今回はアメリカにおける人種差別のお話です。差別のことなんて知りたくないという人、アメリカには人種差別がないと信じている人は、読んで不快になるかもしれません。私のブログで一日を台無しにしたくない方は、読まずに退出されることをおすすめします。
アメリカには、さまざまな人種が生活しています。近年では肌の色による明らかな差別は少なくなってきたとはいえ、まだまだいろいろなところに根強く残っています。なぜなら、それがアメリカの歴史だから。
2022年度における人種別の平均年収を見ると、その差がとてもよく分かります。
人種 | Average Income | Median Income | Top 1% Income |
White Non-Hispanic | $75,132 | $52,011 | $460,175 |
Black | $51,394 | $38,800 | $250,001 |
American Indian | $49,159 | $35,000 | $400,000 |
Asian | $83,154 | $60,000 | $461,750 |
Pacific Islander | $58,684 | $42,800 | $351,025 |
平均年収の差は、そのまま経済格差へとつながります。年収が高い人は良い生活ができ、広くてナイスな家に住み、子供にハイレベルな教育を受けさせることができますよね。それに、遺産だってたっぷり残せます。
しかし平均収入が低い世帯では、働けど暮らしが楽にならず、ぢっと手を見る毎日が続くのです。頑張ってもその日の暮らしが精いっぱいで、贅沢は敵だを家訓とする家庭も多いでしょう。
こうした経済格差に、自分の力ではどうすることもできない人種差別的な要素が入っていたとしたら?
それが、アメリカが抱えている闇なのかもしれません。
近年では、人種による格差は少しずつ改善されていて、代わりに経済格差が広がっていると言われています。しかし、経済格差の中にも人種差別的な要素がちりばめられていることはご存じでしょうか?今回は、なぜそんなことが起こるのか、理由を検証してみました。
目次
1.経済状況
人種別の平均年収を見ても分かるように、人種による経済格差は依然として存在しています。経済弱者はどうしても様々な機会を逃してしまいますし、経済的に余裕がある人ならアクセスできるサービスや機関、そして機会にも無縁となってしまうでしょう。
具体的な例をあげますね。
高収入のお仕事は白人が採用されやすい、というデータがあります。このデータから分かることは、白人がマイノリティより優れているという事ではなく、マイノリティは高賃金のお仕事には採用されづらいという事なのです。
不採用でもマイノリティには生活がありますから、何か仕事を見つけなければいけません。そのため、条件を落とした仕事探しをするわけですね。その結果、低賃金のお仕事に集中してしまいます。
そして次に転職する場合にも、経験がないとかスキルがないと言われたり、より確実に採用されるために条件を落としたところへ応募すれば、今度はToo Overqualifiedと言われて拒否られる。残念ながら、そんな悪循環は現在でも多く起こっています。
2.教育レベル
教育に関しては賛否両論で、学校に行かなくても成功者になれると声高に叫ぶ人も一定数います。確かに、そうした少数の例外もあるでしょう。そして多くの場合、そんなことを言うのはかなり高い確率で白人の男性です。
しかし多くの場合には、教育レベルは雇用機会に大きな影響を与えます。だから、教育レベルは低いよりも高いに越したことはありません。マイノリティは特に、です。
昨今のアメリカで経済的な成功を収めているアジア系が多いのは、教育レベルと大きな関係があります。アジア人は全般的に、親に勉強しろと言われれば素直に勉強するし、勤勉な親に育てられて子供も勤勉になる確率が高いのだそうです。その結果、よりレベルの高い大学へ行って高い教育を受け、給料の高い仕事へ採用されるチャンスが上がるわけですね。
またアジア人に医師や弁護士、会計士など資格取得者が多い理由も、社会に出てからの見えない差別に対抗するための策だと考える人はたくさんいます。それが、子供の大学進学率やどこへ進学するかという点にも影響しているのかもしれません。
3.ネットワーク
これは大人になってから感じることが多いものかもしれません。アメリカには、Good Old Boy Systemという言葉があります。一言でいうなら、「白人男性によるコネ」です。
具体的には、採用や昇進の際には、友達や知り合い、どっかの偉い親や親戚が介入してきて「こいつを雇え」とソフトな圧を掛けてくるわけですね。
それだけではありません。例えば同じような条件の候補がいた時、どちらを雇うかは採用者の判断にゆだねられます。
もしも採用担当が特定の思想や価値観を持っていた場合、マイノリティではなく白人を雇う可能性はとても高くなります。
アファーマティブアクションが現在でも必要だというのは、そうした背景があるからですね。
4.そしてまだまだ残っている深層差別
これは、業界や企業、そして採用に関わる様々なレベルの人達によって作り出されている差別意識です。
例えば、企業へ応募する際には、履歴書を最初に送ります。アメリカの履歴書には年齢や人種などの記載はないものの、名前を見れば人種をイメージできるケースは少なくありません。
- Hanako Smith →ジャパニーズかなと予想できる
- John Chang →チャイニーズ系な雰囲気あり
- Alexander Williams →白人っぽい
みたいな感じです。
提出した履歴書の内容がほとんど同じでも、名前からマイノリティの香りが漂う場合には、なんと面接の連絡がもらえるチャンスは50%以下になってしまうのだそうです。
こうした事実を理解しているアメリカ人のマイノリティは、子供に名前を付ける時には人種が分からないようにと配慮をすることも少なくありません。
5.まとめ
いかがでしたか?書いていて少しずつはらわたが煮えくり返ってきたので、この辺にしておきます。ネットで調べればいろいろ出てくるので、興味のある方はぜひチェックしてみて下さいね。