少し前にツイッターで、海外駐在の人と現地採用の人の給料差が話題となっていました。日本の企業に限らずアメリカ拠点の企業でも、海外へ駐在すると受け取る給料の額面は飛躍的にアップします。私自身、夫の異動も含めて過去に数回の海外駐在経験があり、どんな手当てがついてどのぐらいアップするのか、なんとなく理解しています。周囲には日本からの駐在者、ヨーロッパからの駐在者などもたくさんいました。ここでは、そんな海外駐在と現地採用のお給料差について、ご紹介します!
これはあくまでも私自身の経験及び周囲から取材した一般論です。「そんな手当もらってねーぞ!」「嘘つくな!」というコメントはお控えください。
目次
1.海外に駐在すると手当てが増える!
海外に駐在するという事は、「会社の都合で海外へ行き、決められた期間、そこで会社のために働く」という事です。そのために会社は、海外での生活でできるだけ不便を感じさせなように、さまざまなお手当を出します。これが、海外駐在は高給だといわれる理由ですね。
具体的にどんな手当てがつくのでしょうか。
手当 | 日本にいる時 | 海外駐在 | 現地採用 |
住宅手当 | ・社宅 ・アパートの借り上げ ・上限ありの家賃補助 | 基本的には全額支給 | なし |
光熱費補助 | なし | 全額支給 | なし |
自動車手当 | なし | 役職によって社用車を支給。購入費用を負担してくれる会社もアリ。 | 役職によって社用車を支給 |
海外赴任手当 | なし | あり | なし |
教育費補助 | なし | 企業によって支給あり | なし |
地域手当 | ほとんどなし | 海外赴任手当に含まれる | あり |
そのほかの手当 | 食事手当 交通手当 ハードシップ手当 資格手当など | 帰省手当 日本で受け取っていた手当が続行するケースも多い | なし(ボーナスはあり) |
もちろん、企業によって手当の種類は違うので、「そんな手当もらってません!」「うちはこんな手当がありますけど!」という違いはあると思います。
この住宅手当と光熱費に関しては、会社によって対応は異なります。ずいぶん昔の話ですが、私が経験した海外駐在では、会社へ住宅費と光熱費がいくらかかるかを申告して、会社が私に給料といっしょに支給し、それを私が業者へ支払うという形になっていました。(この方法だと、手当もすべて収入と計算され、日本での税金が高くなるというデメリットがあります。)
ちなみに日本で働く場合だと、住宅費に関しては
- 会社がすでに持っている社宅に住む
- 自分で見つけたアパートを会社が借り上げで契約してくれる
- 家賃手当として現金を支給される
- 中小企業では住宅手当なし
というパターンがあります。このうち税金の面でメリットが大きいのは、会社が借り上げという形で不動産業者と契約してくれる方法ですね。この方法だと、賃料は会社からそのまま業者へ流れ、自分の給料を介してのやり取りがありません。受け取る収入が多くならないので、税金も増えません。
アメリカでの現地採用では、そうした住宅手当などは一切ありません。年間いくらの給料という契約をするだけで、各種手当は一切つきません。そして契約する年俸は、日本の物価を参考にするわけではなく、現地での物価を参考にして決まります。そのため日本よりも物価が高いアメリカの都市部に駐在すると、給料が上がってもリッチな生活を堪能するのが難しい状態に陥ってしまうことがあります。
物価が高い国なら現地採用の給料は高め、物価が安い国だと給料が相対的に低めとなる傾向がありますね。
2.現地採用と差がつく理由はこれ
「駐在の給料は高く、現地採用の給料は安い」と言われる理由は、いくつかあると思います。
住宅にかかる自己負担

海外駐在の場合には、会社が支給する金額に上限が設けられていることはあっても、ほぼ全額に近い金額を住宅手当として支給されます。私や夫の経験では、上限なしの全額会社負担という事もあれば、上限が設けられてはいるものの、上限が高く実質的には全額会社負担でした。
現地採用の場合には、この住宅費の会社負担というのは、多くの場合ありません。地域手当に含まれていると考えることはできますが、地域手当で住宅費を全額賄うことは難しいです。
この住宅費の負担分は、海外駐在と現地採用とで大きく変わる部分だと思います。夫の異動で海外赴任したときには、それまで払っていた数千ドルの家賃が突如としてなくなり、その分を貯金できました。
光熱費に関しても同じです。現地採用の場合、光熱費は給料にすべて含まれているので、別途で手当てを支給してくれる会社は、大企業でも少ないと思います。
しかし海外駐在の場合には、電気やガス、水道の光熱費は全額が会社負担でした。エアコンや暖房をつけっぱなしにして超快適な暮らしをしても、全額を会社が払ってくれます。暑くても電気代を考えてエアコンを我慢する、という生活は海外赴任中にはありませんでしたね。
海外赴任手当
日本からアメリカへ海外赴任してくる駐在者の人は、会社から海外赴任手当が支給されています。いくらかはケースバイケースですけれど、おそらく赴任場所の物価に合わせて金額が決定されていることでしょう。
現地採用でも、企業によっては地域手当がつきます。ただし、手当として基本給に上乗せされることもあれば、地域ごとに手当がすべて含まれた基本給が設定されている場合もあります。
ちなみに夫が働く企業では、地域手当が支給されています。その地域の物価によって、年収の何パーセントが支給されるという計算になっていますが、正直、その地域手当ではマイホームの住宅ローンはカバーできません。なので当然ですが、住宅費の持ち出しはあります。
海外赴任すると給料は2倍に?
私自身の感触ですが、海外に赴任すると、上記のような手当がつくので給料は海外赴任前と比較して1.5倍から2倍ぐらいになると思います。もちろん、そこから現地での家賃などを払うので、増えた分をそのまま貯金できるわけではありません。しかし、出費が減って収入が増えるという点では、確かに海外赴任することで儲かる状況にあることは、間違いないと思います。
3.海外駐在は必ず儲かるのか?
日本からアメリカに来ている駐在者は、受け取る給料の額面だけを見れば、現地採用よりも手厚く保護されていると思います。しかし、額面が大きくても、現地採用にはない負担もあります。
家族のストレス

夫婦ともに語学が堪能で、就学している子供がいない夫婦なら、海外駐在で家賃フリーな海外生活を満喫できる可能性は高いと思います。しかし、学校に通う子供がいれば、現地での学校の問題や補習校の心配があったり、赴任後に日本へ帰国した際の勉強や受験についても、頭を抱えるかもしれません。子供の年齢によっては、お父さんだけが海外赴任をして家族は日本に残るという選択をすることもあります。
そうした精神的なストレスは、現地採用にはありません。
現地採用は実力主義
現地採用=安月給、というわけではありません。アメリカは特に、その人のスキルによって給料は大きく変わります。年収2万ドル(260万円程度)で働く人もいれば、スキルと経験を評価されて20万ドル(2600万円)で働く人もいます。
海外駐在でも、どこまで会社が経費を負担してくれるかはケースバイケースで異なります。負担が少ない会社に勤めていると、アメリカに来ても自身の持ち出しが多すぎて嫌になると感じることがあるかもしれません。
海外駐在と現地採用とでは、労働契約が根本的に違います。良い面もあればそうでない面もあるわけです。受け取る給料の額面だけを見て高いとか安いというのは、比較方法としては正しくないのかもしれませんね。
出費も多い
海外へ赴任すると、落ち着くまでにいろいろな費用がかかります。その中には、会社が負担してくれない出費もかなり多いと思います。例えば、自動車の購入費を会社が負担してくれなければ、自己負担で購入しなければいけません。中古車と言っても、年式や状態によっては1万ドル(130万円程度)以上するものが多いでしょう。
またアパートを契約すれば、カーテンや家具なども必要です。日本から引っ越しで持ってきた家具が破壊されていた、なんてこともあります。家電製品は日本のものが使えないことも多く、買い替えなければいけません。
そうしたこまごまとした費用がかさみ、引っ越し貧乏となってしまう人もいます。近年ではアメリカでも家具のレンタルサービスがありますが、かなり割高です。