払いなどでIRAなどリタイヤメント口座から引き出した

などがあります。これは、あくまでもその収入が継続的なものではなくて一時的なものである時に該当します。

それ以外にも、FAFSAの計算をした時とは経済的な事情が変わった場合にも、学費の値下げ要求をすると通ります。例えば、

  • 収入源である親が死亡したりレイオフなどにあい、収入がなくなってしまった
  • 災害などで経済的苦境に立たされている
  • 子供が18歳になったことで、これまで受け取っていた養育費がなくなって収入減
  • ほかにも兄弟が大学に通っていてキツイ
  • 親の介護を支援するなど、大きな出費を抱えている

などがあります。

ただしこれらの場合には、ただ口頭で相手を説得しても聞き入れてもらえません。ファイナンシャルエイドオフィスでは、アピールする人たちの再考会議をして、学費値下げを認めるかどうかをケースバイケースで決めます。そのため、サポートする証拠書類が必要ですね。

ちなみに私の場合には

  • IRAの引き出し額を住宅購入の頭金として使ったことを証明するための書類(不動産の契約書)
  • 引っ越し前と後の住所が変わったことで、引っ越した事実を証明
  • 返金分は別のW2だったので、同じ職場からw2が2枚きたと提示。

でOKでした。

もしも皆さんも、そうしたイベントがあったために学費計算がアップした時には、ぜひアピールすることをおすすめします。