日本からアメリカへ引っ越す際には、パスポートやビザは必要ないけれど別途で手続きが必要なメンバーがいます。そうです、ペットですね。犬や猫などのペットに関しては、手続きをすれば日本からアメリカへの引越しで連れてくることができます。同じ飛行機に乗って渡米することも可能です。
私も日本からアメリカへ、大切なワンコを連れてきた経験があります。最新の情報に私の経験も交えながら、日本からアメリカへペットを連れてくる方法やかかるコストをご紹介しますね。
目次
- 日本からアメリカへペットを連れていくことはできる?
- 最初に知っておくべきこと
- 手続き方法
- STEP1:電子手続の申請をする
- STEP2:ケージを準備する
- STEP3:予防接種などの条件を満たすこと
- STEP4:渡航日の前日もしくは当日に検疫をうける
- STEP5:証明書を持って航空会社のチェックインカウンターへ行く
- 現地での隔離は必要?
1.日本からアメリカへペットを連れていくことはできる?
日本からアメリカへ犬や猫などのペットを連れていくことは、できます。犬と猫以外の動物については、私は経験がないので分かりませんけれど、全ての手続は動物検疫所という公的機関が対応してくれるので、問い合わせてみることをおすすめします。
動物検疫所はとても親切
動物検疫所は何をしてくれるかというと、ペットを日本からアメリカへ「輸出」する際に、健康面で問題がないことを確認するという作業を行います。渡米の何カ月前から準備しなけばいけないというルールはありませんが、必要な書類が揃わなければ許可が下りません。そのため、渡米することが決まったなら、できるだけ早めに動物検疫所へ連絡をして、手続きを始めることをおすすめします。
私の場合、渡米する1年ほど前から準備を始めました。今はすべてメールでコミュニケーションができますし、さすが日本の政府機関、レスポンスはかなり早いので、助かりますよ!
2.最初に知っておくべきこと
ペットの引越しでは、この日に渡米しなければいけないとか、そうした私たちの事情や都合は一切考慮してもらうことはできません。しっかり準備しなければ、連れていきたくてもつれて行けないという悲惨な状況になってしまいます。もしも日本の実家でペットの引越して続きができるまで預かってもらえるなら、バックアップとして最悪の結末にはならないでしょう。しかしそれでも、大切な家族と離れてしまうことは、ペットにとっては私たちが受けるよりも大きなストレスです。
私達がきちんと前もって準備をすれば、問題なくペットと同じ飛行機で渡米できます。そのためにも、前もって準備を始めることが必要なのです。
渡米のための条件

ペットが渡米するためには、
- マイクロチップが埋め込まれていること
- マイクロチップに必要な予防接種の記録が入力されていること
- 必要な予防接種の種類や回数、時期が条件にあっていること
が必要です。
ただしこれは、動物検疫所から課せられる条件です。条件を満たしても、航空会社が定める条件を満たさなければ、ペットは一緒に渡米できないので注意してください。その条件とは、
- ペットが安全に渡航できる気温であること(航空会社によって規定はちがいます)
- 事前に予約してあり、スペースを確保していること
- 動物検疫所から輸出の許可が出ていること
です。このうち、私が一番頭を抱えたのは、「その日の気温」でした。
犬種や気温による制限にはご用心

10年ほど前から、ペットの渡航条件がどの航空会社でも厳しくなっています。これは、ワンちゃんの渡航で事故が多発したために決められたルールです。
ペットが渡航する際には、座席の下に立った状態で収まる小さな子を除いては、貨物の扱いで飛ぶことになります。飛行機の中の貨物スペースは、それなりに温度調整はされています。しかし空港のフライトラインで荷物を詰め込む際には、どうしてもケージに入ったペットたちは、灼熱のコンクリート地獄を味わうことになってしまいます。
当時、パグとかフレンチブルドッグのように鼻が短いワンちゃんたちの悲しい事故が相次ぎました。そのために、航空会社は足並みをそろえて「鼻の短い犬種」に対して気温が何度を超える場合の渡航をNGにしたのです。
現在では、犬種による制限や気温による制限など、航空会社ごとにさまざまな制限が設けられています。犬種によっては条件を満たしても飛べないということがあるので、その場合にはペットを家族として迎えてくれる人を探さなければいけません。

特に、気温制限が設けられている航空会社は要注意です。
動物検疫など手続きを済ませてケージに入れたペットと共に、空港のチェックインカウンターに行きますよね。ペット連れの場合には、その場で外気の気温をチェックします。そう、チェックインする時点での気温が一定範囲の温度でなければ、その場で却下されます。最高気温だの最低気温だの、また上空での気温などは一考慮してもらえません。
そのため、夏のフライトならできるだけ早朝便を抑えたり、冬のフライトでは午後の早い時間のフライトを抑えることで、ペットも一緒に飛べる可能性を高くできます。
もちろん、それでも飛べないというリスクはあるでしょう。そうした万が一に備え、空港へのお見送りには、事情を把握している人に来てもらうことをおすすめします。
航空会社ごとに対応は違う
夏 | 冬 | そのほかの条件 | |
JAL | 温度制限なし | 温度制限なし | 犬種制限アリ |
ANA | 温度制限なし | 温度制限なし | 犬種制限アリ |
アメリカン航空 | 出発地と目的地が85℉(29.4℃)以上 | 出発地と目的地が45℉(7.2℃)以下 | ・1回のフライト時間は12時間以内 ・夏は目的地や経由地に制限あり |
ユナイテッド航空 | あり(詳細な情報は非公表) | あり(詳細な情報は非公表) | ・貨物としての預け入れはペットセーフプログラムへの登録が必要 ・乗り継ぎ回数が制限 |
デルタ航空 | 出発地と目的地が80℉(29℃)以上 | 出発地と目的地が20℉(7℃)以下 |
JALのペットルールはこちらから
ANAのペットルールはこちらから
アメリカン航空のペットルールはこちらから
ユナイテッド航空のペットルールはこちらから
デルタ航空のペットルールはこちらから
3.手続き方法
- STEP1:電子手続の申請をする
- STEP2:ケージを準備する
- STEP3:予防接種などの条件を満たすこと
- STEP4:渡航日の前日もしくは当日に検疫をうける
- STEP5:証明書を持って航空会社のチェックインカウンターへ行く
STEP1:電子手続の申請をする
動物検疫所では、NACCS(動物検疫関連業務)として、電子手続を行っています。
まずは公式サイトから申請書をダウンロードして、記入した上でメールに添付して送ります。
その際には、狂犬病やワクチン接種の記録やロットナンバーなども必要です。動物病院へ連絡をして、カルテの必要な部分をコピーしてもらった上で、それをメールで動物検疫所へ送ります。
この手続きは、簡単そうで意外とややこしいですし、必要な書類なども複数あります。渡米ギリギリになってからあたふたするのは大変なので、時間に余裕をもって済ませておくことをおすすめします。
私自身、渡米する半年ぐらい前からこの申請を始めました。あれが必要、これも、といろいろ言われるので、動物病院でカルテをもらったりしながら、動物検疫所の人にサポートしてもらいながら申請書を作って提出しました。何度メールで質問しても、嫌な対応をされたことはなく、とても親切で丁寧に教えてくれます。これは、さすが日本のカスタマーサービスだと思います。
STEP2:ケージを準備する
ワンちゃんでも猫ちゃんでも、体に合ったサイズのケージが必要です。普段使っているものをそのまま使えることもありますが、航空会社ごとにケージの規定が決まっていて、満たしていないとダメと言われてしまいます。
ケージは、
- ペットがケージの中で立ち上がることができる
- ペットがケージの中で反対側を向ける事(十分なスペースがあるかということ)
- 頑丈な素材出てきていて耐衝撃性があること
などの条件が付いています。私が実際に使って、検疫所の人からも空港の人からも「このメーカーは安心だ」と言われたのは、Vali Kennel(バリケン)と呼ばれているメーカーのものです。
ケージには給水ボトルと給仕トレイをセット
ペットショップなどで、ケージに装着できる給水ボトルや給仕トレイなどが販売されています。中に直置きするタイプだと、輸送の際にはひっくり返ってしまうので、ケージの扉に固定できるタイプがおすすめです。

ボトルは、↑のようなタイプがイチオシです。ボトルもセット販売されているタイプもあれば、自身で手持ちのペットボトルを自由に装着できるタイプもあります。どちらでも良いですが、私はコンビニで買った500mlのペットボトルをセットして使いました。
ここで注意したいのは、日本のペットボトルは装着できますが、アメリカ仕様のペットボトルは装着できないという点です。ボトルの口の部分のスペックが日米で違っているので、アメリカで購入したペットボトルは残念ながら、ボトルサイズやメーカーを問わず、使えません。

ケージに装着する給餌トレイは、↑のようにケージの扉に固定できるタイプがおすすめです。飛行中には恐怖やストレスで元気に食事をしてくれる子はそれほど多くないので、どのぐらいの量が入るかはそれほど問題ではないと思います。ただ、ケージについていないといけないので、とりあえずつけました、的な感じでOKです。
STEP3:予防接種などの条件を満たすこと
日本からアメリカへの渡航では、この条件を満たすことは、それほど難しくありません。ただし、既往症を持っているペットの場合には、疾患によっては飛行機に乗ることがハイリスクだったり、連れて行けない可能性はあると思います。
STEP4:渡航日の前日もしくは当日に検疫をうける
渡航予定日の1週間以内に、動物病院で健康診断書を取得します。英語で書かれている必要はありません。また、検疫所にテンプレートがあるので、それを動物病院へ持参して、獣医さんに記入してもらうというのもアリです。
健康診断書に係れている内容は、マイクロチップの番号や狂犬病およびワクチンの接種日などの記録です。
この健康診断書を持って、空港にある検疫所で渡航前の最終的な検査を受けます。アポなしでは対応してもらえないので、必ず事前にアポを取ってから足を運んでください。
検疫検査は、渡航日当日でなければいけないということはありません。もしも可能なら、前日とかその前あたりに検査を受けておくこともできます。私の場合、実家が成田空港からそれほど遠くなかったので、渡航日の前日に検疫を済ませておきました。そうすることで、渡航日の当日は時間に追われることなく、チェックインカウンターに直行すれば良かったので、とても楽でした。
ちなみにこの検疫は、24時間体勢で対応しているわけではありません。営業時間がありますし、土日などは対応していない可能性もあります。そのため、時間や日数に余裕を持った渡航計画を立てることをおすすめします。例えば、普段は朝早い便で渡航する人でも、ペットがいる時には平日の午後の便にするなど、工夫できることはあると思います。
検疫所での検査は、時間にして約30分から1時間程度かかります。書類をチェックするだけでなく、実際にペットの体に獣医さんが触れる触診もします。混んでいることはほとんどないと思いますが、他のペットが検疫を受けていれば、当然ですが待ち時間が発生しますよね。そうした点も、考慮しておくと良いと思います。
STEP5:証明書を持って航空会社のチェックインカウンターへ行く

ペットの検疫が終了したら、後は航空会社のカウンターでペットをチェックインするだけです。事前に予約をしていれば、乗れないということはありませんが、ギリギリに行ったら「もうペットの数が満席なので乗れません」と言われることはあるようです。そのため、できるだけ早い時間にチェックインすることをおすすめします。
チェックインする際には、ケージがうっかり開いてしまうことがないように、プラスチックタイで扉が固定されます。安全対策なので仕方ないですが、私はこのせいで、アメリカに到着して解放されても、プラスチックタイのせいでペットをケージから出せない!という悲劇を経験しました。
当然ですが、ハサミの機内持ち込みは禁止されていますし、目的地に到着しても誰もハサミを貸してはくれません。絶対持ってるじゃん!と思える業者やショップでも、絶対に貸してはくれません。これもすべて、テロ対策なのです。
そのため、スーツケースの中にハサミを入れておくことを、強くお勧めします。
また、ペットの渡航ではスペースを確保するために、事前の予約が必要です。しかし、予約をした時に料金を払うわけではなく、チェックインのカウンターで150ドル程度のペット料金を払います。この料金は、客席に手荷物として持ち込む場合でも、貨物として預ける場合でも同額です。
4.現地での隔離は必要?
基本的に、日本を出国する際に手続きを全てしていれば、アメリカについてから難しい手続きは一切ありません。
アメリカに到着すると、入国審査を済ませてスーツケースを受け取る場所に行きますよね。ペットが入ったケージは、そこに運ばれてきます。スーツケースと同じようにターンベルトの上を流れてくるわけではなく、スタッフがケージを持って来てくれます。私は心配だったので、その辺にいたスタッフを捕まえでペットはどこでピックアップできるかと聞いたところ、あるドアを指さして「あそこから出てくるよ」と教えてもらうことができました。
そこで待っていたら、ペットが出てきました。受け取りの際には、特に身分証明書を確認されることもなく、「ほーら、ママだよー」みたいな感じで渡してくれて、そのまま自宅に連れてくることができました。
アメリカの場合、ハワイ州だと隔離措置があるようですが、その他の州ではそういう措置は全くありません。