意外とハードルが高い!代理母になる方法

アメリカの多くの州では、代理出産が認められています。代理出産においては、胎児を出産までお腹の中で育ててくれる代理母が必要不可欠なのですが、代理出産のニーズがあるということは、代理母のニーズもあるという事。ここでは、代理母になるための方法をざっくりご紹介します。

代理母になるためには、法的な問題が数多く存在します。そのため、必ず弁護士もしくは斡旋業者に相談しながら正しい方法で手続きをしてください。

目次

  1. まずは条件を満たすか確認しよう
  2. 身体検査があります
  3. カウンセリングが必要です
  4. 妊娠に向けた準備
  5. 妊娠は不妊治療クリニックでの受精処置
  6. 代理母の役割は出産まで

1.まずは条件を満たすか確認しよう

代理母になりたいと希望しても、誰でもなれるわけではありません。代理母を斡旋する仲介業者は、それぞれ代理母に求める条件を設けており、まずはその条件を満たす必要があります。

  • アメリカ市民もしくは永住権保持者(合法的に住んでいること)
  • 年齢は21歳から45歳ぐらいまで
  • 健康状態が良好 →高血圧や糖尿病、高脂血などを持っている人はNG
  • 肥満でない事
  • 精神状態が安定している
  • 犯罪歴がないこと
  • 過去に妊娠で合併症を起こしていない事

などが多いようですね。

2.身体検査があります

当然ですが、代理母になれるかどうか、身体的及び精神的な面で健康診断を受けなければいけません。場合によっては、胎児にリスクのある風疹や水痘などの疾患を予防するためのワクチン接種が必要になることもあります。

検査に関しては、代理母として妊娠した後にも、遺伝子のスクリーニングをはじめとした各種の検査を受ける事もあります。これは、代理出産のサービスを利用する人からのリクエストによって異なります。

代理母になれる条件を満たしていると判断されれば、いよいよ代理出産を斡旋する仲介業者と契約を結ぶことになります。

3.カウンセリングが必要です

代理母になりたい人の中には、ただ妊娠して出産するだけで年収ほどの金額をもらえるだけでなく、妊娠中の食事なども提供してもらえることでラッキー、なんて軽く考えている人がいるものです。

しかし代理母は、お腹の中で育てた胎児を出産しても、自分の子供として育てることはできません。そのつらさは経験したことがない人にしか分からないものですが、そうした心理面について、あらかじめカウンセリングを受ける必要があります。

4.妊娠に向けた準備

代理母は、代理出産を希望する人とのマッチングよりも前から、ビタミン剤を服用してスタンバイします。これは、いつでも代理母として契約できるように体を準備するための作業です。

代理母の側で準備完了となれば、いよいよ代理出産を希望する人とマッチングをしてもらうことができます。

マッチングが成立したら、まず最初に法的な契約を締結します。アメリカの中には、少数ではあるものの代理出産を認めていない州もあります。その州で代理母となることは、州法によって禁止されています。

仲介業者を利用する際には問題ありませんが、もしも家族や友人のために業者を通さず代理母になろうと考えている場合でも、契約書の締結では、弁護士に作成してもらうのがベストです。その理由は、代理出産ではいろいろな問題が後から起こる可能性があるからですね。

契約書の中では、

  • 代理母が受け取る報酬の金額
  • 妊娠中、出産時、退院までの医療費は誰が支払うのか
  • 妊娠中に予期せぬトラブルが起こった場合、子どもの親権はどうするのか
  • もしも双子や三つ子が生まれたら、親権はどうなるのか
  • 流産したらどうするのか
  • 代理母もしくはクライアントが中絶を希望したらどうなるのか
  • 妊娠中のマタニティ服や食事に関するケア
  • 出生後の子供の引き渡し方

など、細かく決めていきます。

契約を締結したら、いよいよ妊娠です。

5.妊娠は不妊治療クリニックでの受精処置

妊娠に向けて、ビタミン剤を服用したりと言った準備はあるものの、実際の妊娠は人工授精もしくは体外受精で行います。不妊治療を行うクリニックで処置してもらうのが一般的です。

受精の前に、代理母が妊娠していないかどうかを確認する検査も行います。

6.代理母の役割は出産まで

妊娠期間中には、代理出産を依頼した人とコミュニケーションをとる機会が多く、人間関係を築く代理母もいます。

しかし覚えておきましょう。代理母は、出産しても母親になることはできません。家族や友人のために代理母になるのなら、出産した後にも赤ちゃんの成長を見ることが可能かもしれません。しかし多くの場合には、できません。

妊娠前に締結した契約書では、出産後にいつどこで赤ちゃんを両親へ引き渡すかという点についても明記されています。多くの場合、出産直後に赤ちゃんを抱いてしまうと愛情がわくという理由で、代理母は出産した赤ちゃんを抱くことなくお務めが終了となることもあります。

アメリカの代理出産事情

アメリカは、世界でも数少ない「代理出産が認められている国」です。代理出産に関する連邦法はないため、代理出産が合法かどうか、その条件やルールなどに関しては、州ごとに異なります。50州のうち、ビジネスとして代理出産母になってはいけないと規定している州は3州のみで、大半は代理出産に対して良心的な法律が整備されています。

目次

  1. 代理出産は誰が利用できる?
  2. 代理母はどうやって見つける?
  3. かかる費用はどのぐらい?
  4. 健康保険は適用されるのか?
  5. 出産後の出生証明にも注意が必要
  6. 代理母は赤ちゃんをキープできる?

1.代理出産は誰が利用できる?

代理出産は、子供が欲しいけれど授からない夫婦だけでなく、多様化するパートナーシップの中で、多くの人が利用できるシステムとなっています。

  • 結婚している夫婦
  • LGBTQのカップル
  • パートナーは不要だけど子供は欲しいという人

必ずしも父親と母親がそろっている家庭でなければ利用できない、というわけではありません。

2.代理母はどうやって見つける?

代理母は、自身の家族や友人にお願いすることもできますし、マッチングサイトや代理店を利用して知らない人へ依頼することもできます。どちらもメリットとデメリットがあるので、理解した上で自分と生まれてくる赤ちゃんにとってベストな方法を選ぶのがおすすめです。

代理母を紹介している業者の多くは、代理母に様々な条件を課して審査しています。犯罪歴がない代理母であることは大前提ですが、その他にも喫煙や飲酒をしない人、肥満ではない人など、できるだけ健康な赤ちゃんが生まれるような最大限の配慮がされています。

3.かかる費用はどのぐらい?

代理出産をサービスとして利用する場合、かかる費用の目安は、7万ドル(1,050万円)~20万ドル(3,000万円)程度がかかります。この費用に何が含まれているかというと、

  • 体外受精もしくは卵子提供の費用
  • 代理母への報酬
  • 斡旋業者への仲介手数料
  • 弁護士費用(自分のため、代理母のために合計2人)
  • 医療費(健康保険を使った場合)
  • 妊婦機の代理母への食事提供費用
  • 自身の交通費
  • 代理母へのマタニティ服

4.健康保険は適用されるのか?

代理出産に対して健康保険が適用されるかどうかは、代理母が加入している健康保険によって異なります。もしも代理母が健康保険に加入していない場合には、加入するためにかかる費用なども含めて、費用負担は代理出産を依頼する側となります。

保険商品には、代理出産保険なるものもあります。加入にかかる費用は$25,000~$30,000と高額ですが、万が一に備えて加入するのが安心かもしれませんね。詳しくは、弁護士から説明を受けることをおすすめします。

5.出産後の出生証明にも注意が必要

代理出産に関するルールや法律は、州によって異なります。例えば、赤ちゃんが生まれた際の出生届に関しても、

  • 依頼主が父親と母親として出生証明を提出できる
  • 代理母の子として出生証明を発行した上で養子縁組の手続き

など、州によって対応が異なります。もしも代理出産のサービスを利用することを検討していて、州をある程度自由に選べるのなら、そうした点も考慮するのが良いかもしれませんね。

6.代理母は赤ちゃんをキープできる?

代理母は、お腹の中で9カ月の間、胎児を育てます。その期間には、子どもに対して愛着がわくこともあるでしょう。しかし基本的には、代理母はどんなに切望しても、残念ながら生まれてきた赤ちゃんをキープすることはできません。

残念ながら、それが代理出産の契約だからです。

代理出産に関しては、倫理的な問題なども含めて賛否両論ですが、選択肢が多く提供されている点では、さすが自由の国アメリカだと思います。