海外在住者のための日本年金受給ガイド

日本で働いた経験がある人は、日本の年金を受給できますが、アメリカ市民権を取得しても受給資格は保たれます。ただし、手続きが面倒で、受給額がソーシャルセキュリティ年金から減額される可能性があります。著者は手間やストレスを考慮し、受給しないと判断しました。

私のように社会人になってから少しでも日本で働いた経験がある人は、日本の年金を受給できる資格があると思います。

この年金、アメリカ市民権を取得して日本国籍を喪失した場合、どうなるのかご存じですか?

もらえるの?もらえないの?

知りたいのは、そこですよね。

結論から言うと、もらえます!

ただし、受給することが必ずしもベストな選択というわけではないので、注意が必要です。

注意1:アメリカで受給する年金から引かれる

アメリカでソーシャルセキュリティ年金を受給しながら、日本の年金機構からも受給することは、可能です。

アメリカ市民権を取得したからといって、日本からの年金を受給できなくなるわけではありません。

しかし、日本から頂く金額は、WEP(Windfall Elimination Provision)というルールに引っかかる可能性が高く、日本から頂く分がソーシャルセキュリティ年金から自動的に差し引かれてしまい、手元に入る金額は変わらない、という謎の現象が起こります。

もらう額が同じなら、わざわざ2カ所からもらわなくてもソーシャルセキュリティ年金だけで良いよね。。。という決断を下す人も少なくありません。

※ここでは触れていませんが、日本の年金とソーシャルセキュリティ年金を一本化する方法もあります。

注意2:配偶者年金でも引かれる可能性が。。

WEPの対象となるのは、自分の収入で計算される年金を、日本からもアメリカのソーシャルセキュリティ年金からも受給しようとする場合です。

私のように、将来の年金は自分の収入ではなくて夫の収入に基づいて配偶者年金として受給する場合には、WEPは対象外となります。

えっ?それなら二重取りができるの??

思わず目が輝いてしまいそうですよね🤣

残念ながら、世の中そんなに甘くないみたいです。

WEPは対象外でも、GPO (Government Pension Offset)という別のルールが適用されて、やはり日本から頂く年金分がソーシャルセキュリティの配偶者年金から勝手に差し引かれる可能性もあります。

ただし、これはケースバイケースで、どれだけ差し引かれるかにも個人差があるので、受給額が多い人は挑戦する価値はあるかもしれません。

GPOの対象になりやすいのはこんな場合

  • 日本で保険料を払っていた年数が長い
  • 保険料の納付が源泉徴収のような天引きだった
  • 厚生年金より基礎年金の割合が大きい(政府からの公的資金だから)

注意3:しかも手続きが面倒すぎる

アメリカで生活していても、アメリカ市民権を取得していても、日本からの年金を受給することはできます。

しかし、手続きがやたら面倒で、手続きを怠るともらえるはずの年金がすぐに停止するらしいので、注意が必要です。

例えば現況届。

これは生存確認の目的で年に1回提出しなければいけません。

ネットではできず、郵送。

年金の受給をスタートしたばかりの時なら、それも問題なくできるでしょう。

しかし、80や90になっても、日本語オンリーで書かれている書類を記入して返送するという作業は、もしかしたら年齢と共にハードルが上がる可能性はありますよね。

注意4:手数料もかかる

手数料もかかります。日本の年金をアメリカで受給する場合、アメリカの銀行まで海外送金してもらうことになりますが、海外送金の手数料や為替手数料がかかります。

1回当たり数千円という額ですが、塵も積もれば山となり、おとなしくソーシャルセキュリティ年金1本にする場合と比べて、受給額は目減りするでしょう。

しかも、海外に住んでいるという理由で書類対応や郵送の手数料がかかれば、そちらも私たちが負担しなければいけません。

注意5:年金の申請と合わせて行うべき手続き

海外で暮らす私たちが日本から年金を受給する際には、どういうわけか勝手に20%以上の所得税が勝手に取られます。

返金して欲しければ確定申告すれば?ということなのでしょうけれど、海外に住んでいてそんなの面倒すぎますよね。。。

この源泉徴収を回避できる方法が、「租税条約に関する届出」を提出することです。

おそらくこれも、ネットでは手続きさせらもらえないので、紙の書類に記入して年金機構へ郵送するのだと思います。

日本年金機構の公式サイトはこちらから

結論:私は多分もらわない。理由は”割に合わない”から。

私は日本でガッツリ働いて納税していた期間は10年未満で、カラ期間などもあり、受給金額はそれほど多くありません。

かかる手数料や手間、うっかり現況届を出さずにいたら年金支給がストップする精神的なストレス、そして受給額の分だけソーシャルセキュリティ年金から引かれるリスク、これらを月額計算した受給できそうな年金額と比較したら、

割に合わない

と判断しました。

あくまでも、受給額がそれほど多くない私の場合ですが。

国籍喪失後のトラブル、どんなケースが考えられる?

アメリカ市民権を取得すると、日本国籍は自動的に喪失します。それが法律です。

でも、日本へ国籍喪失届を出さないと、日本では私たちがアメリカ国籍を取得したことを知るすべがないので、戸籍謄本には何も記載されない状態となってしまいます。

もしも、アメリカ市民権を取得したのに日本へ国籍喪失届を提出せずにいた場合、将来はどんなトラブルになる可能性があるのでしょうか?

国籍喪失届に関する情報はこちらから (リンクは在アメリカ日本国大使館のものですが、各日本総領事館でも手続きできます)

国籍喪失=外国人になる

国籍喪失届を提出してもしなくても、私たちはアメリカ市民権を取得した瞬間に、日本国籍を失います。つまり、記録上はまだ戸籍が残っていたとしても、私たちは「外国人」「元日本人」となってしまいます。

そのため、日本へ3か月以上滞在するのなら、ビザが必要となります。

元日本人でも、関係ありません。必要です。

国籍喪失後の手続きは全て削除

国籍喪失届が出ていないと、役所に管理されている戸籍謄本はそのままの状態です。

そのため、子供が生まれて出生届を提出したり、戸籍を別の場所へ移す転籍をしたりした場合、役所では手続きが受理される可能性は十分にあります。

だって、役所はあなたが日本国籍を喪失した事実を知らないわけですから。

しかし、受理されたからOKというわけではありません。

数年後、家、数十年後に国籍喪失の事実が分かると、役所では過去にさかのぼって記録を訂正します。

そして、日本国籍喪失後に行った手続きの種類によっては、記録が削除される可能性も高いので注意が必要です!

子供の出生届が消えた?

日本国籍を喪失した後に出産し、子供の出生届を日本へ提出したとしましょう。

役所側では、上記の通り、国籍喪失の事実を知らないので、そのまま出生届は受理されるでしょうし、子供は日本国籍を取得し、日本のパスポートを手に入れることができるでしょう。

しかし、後からあなたの日本国籍喪失の事実が発覚したら?

残念ながら、国籍喪失後に提出した子供の日本国籍は削除されてしまいます。

元日本人(つまり外国人)が生んだ子供は、日本国籍を取得できないからです。

持っていたバスポートも無効です。

子供の出生届に関する地獄を経験したくない人はこちらをどうぞ

日本から出禁を言い渡されることもある

しかも、その時に親子で日本に滞在していたとしたら、滞在ビザを持たない外国人が不法に日本に滞在、つまりオーバーステイとして、強制送還される可能性も高いです。

オーバーステイによる強制出国だと、日本から出禁の刑を言い渡される可能性もありますね。一般的には5年から10年の出禁です。

出入国在留管理局はこちらから

そうなると、、、、親の最期にも駆けつけることができません。

国籍喪失後の戸籍手続きは原則的に全て無効

国籍喪失後に提出した戸籍関連の手続きは、例えその場で受理されたとしても、後から戸籍喪失日まで遡って全て無効の扱いとなります。

そのため除籍謄本を請求する際には、国籍を喪失する直前の本籍地から取り寄せなければいけません。

除籍謄本と戸籍謄本の違いとは?

アメリカ市民権を取得しても、戸籍はなくなりません。呼び方が変わって戸籍謄本ではなく除籍謄本となるだけです。ここでは、取得方法や違い、知っておくと便利な豆知識をまとめています。

コロナ禍で増えたのか、それともトランプ政権になってから増えたのかは知りませんが、近年では「アメリカ市民権を取得したけれど、日本国籍の喪失届を出していない」人が、正式に国籍喪失届を提出するケースが増えていると聞きます。

ご存じの方は多いですが、アメリカ市民権を取得した瞬間に、日本の国籍は勝手に喪失します。

国籍喪失届を提出してもいなくても、喪失するわけですけれど、日本側に正式に届出を出さなければ、日本側は知る由がないので、戸籍謄本などには何も記載されません。

それでは、国籍喪失届を提出したら、自分の戸籍はどうなってしまうのでしょうか?

結論から言うと、戸籍はしっかり残ります!

安心してください。これまでの戸籍謄本に「国籍を喪失しました」という一文が追加され、「除籍」の扱いとなります。

でもね、除籍でも役所では150年間は保存してくれるので、私たちが生きている間に困ることはありません!

もしも年金や相続の申請などで戸籍謄本を持ってこいと言われたら、戸籍謄本ではなく除籍謄本を提出すれば良いだけです。

謄本の名前が変わるだけ

除籍謄本と言われると、なんとなく面倒で複雑な感じがしますけれど、書類の呼び方が変わるだけです。

本籍がある役所で発行してもらえるのは、戸籍謄本と同じですね。

発行手数料が、戸籍謄本よりも除籍謄本の方が高い自治体が多くて、戸籍謄本は450円なのに対して、除籍謄本だと750円だったりします。

戸籍謄本でも除籍謄本でも、日本の正式な法的書類として使うことができますし、もしもアメリカ側へ提出するのなら、アポスティーユでもつけておけば問題ありません。

ちょっと豆知識

アメリカの場合、書類にアポスティーユをつけておけば、自分で英訳&宣誓書を添付したものを公的な機関に提出しても、認められるケースが多いです。

国によっては、英訳もライセンスを持ったプロに依頼しなければ有効でないとか、発行されてから有効期限が3か月以内でなければダメ、という厳しいルールとなっている所もあるようです。

アメリカでも、きっと場合によっては発行ホヤホヤな除籍謄本にプロ英訳をつけたものを持ってこい、と言われることがあるのかもしれません。

でも一般市民のルーティン的な手続きの場合には、役所や担当者によってケースバイケースのようですけれど、DIY英訳でもOKなケースが多いと聞きます。

しかも、アポスティーユ自身には有効期限はないので、アポスティーユした除籍謄本を何通か自宅に保管しておき、必要な時に英訳と宣誓書をつけて提出するという事も可能かなと思います。

フリーランス向けのアメリカ税金システム

アメリカの税金システムでは、フリーランスや自営業者は収入から自動的に税金が引かれないため、自己申告方式で税金を納めます。Estimated Taxは収入に基づき四半期ごとに税金を計算し納税する仕組みで、支払いはオンラインで可能です。

アメリカの税金システムは、「稼いだらリアルタイムで払う」システムです。

お給料をいただけば、そこから勝手に、というか自動的に税金が引かれるのは、そのためです。

しかし、仕事の中には自営業やフリーランスのように、収入から税金が引かれることはなく、年始に行うTax Filingまで税金を納める必要がない、なんて事もあります。

しかし!

収入が割と安定してきたら、年末まで待つとペナルティがかかるリスクああるので注意が必要です。

「ちょっと待ってよ、フリーランスの収入って不安定なの。いくら稼ぐか分からないのに、納税のことなんて考えられない」

という人もいそうですよね。

そんなフリーランスや自営業は、4半期ごとに税金を自主的に収めるシステムがあります。例えば1月から3月までに稼いだ収入を元に、税金がいくらかかるかを計算して、4月にその分を納税する、という仕組みで、これはEstimated Taxと呼ばれています。

目次

  1. Estimated Taxは誰が対象?
  2. 税額はどうやって計算すれば良いの?
  3. 税金はどこに払えばよいの?
  4. 払わないとどうなる?

1.Estimated Taxは誰が対象?

これは主に、収入から税金が源泉されていない人が対象です。フリーランスでお仕事をして年始には1099を受け取る人、ネット販売で定期的に収入を得ていて年末年始にはPayPalなどから支払い証明が発行されるような人は、対象になります。

法人化してビジネスを経営している人は、法人税の方も色々ややこしくあるので、別途で調べてくださいね。

2.税額はどうやって計算すれば良いの?

税額の計算は、IRSで計算式が紹介されていますけれど、計算してくれるサイトもありますし、ChatGPTも計算してくれます。はい、無料です。

ちなみに、フリーランスなどは毎月の収入が変動するので、収入に合わせた税額をその都度計算して納税できます。去年たくさん稼いだから今年は稼いでいないのに税金を多く払わなければいけない、なんてことはありません。

ちなみに、四半期ごとに納税期限日があります。

ただし、お給料の中から10%から15%程度を差し引いてコツコツ払いたいという人は、IRSのサイトから自身のペースで払えます。払った後にはConfirmation#が発行されるので、プリントアウト也して保管し、年始におこなうTax Filingでは「Estimated Taxをいくら払いました」と申告すればOKです。

多く払いすぎた分は、そこで返金されます!

Payment PeriodDue Date
January 1 – March 31April 15, 2024
April 1 – May 31June 17, 2024
June 1 – August 31September 16, 2024
September 1 – December 31January 15, 2025

3.税金はどこに払えばよいの?

世の中、とっても便利になりましたよね。Estimated Taxの支払いは、オンラインでできます。大きく分けると

を利用するのが一般的です。

個人フリーランスの納税ぐらいなら、どちらを利用しても無料ですし、どちらを利用しても支払う先はIRSなので、大きな差はありません。

ただし、使い勝手などが若干違うので、比較していました!

IRS Direct PayEFTPS
事前に登録が必要か不要必要
支払日の予約ができるか不可。都度払いのみ可能。365日先まで予約できる。
対応している税金の種類限定的。Estimated Taxや滞納している税金の支払いなどはできる法人税などにも対応
定期的な納税はできるかできないできる
今すぐ払えるか払える。登録が不要なので、サイトへアクセスすればその場で払える。不可。事前の登録作業で1週間程度かかる。
かかる費用無料無料
納税できる上限額$10Mまで上限なし

4.払わないとどうなる?

適切な金額を四半期ごとに納税していないと、IRSからペナルティが課せられる可能性があります。注意しましょう!

デビットカードのOverdraft Fee回避法

アメリカの銀行に口座を開設すると、大半はデビットカードを発行してもらえます。クレジットカードと同じように使えて便利なデビットカードですが、口座残高が低飛行することが多い人にとっては、残高不足になるとチャージされるOverdraft Feeがかさばって、毎月の生活を大きく圧迫するかもしれません。

Overdraftの仕組みについてはこちらから

お金はあるの!お給料も入ってくるの!でも使いすぎてしまうこともあるの!

そんな人は、Overdraft feeを回避する方法がおすすめです。

  1. Saving Accountとリンクさせる
  2. クレジットカードで払う

1.Saving Accountとリンクさせる

Checking Accountにリンクしているデビットカードを使いすぎて残高不足になった場合、容赦なくOverdraft Feeがチャージされます。銀行によって手数料は違いますが、一回あたり、もしくは1日ごとに$10~$25と、決して安くはありません。

それを回避する解決方法の一つに、Saviing Accountとリンクさせる方法があります。Saving Accountに十分な残高が入っていることが条件ですが、これを設定しておけば、Checking Accountの残高が不足したら、不足分を自動的にリンクしているSaviing Accountからトランスファーしてくれるという便利なサービスです。

注意:使いすぎてしまう人は、Saving Accountの残高まで使い切ってしまうリスクがあるので注意してください。

2.クレジットカードで払う

クレジットカード払いにすれば、全てが後払いになるので、銀行残高に関係なく使えますし、Overdraftの心配もありません。

その月に使った分をまとめて支払うのは金額の面で心配という人は、

  • クレジットカードで払う→家に帰ったら同額を銀行口座からカードへ支払う
  • 毎月使いそうな金額を、あらかじめクレジットカードへ払いこむ設定をする

などがおすすめです。

注意:クレジットカードは残高に対して利息が発生するので、毎月完済しなければ、利息によって支払い額が増えます。注意してください。

日本の銀行口座はアメリカに報告する?しない?

アメリカのTax Filing(Tax Returnとも呼ばれている)では、海外から収入があったり、海外に銀行口座を持っている人は、全員ではありませんが、報告しなければいけません。

日本から得た収入は、「海外で稼いだ収入」として報告しなければいけない、というのは、誰でも分かりそうなものです。

しかし、日本に持っている銀行口座の残高についても、実は報告義務がある事はご存じですか?

報告義務があるのは誰?

  • 日本に持っている銀行口座の残高の合計が、年間を通して1回でも$10,000を超えたことがある人

一つの口座の残高が$10,000を超えなければ大丈夫というわけではなく、複数の口座を持っている人は、全部の口座の合計が$10,000を1セントでも越えたら、その年は「海外資産あります」という申告が必要となります。

また、口座の合計が$10,000以上というのは、年間を通して平均ではなく、年末時点の残高というわけでもなく、毎年1月1日~12月31日の間で、1日でもこの金額を超えた時点で、あなたには申告義務が発生します。注意してくださいね!

例外もある

ただし、日本国内に複数ある米軍基地の中にある銀行の残高は、カウントせずにOKです。その理由は、基地の中はアメリカという扱いになるからですね。

申請方法は簡単

お金のことなんだから、申請はTaxと一緒にすればいいよね、と考えている人、注意してください!

海外の銀行口座の申告は、

  • 毎年のTax Filingで Form 8938を提出(アプリやソフトでは自動生成してくれます)
  • FBAR をオンラインで申請 →自分でやらなければいけません

毎年のTaxでしっかり税金を払っているから大丈夫と思っても、FBARは完全に別の手続きで、ターボタックスなどでは対応していません。はい。もう一度言います。自分で別途で申請しなければいけません。

FBARの申請はこちらから

年によって、$10,000を超えるかどうかは変動するので、FBARは毎年、該当する人が申請しなければいけません。

もうやってる?アメリカでできる節税術7選

アメリカでは、会社から源泉されている人も個人事業主も、そしてバイトやパートで収入が少ない人でも、一定レベル以上の収入がある人は全員、年始から始まるTax Filingの時期には確定申告なるものをしなければいけません。

所得税は、収入の金額に応じて計算されますが、工夫することでIRSへ払う税金の金額を減らすこともできます!

ここでは、今すぐに始めることができて難しくないアメリカ版節税術をご紹介しますね。

目次

  1. IRAを最大限に活用しよう
  2. 会社の401Kへはマスト!
  3. 副業を申告すれば経費が使える!
  4. 自営業ならホームオフィスも控除できる!
  5. トラベルも経費です!
  6. 教育費は子供の学費だけじゃない!
  7. 寄付も控除できます
  8. まとめ

1.IRAを最大限に活用しよう

IRAとは、会社とは別に、個人が金融機関に開設できるRetirement用の口座です。

IRAの種類についてはこちらから

高額所得でない世帯なら、Traditional IRAへ預金することで、課税対象所得から預金した分を引いてもらえます。

高額所得世帯でも、1馬力で片方が専業主婦(主夫)なら、無収入の人が収めたTraditional IRA分は満額が課税所得から控除されます。

注意:共働きで高額所得世帯の場合には、TraditionalでもRothでも税金控除の恩恵は期待できません。

2.会社の401Kへはマスト!

多くの企業では、401KのようなRetirement投資サービスが福利厚生としてついています。勤務時間が少ないパートだと加入は難しいかもしれませんが、

もしも加入できるなら、ぜひぜひぜひ、加入しましょう!

401Kへ加入すると、

  • 毎月の給料から引かれる金額が、Traditionalタイプなら課税所得から引かれる
  • Company Mathcingと呼ばれる特典がある。

このCompany Matchingというのは、給料に含まれていない「タダでもらえるお金」です!例えば、Company Matchingが5%なら、あなたのお給料5%までの金額を上限として、あなたが401Kに入れた金額と同額を、会社があなたの401Kへ追加で入金してくれる、という特典です。

3.副業を申告すれば経費が使える!

アメリカでは、副業が禁止されているお仕事は少なく、多くの人はサイドビジネス的に副業収入を得ています。

副業収入は源泉されないので所得税がかかりますが、多種多様な経費が税金控除の対象となるので、活用しない手はありません!

注意:法人化していない副業はSchedule-Cと呼ばれるTaxフォームで申告しますが、監査対象となる確率は高いので、きちんとレシートを保管しておくことをおすすめします。

4.自営業ならホームオフィスも控除できる!

会社員の場合には、残念ながらホームオフィスにかかる経費は控除できません。職場からリモートワークやテレワークの許可が出ていても、残念ながら職場からW-2を発行される従業員だと控除対象外です。

しかし!自営業の人や副業で収入を得ている人なら、ホームオフィスにかかる経費は、控除の対象となります!家賃や光熱費なども、家の中でオフィスとして使っている面積の割合に合わせて経費申告できますし、デスクやPCなど、ビジネスにかかった経費は幅広く経費対象となります!

5.トラベルも経費です!

会社命令の出張で自己負担があった場合、もちろんこれは経費として、税金控除の対象です。

しかし!プライベートで旅行に行った時、万が一のために会社のPCを持っていったら、運悪くバケーション先で仕事をする羽目になった、、Orz、、、なんて時には、仕事をした時間が旅行全体に対してどのぐらいの割合だったかに応じて、プライベートの旅行にかかった費用から控除することができます!

もちろん、5分10分電話した、なんてのはNGでしょう。しかし、3日間の旅行で半日は仕事のミーティングにズーム参加した、なんて時には、仕事をしましたという証拠を保管しておくことをおすすめします。

6.教育費は子供の学費だけじゃない!

子供の高等教育にかかる費用は、全額ではありませんが、税金控除項目になっているので控除できます。

しかし大人の場合でも、仕事のためにセミナーを受けたとか、資格取得のために学校へ通った、なんて時には、Lifetime Learningという控除枠で、控除対象となるチャンスがあります!子供の学費ほど控除枠は大きくありませんが、少しでも税金が減るなら超ラッキーですよね!

7.寄付も控除できます

現金での寄付、古着や家具などのモノを寄付した、という場合にも、一人当たり$300までが税金控除できます。

注意:Standard Deductionではなく、Itemized Deductionした人のみが対象です。

まとめ

税金控除の項目は、たくさんあります。毎年見直されているので、何がどのぐらいまで控除できるかについては若干の変動はありますが、控除できるものは積極的に控除することで、賢い節税対策ができそうですね。

アメリカから日本へ送金したら税務署が来るって本当?

税金のかかり方は、日本とアメリカで若干、いえ、大きく異なります。

  • アメリカ→外国人が海外で作ったお金には原則的に課税しない
  • 日本→自分で稼いだお金じゃなければ原則的に課税

となり、勘違いしているとある日突然、不快な経験をする羽目になりかねません。

アメリカから日本へ送金する際にも、注意が必要です。

自分名義口座(米)→自分名義口座(日)は非課税

アメリカの銀行から日本の銀行へ海外送金する場合、どちらも自分自身の名義なら、原則的には非課税です。

例えば

  • 海外駐在が終わったので、口座の残高を日本の銀行口座へ移す
  • 日本へ旅行や帰省でお金を使いたいので、海外送金をする
  • 日本へ永住帰国するので、アメリカの口座残高を日本の口座へ移す

などが該当するのではないでしょうか。

金額が多ければ、非課税の場合でも税務署が来ます。そして、面接を要求されます。

その場合には、口座間の資金移動だと証明できる書類を提出すれば、問題ありません。

送金側と受取側の口座名義が違うとどうなる?

ここで注意が必要なのは、アメリカ側の口座の名義と、日本側の口座の名義が異なる場合です。

アメリカで長く暮らしている人の中には、日本に銀行口座を持っていないという人もいますよね。そんな時には、親や兄弟の口座を借りて、とりあえずそこにお金を送金し、自身が日本に行ってから引き出す、という作業をする人がいるかもしれません。

これは、注意が必要です。

なぜなら、課税対象になる可能性があるから

日本から海外への送金、そして海外から日本への送金に関しては、税務署は目を光らせています。年間の送金額が100万円を超えると、銀行は税務署へ申告しなければいけませんし、100万円を超えなくても定期的に送金されている場合には、税務署へ通知がいきます。

もしも自分自身がアメリカで暮らしていて、日本で生活する親へ定期的に送金していると、年間の送金額が100万円を超えていなくても、それが親の収入だと見なされて、所得税がかかってしまいます。

しかも多くの場合、税務署は数年後にやってくるので、延滞金や追徴課税などがどんどん上乗せされて、ペナルティが大きくなってしまいます。

家族の口座を借りると贈与税がかかる場合があるので注意

帰省や帰国などで自分が使うお金だけれど、ただお金を移動するためだけに、家族や兄弟から日本の銀行口座を借りて送金するという人もいますよね。この場合にも、贈与と見なされて、贈与税の対象となる可能性があるので要注意です。

もしも自身が日本に口座を持っておらず、どうしても家族や兄弟の銀行口座を借りなければいけない時には、送金額が110万円(贈与税の控除枠)を超えないように注意しましょう。

もしも超えそうな場合には、別の口座に分けて送金するなどして、口座を使わせてくれる家族や兄弟に贈与税がかからないように配慮したほうが良いかもしれません。

口座の名義が同一でも課税対象となるのはこんな時

アメリカ側の口座名義と、日本側の口座名義が同じでも、日本へ送金された金額が課税対象となることもあります。

  • 日本に住み始めてから売却した海外の不動産利益
  • 海外のビジネスで得た収入
  • 海外で持っていた投資が生み出した利益

などが対象です。

もしも永住帰国するタイミングで、アメリカに持っていた不動産を売却しようと考えている人は、売却と帰国のタイミング次第では、不動産を売却して得た利益に税金がかかるかどうかが大きく変わるので、注意してくださいね。

Traditional IRAが税金控除されない?どういうこと?

アメリカの公的な個人年金として知られているIRA。職場で提供している年金積立口座とは完全に別のもので、自身で金融機関にIRA口座を開き、そこに自分自身でコツコツと積み立てるというタイプの金融商品ですね。

このIRAには、Traditional IRAとRoth IRAとがあります。

このうち、Traditional IRAは、そこにお金を入れると、その金額分を課税対象所得から引いてもらえるというメリットがあるため、人気があります。

Traditional IRAとRoth IRAについてはこちらから

しかし、このTraditional IRAには、口座にお金を入金しても非課税にならないことがあります!せっかく税金対策としてTraditional IRAにお金を入れているのに、控除にならなければ意味がないじゃないか!という方のために、今回は、どんな場合に控除にならないのか、またその場合にはどうすれば良いのかをご紹介します。

目次

  1. 高額所得者は要注意
  2. 例外もある
  3. Non-Deductible Contributionの行方

1.高額所得者は要注意

控除されるはずのTraditonal IRAでも、以下の条件を満たすと、部分的に控除されなかったり、まったく控除されない、なんて事態が起こります。

  • 自分もしくは配偶者が、職場の年金プラン(401Kなど)に加入している
  • 所得が高額

詳しくは、↓↓をご覧ください。

Filing status2024 traditional IRA income limitDeduction limit
Single or head of household (and covered by retirement plan at work)$77,000 or less.全額が控除
More than $77,000, but less than $87,000.部分的に控除
$87,000 or more.控除なし
Married filing jointly (and covered by retirement plan at work)$123,000 or less.全額が控除
More than $123,000, but less than $143,000.部分的に控除
$143,000 or more.控除なし
Married filing jointly (spouse covered by retirement plan at work)$230,000 or less.全額が控除
More than $230,000, but less than $240,000.部分的に控除
$240,000 or more.控除なし
Married filing separately (you or spouse covered by retirement plan at work)Less than $10,000.部分的に控除
$10,000 or more.控除なし

2.例外もある

ちなみに、上記の条件を満たしてNon-Deductible扱いになってしまっても、例外的に控除してもらえる場合があります。それは、

配偶者が専業主婦(主夫)の場合

です。

稼いでいる側は、上記の条件を満たすとTraditional IRAへお金を入れても無慈悲に控除ナシの扱いになる可能性はありますが、配偶者が無収入なら、無収入の配偶者がTraditional IRAへ積み立てた金額に関しては、全額が控除されます。

例えば、

夫の収入が$150K、自分は専業主婦、で共に$7,000ずつTraditional IRAへ入れたとしましょう。この時、

夫のContribution分$7,000→控除ナシ

自分のContribusion分$7,000→全額が控除される

となります。

3.Non-Deductible Contributionの行方

もしもTraditional IRAへの積立が、Taxを申告するタイミングで控除されないと知った時、どうすれば良いのでしょうか?

控除されなくても、そのままTraditional IRAに積み立てるという方法もアリです。

しかし、控除されると思っていた積み立てが控除されず、しかもそれがTraditional IRAの場合には、将来いつか引き出す時に税金を払えと言われる可能性があります(もちろん打開策はあります)。

後から面倒な作業や手続きをするのはイヤだな、という人は、Traditional IRAへの積み立てが控除されないと知ったタイミングで、

Roth IRAへ切り替える

という方法がおすすめです。

IRA口座への出し入れは、1月1日~翌年4月15日まで、の期間が設定されています。つまり、税金の申告手続きをしながら、Traditional IRAへ入れたけれど気が変わったのでRoth IRAへ切り替えることも可能です。

Roth IRAに関しては、積み立てる際に税金の控除は一切ありません。しかし、増える利息に対して税金がかかることもなければ、引き出すときにTraditional IRAのように税金を課せられる心配もありません。

この点で、Roth IRAはとても便利ですね。

ま、まさか!?IRSから手紙が来た話

アメリカで最恐なお上と言えば、そうです。泣く子も黙るIRSです。日本語で言うと、国税とか税務署みたいなものですね。

アメリカでは毎年、2月から4月にかけて、Tax Returnと呼ばれる確定申告を行います。日本では、サラリーマンは副業などで収入がなければ、自分で確定申告をする必要はありませんが、アメリカでは、サラリーマンでも会社から発行されたW-2という源泉徴収票的な紙を握りしめ、確定申告の作業を行わなければいけません。

このTax Returnは、国と州に対して別々に申告するわけですが、オンラインでできるケースが大半なので、皆さんオンラインで、自宅からさっと行うわけですね。

そして、何も問題がなければ、数日後~数週間ぐらいで、登録した銀行口座へ多く払いすぎた税金が戻ってくる、という仕組みになっています。

しかし今年度は、なぜか申告してから半年も音沙汰がなく、税金も還付されませんでした。

どうしてだ、どうしてだ、、、と嫌な予感を感じながらも、変に催促して目を付けられたくないというビビりな気持ちもあり、じーっとフリーズした状態で還付を待ち続けていたのです。

そんなある日、なんと、まさか、IRSからお手紙がきたのです。

「あなたの確定申告は、フラグがたちました。つきましては、XXとXXを速やかにIRSまで送ってください。」

という内容でした。

ま、ま、まさか、Auditされたのか?

と思いながら、全てのことを中断し、大至急、送れと言われた書類をIRS様へ返送しました。

実はこのフラグ& Manual Reviewという作業は、Auditの手前にあるプロセスで、Auditとは異なります。

脱税を疑われている場合もあれば、ランダムに抽出されることもありますし、所得に対して納税額が少ないという場合や、無申告の所得をどこかに隠し持っていると疑われている場合にも、抜き打ち的にレビューの対象となるようです。

ネットをググると、書類を返送した後に迅速に税金還付の処理をしてくれれば超ラッキー、そのまま疑惑が濃くなってAuditに突入すれば超悲劇、という情報が出てきました。

Hope for the Best, Prepare for the Worst

の教えに基づき、私は万が一に備えてレシートの整理をし、スキャンし、エクセルにまとめて、次に何かを出せと言われたら速やかに提出できる準備をはじめました。

1週間後、IRS様は満足してくれたらしく、無事に税金の還付が我が家へやってきました。

ちっぽけなオチでごめんね!