アメリカの大学入試完全マニュアル!出願から入学まで!

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日本の大学へ入学したければ、受験勉強をして入学試験を受け、合格しなければいけませんよね。近年では、AO入試と呼ばれるスタイルが増えていて、入試試験1発で合否が決まるのではなく、高校時代に頑張ってきたことや特技などが評価されて大学入学が認められる傾向が増えています。

アメリカの大学では、日本のように受験日が決められていて、その日に受ける入試問題の結果だけで合否が決まるというわけではありません。これからアメリカの大学へ留学しようと考えている人、もしくは既にアメリカに移住して子育てをしている人は、ぜひアメリカの大学入試の仕組みを理解することで、賢い選択ができるのではないでしょうか。

目次

  1. アメリカの大学の種類
    • Selectiveの入学条件
    • Competitiveの入学条件
    • Open型は社会人にもオススメ
  2. 大学の共通試験、SATとACTとは?
    • SATとACT、どこでいつ受験できるの?
    • SATとACTはどう違うの?
    • SATとACTは無料?それとも有料?
  3. 日本からでもSATとACTは受験できる?
  4. 試験だけじゃない!入学選抜に必要なもの
    • 高校の成績
    • 教師からの推薦状(Recommendation Letter)
    • Resume(履歴書)
    • Essay(エッセイ)
  5. 願書はいつから受付開始
    • 出願の締め切りはいつ?
    • Common Applicationを使用する際の注意点
  6. 合格発表はいつわかるの?
  7. Early Decision, Early Action, Regular Decisionの違いとは?
    • Early Decisionは断れるのか?
  8. 複数から合格通知をもらった!どうする?

1.アメリカの大学の種類

アメリカには、大学と言ってもいくつかの種類があります。公立の大学と私立の大学がある点では日本と同じですが、公立の大学の場合には、国立ではなく州立、つまり州の資金で運営されているという点が、日本と異なりますね。

  • Selective(大学が定める基準を満たした人が入学できるタイプ。州立大学はここに分類)
  • Competitive(競争型。有名私立大学が該当し、高いレベルの入学希望者を、いくつかの方法で振り分ける)
  • Open(開放型。基本的に高校を卒業していれば誰でも入学ができる。2年制のコミュニティカレッジはここに分類)

Selectiveの入学条件

アメリカの高校生が「大学」と呼ぶ教育機関の多くは、このSelectiveと呼ばれるスタイルを採用していて、州立の大学を始め、私立大学などが含まれます。満たさなければいけない条件は複数あり、

  • 高校を卒業していること
  • 高校時代の成績
  • SATやACTなどの共通試験のスコア

など、高校ごとに異なるレベルを定めており、これをクリアした学生が入学できる仕組みとなっています。

Competitiveの入学条件

アイビーリーグなどに代表される、一流難関の私立大学がCompetitiveに分類されますが、基本的にはSelectiveの入学形式と同じです。ただし、大学側が求める基準がとても高いため、合格率は1ケタ台という特徴があります。

Open型は社会人にもオススメ

コミュニティカレッジと呼ばれる2年制の大学の多くは、4年制の大学ほど厳しい入学基準を設けておらず、高校を卒業していれば誰でも入学できるシステムとなっている所が多いです。高校を卒業したばかりの若者が入学できるだけでなく、社会人になってからでも入学しやすいですし、学費もリーズナブルです。

2.大学入試SATとACTとは?

アメリカの大学には、日本のような入学試験はありません。しかし、全く試験を受けずに入学できるのかと言えば、そういうわけでもありません。

アメリカの多くの大学では、学力のレベルを把握するためのStanderized Test (共通試験)として、SATもしくはACTを受験し、そのスコアを大学側へ提出することを義務付けています。

SATの申し込みはこちらから

ACTの申し込みはこちらから

SATとACT、どこでいつ受験できるの?

SATとACTは、高校と大学から独立した機関が提供している標準テストです。それぞれ、年間に複数回開催されていて、何回でも受験することができます。標準テストということで、似たような問題が出題されることもあります。そのため、1回しか受験しない人よりも、何回か受験したほうがスコアは良くなる傾向があるようですね。

SATとACTは、通学している高校で申し込みができることもあれば、高校は一切関知せず、自分でネットを使って申込まなければいけないこともあります。州によって違うというよりは、ISDと呼ばれる学区ごとに方針が異なるようです。どちらの申し込み方法でも、受験する場所が異なるだけで試験の内容が変わるということはありません。

SATもACTも、全国で一斉に開催され、同じ受験日なら受ける試験の内容も同じです。共通試験と呼ばれているのは、そのためですね。ただし、年間に何回も開催されているため、試験ごとの難易度は若干変わります。この辺りは、スコアを計算する際に考慮されており、「難しすぎてダメだった」と思っていたら、想像以上によいスコアだったということもあります。

SATとACTはどう違うの?

SATとACTでは、試験の出題傾向やスタイルが若干異なります。一般には、理系に強い人ならACTの方が適している、なんて言われていますが、どちらの試験が自分に合っているか相性もあるので、どちらも受けてスコアを比較すると良いでしょう。

SATとACTは無料?それとも有料?

SATとACTは、基本的に有料です。

SATの場合には、受験する度に$49.50~$64.50がかかり、受験科目の数によって費用は変わります。日本からの留学生の場合には、費用は$53と定められています。

SATの受験料はこちらから

ACTも受験科目によって費用はことなり、$55~$70がかかります。

ACTの受験料はこちらから

なお、SATもACTも、低所得世帯の場合には、受験費用がかからず無料で受けられるWaiverの制度もあります。留学生の場合には受験料を免除してもらうことは難しいですが、アメリカの高校に通っている子供なら、ランチプログラムの料金が免除されているなどの条件を満たせば、受験料はかかりません。

3.日本からでもSATやACTは受験できる?

日本からアメリカの大学へ留学を考えている人は、日本にいながらSATを受験することができます。日本で受験する場合でも、申し込み方法はアメリカ国内にいる学生と同じで、Collegeboard.orgから行います。

ただし日本で受験する場合には、アメリカ国内のように毎月受験できるというわけではなく、どうしても頻度は少なくなってしまいます。そのため、留学したいなと考えたら、まずは腕試しのつもりでSATを受けてみてはいかがでしょうか?時間に余裕があれば、何回か受験してスコアをアップすることもできますよね。

4.試験だけじゃない!入学選抜に必要なもの

アメリカの大学は、難易度が高い大学になればなるほど、SATやACTのスコアが重視される傾向にあります。しかし、入学選抜に必要なものは、それだけではありません。

高校の成績

高校時代の成績も、アメリカの大学では重視されています。アメリカでは、高校は中学校の延長で、入学の際に入試などはありませんし、自宅から通いやすいエリア内で学区わけがされています。

しかし日本では、難関高校に行けば、そこで良い成績をとることは難しいですよね。そうした点も、日本からの留学生を受け入れている大学では理解しているので、安心してください。

高校の成績に自信がない人は、どうしたら良いのでしょうか?

大学ごとに、基準とするGPA(成績の平均)が設定されていて、そのラインを満たすことが条件となっています。しかし、このGPAは学校や学区によって計算方法が異なります。最高GPAが4.5の学校もあれば、5.0とか6.0が最高という高校もあります。

それに、学校によっても成績のつけ方が異なります。良い成績を取りやすい学校もあれば、採点が厳しい学校もあるわけです。決して一律ではありません。

アメリカの大学では、そうした地域やエリアごとの差についても、ある程度理解しています。そのため、できることは、現在通学している高校で、できるだけ良い成績を取ることを目指すという点ですね。

アメリカの高校に通っている人が今からできることは

  • できるだけハイレベルなクラス(APやPre-AP、Dual Credit、IBなど)を選択する事
  • B+で甘んじるのではなく、Aを目指すこと

です。

チャレンジクラスでBを取るリスクがあるなら、確実にAを取れる基礎クラスの方が良いのかな、と考える人がいます。大学側としては、ハイレベルなクラスに挑戦する姿勢も評価するので、基礎クラスばかりより、ハイレベルなクラスに挑戦する子供の方が、高評価されることが多いです。

教師からの推薦状(Recommendation Letter)

アメリカの大学では、ほとんどの場合、高校時代の教師からの推薦状が必要です。基本的にはどの教科でも良いのですが、大学から高評価されるのは、EnglishかMathの教師からの推薦状です。

この推薦状は、ペーパーで書いてもらったものを郵送で大学へ送ってもOKです。しかし、全米で広く利用されている大学受験のためのサイト The Common Applicationを利用するなら、願書の申請から推薦状の提出まで、全てオンラインでできます。

推薦状が何通必要かは、大学によって異なります。最低でも1通という大学もあれば、3通必要という大学もあります。また、最低1通だけれど多く提出してもOKという大学もあり、その場合には、できるだけ多くの推薦状を提出することで、大学へ入学したい気持ちをアピールできます。

うちの息子の大学受験では、教師からの推薦状を4通取得した他、教師以外の推薦状も受け付けている学校があったので、私と夫からの推薦状も準備しておきました。

書いてくれない先生もいる

推薦状を書くのは、先生の仕事ではありません。あくまでも先生が生徒を応援しようと気持ちがあるからこそ、ボランティアで書いてくれるわけです。

そのため、依頼しても書いてくれない先生は、意外と多いです。驚きですが。

息子に場合にも、書いてくれると言ったのに待てど暮らせど書いてくれない先生とか、書いてくださいとメールを出しても完全スルーな先生もいました。

なので、推薦状を教師に依頼する際には、丁寧に頼むには当然ですが、その先生の授業がとても楽しかったとか、先生のモチベーションを高めるような営業努力も必要かなという気がします。

Resume(履歴書)

大学入試では、Resumeと呼ばれる履歴書も必要です。日本では、履歴書というと既に決められたテンプレートがあり、そこに記入すればよいのですが、アメリカでは基本的にはフリーフォーマットです。そのため、ゼロの状態から自分で作り込んでいきます。

ネットでは、お手本となるような履歴書がたくさん紹介されています。そうしたテンプレートを真似しながら、記載する内容を自分でカスタマイズしていくという方法でも、OKです。ただし、大学受験のためのResumeは、1ページにまとめるのが原則です。

Resumeに何を記入すればよいかという点ですが、主に

  • Header:名前、住所、メールアドレス、連絡先などの情報を記入
  • Objective:どんな性格の人間なのかという点を、2行ぐらいに簡潔にまとめる。
  • Education:高校生なので、高校名と現在のGPAを記入。取得したAPクラスなども記入すると良し。
  • Extra Canicular:クラブ活動や、参加したコンテストなど、学業以外でアピールしたい点を記入
  • Community Service;ボランティアの内容を記入。アメリカの大学ではボランティアが重視されます。

Essay(エッセイ)

アメリカの大学では、エッセイの提出が求められるケースが多いです。Common Applicationを利用して願書申請するなら、Common Application内にエッセイをアップロードし、同じエッセイを全ての大学の願書に使うことができます。

それ以外に、大学ごとにテーマを出題し、それに対して生徒がエッセイを書くという課題もあります。どんなテーマかは大学によりますし、文字数なども大学によって異なります。

エッセイを書く際には、テーマが決められていなければ何を書いてもOKです。しかし、大学から高評価されやすいエッセイは、「困難をいかに乗り越えて成功体験へ結びつけたか」というストーリーですね。もちろん、創作の小説を書くわけではないので、全く実体験に基づかない内容は控えたほうが良いでしょう。しかし、「自分はこんなに素晴らしい人間です」をアピールするよりも「自分は困難を乗り越える力を持っている強い人間です」をアピールしたほうが、評価という点では高くなりやすいですね。

5.願書はいつから受付開始?

アメリカの大学への願書は、8月1日に受付開始となります。多くの大学が使用しているCommon Applicationは、8月1日から受付開始となり、必要な書類がすべてそろっている人なら8月初旬に出願のプロセスを終えることができます。

出願の締め切りはいつ?

出願の締め切りは、出願形態によって異なり、11月中旬もあれば、1月下旬という所もあります。できるだけ早めに出願したほうが、早く合否を知ることができるという点てもおすすめです。

Common Applicationを使用する際の注意点

カリフォルニア州やテキサス州の州立大や、一部の私立大学では、Common Applicationではなく、独自の出願システムを採用している所もあります。しかし、全米を広く見渡すと、やはり大半の大学は、このCommon Applicationを採用しています。

大学への進学を考えたら、まずはこのCommon Applicationにアカウントを作り、大学のリサーチや出願に必要な書類集めを始めることになります。しかしこのCommon Applicationを利用する際には、注意点があります。

それは、8月1日に、それまでのデータがすべてリセットされてしまうという点です。アカウントの基本的なプロフィール情報はリセットされませんが、それまでコツコツ集めた教師からの推薦状や、既にアップロードしたエッセイなどは、全て8月1日でリセットされてしまいます。そのため、早めに準備をしていた人は、再アップロードが必要となりますし、教師からの推薦状も、教師にもう一度サイトへアップロードしてもらうように依頼しなければいけません。

この二度手間を回避するためには、書いたエッセイなどは、ワードファイルなどで保存しておくという方法がおすすめです。大学の多くは、毎年同じテーマのエッセイを出題するので、すでに書いてあれば、後はそれをコピー&ペーストするだけで済みますよね。

6.合格発表はいつ?

日本の大学では、受験日が決まっているだけでなく、合格発表の日も決められていますよね。そのため、合格発表の日になると、ワクワクドキドキしながら、合否を確認することになります。

アメリカの大学でも、合格発表の日が決まっている大学はたくさんあります。その場合には、決められた合格発表の日時に、指定されたホームページへ行くと、Congratulation!という合格通知のレターがあるか、残念でしたと言うレターが届いているので、それを確認するという方法で合否をチェックします。

しかしアメリカの大学の中には、特定の合格発表の日は設けず、出願した人から順番に合否を通知するというシステムを採用している所もたくさんあります。大学が設定する条件をクリアしている人なら、大学側にとっても合格通知を出しやすいわけで、その場合には、出願してからたったの2週間で合格通知を受け取ったということもありますね。

大学に合格すると、大学のパンフレットや入学までの手続プロセスなどの書類が、分厚い郵送で自宅に届けられることになります。ただし、郵送で送られてくる情報は、基本的に大学の受験者用のサイトでも確認できるので、郵送はまだ受け取っていないけれど合格したことは分かっているし、どんな手続きが必要かも知っている、ということはよくあります。

7.Early Decision, Early Action, Regular Decisionの違いとは?

アメリカの大学へ出願する際には、Admissionのタイプを選びます。大きく分類すると、

  • Early Decision
  • Early Action
  • Regular Decision

との3つがあり、出願の際にどのタイプにするかを決めた上で、願書を申請します。

Early DecisionEarly ActionRegular Decision
願書受付開始日8月1日8月1日8月1日
願書受付締め切り11月15日あたり11月15日あたり1月末あたり
合格しても行かないという選択できないできるできる
競争率

表から分かるように、必要な書類が早めに揃った人は、競争率が高くなって合格しづらくなるRegular Decisionではなく、Early Actionを選ぶのがおすすめです。

また、Early DecisionとEarly Actionの違いですが、これはBindingと呼ばれるものが大きく関係しています。

Early Decisionの場合には、合格したらその大学へ行かなければいけない、という条件のもとに出願します。他の大学へ願書を提出するのはOKですが、Early Decisionでの出願は、大学1校しか認められていません。

ちなみに、どの大学へEarly Decisionしたかは、高校のカウンセラーがしっかり管理しています。すべての生徒がEarly Dicisionするわけではありませんが、私の息子がEarly Decisionで出願した時には、数日後に高校のカウンセラーから「受かったら行きます」的なことが書かれたフォームをもらって帰宅しました。そして、そこに署名して提出しました。

多くの場合には、Early Decisionは、第1希望の大学に対して用いるのが一般的です。普通に受験したらハードル高そうだけれど、入学できるならぜひ行きたい!という憧れの大学に対しても、Early Decisionが良いでしょう。

早めに応募して早めに合格発表を頂いていくと、気持ち的に安心できます。early actionなら何校に出願しても良いので、ぜひおすすめです。

我が家では、早めに準備を始め、8月中旬に挑戦校から滑り止めまで、全てに出願しました。周囲と比べて、これはかなり早めでした。

滑り止め校からは9月中旬に合格発表をいただきました。全てEarlyで出したので、クリスマス前には進学先が決まりました。

Early Decisionは断れるのか?

もしもEarly Decisionで受験して合格したけれど、やっぱり行きたくないという場合には、どうなるのでしょうか?

大学によって対応は異なりますが、1年分の学費を払えと請求されるケースもあれば、金銭的なペナルティはゼロというケースもあります。

しかしいずれの場合でも、Early Decisionを蹴ることによって、その年は他の大学には行けないというペナルティがつきます。つまり、他の大学から合格通知を受け取っていても、自動的に浪人決定となってしまいます。

8.複数から合格通知をもらった!どうする?

複数の大学から合格通知を受け取った場合、どの大学へ進学するのかという意思表示をしなければいけません。多くの場合には、大学の受験者用ホームページにアクセスして、そこから入学するかどうかを選択して通知します。

入学しないという意思表示をした場合には、「どの大学へ進学するのですか?」という質問をされることが多いです。この場合には、正直にどこへ進学するのかを記入しましょう。こうした情報は、大学の外に漏れることもなければ、何かの目的で使われることもありません。あくまでも、参考資料や統計を取るために使われるだけです。

投稿者: samuraipassport

こんにちは!アメリカ在住のジャーナリスト兼ライターです。アメリカへの移住から生活まで初心者が知っておきたい情報を発信していきます!アメリカに住んでみたい人や海外に憧れている人にとっても役立つ情報が満載です!

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