クレジットレポートとヒストリー、FICOスコアって何?

アメリカで生活していると、よくクレジットヒストリー(Credit History)とかクレジットスコア(Credit Score)という言葉を目にします。クレジットヒストリーとクレジットスコアは、クレジットレポートで確認できます。

これは、日本で言うなら、独立した機関が管理している顧客信用情報、と言ったところでしょうか。アメリカでは、この情報は自分本人が確認できる仕組みとなっています。

目次

  1. クレジットヒストリーとは?
  2. クレジットヒストリーは誰が管理している?
  3. クレジットスコアとは?
  4. クレジットスコアに影響する要素
  5. クレジットスコアの目安はどのぐらい?
  6. レジットスコアを下げる要因
  7. クレジットスコアをあげる方法
  8. 無料でクレジットヒストリーをチェックする方法

1.クレジットヒストリーとは?

クレジットヒストリーとは、アメリカ国内におけるその人の信用度を表したものです。分かりやすく言うと、自分がどこからいくら借りていて、返済状況は遅延がないか、と言ったお金に関する情報が管理されている履歴のことですね。

クレジットヒストリーに記載される内容は、

  • 個人情報(名前、住所、勤務先、ソーシャルセキュリティ番号、通称)
  • クレジットカードの借入額と残高、返済状況
  • ローンの返済状況

です。

このクレジットヒストリーが何に使われるかというと、「その人にお金を貸しても返してくれるかな?」という信用度を判断する材料として使われます。例えば、

  • クレジットカードやローンの申し込みをした時
  • 自動車や不動産を購入する時
  • アパートを借りる時
  • 携帯電話を申し込む時

などが挙げられます。

2.クレジットヒストリーは誰が管理している?

TransUnion
Experian
EquiFax

クレジットヒストリーは、各金融機関が管理しているわけではありません。独立した個人信用調査機関(Credit Bureau)と呼ばれる管理機関がアメリカに3つあります。

各金融機関は毎月そこへ、利用者の返済状況などの情報を更新しています。どの機関でも、管理している情報は同じなのですが、時として、金融機関から最新の情報が更新されていなかったり、間違った情報が記録されているというトラブルがあります(少ないですけれど)。そんな時には、各機関に「これ、間違ってます」とレポートすると、調査をして正確な記録へと修正してもらえます。

自分自身のクレジットヒストリーをチェックするためには、これらの機関のホームページから簡単に申請できます。オンラインで申請すると、本人確認のために、過去に住んでいた住所とか、過去に乗っていた車のモデルなど、いくつかの質問をされて、全て答えると、その場でオンラインでクレジットヒストリーを閲覧できます。

相互連携はナシ

この3つの機関は、お互いにデータを共有しているというわけではなさそうです。私はこれまで、3つの機関から何回もクレジットレポートを取り寄せていますが、1つの機関だけ記載ミスがあるとか、収集しているデータが若干違うなど、違いはあります。

もしもクレジットレポートに誤記を見つけたら、誤った情報が記載されている管理機関すべてに個別に連絡することをおすすめします。TransUnionへ連絡しても、それがEquiFaxやExperian へ反映されるわけではないです。

3.クレジットスコアとは?

クレジットスコアとは、クレジットヒストリーの情報を元に、その人の信用度合いを数値化したものです。このクレジットスコアは、FICOスコアとも呼ばれていて、最低は300点、最高は850点tなっています。

数値が高いほど、その人は信用できる人とみなされて、銀行でローンを借りる際には低い金利で借りることができます。例えば、同じ金融機関で同じ金額のローンを申し込んでも、クレジットスコアが800点の人なら、金利は2.9%だけれど、クレジットスコアが500点の人は金利が10%になってしまう、なんてことも十分に起こりえます。金利が大きく変わることで、毎月の返済額も影響しますから、毎日の生活にも大きな影響が出ますよね。

その他にも、クレジットスコアが低いとスマホの契約ができなかったり、契約する際には高額な保証金を要求されることもあります。また、就職や転職の際にもクレジットスコアがチェックされ、スコアが低い人はおカネを取り扱う仕事にはつけない、なんて悲劇もあるかもしれません。

各機関でスコアは若干変わる

上記の各機関では、それぞれ独自にスコアを計算しています。スコアが大きく変わることはありませんが、こちらのスコアは800で、別の機関だと780ということは、珍しくありません。この20のスコア差が、実際の審査などにどれだけの影響を及ぼすかという点ですが、ほとんどありません。

金融機関は、ザックリとした信用度をチェックしたいだけなので、スコアが780だとイマイチで、800ならサイコーとは見ていません。それに、TransUnionのスコアが800なのに、EquifFaxのスコアが600なんてことはないので、安心してくださいね。

最初は700以下からのスタート

クレジットは、誰でも例外なく、まっさらな状態からのスタートです。それは、渡米直後の人でも、アメリカ人で高校や大学を卒業して社会人になったばかりの人も同じです。自分の名義でローンやカードを持った経験がなければ、クレジットレポートに記載される要素がないため、FICOスコアはどうしても低くなってしまいます。

ちなみに、先日私の息子が、生まれて初めてアパートの契約をする際に、クレジットレポートを取り寄せました。息子は学生だったため、自身の名義でクレジットカードやローンは一切なく、FICOスコアには全く影響しない銀行のデビットカードを使っていました。

最初に取り寄せたFICOスコアは、なんと700以下。その理由として、「ヒストリーがありません」と記載されていました。

この場合、理由が明確なので、スコアが悪くてもそれほど大きな影響はありません。今後、ローンやカードを利用することによって少しずつスコアは上がると思います。

4.クレジットスコアに影響する要素

クレジットスコアに影響を与える要素は、複数あります。

  1. 返済履歴(Payment History)
  2. 借入残高(Amount Owed)
  3. 信用履歴の期間(Length of Credit History)
  4. 新規借り入れ(New Credit)
  5. 借り入れの種類(Credit mix)

1.返済履歴

返済履歴というのは、クレジットカードやローンの支払いを、毎月きっちり返済しているかどうかという点が採点されます。過去数年分に渡って、1ヶ月ごとに「OK」「遅れ」などが記載されていて、過去に返済遅延があると、それもしっかりと具体的にいつ遅れたかというところまで分かります。

返済履歴がクレジットスコアに与える影響は、全体の35%と、かなり多めです。つまり、クレジットスコアを少しでも高くしたければ、毎月の返済は遅れるべからず、ということですね。

2.借入残高

借入残高は、クレジットカードやローンの借り入れ上限額に対して、いくらまで借りているかという点が採点されます。住宅ローンや自動車ローンでは、上限額は借りる額と一致するので、この項目には関係ありません。しかしクレジットカードの場合には、借りられる最高上限額が最初に設定されますよね。

例えば、上限額は1万ドルだとしましょう。その中で実際にクレジットカードで借りている残高が5000ドルだとすると、借りている割合は50%となります。

クレジットスコアの評価では、一つ一つのクレジットカードごとの借り入れ率に加えて、全体の借り入れ率も考慮されます。複数のクレジットカードを持っている人は、持っているカード全部の上限額を合計したものと、実際に借りている残高の合計額から、借り入れ率が計算されます。

クレジットスコアを高くするためには、この借り入れ率は30%以下が理想的です。50%を超えてしまうと、クレジットスコアは800を超えることが難しくなるので、注意してくださいね。

3.信用履歴の期間

これは、クレジットカードをどのぐらいの期間持っているかという点が採点されます。先月クレジットカードを作ったばかりという人よりも、10年前から同じクレジットカードをずっと使い続けているという人の方が、クレジットスコアは高評価となります。

4.新規の借り入れ

新規の借り入れは、直近3ヶ月ぐらいの期間で、どのぐらい新しい借り入れをしたかという点が採点されます。短期間にたくさんのクレジットカードを作ったり、ローンを組んでいると、返済状況に問題がなくても、クレジットスコアは下がります。

クレジットカードは、新しいカードを作る時にスコアに影響します。1枚だけ新規に作る場合でも、若干の影響はあるみたいですね。

5.借入の種類

借り入れの種類というのは、借りているのがローンなのかクレジットカードなのか、という点が採点されます。一般的に、生活する上では必要不可欠と言われている住宅ローンや自動車ローン、また教育ローンなどについては、クレジットスコアに大きな影響を与えることはありません。(返済が遅れていなければ、という条件つきですが)

しかし、クレジットカードやストアカードなどは、なくても十分に生活できる「ぜいたく品」のようなカテゴリーとなるので、クレジットカードによる借り入れが多いと、クレジットスコアは低くなってしまいます。

5.クレジットスコアの目安はどのぐらい?

クレジットスコアは、高ければ高いほどよく、低ければ金融商品を利用する際に不利になります。

点数評価
760-850EXCELLENT
725-759VERY GOOD
660-724GOOD
560-659FAIR
280-559POOR
FICOスコアの目安

ちなみに、アメリカ人の平均的なスコアは、680-700点ぐらいと言われています。もちろん、平均なら超低金利を適用してくれるというわけではありません。平均的なスコアだと、金融機関で貸してもらえる金利は「もう少し何とかなりませんかね?」ぐらいかもしれません。

6.クレジットスコアを下げる要因

クレジットスコアを下げる要因は、たくさんあります。一つ一つを理解しておくことは大切ですが、気にしすぎると生活ができなくなってしまうので、あくまでも念頭に入れておく程度にとどめておきましょう。

  • ローンやクレジットカードの返済遅延
  • クレジットカードの利用限度額まで使ってしまう
  • 短期間に複数のクレジットカードに申し込む
  • クレジットカードを解約する
  • 自己破産や債務整理、差し押さえをする

などが挙げられます。その中でも最も簡単に予防できるのは、返済遅延ですね。また、クレジットスコアに対して最も大きな影響を与えるのは、自己破産や差し押さえなどです。

7.クレジットスコアをあげる方法

クレジットスコアをあげる方法も、たくさんあります。

  • クレジットカードやローンの返済は、期日内にしっかり行う
  • クレジットカードは借り過ぎない。利用限度額の30%以内に抑えるのが理想的。
  • 短期間に複数のクレジットカードを申し込まない
  • あちこちのローンやクレジットカードに申し込むことは避ける
  • クレジットカードを作ったら、できるだけ長期間持ち続ける

クレジットカードは、少ない数を長く使うというスタンスがベストです。予備のカードのつもりで複数枚を持っていても、全く使わないのではカード会社から強制的に解約されてしまいます。また、カードを持っているだけで全く使わなければ、クレジットスコアにプラスの影響もありません。そのため、カードを作ったら、少額を使ってすぐに支払う、というスタンスが良いでしょう。

8.無料でクレジットヒストリーをチェックする方法

アメリカに住んでいる人なら、年に1度、TransUnion、Experian、Equifaxから無料でクレジットヒストリーを取り寄せることができます。

のサイトを利用すると、年に1回、それぞれの機関から無料でクレジットヒストリーをゲットできます。クレジットスコアに関しては無料ではありませんが、$15ぐらいでクレジットスコアもクレジットヒストリーと共にゲットできます。かかる費用がリーズナブルなので、たまにチェックしても良いかもしれませんね。