[マネー講座2]過去を振り返るべからず!無意味な期待もするべからず!

a man looking at the paper while holding a coffee and phone

人間は誰でも、自分が現在置かれている状況を、客観的に把握することは難しいものです、簡単だと思っても、そこに過去の栄光や未来への期待が混ざってしまうことが多く、自身で冷静かつ客観的に状況把握できる人は、それほど多くありません。しかし、自身の環境を正確に把握することで、思い描いたとおりの未来への一歩を踏み出すことができます。

目次

  1. 人は過去にとらわれやすい
  2. 過去にとらわれると何がいけないのか?
  3. 家庭で徹底しておきたいこととは?
  4. まとめ

1.人は過去にとらわれやすい

私たちは、100人いれば100通りの性格があります。その中には、過去にとらわれやすい人もいれば、過去は全く振り返らず前だけを見て生きている人もいるでしょう。

「自分は過去にとらわれていない」

と考えている人でも、実際には過去を引きずりながら、過去の姿を現在の自分に投影していることが少なくありません。

  • 自分は月収100万円を達成した過去があるから、やればできるのだ
  • 異性にモテすぎてウハウハだったことがある。
  • 投資で元本を10倍に増やした実績がある

など、過去の栄光とも呼べるような素晴らしく輝かしい過去を持っているかもしれません。またその一方で、

  • 貧しい家庭で育ったので、今でも貧乏根性が残っている
  • 子供の頃にいじめられた経験があるので、今でも人と話すことがストレス

など、ネガティブな過去が現在の自分に大きな影響を及ぼしていることもあるでしょう。

私たちの性格や習慣、クセや価値観は、子供の頃の生活環境やこれまでの経験によってつくられています。過去の経験なくして、現在の自分はあり得ません。

性格や考え方は遺伝?それとも環境によって決まる?

blonde haired woman lying on bed

私たちは、生まれ持った性格があります。これは、母親と父親から受け継いだ「遺伝」で、私たち自身で選ぶことはできません。

しかし、性格は遺伝だけによって決まるわけではありません。生まれてからどんな環境で育つかという点によっても、大きく変わります。海外では、同じ母親から生まれた双子を、全く異なる環境で育てて性格や行動にどのような違いがあるかを研究するという実験が行われたことがありました。

親が同じなので、遺伝的な性格はある程度共通している部分はあったものの、育つ環境によって性格や価値観は大きく影響を受け、思春期を迎えるころには双子とは思えないほどの差が出たそうです。ちなみにこの実験は、成長した双子からの申し出により、打ち切りとなりました。

実際に、遺伝的な要素と環境的な要素が自身の性格形成に占める割合を見ると、だいたい半分ずつぐらいなのだとか。しかし遺伝的な要素はあくまでも潜在的なポテンシャルなので、育つ環境によってはポテンシャルが大きく開花することもあれば、影をひそめたまま全く表に出てこないということもあるようです。

カネの扱いが苦手なのは、遺伝ではない

貯金や資産形成の点でも、これは適用されます。貯金をすることが苦手な人の中には、

「性格的に貯金は好きじゃない」

「江戸っ子だから宵越しの鐘は持たない主義」

「貯金できないのは、遺伝」

のように、責任は自分以外の所にあるような物言いをします。しかしこれは、決して本人の性格ではありません。生まれた後に植え付けられた後天的な価値観や習慣によって,カネに好かれない体質を自分自身で作ってしまった結果です。

後天的に植え付けられた価値観や習慣は、変えることができます。時間がかかるかもしれませんし、本人の強い意志と継続的な努力も必要ですが、変えることは可能なのです。

2.過去にとらわれると何がいけないのか?

資産を形成する上では、現在の自分が置かれている状況を冷静かつ客観的に判断して、それにあった決断をすることが必要です。具体的な例を出してご説明しましょう。

ケーススタディ:幻の株価

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株取引など、投資をしたことがある人なら、株価が常に変動していることはご存知でしょう。全ての株価は、上下に変動します。また特定の銘柄だけでなく、業界全体でも上向きのトレンドにあったり、逆のトレンドになることもあり、現在の株価が半年後、1年後にも同じということはありません。今よりも上がる事もあるでしょうし、下がることもあるでしょう。

銀行に勤務するAさんは、子供のころから親に「投資はギャンブルだから、絶対に手を出してはいけない」と教えられて育ちました。そのため、社会人になって周囲が投資に熱くなっても、彼だけはどこか冷めた考えを持っていました。

Aさんには、学生時代から仲良くしていた親友がいました。半年ほど前に親友から、「今XX業界が延びているから、資産を増やすなら今投資したほうが良い」というアドバイスを受けました。しかしAさんは全くやる気にならなかったどころか、親友に「気を付けろ」とアドバイスをしたほどです。そう、投資はAさんにとっては怪しすぎるアクティビティだったのです。

しかし先日、再び親友と飲みに行ったとき、彼は半年前に購入した株が爆上がりして、価値が10倍になったと大喜びでした。飲み代も、太っ腹な彼がおごってくれました。

帰り道で、Aさんは考えました。半年で資産価値が10倍になるなら、50万円が半年後には500万円になるということだよな。これは試す価値があるかもしれない、と。

そうです。Aさんは取らぬ狸の皮算用をしてしまったのです。

実際にAさんは、50万円を投資しました。すると、半年どころか3か月程度で、価値は10倍になりました。これに味を占めたAさんは、更に150万円を追加投資。それも面白いぐらいに増えたため、更に300万円を投資しました。

Aさんが1年間に投資した金額は、なんと500万円。これはAさんがこれまでコツコツ貯蓄してきた全額です。彼は元手500万円を、時価総額9000万円までに増やすことに成功したのです。これで彼は、成功者の仲間入りという夢を達成しました。

さて、この先の展開は、みなさんの予想通りです。

株価の変動は、常にあがりっぱなしということはなく、下がることももちろんあります。それに、バブルが崩壊したように、業界バブルが崩壊することもあります。Aさんも場合にも、9000万円まで増えた株が遅かれ早かれ下がるとは全く思わず、さらに増えるだろさんは考えてしまったのです。

しかし株価は下がり始めました。株価の低下はAさんにはどうすることもできず、もしかしたら再び上昇してくれるのではないかという淡い期待を胸に、下がり続ける株価を見守るしかありませんでした。

Aさんが気づいた時には、株価を手放せば元本の500万円すら回収できない状態となっていたのです。

考察:Aさんの何がいけなかったのか?

それでは、Aさんの一連の行動の中で、何がいけなかったのでしょうか?

親友の影響で始めた株投資で、Aさんはこれまで手にしたことがない「巨額の富」を手に入れることができました。しかし、Aさんはこれまで投資の経験がなく、買うタイミングも売るタイミングも考えずに、ただ「元金が増える」ことを夢見て投資を続けてしましました。

その結果、株価が下がり始めても迅速に行動できなかったのです。ここが、Aさんのいけなかった部分かもしれません。

投資についての詳しい解説は避けますが、投資においては損切りと呼ばれるリスクヘッジがあります。これは、株価が一定額もしくは一定割合以上下がった場合には、それまでの利益を確定するために、もしくは損失を最小限に抑えるために、持ち株を売却するという戦略です。

もしもAさんが、天井高から下がり始めて雲行きが怪しくなってきた頃に、このリスクヘッジをしていたなら、ここまで泣きを見る羽目にはならなかったでしょう。9000万円の時価をそのまま教授というわけにはいかなかったかもしれませんが、それに近い額を手元に残せたのではないでしょうか。

過去の栄光はかなぐり捨てるべし

過去の経験によって培われた性格や価値観の中には、捨てずに持っていたほうが良いものもあるでしょう。しかし輝かしい過去の栄光に関しては、とくにカネに関しては、持っていても現在と未来の自身には何の役にも立ちません。

「輝かしい過去の栄光」とは、現在がそれほど輝いていないから使う言葉です。過去よりも今の方が輝いていたとしたら、決して「過去の栄光」とは呼ばないでしょう。まずこの点は、理解しておきましょう。

また私たちは、「過去の栄光」という言葉を使うことで、その時に戻れたらよいのにという根拠のない期待をしてしまいます。特に自身の経済的状況が下り坂の時には、現在の客観的な状況を受け入れたくないために、過去の幻にしがみつきたくなってしまうのです。人間の心は弱いため、それは仕方ないことです。

しかし、心が弱いから仕方ないと考えることは、残念ながら自身にとっては何の役にも立ちません。事態を好転してもくれません。自己満足の域を出ないでしょう。

だからこそ弱い心をかなぐり捨て、これからの自分に目を向けるべきです。それが、カネを引き寄せるために必要な策です。

投資するなら現在を直視するべし

Aさんのように、投資で少ない元手を大きく増やすことは、決して間違ったことではありません。しかし、

「この銘柄は過去にXXX円まで上がった実績があるから信頼できる」

「この業界は波がきてるから、持っていれば必ず得をする」

などという考え方は、残念ながら全く自身の投資には役に立ちません。もちろん、信頼に値する銘柄なのかという分析をする際には、過去のパフォーマンスなども含めて情報収集が必要でしょう。また、業界全体にトレンドが来ていることも、どの銘柄を購入するかを決める際には、役立つ情報かもしれません。

しかし実際に投資をして銘柄を購入する際には、いくらで購入したのかを覚えておき、いくらの利益が出れば満足できるのか、そのためには株価がいくらまで上がればよいのかという点をメモしておきます。買取挽き直後に売却の予約注文を入れてしまうという方法も良いでしょう。目安としては、5%から10%の上昇で売る、というスタンスが賢明です。

また銘柄を購入する際には、いくらまでの損失なら受け入れられるのかに合わせて、損切り注文も入れておくことをおすすめします。このラインをあらかじめ設定しておかなければ、根が下がり始めた時に「持ち直すはず」「いや、Ⅴ字回復するのでは?」と淡い期待を持ってしまいます。そうした感情が、銘柄を手放すタイミングを狂わせてしまうのです。

ポイント:投資をするなら、利益を確定するライン、損切りするラインを最初に決めておくこと。

過去の自分は入らなくなったジーンズと同じ

blue jeans side by side

私達の体型は、年齢と共に少しずつ変わっています。10代の頃に履けていたジーンズが、40代になって入らなくなってしまうのは、いたって自然なことですよね。体重が増えたという理由もあるでしょう。しかし、仮に体重が同じだったとしても、年齢によって体型は少しずつ変化しますし、醸し出す雰囲気も年齢によって変わるので、入ったとしても似合わなくなってしまうのです。

過去と現在の自分も、ジーンズのようなものではないでしょうか。過去と現在の自分とでは、年齢が違うだけでなく、考え方や経験値が異なります。仮に同じ金額の資産を持っていたとしても、過去の自分と現在の自分とでは、資産の活用方法が大きく変わるでしょう。

過去にとらわれていると、「あの時はこうして成功したから、今回もうまくいくはず」と考えてしまいます。しかし、時代やトレンドなども変わっているので、過去に照準を合わせて何かをしようとしても、上手くいかないことは多いでしょう。

大切なのは、現在です。今。今の状況に合わせて必要なことをすべきなのです。

3.家庭で徹底しておきたいこととは?

過去にとらわれ過ぎていたり、根拠のない未来を夢見ることは、経済的な視点からみるととてもリスキーです。それは、個人や世帯の家計という小さな規模だけでなく、会社のような大きな組織規模になっても、基本的なメカニズムは同じです。

それでは私たちは、これから家庭という単位において、何をすれば良いのでしょうか?できることはたくさんあります。

お金の話はしにくい。それでもする。

結婚している世帯では、夫と妻、どちらが家計を管理していますか?夫が管理しているという世帯もあれば、妻が管理している世帯もあるでしょう。共働きの世帯なら、共同の口座を作ってお互いが毎月一定額をそこに家賃や食費などの経費として入れていて、その中でやりくりしているかもしれませんね。

どちらが管理するかは、ここでは大きな問題ではありません。大切なことは、夫婦で定期的にお金の話をできているかということです。これは、一方が専業主婦や専業主夫でも同じです。

「夫はお金にしっかりした人だから、管理してくれているはず」

「妻に任せっきりなので、僕は一切関知していない」

何て事態になっていませんか?他人事なら、「なんてラクチンなのだろう」と羨ましく思うかもしれませんね。しかし、定期的にお金の話をしていなければ、経済的な現在地の認識にギャップが生じてしまいます。

10年前にはしっかりお金の管理をしてくれていたパートナーでも、もしかしたら日常的なイライラやストレスによって浪費癖がついてしまった可能性があります。それに、親が金銭的な苦境に立たされたために、パートナーに内緒で貯金を渡してしまった可能性もあるでしょう。

数年前には「これで毎月5万円ぐらい貯金ができそうだね」と言っていたパートナーの言葉を信じてざっくり現在の貯蓄高を予測してみたけれど、実際はそれよりずっと少なかったというガッカリな経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。

日常生活の中では、不測の事態が起こるものです。夫婦で同じ立ち位置で同じ認識を持ち続けることは、定期的にお金の話をしている夫婦にとっても、簡単なことではありません。お金の話をしにくい雰囲気のカップルなら、経済的な現在地が大きく異なっている可能性は大きいでしょう。

「でもお金の事って話しづらい」

「カネにがめつい奴だと思われたくない」

「お金の話をしようとすると不機嫌になったりキレたりする」

という夫婦もいるかもしれません。それでも、お金の話をする事は大切です。決して相手を責めるのではなく、二人が同じ場所にいることを確認し、同じ方向を向いて歩み続けるためには、これは必要不可欠な作業です。

我が家の決算は年に1度

我が家では、夫も私も収入がありますが、私が全てを管理しています。夫はお給料をもらってくるだけで、後はどこにいくらかかっているかすら知りません。きっと、どの金融機関にどんな口座を持っているかすら知らないと思います。

これは、夫婦間で絶対的な信頼があるからできることなのですが、この信頼関係を築くには紆余曲折医でした。

私はもともとマネー教育を受けて育ったので、カネに関しては子供のころからしっかりしていました。数百円のお小遣いをもらっても小遣い帳をつけていたほどです。

しかし夫は貯金という概念を持たず、収入に合わせて使い、余ったら貯金すれば良いと気楽に考えていた人でした。

結婚後、アメリカで生活していたため、銀行口座はすべてジョイントとなり、私一人が管理しても、見ていない所で夫が散在しまくる生活となったのです。

→アメリカのジョイント口座についてはこちらの記事で

その後二人で話し合い、結婚3年目あたりからは、私が全てを管理するようにしています。我が家の場合には、これでうまくいっています。

しかし、管理させてもらっているからと言って、そこに胡坐をかくのはよくありませんよね。夫から絶対の信頼を受けているわけですし、夫にも資産状況を知る権利はもちろんあります。

なので我が家では、年に1回、これは毎年変わらず12月31日なのですが、どの口座にいくらの残高があり、去年と比較してどのぐらい増えたかという点を、全てチャートやグラフにまとめて夫と共有しています。職場でのちょっとしたプレゼンのようですね。

どんな方法でも良いので、夫婦が世帯の資産について同じ認識を持つことは、これからの資産形成においては、とても重要なことなのです。

情弱は罪である。

laptop technology ipad tablet

情弱とは、情報弱者の事です。ネットに接続すればどんな情報でも収集できる昨今において、情弱であることは自身にとって大きなハンデとなります。インターネットが存在しなかった時代なら、情報を収集するためにはセミナーに行ったりして経験者から知識をおすそ分けしてもらうしかなかったわけですが、現在ではネット上にたくさんの情報があふれています。それらを取捨選択しながら、情報のクロスチェックもしながら真偽を確認することもできます。

情弱であることは、何かに挑戦する際にもスキルが低いということを意味します。ケーススタディで説明したAさんにしても、投資についての情報収集をほとんどしないまま突入してしまったために、引き際を見極めることができずに大きな損失を抱えることになってしまいました。

情報は、ネットさえあれば誰でも収集できます。専業主婦とか専業主夫、学生だから、ということは言い訳にしかなりません。ネットで情報収集をする中で分からないことが出てきたら、ネットで質問すれば先輩たちが教えてくれます。動画を活用するのも良いでしょう。

資産形成において自身が情弱だと自覚することは、危険行為です。まずは可能な限り必要だと思われる情報を徹底的に収集して、ザックリとでも良いので基本的な知識を手に入れましょう。その上で、実践しながら同時進行で学び、限られた収入を賢く効率的に、そして効果的に資産形成したいものですね。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?今回のマネー講座では、資産形成をする上で、多くの人が陥りやすい「過去と未来にとらわれる」トラブルを解説しました。今回学んだことは、

  • カネに対する考え方や習慣は、遺伝ではない。後天的に植え付けられたもの。だから軌道修正できる。
  • 過去にどうだったかは自己満足にすぎない。今を客観的かつ冷静に判断するべし。
  • 過去の栄光にしがみつくのはリスキー
  • 投資をするなら、利益確定と損切りを最初に決めた上で始める。感情に流されてはいけない。
  • 夫婦では資産の現在位置を定期的に確認する
  • 情弱にならないように、ネットを駆使しでできるだけたくさんの情報を収集する。

です。

読んでいただき、ありがとうございました!

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    投稿者: samuraipassport

    こんにちは!アメリカ在住のジャーナリスト兼ライターです。アメリカへの移住から生活まで初心者が知っておきたい情報を発信していきます!アメリカに住んでみたい人や海外に憧れている人にとっても役立つ情報が満載です!

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