アスリート必見!奨学金獲得の戦略

将来はプロになりたい、だからこそ、大学は本場のアメリカへ留学したい!または、大学はスポーツ奨学金で行きたい!と考えているヤングなアスリートは多いのではないでしょうか。アメリカの大学には、さまざまな奨学金制度があり、アスリートももちろん対象となっています。しかし、方法やプロセスは意外とややこしく、「分からない」と思っているうちに受験が終わってしまうことも。

目次

  1. アスリート奨学金(Athletic Scholarship)とは?
  2. アスリート奨学金の獲得方法
  3. 大学のコーチに高校の実績をアピールする方法
  4. ハイライト動画の作り方
  5. スカウトから入学までの流れ
american football playing

1.アスリート奨学金とは?

大学のスポーツチームは、大学の規模によってDivisionに分類されています。

大学の規模アスリート奨学金
Division I (D1)大(大学院を併設するような、数万人規模の学生がいる大学に多いFull Rideのみ
Division 2 (D2)中(学生数が数千人程度の学校に多い)Partial
Division 3 (D3)小(小規模な私立大学が多い)なし

このうち、アスリートという区分で奨学金が支給されるのは、D1とD2のみとなります。D1はアスリート奨学金はFull Ride(全額無料)のみとなっているので、D1のスポーツでスカウトされて入学する学生は、学費も寮費も、教科書代も、全て無料となります。

D2のアスリート奨学金は、Partial、つまり全額無料ではないけれど一部が無料になるというものです。いくら無料になるかはケースバイケースで、半額だけ無料という人もいれば、もう少し少ない学生もいます。

D3については、アスリート奨学金はありません。しかし、D3の大学にもスポーツチームはあり、スカウトによって入部します。アスリートという枠での奨学金はないものの、D3は資金が潤沢な私立大学が多いので、Financial Aidが充実しているとか、施設や設備、サービスにお金をかけてくれているという魅力があります。

2.アスリート奨学金の獲得方法

アスリート奨学金は、大学のコーチからのスカウトによって決まります。例えばD1の場合には、大学ごとにFull Rideの奨学金の枠が100人程度と決まっており、その枠内でしか与えることはできません。規模が大きな大学のスポーツは、試合がテレビ中継されるなど、メディアへの露出も抜群です。そのため、奨学金がなくてもぜひチームに入れてほしいという人は多く、チームに所属しているメンバー全員がアスリート奨学金を受けているというわけではありません。

アスリート奨学金を受けるためには、高校の時に大学のコーチからスカウトしてもらうことが必要です。もちろん、それが唯一の条件というわけではありません。中には、大学へ入学してからWalk-onという形で入部を希望し、才能が認められたらFull Rideの奨学金をコーチからオファーしてもらえる、というケースもあります。

一方、D1のアスリート奨学金は、無慈悲な部分もあります。この奨学金は、入学してから卒業までの全期間を保証するものではなく、毎年、見直しがあります。そのため、大学1年生の時には奨学金をもらえたけれど、2年目にはなくなった、というケースもあります。

アスリート奨学金がなくなったら、学生はどうなるのでしょうか?答えは簡単。学費や寮費の支払義務が発生します。もしも諸事情で支払えないとなると、履修ができずに退学という事態にもなりかねません。

そうならないためには、アスリート奨学金を狙うとはいえ、最悪の場合も念頭に入れて、学費を払える大学を選ぶということも、必要な対策かもしれませんね。

もしケガでスポーツを辞めたら、どうなる?

大学のスポーツは、ケガで退部する人もいれば、プレータイムがあまりないという不満を抱えて退部する人もいます。また、少数派だとは思いますが、コーチからのセクハラや嫌がらせなどで退部するケースも、ちらほらと聞きます。

どのような理由で退部する場合でも、スポーツを辞めたからと言って大学も退学する必要はありません。スポーツをすることを条件に入学しているわけではないので、スポーツの有無と在学資格の有無とは完全に別物です。

3.大学のコーチに高校での実績をアピールする方法

真剣にスポーツをする高校生は、全米に数えきれないほどいます。そして、若い才能が欲しいと考える大学も、全米にたくさんあります。このマッチングは、どのようにして行うのでしょうか?日本からアメリカへスポーツ留学を希望する人はもちろんのこと、アメリカの高校でスポーツで頑張っている人にとっても、これは興味関心がある所だと思います。

おすすめはNCSA

私の息子も、頑張っていたフットボールで大学からスカウトを受けました。プロになるつもりはなかったのですが、大学でもフットボールを頑張りたいという希望もあり、試行錯誤しながらアスリート奨学金のプロセスを研究しました。

アメリカのハイスクールでスポーツをしていて、大学でもスポーツを続けたいという子は、まず最初にNCSAへ登録することがマストです。

NCSAというのは、アメリカの大学と高校生をマッチングするサービスで、全米の大学が利用しています。スポーツごとに分かれていて、データベース化されています。

NCSAのサービスでは、高校1年生から登録ができ、高校在学期間中の試合のハイライトをアップロードできます。それを大学のコーチが見て、ピンと来たら連絡をもらえるという仕組みになっています。

NCSAは、有料のサービスです。料金を払えば、自分が住んでいる地域や州だけでなく、遠く離れた州にある大学から声がかかることもあります。

ちなみにこのNCSAのサービス利用にかかる料金ですが、最低料金だと100ドル程度だと聞いたことがあります。我が家は、見事なセールストークに飲み込まれてしまい、$2500も払いました。最終的にはNCSAで見つけた大学からスカウトを受け、そこへ進学することになったので、元が取れたとは言えますが。

地元のコーチが声をかけてくれることも

アメリカのハイスクールスポーツは、ローカルテレビなどでも放送されます。そのため、地元で活躍するアスリートは、テレビで知名度が高くなり、地元の大学から声がかかることもあります。

ただし、大学側にとっては、生徒が地元にいるからという理由でのスカウトは、基本的にほぼ考えていないことが多いです。地元にたくさんアスリートがいても、その大学が欲しいと思えなければ、声がかかることは残念ながらありません。

チャンスは必ずやってくる

もしも経済的にNCSAへの登録が難しい場合、また地元のコーチに全く声をかけてもらえなくても、あきらめてはいけません。高校のjunior 後の夏休みには、大学が一斉にスカウトに動き始めます。

大学ごとに、公式ページで、リクルート希望者を募ります。既に大学から声をかけてもらっている場合でも、そうでない場合でも、このフォームに記入することで、スカウト希望者への正式なエントリーとみなされます。

ここエントリーシートには、SATやGPAなど学業面での情報に加えて、Hudlのリンクもしくは動画クリップをアップロードできるような内容となっています。コーチはこのシートを見ながら、誰をスカウトすべきかの作戦会議をするわけですね。

遠方の場合には、実際に大学が主催するキャンプへ参加して直接コーチとコミュニケーションを取ることが難しいかもしれません。その時のために、高校時代の試合のハイライトは、自身で動画編集をしてキープしておきましょう。

3.ハイライト動画の作り方

多くのハイスクールでは、試合の様子を録画撮影しています。例えば、私の息子がやっていたフットボールでは、Hudlというソフトがあり、そこにプレーごとに細かい動画として録画されていました。こうしたソフトがない場合には、いつどこで名プレーをするか分かりませんから、親か友人などにお願いして、試合の様子を、全録画してもらうことをおすすめします。

録画する際には、自分のアップではなく、できればフィールドの半分ぐらいが写る距離感がおすすめです。大学のコーチとしては、アスリートの表情を見たいわけではなく、試合全体の様子の中で、そのアスリートがどんなプレーをしたのかという全体像を把握したいのです。

ぜひ大学のコーチに見てもらいたいという動画を見つけたら、次はいよいよ編集です。複数の動画をつなげて1つにまとめるのが基本ですが、

  • 音はナシ。お気に入りのミュージックをBGMにするのはNGです。
  • 動画は長くても2分以内に収める事。大学のコーチは忙しいので、長編を作っても見てもらえません。
  • ベストなプレーを最初に持ってくること。2番目にベストなプレーは2番目に。忙しいコーチは、最初の数プレーを見るだけで、だいたいの学生の才能レベルが分かります。
  • チームスポーツの場合には、自分に〇とか矢印を付けて、どれが自分かを分かりやすく工夫しましょう。背番号だけを伝えても、大勢いる中で見つけることは大変です。

こちらは、私の息子のSophomore/Juniorの頃のハイライト動画です。ご参考までに。

ちなみにNCSAにアップロードするクリップは、このようにまとめたものではなく、一つ一つのプレーごとに異なるアップロード動画となっています。それを、大学のコーチが見てくれるという仕組みですね。

5.スカウトから入学までの流れ

スカウトから入学までの流れを、ザックリと説明しますね。

~ハイスクールJuniorの春

ここまでの時期は、大学のコーチが高校生をスカウトする時期です。声をかけて会話をし、「ぜひうちにおいでよ!」的なセールストークをします。ここでスカウトされても、正式なものではないため、1つの大学に絞る必要はありません。種まきは、多いほど良いのです。

この時期にしておくこと

  • SATを受けてスコアをゲットしておく。
  • とにかくGPAは高く維持する。
  • コーチに見てもらう動画クリップの準備。

ハイスクールJunior4月~5月

大学のコーチから、より詳細なお知らせが入るようになります。

  • 夏に主催するキャンプに参加しないかというお誘い→参加したほうが良いです
  • リクルート希望のためのフォームへの記入を促される →オンラインで自主的に見つけることもできます

この時期にすること

  • 夏のキャンプ計画。移動や宿泊の手配も。
  • 候補になる大学は全て、オンラインでリクルートフォームに記入しておくこと。

JuniorとSeniorの間の夏休み

Campの様子

この時期は、アスリート奨学金を狙う人にとっては、とても忙しい時期となります。まず、進学しようかなと考えている大学が主催するキャンプには、できるだけ時間を作って参加しましょう。中には、飛行機で移動しなければいけない大学もあるかもしれませんが、価値はあると思います。

夏休みに入ると、コーチから学業成績についてチェックが入ります。

  • SATスコア(ACTでも可)
  • Report Card(Juniorまでの成績が掲載されているもの)

大学によっては、文武両立でなければ入学できないこともあり、そこから先のリクルートのプロセスを進めて良いかどうかを、ここでコーチが判断します。

もしも大学が求める学力基準に満たなければ、残念ながらコーチからの連絡はここで途絶えます。

また、大学への出願プロセスは、8月1日に解禁となります。早い人なら8月中に願書を提出し、9月には結果を受け取ることもできます。ちなみに、我が家は8月中旬に全ての書類が揃ったので出願しました。

大学の仕組みや出願方法については、こちらから

SATについてはこちらから

この時期にしておくこと

  • キャンプへの参加
  • 大学へ出願準備。エッセイなどがあり、結構時間がかかります。
  • 高校の先生へ推薦状の依頼

アスリートはEarly Actionが原則

9月に入ると、いよいよ出願が本格化します。出願形態には、Early DecisionやEarly Action、Regular Decisionがありますが、コーチからは、基本的には第1位志望の大学ならEarly Decisionでの出願を勧められます。Early Decisionがない大学では、Early Actionを勧められます。

その理由は、倍率が低いからです。できるだけ合格しやすい条件で出願することで、自分にとってもコーチにとってもウィンウィンとなるわけですね。

コーチは合否に影響がある?

D1は、もしかしたらコーチが学生の合否に多大な影響を及ぼしているかもしれません。しかし、アスリート奨学金がないD3では、コーチは大学の合否には全く影響がありません。

息子は気に入った大学へEarly Decisionで願書を出しました。その大学では合格発表が一斉に行われたのですが、合格発表された時間から15分経った頃に、コーチから結果を知りたいと連絡がありました。おそらくそれで、アスリートを何人確保できたのかをカウントするのだと思います。

以下は、アメリカのハイスクールのフットボールをテーマにした作品です。もちろんフィクションですが、内容がリアルすぎて、ドキュメンタリーやノンフィクションだといわれても、私は信じますね。

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高すぎる大学費用!安くする方法とは?

世界中を見ても、アメリカほど大学の学費が高額な国はありません。高額な私立大学になると、年間の学費が8万ドルを超えるところもあり、4年間通うと、ちょっとした家が1軒建つと言っても過言ではありません。

しかしアメリカには、学費がとてもリーズナブルな、良心的な大学もあります。

目次

  1. 学費が安い州立大学はココ
  2. 学費を安くすることはできる?
  3. 高い学費はどうやって払えばよい?

1.学費が安い大学はココ

既にアメリカで暮らしている人なら、住んでいる州の州立大学をチェックすることから始めると良いでしょう。私立大学よりも学費がリーズナブルな大学が多いですし、中には州内で暮らす生徒には学費を優遇する制度があったりします。

州立大学の場合(IN-State)

大学名ロケーション学費
Bridgewater State Universityマサチューセッツ州$910
Framingham State Universityマサチューセッツ州$970
University of North Carolina at Pembrokeノースカロライナ州$1,000
Elizabeth City State Universityノースカロライナ州$1,000
Dine Collegeアリゾナ州$1,320
Gulf Coast State Collegeフロリダ州$1,750
CollegeCalcより

州立大学では、その州で暮らす生徒が対象となるIn State Tuition の方が、州外からやってくるOut of State Tuitionよりも、圧倒的に安くなります。In State Tuition の対象になるかどうかは、各州によって居住年数などの条件があり、1年その州で暮らせばOKという州もあれば、過去3年暮らせばOKという州もあります。

年間の学費が$1,000程度と驚愕的なレベルでリーズナブルな大学が多いのは、主にマサチューセッツ州ノースカロライナ州です。

このIn State Tuitionは、残念ながら日本からの留学生には適用となりません。もしも州立大学を留学先として選ぶなら、学費はOut of Tuitionの金額を参考にすると良いでしょう。

州立の場合(Out of State)

大学名ロケーション学費
Minot State Universityノースダコタ州$6,810
Alcom State Universityミズーリ州$6,888
Central State Universityオハイオ州$8,096
University of Texas of the Permian Basinテキサス州$8,274
Southwest Minnesota State Universityミネソタ州$8,338

州立大学の中には、州内も州外も学費は一律となっている良心的な大学もあります。その場合には、Out of Stateの学生でもリーズナブルな学費で通えそうです。

私立大学の場合

大学名ロケーション学費
Brigham Young Universityユタ州$6,120
Stillman Collegeアラバマ州$11,025
National Louis Universityイリノイ州$11,325
Tougaloo Collegeミズーリ州$11,398
Wilmington Universityデラウェア州$11,750
Willey Collegeテキサス州$12,500

どこに住んでいようと、州内と州外、そして留学生でも学費に大きな差がないのは、私立大学です。その中でも特に、ユタ州にあるBrigham Young Universityは学費が安いことで人気があります。またこの大学は、モルモン教徒が多く入学する大学としても知られています。日本からの留学生も比較的おおいので、リーズナブルにアメリカ留学したい人にとっては、ぜひ検討したい大学と言えるでしょう。

2.学費を安くすることはできる?

アメリカの大学は、全般的に高額です。自宅のすぐそばにリーズナブルな学費で学びたい専攻のある大学が運よくあればよいのですが、必ずしもそういうわけにはいきません。学びたいことで大学を選んだら、びっくりするほど学費が高くなってしまうということの方が多いのではないでしょうか。

そんな高額すぎるアメリカの大学費用は、いくつかの方法で安くすることができます。

Financial Aid( ファイナンシャルエイド)

アメリカの大学に通うほとんどの生徒は、このファイナンシャルエイド制度を利用しています。これは、親の収入に応じて学費がディスカウントされるという制度で、世帯収入が多い親を持つ生徒ほど、支払うべき学費は高くなります。

学費の事情についてはこちらから

Scholarship(スカラーシップ:奨学金)

これは、秀でた成績優秀者に提供されるもので、基本的には貸与ではなく賞与です。日本の大学で奨学金というと、一般的には貸与で、卒業後には返済義務が生じますよね。しかしアメリカの奨学金は賞与なので、返済の義務はありません。ちなみに返済が必要なものはローンと呼ばれていて、区別しやすくなっています。

奨学金は一般的に、提供する機関から大学へ直接支払われます。そのため、生徒の口座に振り込まれることはありません。

Grant(グラント)

返済不要な賞与タイプの奨学金とよく似ていますが、Grantは、生徒が直接現金で受け取れるタイプの奨学金です。学費のために使うことは義務付けられていますが、授業料(Tuition)に使わなければいけないというルールはなく、寮費や教科書代などに充ててもOKです。

3.高い学費はどうやって払えばよい?

アメリカでの大学費用を支払う方法は、いくつかの選択肢があります。

公的な教育ローンを活用する

まず最初に検討したいのは、Subsidized Loanと呼ばれる公的機関からの教育ローンです。大学院は対象外となりますが、年次によって年間$3,500~$7,500を借り入れることができます。

借り入れ額の上限
大学1年目$5,500/y
大学2年目$6,500/y
大学3年目$7,500/y
大学4年目$7,500/y

Subsidized Loanのメリットは、

  • 民間のローン商品よりも低金利で借りられる
  • 返済方法を選べる
  • 10年間遅延なく返済することで、その後の返済が免除になる可能性アリ
  • 世帯収入に関係なく借りられる(大学経由で申請するため)

です。

民間の教育ローンを借りる

公的な教育ローンだけでは、十分に学費を賄えない場合には、民間の金融機関から提供されている教育ローンを利用することもできます。この場合、親が保証人となれば、低金利で借りられますが、保証人を付けなくても借りることは可能です。ただしその場合には、金利の面で割高となってしまうため、注意しなければいけません。

多くの教育ローンでは、学費や寮費など卒業に必要なコストを100%カバーしています。そのため、あちこちから複数の教育ローンを利用しなければいけない人は少なく、一つのローンでまとまった資金を借りるのが一般的です。

ただし、まとまった金額を借り入れると、低金利の教育ローンでも返済は大変です。借りる際には、返済計画も考え、できるだけ低金利で借りられるローン商品を選ぶことをおすすめします。

親が家を担保にして学費を工面

アメリカでは、所有している家を担保にお金を借りるHome Equity Loanという借り方も多いです。自宅を所有している人だけが利用できる借り方ですが、子供本人に多額のローンを負わせる必要がないという点で人気があります。

また近年では、親が自宅のローンをリファイナンスすることで学費分を捻出するという支払い方法も増えています。自宅の価値が、住宅ローンの残高よりも高ければ、その差額を上限としてリファイナンスの際に現金を引き出すことができます。

FAFSAを使った学費の削減方法

アメリカの大学は、学費が世界1高いと言われています。CollegeBoardの調査によると、アメリカの州立大学では、年間にかかる平均の学費は$22,000(約220万円)とも言われていて、その上昇は現在でも右肩上がりに続いています。

アイビーリーグのような私立名門大学となると、年間にかかる学費は、なんと$70,000~$80,000。日本円にすると、年間で1000万円近くの学費を、4年間も払わなければいけないことになります。

このアメリカの大学にかかる学費は、さまざまな点で日本と大きく異なります。

目次

  1. アメリカの学費は大学によって異なる
  2. 同じ大学でも世帯によって学費は違う?
  3. FAFSAとは?
  4. 我が家のContributionはいくら?
  5. EFC=支払う学費?
  6. EFCが考慮されないケースもある
  7. FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!
  8. FAFSAをファイルするメリットとデメリット
  9. EFCケーススタディ

1.アメリカの学費は大学によって異なる

アメリカの大学は、それぞれ学費は異なります。これは、日本でも同じですね。同じ学部を専攻しても、学費が高い大学もあれば、リーズナブルな大学もあり、それぞれの世帯の懐事情によって、払える大学を選ぶわけです。

これは、アメリカの大学でも同じです。一般的には、州立大学は私立大学よりも学費がリーズナブルだと言われていますが、州立大学なら絶対に安い、なんてことはありません。年間にかかる学費が1万ドル以下のリーズナブルな大学がある一方で、州立なのに年間の学費が3万ドルという大学もあります。

私立は、全般的に学費は高くなります。奨学金などを一切含まない学費だけを見ると、年間の学費が7万ドルという大学も珍しくありませんし、平均すると約4万ドルぐらいになります。これ、4年間にかかる学費ではありません。1年間にかかる学費です。

アメリカの大学は、基本的に全寮制です。しかし、自宅がすぐそばにあり、通学したいと希望すれば、2年目からは通学が認められるケースが少なくありません。学費の計算には、Tuitionと呼ばれる授業料に加え、Room&Boardと呼ばれる寮費と食費などがあります。ザックリとした平均をまとめると、

コミュニティカレッジ州立(In-State)州立(Out of State)私立大
Tuition39万円110万円283万円384万円
Room&Boardなし120万円120万円145万円
年間の合計39万円230万円403万円529万円

となります。

コミュニティカレッジは、2年制の大学で、社会人の受け入れもしています。基本的に寮はなく、自宅から通学するのが一般的です。

州立大学においては、自宅が州内にあるのか州外にあるかによって、学費が大きく変わります。学費を少しでも安く抑えたい場合には、州内にある州立大学を見つけるのが得策です。

私立大学の場合には、州内や州外という要素は、学費においては関係ありません。自宅がすぐそばにある場合には、2年目から通学することによって寮費を節約することは可能ですが、それでも授業料が高いため、全体にかかる学費は高くなります。

2. 同じ大学でも世帯ごとに学費が違う?

アメリカの大学には、日本と異なる大きな特徴があります。それは、同じ大学でも、支払う学費は世帯ごとに大きく違うという点です。

アメリカには、貸与ではなく賞与タイプ(返済不要)な奨学金があります。奨学金を全く利用せずに、年間数万ドルの学費を払う富裕層も、もちろんいますが、庶民を自負する世帯の大半は、奨学金の対象となります。そのため、高額な学費を全額まるまる払う世帯は、それほど多くありません。

実際に学費がいくらになるかという点については、大学から合格通知を受け取る際に、Finaicial Aid Packageとして通知されます。これが、初年度の自己負担分となります。Financial Aid Packageは世帯の収入によって計算されるため、同じ大学に通う生徒でも、学費を年間1万ドル払う生徒もいれば、8万ドル払っているという生徒もいますし、貧困世帯になると学費は年間500ドル、というケースもあります。

実際に自分がいくらのFinancial Aidをもらえるかという点については、毎年10月1日~始まるFAFSAという手続きをすることで、州立大学の場合にはおおよその学費の目安が分かります。

3.FAFSAとは?

FAFSAとは、アメリカに存在する州立・私立の大学すべてが利用しているファイナンシャルエイド制度のことで、US Department of Educationが管理しています。

Free Application for Federal Student Aidを略しています。アメリカ国民を対象とした公的な制度なので、日本からの留学生は、残念ながら対象にはならない可能性が高いですね。

アメリカにある州立および私立の大学で、奨学金制度を利用する際には、かならずFAFSAを事前にファイルしておかなければいけません。この手続きはすべてオンラインで行うのが特徴で、主に世帯の収入や資産についての質問をされます。20分ぐらいに及ぶ質問を終えて情報を送信すると、FAFSA独自の計算に基づいて、EFCという世帯負担額が計算されます。

EFCとは、大学の費用で親が負担してくださいね、という自己負担分のことですね。必ずしも、どの大学でもEFC通りというわけではありませんが、大学ごとに「それなりに」参考にはしてくれるようですね。

FAFSAの記入方法についてはこちらから

FAFSAに影響を与える要素とは?

  • 家族構成(子供が何人いるか)
  • 同時期に大学生となる子供は何人いるか
  • 世帯の収入
  • 住居形態(賃貸か所有か)
  • 住宅ローンの有無
  • 預貯金の額
  • その他の収入
  • 過去に低所得世帯として公的な制度を利用したことがあるか

などがあります。都市伝説では、FAFSAをできるだけ少なくするために、預貯金を親族名義に移し、仕事も止めて無職になる人もいる、なんて話がありますが、実際にそこまでしている人は見たことも聞いたこともありません。それに、FAFSAは毎年ランダムもしくは疑わしい人を調査しており、調査が入ると国税局などと連携して預貯金や収入などが調べられます。そして、虚偽の申請、または悪質なケースと認定されると、その世帯ではFAFSAを利用できなくなってしまいます。

4.我が家のContributionはいくら?

FAFSAをファイルすると、その場でEFCが計算されます。預貯金が多い世帯や、高収入の世帯では、金額が上がるごとにEFCは急激に上昇していきます。

世帯の年間所得EFC
-$35,000$1,871
-$40,000$2,733
-$50,000$4,004
-$60,000$6,015
-$70,000$8,708
-$80,000$12,202
-$90,000$15,697
-$100,000$18,731
-$110,000$21,756
-$150,000$33,967
-$200,000$49,598

表を見ていただくと分かりますが、低所得世帯は、学費もリーズナブルな設定となっています。しかし所得が上がれば上がるほど、学費がどんどん高くなり、年収1000万円を超えるあたりからは、驚くほど急カーブで上昇していきます。

自身のEFCを計算したい人はこちらから

5.EFC=支払う学費?

FAFSAを使ってEFCを計算しても、残念ながらそれが各世帯が負担することになる学費というわけではありません。

Student LoanやWork Studyが加算

大学から送られてくる学費の詳細な計算を見ると、多くの人はびっくりします。なぜなら、EFCの上に、更にStudent LoanやWork Studyなどの項目が加算されていて、自分たちが考えていた 学費より、約100万円程度多くなっていることが多いからです。

Student Loanとは?

Student Loanとは、親が負担する学費とは別に、生徒自身が教育ローンを組みましょうという金額です。大学によって差はありますが、年間当たり4000ドル~5,000ドル程度に設定されていることが多いですね。

この金額は、もしも生徒が教育ローンを申請したら、きっとこのぐらいの金額は認められるでしょうという目安です。Subsidized Loanと呼ばれる公的なローンを利用しても良いですし、民間のローンを利用してもOK。ローンを利用しないという選択をしても問題ありません。

もしも、ローンを利用しないという選択をしたら、このStudent Loanの金額は、そのまま世帯の負担となります。

Work Studyとは?

Work Studyとは、生徒が在学中にキャンパス内でアルバイトをして稼げるであろう金額です。こちらも大学によって多少の誤差はありますが、年間で4000ドル~5000ドル程度が見込まれていることが多いですね。

ただし、Work Studyをするから学費を安くしてもらえるというわけではありません。キャンパスで学生がアルバイトをしても、そのアルバイト代は学生へ直接支払われます。もしも学費に充てるなら、個人的にやってくださいね、という意味です。

また、キャンパス内のアルバイトは、確かにいろいろなお仕事があります。しかし、必ずしもアルバイトできるわけではありませんし、世帯の収入によっては、働きたいけれど働けないという状況にもなりかねません。

6.EFCが考慮されないケースもある

毎年10月にFAFSAをファイルし、ザックリとしたEFCを計算したからと言って、安心してはいけません。大学の多くは、EFCを考慮した学費計算をしてくれますが、必ずしもそうとは限りません。

世帯のEFCが2万ドルなのに、学校からの請求を見たら学費が4万ドルだった!なんてことも珍しくありません。

その背景には、アメリカの教育機関はビジネスである、というシビアな現実があります。

アメリカの大学へ願書を出した場合、大学にとっては「喉から手が出るほど欲しい生徒」がいる一方で「入学は認めたけれど、来ても来なくてもどちらでも良い生徒」もいるわけです。優秀な生徒に対しては、なんとかして来てもらおうと営業努力をし、学費を徹底的に下げてきます。奨学金によって学費が全額免除になるケースもあります。

しかし来ても来なくてもどちらでも良い平均的な生徒なら、そこまでの営業努力をする必要はありません。少しぐらい学費を高めにしても、その生徒が来たいと思えば払うでしょうし、払いたくないから来ないという選択をしても、大学にとってはそれほどの痛手ではないでしょう。

そう。アメリカの大学はビジネスなのです。

7.FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!

FAFSAは、アメリカの大学に在学している期間中は、毎年ファイルしなければいけません。その度に、最新のTax情報を使ってファイルするわけですが、在学期間中には、世帯ごとに様々なライフイベントが起こるかもしれません。

例えば、お父さんが昇進してお給料がアップしたとか、家を購入する際にリタイアメントの貯金を崩して頭金にしたとか、また転勤をした、ということもあります。そうしたライフイベントによって収入が変わると、当然ですがFAFSAによって計算するEFCも変わります。今年の学費は1万ドルだったけれど、来年は2万ドルになる、なんてことも十分に起こりえます。

日本からの留学生の場合には、FAFASは直接影響がありません。そのため、収入がアップしても学費が上がることはないでしょう。なぜなら、もともとFinancial Aidを使わない大学側が提示する金額をそのまま支払っているからです。

しかしアメリカで暮らす人は、世帯のライフイベントによって学費が変わるという点を理解した上で、大学選びをしたいものです。

8.FAFSAをファイルするメリットとデメリット

大学に進学するなら、プロセスの一つとしてFAFSAをファイルする、という世帯は多いものです。しかし、メリットとデメリットを考えたことはありますか?

FAFSAをファイルするメリット

  • 大学の学費を安くできる
  • 公的な教育ローン(Subsidized loan)に申し込める

FAFSAをファイルするデメリット

  • 万が一の有事においては徴兵される
  • 世帯の収入によってはファイルしてもファイナンシャルエイドが対象外
  • 学費負担分がEFC以上になることが多い
  • 州立大学のOut of Stateでは、EFCよりも高額な学費になる

9.EFCケーススタディ

よりファイナンシャルエイドの仕組みを理解しやすくするために、いくつかのケーススタディをご紹介しましょう。

ケース1:大学が提示する学費がEFCより低い場合

  • 大学の学費:年間$10,000
  • 世帯のEFC:$15,000

この場合には、世帯のEFCが大学が定める学費よりも大きいため、学費$10,000を全額支払うことになります。

ケース2:大学が提示する学費がEFCより高い場合

  • 大学の学費 年間$40,000
  • 世帯のEFC $7,000

この場合には、学費の自己負担は$7,000と$40,000の間になりますね。多くの場合、大学が定めるStudent LoanやWork Studyなどの分が上乗せされ、負担する学費は$17,000~$25,000程度が多いのではないでしょうか。

ケース3:In-State$25,000、Out of State$45,000の州立大学の場合

州立大学の中には、州内に自宅がある(親が住んでいる)In-Stateステータスと、州外に自宅があるOut of Stateとで、異なる学費を提示することがあります。この場合、自分がIn-Stateの場合には、負担する学費の上限は$25,000となりますが、Out of Stateになると、上限は$45,000と高くなります。

アメリカの大学費用事情!人によって学費は違うシビアな世界!

アメリカの大学は、学費が世界1高いと言われています。CollegeBoardの調査によると、アメリカの州立大学では、年間にかかる平均の学費は$22,000(約220万円)とも言われていて、その上昇は現在でも右肩上がりに続いています。

アイビーリーグのような私立名門大学となると、年間にかかる学費は、なんと$70,000~$80,000。日本円にすると、年間で1000万円近くの学費を、4年間も払わなければいけないことになります。

このアメリカの大学にかかる学費は、さまざまな点で日本と大きく異なります。

目次

  1. アメリカの学費は大学によって異なる
  2. 同じ大学でも世帯によって学費は違う?
  3. FAFSAとは?
    • FAFSAに影響を与える要素とは?
  4. 我が家のContributionはいくら?
  5. EFC=支払う学費?
    • Student LoanやWork Studyが加算
  6. EFCが考慮されないケースもある
  7. FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!
  8. FAFSAをファイルするメリットとデメリット
  9. EFCケーススタディ

1.アメリカの学費は大学によって異なる

アメリカの大学は、それぞれ学費は異なります。これは、日本でも同じですね。同じ学部を専攻しても、学費が高い大学もあれば、リーズナブルな大学もあり、それぞれの世帯の懐事情によって、払える大学を選ぶわけです。

これは、アメリカの大学でも同じです。一般的には、州立大学は私立大学よりも学費がリーズナブルだと言われていますが、州立大学なら絶対に安い、なんてことはありません。年間にかかる学費が1万ドル以下のリーズナブルな大学がある一方で、州立なのに年間の学費が3万ドルという大学もあります。

私立は、全般的に学費は高くなります。奨学金などを一切含まない学費だけを見ると、年間の学費が7万ドルという大学も珍しくありませんし、平均すると約4万ドルぐらいになります。これ、4年間にかかる学費ではありません。1年間にかかる学費です。

アメリカの大学は、基本的に全寮制です。しかし、自宅がすぐそばにあり、通学したいと希望すれば、2年目からは通学が認められるケースが少なくありません。学費の計算には、Tuitionと呼ばれる授業料に加え、Room&Boardと呼ばれる寮費と食費などがあります。ザックリとした平均をまとめると、

コミュニティカレッジ州立(In-State)州立(Out of State)私立大
Tuition$3,500$10,000$26,000$36,000
Room&Boardなし$12,000$12,000$13,000
年間の合計$3,500$22,000$38,000$49,000

となります。

コミュニティカレッジは、2年制の大学で、社会人の受け入れもしています。基本的に寮はなく、自宅から通学するのが一般的です。

州立大学においては、自宅が州内にあるのか州外にあるかによって、学費が大きく変わります。学費を少しでも安く抑えたい場合には、州内にある州立大学を見つけるのが得策です。

私立大学の場合には、州内や州外という要素は、学費においては関係ありません。自宅がすぐそばにある場合には、2年目から通学することによって寮費を節約することは可能ですが、それでも授業料が高いため、全体にかかる学費は高くなります。

2. 同じ大学でも世帯ごとに学費が違う?

アメリカの大学には、日本と異なる大きな特徴があります。それは、同じ大学でも、支払う学費は世帯ごとに大きく違うという点です。

アメリカには、貸与ではなく賞与タイプ(返済不要)な奨学金があります。奨学金を全く利用せずに、年間数万ドルの学費を払う富裕層も、もちろんいますが、庶民を自負する世帯の大半は、奨学金の対象となります。そのため、高額な学費を全額まるまる払う世帯は、それほど多くありません。

実際に学費がいくらになるかという点については、大学から合格通知を受け取る際に、Finaicial Aid Packageとして通知されます。これが、初年度の自己負担分となります。Financial Aid Packageは世帯の収入によって計算されるため、同じ大学に通う生徒でも、学費を年間1万ドル払う生徒もいれば、8万ドル払っているという生徒もいますし、貧困世帯になると学費は年間500ドル、というケースもあります。

実際に自分がいくらのFinancial Aidをもらえるかという点については、毎年10月1日~始まるFAFSAという手続きをすることで、州立大学の場合にはおおよその学費の目安が分かります。

3.FAFSAとは?

FAFSAとは、アメリカに存在する州立・私立の大学すべてが利用しているファイナンシャルエイド制度のことで、US Department of Educationが管理しています。

Free Application for Federal Student Aidを略しています。アメリカ国民を対象とした公的な制度なので、日本からの留学生は、残念ながら対象にはならない可能性が高いですね。

アメリカにある州立および私立の大学で、奨学金制度を利用する際には、かならずFAFSAを事前にファイルしておかなければいけません。この手続きはすべてオンラインで行うのが特徴で、主に世帯の収入や資産についての質問をされます。20分ぐらいに及ぶ質問を終えて情報を送信すると、FAFSA独自の計算に基づいて、EFCという世帯負担額が計算されます。

EFCとは、大学の費用で親が負担してくださいね、という自己負担分のことですね。必ずしも、どの大学でもEFC通りというわけではありませんが、大学ごとに「それなりに」参考にはしてくれるようですね。

FAFSAの記入方法についてはこちらから

FAFSAに影響を与える要素とは?

  • 家族構成(子供が何人いるか)
  • 同時期に大学生となる子供は何人いるか
  • 世帯の収入
  • 住居形態(賃貸か所有か)
  • 住宅ローンの有無
  • 預貯金の額
  • その他の収入
  • 過去に低所得世帯として公的な制度を利用したことがあるか

などがあります。都市伝説では、FAFSAをできるだけ少なくするために、預貯金を親族名義に移し、仕事も止めて無職になる人もいる、なんて話がありますが、実際にそこまでしている人は見たことも聞いたこともありません。それに、FAFSAは毎年ランダムもしくは疑わしい人を調査しており、調査が入ると国税局などと連携して預貯金や収入などが調べられます。そして、虚偽の申請、または悪質なケースと認定されると、その世帯ではFAFSAを利用できなくなってしまいます。

4.我が家のContributionはいくら?

FAFSAをファイルすると、その場でEFCが計算されます。預貯金が多い世帯や、高収入の世帯では、金額が上がるごとにEFCは急激に上昇していきます。

世帯の年間所得EFC
-$35,000$1,871
-$40,000$2,733
-$50,000$4,004
-$60,000$6,015
-$70,000$8,708
-$80,000$12,202
-$90,000$15,697
-$100,000$18,731
-$110,000$21,756
-$150,000$33,967
-$200,000$49,598

表を見ていただくと分かりますが、低所得世帯は、学費もリーズナブルな設定となっています。しかし所得が上がれば上がるほど、学費がどんどん高くなり、年収10万ドル(約1100万円)を超えるあたりからは、驚くほど急カーブで上昇していきます。

自身のEFCを計算したい人はこちらから

5.EFC=支払う学費?

FAFSAを使ってEFCを計算しても、残念ながらそれが各世帯が負担することになる学費というわけではありません。

Student LoanやWork Studyが加算

大学から送られてくる学費の詳細な計算を見ると、多くの人はびっくりします。なぜなら、EFCの上に、更にStudent LoanやWork Studyなどの項目が加算されていて、自分たちが考えていた 学費より、約1万ドル程度多くなっていることが多いからです。

Student Loanとは?

Student Loanとは、親が負担する学費とは別に、生徒自身が教育ローンを組みましょうという金額です。大学によって差はありますが、年間当たり4000ドル~5,000ドル程度に設定されていることが多いですね。

この金額は、もしも生徒が教育ローンを申請したら、きっとこのぐらいの金額は認められるでしょうという目安です。Subsidized Loanと呼ばれる公的なローンを利用しても良いですし、民間のローンを利用してもOK。ローンを利用しないという選択をしても問題ありません。

もしも、ローンを利用しないという選択をしたら、このStudent Loanの金額は、そのまま世帯の負担となります。

Work Studyとは?

Work Studyとは、生徒が在学中にキャンパス内でアルバイトをして稼げるであろう金額です。こちらも大学によって多少の誤差はありますが、年間で4000ドル~5000ドル程度が見込まれていることが多いですね。

ただし、Work Studyをするから学費を安くしてもらえるというわけではありません。キャンパスで学生がアルバイトをしても、そのアルバイト代は学生へ直接支払われます。もしも学費に充てるなら、個人的にやってくださいね、という意味です。

また、キャンパス内のアルバイトは、確かにいろいろなお仕事があります。しかし、必ずしもアルバイトできるわけではありませんし、世帯の収入によっては、働きたいけれど働けないという状況にもなりかねません。

6.EFCが考慮されないケースもある

毎年10月にFAFSAをファイルし、ザックリとしたEFCを計算したからと言って、安心してはいけません。大学の多くは、EFCを考慮した学費計算をしてくれますが、必ずしもそうとは限りません。

世帯のEFCが2万ドルなのに、学校からの請求を見たら学費が4万ドルだった!なんてことも珍しくありません。

その背景には、アメリカの教育機関はビジネスである、というシビアな現実があります。

アメリカの大学へ願書を出した場合、大学にとっては「喉から手が出るほど欲しい生徒」がいる一方で「入学は認めたけれど、来ても来なくてもどちらでも良い生徒」もいるわけです。優秀な生徒に対しては、なんとかして来てもらおうと営業努力をし、学費を徹底的に下げてきます。奨学金によって学費が全額免除になるケースもあります。

しかし来ても来なくてもどちらでも良い平均的な生徒なら、そこまでの営業努力をする必要はありません。少しぐらい学費を高めにしても、その生徒が来たいと思えば払うでしょうし、払いたくないから来ないという選択をしても、大学にとってはそれほどの痛手ではないでしょう。

そう。アメリカの大学はビジネスなのです。

7.FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!

FAFSAは、アメリカの大学に在学している期間中は、毎年ファイルしなければいけません。その度に、最新のTax情報を使ってファイルするわけですが、在学期間中には、世帯ごとに様々なライフイベントが起こるかもしれません。

例えば、お父さんが昇進してお給料がアップしたとか、家を購入する際にリタイアメントの貯金を崩して頭金にしたとか、また転勤をした、ということもあります。そうしたライフイベントによって収入が変わると、当然ですがFAFSAによって計算するEFCも変わります。今年の学費は1万ドルだったけれど、来年は2万ドルになる、なんてことも十分に起こりえます。

日本からの留学生の場合には、FAFASは直接影響がありません。そのため、収入がアップしても学費が上がることはないでしょう。なぜなら、もともとFinancial Aidを使わない大学側が提示する金額をそのまま支払っているからです。

しかしアメリカで暮らす人は、世帯のライフイベントによって学費が変わるという点を理解した上で、大学選びをしたいものです。

8.FAFSAをファイルするメリットとデメリット

大学に進学するなら、プロセスの一つとしてFAFSAをファイルする、という世帯は多いものです。しかし、メリットとデメリットを考えたことはありますか?

FAFSAをファイルするメリット

  • 大学の学費を安くできる
  • 公的な教育ローン(Subsidized loan)に申し込める

FAFSAをファイルするデメリット

  • 万が一の有事においては徴兵される
  • 世帯の収入によってはファイルしてもファイナンシャルエイドが対象外
  • 学費負担分がEFC以上になることが多い
  • 州立大学のOut of Stateでは、EFCよりも高額な学費になる

9.EFCケーススタディ

よりファイナンシャルエイドの仕組みを理解しやすくするために、いくつかのケーススタディをご紹介しましょう。

ケース1:大学が提示する学費がEFCより低い場合

  • 大学の学費:年間$10,000
  • 世帯のEFC:$15,000

この場合には、世帯のEFCが大学が定める学費よりも大きいため、学費$10,000を全額支払うことになります。

ケース2:大学が提示する学費がEFCより高い場合

  • 大学の学費 年間$40,000
  • 世帯のEFC $7,000

この場合には、学費の自己負担は$7,000と$40,000の間になりますね。多くの場合、大学が定めるStudent LoanやWork Studyなどの分が上乗せされ、負担する学費は$17,000~$25,000程度が多いのではないでしょうか。

ケース3:In-State$25,000、Out of State$45,000の州立大学の場合

州立大学の中には、州内に自宅がある(親が住んでいる)In-Stateステータスと、州外に自宅があるOut of Stateとで、異なる学費を提示することがあります。この場合、自分がIn-Stateの場合には、負担する学費の上限は$25,000となりますが、Out of Stateになると、上限は$45,000と高くなります。