日本の病院では、歯科や美容系はほぼ完全予約制となっていますが、体調が悪いから内科に行きたいとか、けがをしたから外科に行きたいという場合などは、アポなしでも行けるのが通常です。しかしアメリカでは、どこもかしこも「アポなし完全お断り」となっている所がとても多く、急な時にはどこへ行けばよいのか途方に暮れてしまうほどです。
ここででは、アメリカでアポなしで病院に行く方法をご紹介します。
目次
1.アポなしOKのクリニックはあるのか?
アメリカのクリニックは、かなり高い確率で、アポがなければ見てもらうことはできません。しかし中には、アポがなくてもWalk-in Welcomeをうたっている所は少数ですが、あります。全ての街にあるわけではないので、もしも足を運べる距離にあるのなら、ラッキーだと思ってぜひスマホに登録しておくことをおすすめします。
もしも通いつけのクリニックがすでにあるとか、かかりつけのドクターがいるからそこに行きたい場合には、どうすれば良いのでしょうか。
アポなしで突撃するのは、おすすめしません。容赦なくNOと言われる可能性が高いからです。できればまずは電話をして、当日のアポが取れないか聞きましょう。混んでいないクリニックなら、当日でもアポを入れてくれますし、かかりつけのクリニックなら、けっこうねじ込んでくれたりもします。試す価値は、十分にあると思います。
2.アポなしでも行けるUrgent Care

急な高熱や病気、またスポーツ中に骨折したりケガをした場合など、アメリカに住んでいても急に医者に行かなければいけないニーズは、当然あります。そんな時に、「アポが取れない」なんて言葉は聞きたくありませんよね。
その場合には、Urgent Care(アージェントケア)がおすすめです。Urgent Careは、基本的にアポなしで行けるクリニックで、診療科目はオールマイティに対応してくれます。Emergency Room(ER)と呼ばれている救急救命ほど危機的な状況ではないけれど当日に診てもらいたい時には、このUrgent Careが対象となります。
Urgent Careは、探すと結構いろいろな所にあったりします。急なニーズが発生してからでは、頭がパニックになってしまって冷静にアージェントケアを探すことができなくなってしまうかもしれません。そのため、引越ししたり保険を変えたら、できるだけ早めに保険が適用できるUrgent Careを見つけておいて、電話番号や診療時間、住所などをスマホに登録しておくことをおすすめします。
診療は先着順

Urgent Careに行くと、まず受付をします。そこで、加入している健康保険などをチェックされて、待つことになります。アポなしで診てもらえるということで、結構混んでいることは多いです。
診療は先着順なので、場合によっては結構待つかもしれません。しかし基本的には、Urgent Careでは大掛かりな処置ができるわけではないので、意外と早く順番が回ってくることは多いです。ERのように、「死にそうなのに待ち時間が3時間」になってしまうことは、Urgent Careでは少ないと思いますね。
ただしコロナ渦においては、車の中でUrgent Careを5時間待たされた、なんて話もちらほら聞きました。込み具合によっては、当然そういうこともあります。
3.Urgent CareとEmergency Room(ER)の違いとは?
「急を要するのだから、Emergency Room(ER)に行けば良いのでは?」と考える人は、多いかもしれません。もちろん、行けば診てもらえます。しかし、後から請求書を見て目玉が飛び出るかもしれないので、注意してくださいね。
Urgent CareとERは、どちらもアポなしで行けるという共通点がありますが、大きな違いがあります。
Urgent Care | Emergency Room | |
かかる自己負担額 | ・通常のクリニックに行った時と同じ扱い ・HMOプランなら$40-$50程度のCo-PayのみでOK | ・ER料金が別途設定されている ・最低でも$200程度かかることが多い |
診療時間 | 平日の昼間のみが多い | 365日24時間 |
診療目的 | 死亡や後遺症のリスクがないケースに対応 | 一刻を争う事態に対応 |
適用疾患 | インフルエンザなどの感染症 蕁麻疹など耐えられない皮膚疾患 軽度の喘息の発作 捻挫や軽度の骨折 縫合が必要な軽度の切り傷 耳の痛み 化膿や感染の疑いがある場合 | 急激な視力低下 急激な脱力や言語障害 呼吸困難 深刻な頭部への衝撃 背骨や脊椎の怪我 広範囲の火傷 重度の骨折 傷口が大きく開いた怪我 止まらない出血 |
入院の可能性 | なし | そのまま入院になる可能性はあり |
平均待ち時間 | 30分程度 | 2時間以上 |
4.こんな時はどうすれば良い?
行きたくなったのが夜間

上記の通り、Urgent Careは基本的に平日の昼間のみの診療です。行きたいと思ったのが夜間だと、残念ながら行ってもクローズされています。
もしも翌朝まで待てるなら、それでも良いと思います。しかし、待った方が良いのか判断できない場合や、マズいなと直感した時には、迷わずEmergency Room(ER)へ行くことをおすすめします。
去年でしたが、夫が「何となくお腹の調子が悪い」と数日言っていました。ひどい便秘で何も出ないと。食物繊維を食べさせたり、下剤を飲ませたり、いろいろと手を尽くしましたが、ほとんど出る気配がなく、状況は悪化する一方でした。仕事を早く終わらせてUrgent Careに行くよう促しましたが、夫は面倒くさがりなため、結局行かずじまい。
お腹の調子が悪いと言い出してから3日目の夜、確か夜8時頃でしたが、夫が突然ERに行くと言い出したのです。
ごめんなさい、すぐに頭の中でカネの勘定をしてしまう癖のある私は、「昼間行けって言ったのに。行っておけばよかったのに。明日の朝まで待てないのか?」とかなり不満でした。しかし、本人が青い顔をして「ERに行った方が良いと思う」というので、連れていきました。
結局、大腸憩室症で腸閉塞の直前だったらしく、行かなかったら大腸が破裂してマズかったのだそうです。いろいろな検査をしたのち、抗生物質を処方してもらって朝5時に帰宅しました。(その後、いろいろ治療策を試しましたが、結局夫は入院して大腸切除術を受けました)
夫の入院に関する記事はこちらから
このように、朝まで待つとヤバイ、ということはあるものです。もしも行った方が良いなと思ったのが夜間なら、費用は多めにかかるかもしれませんけれど、命のために迷わずERへ行ってくださいね。
ERの待ち時間がとても不安

自力でERに行くと、受付をして、先着順に診てもらえるので、かなり待たされることが多いです。平均して2時間以上、全米でも最も待ち時間が長いと言われているDCだと、平均286分、つまり5時間近くも待合室の窮屈な椅子の上に座って待ち続けなければいけません。、一刻も争うからERに来たのに、5時間も座った状態で待つなんて、気が遠くなるし耐えられないかもしれない・・・という不安を抱える人は多いと思います。
そんな時には、救急車を呼ぶことをおすすめします。救急車を呼べば、最低でも優先的に診てもらうことはできます。これは、救急車を呼ぶメリットですね。デメリットは、救急車は無料ではないので、利用すると後から請求書が来るという点です。いくらかかるかは加入している健康保険によりますが、私の友人は健康保険を適用した後の自己負担が$1,200だったと言っていました。はい、救急車って高額です。
ちなみに、全米の中でもERの待ち時間が長いワースト10はこちらです。
州 | 平均待ち時間 | |
1 | DC | 268分 |
2 | デラウェア州 | 153分 |
3 | ニューヨーク州 | 153分 |
4 | メリーランド州 | 152分 |
5 | コネチカット州 | 152分 |
6 | ニュージャージー州 | 150分 |
7 | カリフォルニア州 | 150分 |
8 | ロードアイランド州 | 147分 |
9 | マサチューセッツ州 | 131分 |
10 | ハワイ州 | 131分 |