アメリカ人は時間にルーズ?それとも日本人が厳しすぎるのか?

日本人は、他の国の人と比べて時間にとても正確です。8時と約束すれば、最低でも10分前には到着しているべきだと考える人も、多いのではないでしょうか。しかしアメリカで生活していると、私達が理解している常識とは全く別次元の常識が存在しているような気がすることが少なくありません。ここでは、アメリカ人の時間に対する概念をご紹介しますね。

目次

  1. 日本人はどうして時間に正確なのか?
  2. ところ変われば時間の流れも変わる
  3. アメリカ人はどう?
  4. アメリカ人のパーティに出席!時間厳守?それともあえて遅れる?
  5. ここは時間厳守だよ!横断歩道の渡り方
  6. 交通機関は時間通りに来るの?
  7. まとめ「ビジネスでは時間厳守、プライベートでは緩い」

1.日本人はどうして時間に正確なのか?

日本人は、自他ともに認める「時間に正確な国民」として知られています。しかし長い歴史の中では、日本人も時間に対してルーズな時代があったことはご存知ですか?

日本に時計が入ってきたのは、江戸時代のことでした。時計が存在しなかったそれまでは、想像するに難しくありませんが、皆さん感覚で生活していたようです。時計がなかった時代に長崎軍電伝習所に滞在していた外国人が、「日本人の悠長さにはあきれるしイライラする」とこぼしたという記録も残っているほどです。

しかし江戸時代の後半になると、時計のシステムが採用され、現在ほど細かい定時制ではなかったものの、武士や町人をはじめとして、みなさん時間に合わせて規則正しい生活を心がけていたそうです。

現在のように「1分遅れても遅刻」と考える日本人が作り上げられたのは、明治時代に入ってそれまでの不定時制から定時制が採用されたことと、登場した「鉄道」と「学校教育」の影響が大きかったようですね。

考えてみてください。鉄道は、時間に合わせて正確に運行しています。乗る人が時間にルーズで遅れたら、電車に乗り遅れてしまいます。電車は待ってはくれません。困るのは自分なのです。しかも、次の電車がいつ来るか分からないとなると、そりゃ誰でも時間を守るようになりますよね。

学校教育もまた、大きく影響しています。勤勉であることが美徳とされた時代だったので、時間厳守で規則正しい生活を送ること事が、将来優秀な人材になるための大前提だと考えられていました。

2.ところ変われば時間の流れも変わる

それでは、海外ではどうでしょうか?

ブラジルなどの南米諸国

南米の人は全般的に、時間に対しては、良く言えば「寛容」、悪く言えば「ルーズ」な人が多いです。私は南米に住んだことはありませんが、南米出身の友人は複数います。彼らから話を聞いたり、行動を共にしていると、やはり時間に対して日本人とは圧倒的に異なる感覚を持っていることに気づきますね。

例えば以前、あるパーティに出席する際に、私は南米出身の友人をピックアップしていくことにしました。こちらはパーティが始まる時間や道路状況を逆算して、何時何分ごろにピックアップすることを彼女に伝え、彼女もOKしました。

約束した時間に彼女を迎えに行くと、メイクも着替えもまだしていない状況。「ちょっと入って待ってて」と促されて自宅の中で待ちましたが、結局彼女の家を出たのは、パーティ開始からすでに10分ほど経過した頃でした。

話はそこで終わりではありません。道中にあるターゲットを見た彼女は、「買いたいものがあるから、ちょっと寄って行かない?」というのです。

「は?」

と思いましたよね。

ちなみに南米の人は、自分が待つことに対しても、相手を待たせることに対しても、とても寛容な人が多いようです。少しぐらい遅れても「申し訳ない」という気持ちにはならず、逆に自分が待たされてもイライラすることはないようですね。

アメリカでのビジネスシーンにおいては、何時からミーティングだと言えば、南米出身の人でも大幅に遅れる人は少ないです。しかし、ミーティングが始まった直後に駆け込んでくる人は、まぁ、います。

インドの場合

私は仕事でインド出身の人と関わることがあります。アメリカ国内のビジネスシーンにおいては、みなさん時間に対してはとてもしっかりしています。ミーティングに遅れてくるとか来ないなんてことは、ありませんね。

しかし、日常生活においては、かなり皆さん寛容な人が多い気がします。相手が遅れてきても、「遅れた」ではなくて「遅くなったけれど来た」と考えることができる人が多いのかもしれません。

聞くところによると、インドの街でも、その傾向はあるようです。例えば、インドのバスは、時刻表は8時となっていても、だいたい来るのは8時~9時ぐらい、なのだそうです。日本人にとってはあり得ない大雑把さですが、「遅れても来るんだし」と皆さん気長に待っているそうです。

東アジアは時間厳守派が多い

中国や韓国など東アジアの人は、日本人と同じ時間の感覚を持っている人が多いような気がします。日本と同じように、鉄道と教育のたまものなのかもしれません。

以前、職場で中国出身の友人がランチタイムに電子レンジを使っていた場面に遭遇したことがありました。たぶん2,3分でしたが、そのわずかな時間を彼女は、じっと電子レンジを見つめてカウントダウンしていたのです。私が話しかけると、「ちょっと待ってて」と言われ、電子レンジが終了するのを全集中で待っていました。

そして会話をしながら私が自分のランチを電子レンジに入れた所、彼女は会話を止めて私が電子レンジに集中できるような配慮をしてくれたのです。私が「チンって教えてくれるから見てなくても平気」というと、「ええっ?信じられない!心配じゃない?」と驚かれてしまいました。

時間厳守という点で共通しているアジア人どうしても、国によって考え方は違うようです。

ヨーロッパ諸国はどう?

ヨーロッパは、南米や南アジアと比較すると、時間に対しては比較的正確な傾向があるようです。電車などは普通に遅れてきますけれど、「果たして今日くるのかどうか」なんて絶望的な気持ちになるほどの遅れはほとんどありません。

しかしビジネスシーンにおいては、ヨーロッパの人達は日本人と同じぐらい、もしくはそれ以上に時間厳守な人が多いです。日本人と大きく違うのは、日本人は定刻よりも15分から10分程度早めに到着するのが良しと考えられているのに対して、ヨーロッパの人は定刻に送れるのではなくギリギリに入るのがベストだと考える人が多いという点かもしれません。

ヨーロッパ出身の人に自宅に来てもらう場合、だいたい彼らは約束の時間より10分ぐらい早めに到着します。でも、定刻になるまで辛抱強く車の中や家の前で待機していて、絶対にピンポンはしません。もしそれが友人なら、私の方からテキストして「そんなところで待ってないで、入って来たら?」と誘いますが、ビジネスの場合には相手のマナーを尊重し、私も見なかったことにして定刻まで辛抱強く待つように心がけています。

3.アメリカ人はどう?

photo of women having conversation

時間に対する感覚は、この人種だからどうだということではなく、生まれ育ったお国柄とか環境によって大きく変わります。同じ日本人でも、日本で生まれ育った人は時間厳守の人が大多数ですが、アメリカで生まれ育った日系アメリカ人の場合には、必ずしも時間厳守というわけではありません。

例えば私の息子は、私という時間にうるさい日本人母をもちながらアメリカで生まれ育ちました。時間に関しては、考え方が私とは大きく違います。私は、何でも早めに行動したいので、どこで何が何時に始まるというと、そこから逆算して、道路状況なども考えて、余裕をもって家を出ます。私にとっては、それが当然だし、かなり早めについたとしても、遅れなくて良かったねとなるわけです。

しかし息子は、早く着きすぎることは時間の無駄だと考えているようです。目的地までどのぐらいかかるのかという逆算はしますが、道路状況などについてはほぼ考慮しません。「事故渋滞などで遅れても、それは自分の責任ではない」と考えるタイプのようです。

しかし、遅れると完全に詰むような場合、例えば飛行機に乗るとか、ビジネス関連で約束があるような場合には、息子は私が考えている時間よりも早く家を出ます。本人曰く、30分前には現地に到着していたい、のだそうです。

これはあくまでも私の息子の例ですが、私の周囲のアメリカ人を見ると、みなさんこんな感じの人が多いですね。自分に責任がない不可避な要素に対しては、とても寛容に対応してもらえますし、自身も相手に対してそのような寛容さを持ち合わせています。

4.アメリカ人のパーティに出席!時間厳守?それともあえて遅れる?

アメリカでは、ホームパーティが良く開催されます。お洒落なパーティもあれば、宅飲み的なカジュアルなものまで様々ですが、もしも自分が招待されたら、時間は厳守したほうが良いのでしょうか?それともあえて遅れるのが良いのでしょうか?

もしもホストがアメリカ人の場合で、特に会場などを借りているわけではなく自宅で行われているパーティなら、時間厳守よりも若干遅れるのがマナー的に良いかもしれません。時間厳守でも嫌がられることはないと思いますけれど、5分ぐらい遅れたほうが「ちょうどよい」感じになることが多いですね。

ただし、どこかに会場を借りている場合には、2時間しか借りていないということもあるので、時間厳守で到着するゲストが多いと思います。

ホストが日本人の場合には、場所を問わずに時間厳守が良いと思います。ホストにとっては準備もあるので、早すぎるのは迷惑がかかるかもしれませんが、できればパーティが始ってから5分、10分以内には参加するのがマナー的に失礼にはなりません。

5.ここは時間厳守だよ!横断歩道の渡り方

日本では、横断歩道を渡る際には、時間内に渡り切れるかどうかを頭の中で瞬時に逆算してから渡り始めるのが一般的だと思います。あと10秒しかなくて、渡り切れないと思えば、あきらめて次の信号を待つのではないでしょうか。

アメリカでは、多くの横断歩道がカウントダウン式になっていて、赤になるまであと何秒というのが分かります。あきらめて渡らない人もいますけれど、中央分離帯までならいけると判断して渡る人もいれば、まだいけると判断して渡る人もいます。

少し前だと、渡り切れずに赤信号になってしまった老人とか、ベビーカーを押している人などに対して、車がクラクションを鳴らすということはほとんどありませんでした。しかし近年ではアメリカ全体がなんとなく殺伐としていて、歩行者に対してクラクションを鳴らしてせかしたり、歩行者をよけて発進する車が増えているような気がします。

6.交通機関は時間通りに来るの?

アメリカは自動車社会ですが、ニューヨークやサンフランシスコなどの大都会では、地下鉄が運航しています。また、アムトラック(Amtrack)と呼ばれる長距離鉄道サービスもあり、電車で遠方に旅行することも不可能ではありません。

まず、メトロや地下鉄など都市部を運航している電車は、基本的にほぼ時間通りに来ますね。たまに遅れることはありますが、運行間隔が短いと、待たされているとか遅れているという感覚にはなりにくいです。

しかしアムトラックは、遅れることは珍しくありません。しかし、時間ピッタリに来ることも多いです。時間ピッタリにやってきた電車に乗り遅れると、それは自分が悪いということになるので、アムトラックに乗る人はみなさん、定刻に合わせて時間厳守でいらっしゃいます。しかし、そこで電車がどのぐらい遅れているかを知り、がっくりしながらスマホで時間をつぶすというパターンが多いですね。

バスは、日本のような時刻表ではなく、何分間隔で運行しています、という表示方法が多いです。Aラインは10分間隔、Bラインは30分間隔、のように決められていて、バスは始点となるターミナルをその間隔で出発します。もちろん運航途中では交通事情によって大きな影響を受けるので、遅れることは普通にあります。たまに、10分間隔のはずのバスが2台続けてやってくる、なんてこともありますね。でも皆さん、「10分間隔だし、もうすぐでしょ」と気長に待っています。

7.まとめ「ビジネスでは時間厳守、プライベートでは緩い」

時間に対する概念は、国によっても違いますし、生まれ育った環境にも影響を受けると思います。本人の性格によっても変わりますよね。アメリカ人と言っても、ひとくくりにすることはできません。人種のるつぼのアメリカにはたくさんの人種が生活していて、みなさん異なる生活様式や文化、価値観を持っています。

アメリカ人全体の傾向としては、ビジネスにおいては時間厳守を徹底する人が多く、プライベートなシーンになると緩くなる人が多いような気がします。私の息子も、まさにこのタイプです。

アメリカで生活するなら、こう考える人が多いということを知っているだけでも、対人関係でのイライラが少なくなるかもしれません。