街を運転していると、たまに建設中のアパートを見かけることがあります。引っ越し先を探している人にとっては、新築のアパートなら要チェックだわ、なんて思うかもしれませんが、その多くはSection 8と呼ばれる低所得者向けの住宅だったりもします。
今回は、アメリカで暮らしているとよく耳にするSection 8について調べてみました!
目次
1.Section 8とは?
Section 8とは、アメリカ公的機関の一つであるHUDが運営している低所得者向けの住宅支援を指します。どうしてSection 8という名前がついているのかという由来ですが、もともと1937年に立案された住宅法という法律の中で、Section 8のページに、この低所得者向けの支援が記載されていたことにちなんで、今でもSection 8というニックネームがそのまま使われています。
Section 8は、アパートや一戸建てなどの不動産に対して区分するカテゴリーではありません。政府からの家賃支援を受けることができる低所得者向けのプログラムを意味します。
つまり、「あのアパートはSection 8だね」というのは、そのアパートがSection 8の対象となっている不動産ですよ、という意味です。そのため、住んでいる人は、政府から家賃援助を受けている人が多い傾向にあるという事ですね。
2.Section 8は貸主にもメリットがあるプログラム
Section 8のプログラムを利用すると、低所得者の人は条件を満たせば、一定基準額を政府から毎月家賃補助として受け取ることができます。これは、所得が少ない人にとっては大きなメリットですよね。
実際にいくらの援助を受けられるかについては、その州やエリアなどによって決まっており、ケースバイケースです。
しかしこのプログラムは、実はアパートを借りたい人だけでなく、貸す側の大家にとってもメリットがあるプログラムなのです。だから、Section8向けのアパートを建てる大家が増えているわけですね。
どんなメリットがあるのかというと、
- 地域が定める家賃上限をマックスで大家がもらえる(借主のポケットには入らない)
- 政府が家賃を保証するので、家賃滞納や未納のリスクがない
などがあります。
例えば、ある町のSection 8補助金が、毎月1,000ドルだったとしましょう。もしも大家が設定する家賃が800ドルだったとしたら、HUDはSection 8の補助金として、家賃以上の金額となる毎月1,000ドルを、大家へ支払います。借主は、実質的に家賃ゼロで暮らせるということになるわけですね。
それでは、補助金が1,000ドルのエリアで、家賃が1,200ドルのアパートを借りるとしましょう。補助金は1,000ドルだけなので、200ドル分が不足します。大家は、毎月1,000ドルは政府から直接受け取るので、差額の200ドルを借り主から払ってもらえば良いというわけですね。
3.誰が利用できる?
Section 8は低所得者向けの家賃補助プログラムですが、明確な線引きが規定されていて、これを満たさなければ利用したくても、またいくら生活が苦しくても利用できません。
利用できる条件は、
- 市民やグリーンカードなど、合法的に住んでいる人
- 世帯収入と世帯人数によってPHAが受給資格を判断**
- 家賃が世帯収入の50%を超えない事
- 世帯収入が、地域中央値の80%以下であること。中央値の30%以下なら受給できる可能性は高い。
**住んでいる州のPHA(Puclic Housing Agency)はこちらから
このプログラムは、当たり前ですけれど高い人気があるため、長い待ちリストがあります。受給資格を満たしてSection 8に申請しても、何年もまたなければ受給できないことは珍しくないようですね。
その理由は、予算があるからです。
Section 8についての公式ホームページはこちらから