私が子供のころ、と言っても昭和ですが、当時は食物アレルギーは全く一般的ではありませんでした。しかし近年では、周囲を見ると多くの人が食物アレルギーを持っているような気がします。これは、日本人の食生活が欧米化したことが大きな原因と言われていますよね。
それでは、もともと欧米的な食生活をしていたアメリカでは、食物アレルギーはどうなのでしょうか?
目次
1.日本とアメリカの食物アレルギー事情
アメリカで食物アレルギーを持っている人の割合は、全体の2%程度です。子供の食物アレルギー率はもう少し高くて、約5%程度なのだそうです。
日本のアレルギー発症率は1%~2%程度と低いので、日本と比べるとアメリカの食物アレルギー発症率はかなり高めと言えますね。
ちなみに、私の息子は、ピーナツアレルギーを持っています。もともと小さいころからピーナツ製品はあまり好きではなかったので食べさせませんでしたが、キンダーに上がる時に食物アレルギー検査をしたところ、ピーナツアレルギーと正式に診断されました。
2.アメリカの学校で禁止されている食材

アメリカでは、クラスの中に食物アレルギーを持っている子がいても、不思議ではありません。そのため、学校で出される給食では、アレルギーを持っている子が多い食材は使わないことが多いです。
アメリカに多い食物アレルギーは、牛乳や卵、魚や小麦などがあるほか、ピーナツや大豆、ナッツ製品、甲殻類などがあります。これらはアメリカ人の食物アレルギーの約90%を占めています。
学校の給食では、生徒全員のアレルギーに対応できるわけではありませんが、ピーナツや甲殻類、ナッツ類など、ニオイが強いアレルゲンはなるべく使わないような献立を作ってくれています。食物アレルギーの中には、ニオイだけでも呼吸ができなくなってしまうほど重度の人もいるため、できる範囲でアレルギー対策をしてくれています。
誕生日パーティやお泊りに行く場合や呼ぶ場合でも、前もって食物アレルギーの有無は確認します。
病院の問診票や、学校へ入学したり健康診断をする問診票には、必ず食物アレルギーを記入する項目が設けられています。クラブ活動でも食物アレルギーを事前に申告しておき、親からの差し入れの際には「ピーナツと小麦を使ったものは避けてください」とか「チームにナッツアレルギーの子がいるので、ナッツは持ってこないように。ニオイがするのも良くないので、子供にナッツを持たせるのもやめてください。」といったお知らせを持って帰ってきたりもします。
食物アレルギーに対しては、どこでもしっかり対応してくれるところが多いですね。
3.アレルギーで死にそうになった話

アメリカでは、年間を通してあちこちでFund Raiserと呼ばれる募金を募るイベントが開催されています。ガールスカウトとかボーイスカウトみたいな組織が行うものもあれば、地域のグループが活動費用を調達するために募金を募っていることもあります。
ただお金をくださいというのではなく、手作りのクッキーなどを1個2ドルなどで販売して、利益を活動資金にするという団体もあります。
息子が小学校低学年の時、スーパーの前でクッキーを売っているオジサンがいました。息子はそれを見て「欲しい」と言うので、私は「ピーナッツ入ってない?」とオジサンに聞きました。するとそのオヤジは涼しい顔で、「入っていない」といったのです。だから1個買いました。
息子が食べると、1分もしないうちに「喉がかゆい」と言い出したのです。そう、アレルギー症状です!ピーナツアレルギーは、アレルギー症状の中でもアナフィラキシーショックを起こしやすいという特徴があります。息子はそれほどアレルギーが強く出るタイプではなかったのですが、よろしくないものを食べると、のどが痒くなるという症状が出ていました。
「ピーナツだ!」
すぐにピンときました。すぐにペットボトルの水を購入して息子に渡して、一気に飲み干せと告げました。もう私の怒りは頂点に達しており、息子を夫に任せ、そのクッキーをもって、先ほどのオヤジの場所まで戻りました。
「これピーナツ入ってるじゃねーか!お前、アタシの息子を殺そうとしてんのか?」
汚いワードなんかは使いませんでしたけれど、オヤジの耳には、私がこんな感じで文句を言ってるように聞こえたと思います。私自身も、怒り心頭の様子を最大限に表現したので、私の気持ちはとてもよく伝わっていたことでしょう。
いいえ、コレは当たり屋的な行為ではありません。
もしかしたら人によっては、大げさかもしれませんが、警察に通報する人もいると思います。もしこれで息子に万一のことがあれば、訴訟案件です。だって、ピーナツが入っているものを「入っていない」と虚偽の情報提供をして、他人の健康と命を脅かしたわけですから。
人が良さそうなオヤジは表情が凍り付き、I’m soryしか言えない状況。
そこに夫と息子が到着しました。オヤジは息子と夫に対して真摯に謝罪をしたことと、息子のアレルギー症状がとりあえず収まったので、この件はこれで良しとしました。でもクッキーに払った2ドルと、水を買った2ドルは返してもらいました。
近年増えている食物アレルギー。もしもアレルギー体質の人は注意したほうが良いです。特に手作りのものを他人に渡す時、もしくは受け取る時には、無料・有料を問わずに気を付けたほうが良いです。特に子供を呼んでプレイデートをする時などは、うっかりアレルゲンを与えてしまったら大変なことになります。
4.アレルギーなのに学ばない人もいる
食物アレルギーは、遺伝だそうです。これは、日本の医者から告げられたことです。現れる度合いは違っても、DNAレベルでアレルギーのポテンシャルを持っているのだそうです。
ピーナツアレルギーの息子は、夫からの遺伝です。夫はそれほど重度のアレルギーではなく、おそらく不耐性のレベルなのだと思います。普段からピーナツが大好きで、自己責任で食べております。
夫の父親、私の義父に当たりますが、彼は重度のピーナツアレルギーで、食べたらNGというレベルです。なのに、ピーナツが大好きなのです。
アレルギーなのだから、食べちゃいけないだろう、とまともな神経の人は思いますよね。しかし、思考回路が普通ではない義父は以前、大好物のピーナツを大量に食べ、なんと救急車で搬送されたことがあったのだとか。
しかも、医者からきつくお叱りを受けて帰宅したにもかかわらず、帰宅直後に「調子が良くなった」と言ってまたピーナツを食べようとしたのだとか。
アメリカには、このように学ばない人もいるようです。