FAFSAを使った学費の削減方法

アメリカの大学は、学費が世界1高いと言われています。CollegeBoardの調査によると、アメリカの州立大学では、年間にかかる平均の学費は$22,000(約220万円)とも言われていて、その上昇は現在でも右肩上がりに続いています。

アイビーリーグのような私立名門大学となると、年間にかかる学費は、なんと$70,000~$80,000。日本円にすると、年間で1000万円近くの学費を、4年間も払わなければいけないことになります。

このアメリカの大学にかかる学費は、さまざまな点で日本と大きく異なります。

目次

  1. アメリカの学費は大学によって異なる
  2. 同じ大学でも世帯によって学費は違う?
  3. FAFSAとは?
  4. 我が家のContributionはいくら?
  5. EFC=支払う学費?
  6. EFCが考慮されないケースもある
  7. FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!
  8. FAFSAをファイルするメリットとデメリット
  9. EFCケーススタディ

1.アメリカの学費は大学によって異なる

アメリカの大学は、それぞれ学費は異なります。これは、日本でも同じですね。同じ学部を専攻しても、学費が高い大学もあれば、リーズナブルな大学もあり、それぞれの世帯の懐事情によって、払える大学を選ぶわけです。

これは、アメリカの大学でも同じです。一般的には、州立大学は私立大学よりも学費がリーズナブルだと言われていますが、州立大学なら絶対に安い、なんてことはありません。年間にかかる学費が1万ドル以下のリーズナブルな大学がある一方で、州立なのに年間の学費が3万ドルという大学もあります。

私立は、全般的に学費は高くなります。奨学金などを一切含まない学費だけを見ると、年間の学費が7万ドルという大学も珍しくありませんし、平均すると約4万ドルぐらいになります。これ、4年間にかかる学費ではありません。1年間にかかる学費です。

アメリカの大学は、基本的に全寮制です。しかし、自宅がすぐそばにあり、通学したいと希望すれば、2年目からは通学が認められるケースが少なくありません。学費の計算には、Tuitionと呼ばれる授業料に加え、Room&Boardと呼ばれる寮費と食費などがあります。ザックリとした平均をまとめると、

コミュニティカレッジ州立(In-State)州立(Out of State)私立大
Tuition39万円110万円283万円384万円
Room&Boardなし120万円120万円145万円
年間の合計39万円230万円403万円529万円

となります。

コミュニティカレッジは、2年制の大学で、社会人の受け入れもしています。基本的に寮はなく、自宅から通学するのが一般的です。

州立大学においては、自宅が州内にあるのか州外にあるかによって、学費が大きく変わります。学費を少しでも安く抑えたい場合には、州内にある州立大学を見つけるのが得策です。

私立大学の場合には、州内や州外という要素は、学費においては関係ありません。自宅がすぐそばにある場合には、2年目から通学することによって寮費を節約することは可能ですが、それでも授業料が高いため、全体にかかる学費は高くなります。

2. 同じ大学でも世帯ごとに学費が違う?

アメリカの大学には、日本と異なる大きな特徴があります。それは、同じ大学でも、支払う学費は世帯ごとに大きく違うという点です。

アメリカには、貸与ではなく賞与タイプ(返済不要)な奨学金があります。奨学金を全く利用せずに、年間数万ドルの学費を払う富裕層も、もちろんいますが、庶民を自負する世帯の大半は、奨学金の対象となります。そのため、高額な学費を全額まるまる払う世帯は、それほど多くありません。

実際に学費がいくらになるかという点については、大学から合格通知を受け取る際に、Finaicial Aid Packageとして通知されます。これが、初年度の自己負担分となります。Financial Aid Packageは世帯の収入によって計算されるため、同じ大学に通う生徒でも、学費を年間1万ドル払う生徒もいれば、8万ドル払っているという生徒もいますし、貧困世帯になると学費は年間500ドル、というケースもあります。

実際に自分がいくらのFinancial Aidをもらえるかという点については、毎年10月1日~始まるFAFSAという手続きをすることで、州立大学の場合にはおおよその学費の目安が分かります。

3.FAFSAとは?

FAFSAとは、アメリカに存在する州立・私立の大学すべてが利用しているファイナンシャルエイド制度のことで、US Department of Educationが管理しています。

Free Application for Federal Student Aidを略しています。アメリカ国民を対象とした公的な制度なので、日本からの留学生は、残念ながら対象にはならない可能性が高いですね。

アメリカにある州立および私立の大学で、奨学金制度を利用する際には、かならずFAFSAを事前にファイルしておかなければいけません。この手続きはすべてオンラインで行うのが特徴で、主に世帯の収入や資産についての質問をされます。20分ぐらいに及ぶ質問を終えて情報を送信すると、FAFSA独自の計算に基づいて、EFCという世帯負担額が計算されます。

EFCとは、大学の費用で親が負担してくださいね、という自己負担分のことですね。必ずしも、どの大学でもEFC通りというわけではありませんが、大学ごとに「それなりに」参考にはしてくれるようですね。

FAFSAの記入方法についてはこちらから

FAFSAに影響を与える要素とは?

  • 家族構成(子供が何人いるか)
  • 同時期に大学生となる子供は何人いるか
  • 世帯の収入
  • 住居形態(賃貸か所有か)
  • 住宅ローンの有無
  • 預貯金の額
  • その他の収入
  • 過去に低所得世帯として公的な制度を利用したことがあるか

などがあります。都市伝説では、FAFSAをできるだけ少なくするために、預貯金を親族名義に移し、仕事も止めて無職になる人もいる、なんて話がありますが、実際にそこまでしている人は見たことも聞いたこともありません。それに、FAFSAは毎年ランダムもしくは疑わしい人を調査しており、調査が入ると国税局などと連携して預貯金や収入などが調べられます。そして、虚偽の申請、または悪質なケースと認定されると、その世帯ではFAFSAを利用できなくなってしまいます。

4.我が家のContributionはいくら?

FAFSAをファイルすると、その場でEFCが計算されます。預貯金が多い世帯や、高収入の世帯では、金額が上がるごとにEFCは急激に上昇していきます。

世帯の年間所得EFC
-$35,000$1,871
-$40,000$2,733
-$50,000$4,004
-$60,000$6,015
-$70,000$8,708
-$80,000$12,202
-$90,000$15,697
-$100,000$18,731
-$110,000$21,756
-$150,000$33,967
-$200,000$49,598

表を見ていただくと分かりますが、低所得世帯は、学費もリーズナブルな設定となっています。しかし所得が上がれば上がるほど、学費がどんどん高くなり、年収1000万円を超えるあたりからは、驚くほど急カーブで上昇していきます。

自身のEFCを計算したい人はこちらから

5.EFC=支払う学費?

FAFSAを使ってEFCを計算しても、残念ながらそれが各世帯が負担することになる学費というわけではありません。

Student LoanやWork Studyが加算

大学から送られてくる学費の詳細な計算を見ると、多くの人はびっくりします。なぜなら、EFCの上に、更にStudent LoanやWork Studyなどの項目が加算されていて、自分たちが考えていた 学費より、約100万円程度多くなっていることが多いからです。

Student Loanとは?

Student Loanとは、親が負担する学費とは別に、生徒自身が教育ローンを組みましょうという金額です。大学によって差はありますが、年間当たり4000ドル~5,000ドル程度に設定されていることが多いですね。

この金額は、もしも生徒が教育ローンを申請したら、きっとこのぐらいの金額は認められるでしょうという目安です。Subsidized Loanと呼ばれる公的なローンを利用しても良いですし、民間のローンを利用してもOK。ローンを利用しないという選択をしても問題ありません。

もしも、ローンを利用しないという選択をしたら、このStudent Loanの金額は、そのまま世帯の負担となります。

Work Studyとは?

Work Studyとは、生徒が在学中にキャンパス内でアルバイトをして稼げるであろう金額です。こちらも大学によって多少の誤差はありますが、年間で4000ドル~5000ドル程度が見込まれていることが多いですね。

ただし、Work Studyをするから学費を安くしてもらえるというわけではありません。キャンパスで学生がアルバイトをしても、そのアルバイト代は学生へ直接支払われます。もしも学費に充てるなら、個人的にやってくださいね、という意味です。

また、キャンパス内のアルバイトは、確かにいろいろなお仕事があります。しかし、必ずしもアルバイトできるわけではありませんし、世帯の収入によっては、働きたいけれど働けないという状況にもなりかねません。

6.EFCが考慮されないケースもある

毎年10月にFAFSAをファイルし、ザックリとしたEFCを計算したからと言って、安心してはいけません。大学の多くは、EFCを考慮した学費計算をしてくれますが、必ずしもそうとは限りません。

世帯のEFCが2万ドルなのに、学校からの請求を見たら学費が4万ドルだった!なんてことも珍しくありません。

その背景には、アメリカの教育機関はビジネスである、というシビアな現実があります。

アメリカの大学へ願書を出した場合、大学にとっては「喉から手が出るほど欲しい生徒」がいる一方で「入学は認めたけれど、来ても来なくてもどちらでも良い生徒」もいるわけです。優秀な生徒に対しては、なんとかして来てもらおうと営業努力をし、学費を徹底的に下げてきます。奨学金によって学費が全額免除になるケースもあります。

しかし来ても来なくてもどちらでも良い平均的な生徒なら、そこまでの営業努力をする必要はありません。少しぐらい学費を高めにしても、その生徒が来たいと思えば払うでしょうし、払いたくないから来ないという選択をしても、大学にとってはそれほどの痛手ではないでしょう。

そう。アメリカの大学はビジネスなのです。

7.FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!

FAFSAは、アメリカの大学に在学している期間中は、毎年ファイルしなければいけません。その度に、最新のTax情報を使ってファイルするわけですが、在学期間中には、世帯ごとに様々なライフイベントが起こるかもしれません。

例えば、お父さんが昇進してお給料がアップしたとか、家を購入する際にリタイアメントの貯金を崩して頭金にしたとか、また転勤をした、ということもあります。そうしたライフイベントによって収入が変わると、当然ですがFAFSAによって計算するEFCも変わります。今年の学費は1万ドルだったけれど、来年は2万ドルになる、なんてことも十分に起こりえます。

日本からの留学生の場合には、FAFASは直接影響がありません。そのため、収入がアップしても学費が上がることはないでしょう。なぜなら、もともとFinancial Aidを使わない大学側が提示する金額をそのまま支払っているからです。

しかしアメリカで暮らす人は、世帯のライフイベントによって学費が変わるという点を理解した上で、大学選びをしたいものです。

8.FAFSAをファイルするメリットとデメリット

大学に進学するなら、プロセスの一つとしてFAFSAをファイルする、という世帯は多いものです。しかし、メリットとデメリットを考えたことはありますか?

FAFSAをファイルするメリット

  • 大学の学費を安くできる
  • 公的な教育ローン(Subsidized loan)に申し込める

FAFSAをファイルするデメリット

  • 万が一の有事においては徴兵される
  • 世帯の収入によってはファイルしてもファイナンシャルエイドが対象外
  • 学費負担分がEFC以上になることが多い
  • 州立大学のOut of Stateでは、EFCよりも高額な学費になる

9.EFCケーススタディ

よりファイナンシャルエイドの仕組みを理解しやすくするために、いくつかのケーススタディをご紹介しましょう。

ケース1:大学が提示する学費がEFCより低い場合

  • 大学の学費:年間$10,000
  • 世帯のEFC:$15,000

この場合には、世帯のEFCが大学が定める学費よりも大きいため、学費$10,000を全額支払うことになります。

ケース2:大学が提示する学費がEFCより高い場合

  • 大学の学費 年間$40,000
  • 世帯のEFC $7,000

この場合には、学費の自己負担は$7,000と$40,000の間になりますね。多くの場合、大学が定めるStudent LoanやWork Studyなどの分が上乗せされ、負担する学費は$17,000~$25,000程度が多いのではないでしょうか。

ケース3:In-State$25,000、Out of State$45,000の州立大学の場合

州立大学の中には、州内に自宅がある(親が住んでいる)In-Stateステータスと、州外に自宅があるOut of Stateとで、異なる学費を提示することがあります。この場合、自分がIn-Stateの場合には、負担する学費の上限は$25,000となりますが、Out of Stateになると、上限は$45,000と高くなります。

アメリカの大学費用事情!人によって学費は違うシビアな世界!

アメリカの大学は、学費が世界1高いと言われています。CollegeBoardの調査によると、アメリカの州立大学では、年間にかかる平均の学費は$22,000(約220万円)とも言われていて、その上昇は現在でも右肩上がりに続いています。

アイビーリーグのような私立名門大学となると、年間にかかる学費は、なんと$70,000~$80,000。日本円にすると、年間で1000万円近くの学費を、4年間も払わなければいけないことになります。

このアメリカの大学にかかる学費は、さまざまな点で日本と大きく異なります。

目次

  1. アメリカの学費は大学によって異なる
  2. 同じ大学でも世帯によって学費は違う?
  3. FAFSAとは?
    • FAFSAに影響を与える要素とは?
  4. 我が家のContributionはいくら?
  5. EFC=支払う学費?
    • Student LoanやWork Studyが加算
  6. EFCが考慮されないケースもある
  7. FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!
  8. FAFSAをファイルするメリットとデメリット
  9. EFCケーススタディ

1.アメリカの学費は大学によって異なる

アメリカの大学は、それぞれ学費は異なります。これは、日本でも同じですね。同じ学部を専攻しても、学費が高い大学もあれば、リーズナブルな大学もあり、それぞれの世帯の懐事情によって、払える大学を選ぶわけです。

これは、アメリカの大学でも同じです。一般的には、州立大学は私立大学よりも学費がリーズナブルだと言われていますが、州立大学なら絶対に安い、なんてことはありません。年間にかかる学費が1万ドル以下のリーズナブルな大学がある一方で、州立なのに年間の学費が3万ドルという大学もあります。

私立は、全般的に学費は高くなります。奨学金などを一切含まない学費だけを見ると、年間の学費が7万ドルという大学も珍しくありませんし、平均すると約4万ドルぐらいになります。これ、4年間にかかる学費ではありません。1年間にかかる学費です。

アメリカの大学は、基本的に全寮制です。しかし、自宅がすぐそばにあり、通学したいと希望すれば、2年目からは通学が認められるケースが少なくありません。学費の計算には、Tuitionと呼ばれる授業料に加え、Room&Boardと呼ばれる寮費と食費などがあります。ザックリとした平均をまとめると、

コミュニティカレッジ州立(In-State)州立(Out of State)私立大
Tuition$3,500$10,000$26,000$36,000
Room&Boardなし$12,000$12,000$13,000
年間の合計$3,500$22,000$38,000$49,000

となります。

コミュニティカレッジは、2年制の大学で、社会人の受け入れもしています。基本的に寮はなく、自宅から通学するのが一般的です。

州立大学においては、自宅が州内にあるのか州外にあるかによって、学費が大きく変わります。学費を少しでも安く抑えたい場合には、州内にある州立大学を見つけるのが得策です。

私立大学の場合には、州内や州外という要素は、学費においては関係ありません。自宅がすぐそばにある場合には、2年目から通学することによって寮費を節約することは可能ですが、それでも授業料が高いため、全体にかかる学費は高くなります。

2. 同じ大学でも世帯ごとに学費が違う?

アメリカの大学には、日本と異なる大きな特徴があります。それは、同じ大学でも、支払う学費は世帯ごとに大きく違うという点です。

アメリカには、貸与ではなく賞与タイプ(返済不要)な奨学金があります。奨学金を全く利用せずに、年間数万ドルの学費を払う富裕層も、もちろんいますが、庶民を自負する世帯の大半は、奨学金の対象となります。そのため、高額な学費を全額まるまる払う世帯は、それほど多くありません。

実際に学費がいくらになるかという点については、大学から合格通知を受け取る際に、Finaicial Aid Packageとして通知されます。これが、初年度の自己負担分となります。Financial Aid Packageは世帯の収入によって計算されるため、同じ大学に通う生徒でも、学費を年間1万ドル払う生徒もいれば、8万ドル払っているという生徒もいますし、貧困世帯になると学費は年間500ドル、というケースもあります。

実際に自分がいくらのFinancial Aidをもらえるかという点については、毎年10月1日~始まるFAFSAという手続きをすることで、州立大学の場合にはおおよその学費の目安が分かります。

3.FAFSAとは?

FAFSAとは、アメリカに存在する州立・私立の大学すべてが利用しているファイナンシャルエイド制度のことで、US Department of Educationが管理しています。

Free Application for Federal Student Aidを略しています。アメリカ国民を対象とした公的な制度なので、日本からの留学生は、残念ながら対象にはならない可能性が高いですね。

アメリカにある州立および私立の大学で、奨学金制度を利用する際には、かならずFAFSAを事前にファイルしておかなければいけません。この手続きはすべてオンラインで行うのが特徴で、主に世帯の収入や資産についての質問をされます。20分ぐらいに及ぶ質問を終えて情報を送信すると、FAFSA独自の計算に基づいて、EFCという世帯負担額が計算されます。

EFCとは、大学の費用で親が負担してくださいね、という自己負担分のことですね。必ずしも、どの大学でもEFC通りというわけではありませんが、大学ごとに「それなりに」参考にはしてくれるようですね。

FAFSAの記入方法についてはこちらから

FAFSAに影響を与える要素とは?

  • 家族構成(子供が何人いるか)
  • 同時期に大学生となる子供は何人いるか
  • 世帯の収入
  • 住居形態(賃貸か所有か)
  • 住宅ローンの有無
  • 預貯金の額
  • その他の収入
  • 過去に低所得世帯として公的な制度を利用したことがあるか

などがあります。都市伝説では、FAFSAをできるだけ少なくするために、預貯金を親族名義に移し、仕事も止めて無職になる人もいる、なんて話がありますが、実際にそこまでしている人は見たことも聞いたこともありません。それに、FAFSAは毎年ランダムもしくは疑わしい人を調査しており、調査が入ると国税局などと連携して預貯金や収入などが調べられます。そして、虚偽の申請、または悪質なケースと認定されると、その世帯ではFAFSAを利用できなくなってしまいます。

4.我が家のContributionはいくら?

FAFSAをファイルすると、その場でEFCが計算されます。預貯金が多い世帯や、高収入の世帯では、金額が上がるごとにEFCは急激に上昇していきます。

世帯の年間所得EFC
-$35,000$1,871
-$40,000$2,733
-$50,000$4,004
-$60,000$6,015
-$70,000$8,708
-$80,000$12,202
-$90,000$15,697
-$100,000$18,731
-$110,000$21,756
-$150,000$33,967
-$200,000$49,598

表を見ていただくと分かりますが、低所得世帯は、学費もリーズナブルな設定となっています。しかし所得が上がれば上がるほど、学費がどんどん高くなり、年収10万ドル(約1100万円)を超えるあたりからは、驚くほど急カーブで上昇していきます。

自身のEFCを計算したい人はこちらから

5.EFC=支払う学費?

FAFSAを使ってEFCを計算しても、残念ながらそれが各世帯が負担することになる学費というわけではありません。

Student LoanやWork Studyが加算

大学から送られてくる学費の詳細な計算を見ると、多くの人はびっくりします。なぜなら、EFCの上に、更にStudent LoanやWork Studyなどの項目が加算されていて、自分たちが考えていた 学費より、約1万ドル程度多くなっていることが多いからです。

Student Loanとは?

Student Loanとは、親が負担する学費とは別に、生徒自身が教育ローンを組みましょうという金額です。大学によって差はありますが、年間当たり4000ドル~5,000ドル程度に設定されていることが多いですね。

この金額は、もしも生徒が教育ローンを申請したら、きっとこのぐらいの金額は認められるでしょうという目安です。Subsidized Loanと呼ばれる公的なローンを利用しても良いですし、民間のローンを利用してもOK。ローンを利用しないという選択をしても問題ありません。

もしも、ローンを利用しないという選択をしたら、このStudent Loanの金額は、そのまま世帯の負担となります。

Work Studyとは?

Work Studyとは、生徒が在学中にキャンパス内でアルバイトをして稼げるであろう金額です。こちらも大学によって多少の誤差はありますが、年間で4000ドル~5000ドル程度が見込まれていることが多いですね。

ただし、Work Studyをするから学費を安くしてもらえるというわけではありません。キャンパスで学生がアルバイトをしても、そのアルバイト代は学生へ直接支払われます。もしも学費に充てるなら、個人的にやってくださいね、という意味です。

また、キャンパス内のアルバイトは、確かにいろいろなお仕事があります。しかし、必ずしもアルバイトできるわけではありませんし、世帯の収入によっては、働きたいけれど働けないという状況にもなりかねません。

6.EFCが考慮されないケースもある

毎年10月にFAFSAをファイルし、ザックリとしたEFCを計算したからと言って、安心してはいけません。大学の多くは、EFCを考慮した学費計算をしてくれますが、必ずしもそうとは限りません。

世帯のEFCが2万ドルなのに、学校からの請求を見たら学費が4万ドルだった!なんてことも珍しくありません。

その背景には、アメリカの教育機関はビジネスである、というシビアな現実があります。

アメリカの大学へ願書を出した場合、大学にとっては「喉から手が出るほど欲しい生徒」がいる一方で「入学は認めたけれど、来ても来なくてもどちらでも良い生徒」もいるわけです。優秀な生徒に対しては、なんとかして来てもらおうと営業努力をし、学費を徹底的に下げてきます。奨学金によって学費が全額免除になるケースもあります。

しかし来ても来なくてもどちらでも良い平均的な生徒なら、そこまでの営業努力をする必要はありません。少しぐらい学費を高めにしても、その生徒が来たいと思えば払うでしょうし、払いたくないから来ないという選択をしても、大学にとってはそれほどの痛手ではないでしょう。

そう。アメリカの大学はビジネスなのです。

7.FAFSAは毎年。学費も毎年変わる!

FAFSAは、アメリカの大学に在学している期間中は、毎年ファイルしなければいけません。その度に、最新のTax情報を使ってファイルするわけですが、在学期間中には、世帯ごとに様々なライフイベントが起こるかもしれません。

例えば、お父さんが昇進してお給料がアップしたとか、家を購入する際にリタイアメントの貯金を崩して頭金にしたとか、また転勤をした、ということもあります。そうしたライフイベントによって収入が変わると、当然ですがFAFSAによって計算するEFCも変わります。今年の学費は1万ドルだったけれど、来年は2万ドルになる、なんてことも十分に起こりえます。

日本からの留学生の場合には、FAFASは直接影響がありません。そのため、収入がアップしても学費が上がることはないでしょう。なぜなら、もともとFinancial Aidを使わない大学側が提示する金額をそのまま支払っているからです。

しかしアメリカで暮らす人は、世帯のライフイベントによって学費が変わるという点を理解した上で、大学選びをしたいものです。

8.FAFSAをファイルするメリットとデメリット

大学に進学するなら、プロセスの一つとしてFAFSAをファイルする、という世帯は多いものです。しかし、メリットとデメリットを考えたことはありますか?

FAFSAをファイルするメリット

  • 大学の学費を安くできる
  • 公的な教育ローン(Subsidized loan)に申し込める

FAFSAをファイルするデメリット

  • 万が一の有事においては徴兵される
  • 世帯の収入によってはファイルしてもファイナンシャルエイドが対象外
  • 学費負担分がEFC以上になることが多い
  • 州立大学のOut of Stateでは、EFCよりも高額な学費になる

9.EFCケーススタディ

よりファイナンシャルエイドの仕組みを理解しやすくするために、いくつかのケーススタディをご紹介しましょう。

ケース1:大学が提示する学費がEFCより低い場合

  • 大学の学費:年間$10,000
  • 世帯のEFC:$15,000

この場合には、世帯のEFCが大学が定める学費よりも大きいため、学費$10,000を全額支払うことになります。

ケース2:大学が提示する学費がEFCより高い場合

  • 大学の学費 年間$40,000
  • 世帯のEFC $7,000

この場合には、学費の自己負担は$7,000と$40,000の間になりますね。多くの場合、大学が定めるStudent LoanやWork Studyなどの分が上乗せされ、負担する学費は$17,000~$25,000程度が多いのではないでしょうか。

ケース3:In-State$25,000、Out of State$45,000の州立大学の場合

州立大学の中には、州内に自宅がある(親が住んでいる)In-Stateステータスと、州外に自宅があるOut of Stateとで、異なる学費を提示することがあります。この場合、自分がIn-Stateの場合には、負担する学費の上限は$25,000となりますが、Out of Stateになると、上限は$45,000と高くなります。

SAT試験の詳細と申し込み手順

アメリカの大学を受験するなら、SATもしくはACTというStanderized test(共通試験)を受験しなければいけません。ここでは、そのうち日本からの留学生でも日本で受験できるSATについてご紹介します。

目次

  1. SATとは?
  2. SATの受験項目
  3. 間違えると減点される?
  4. SATはどこで申し込む?
  5. SATの申し込み方法
  6. 受験結果はどうやってわかる?
  7. Super Scoreとは?
  8. SAT受験にかかる費用は?
  9. SATは何回まで受験できる?

1.SATとは?

SATとは、Scholastic Assessment Testのことで、主に英語力と数学的思考力を調べるテストです。分かりやすく言うと、英語と数学だけのセンター試験のような位置づけですね。主催しているのはCollege Boardという独立した機関です。

SATは、数年ごとにスコアや出題科目の見直しが行われていますが、2021年現在では1600満点での採点となっています。

2.SATの受験項目

SATの受験項目は、English(Reading&Writing)と、Mathに分類できます。

Reading( 読解力)

Readingでは、長さが異なる文章を読み、質問に答えていきます。答えは選択式となっているのが特徴で、AからEの5択となっているのが特徴です。文法力や読解力、ボキャブラリーを調べる試験で、アメリカ人の学生でもかなり苦戦する分野です。英語を母国語としていない留学生にとっては、超難関な分野かもしれませんね。

Writing(筆記)

Writingに関しては、数年ごとに行われるSAT出題の見直しによって、必須科目に入ることもあれば、選択科目となることもあります。しかし選択科目となっている場合にも、大学ではEssayも受験するように勧めることが多いため、受験しておくのがおすすめです。

Writingでは、2~3つぐらいの文章を読んで答える問題で、主に文法力や語彙力を調べます。約25分程度でエッセイを仕上げるわけですが、文章の中に答えが隠されているというわけではなく、これまでの自分の経験や知識などを織り込みながらエッセイを仕上げることが、高得点につながります。

Math(数学)

アメリカ人の学生が苦戦する数学ですが、日本からの留学生にとっては、すこし準備をすれば満点も取りやすい科目です。出題レベルとしては、高校1年生までに習う部分から出題されますが、解けないほどの難問はほとんどなく、センター試験よりも若干難易度が高いぐらいのレベルだと考えると良いでしょう。

3.間違えると減点される?

選択式の出題分野では、分からなくてもとりあえず何かを選択しておけば当たる可能性が期待できますよね?日本の受験では、少なくてもそうです。だから、何も選択せずに試験を終えるのは、とてももったいないものです。

しかしSATでは、答えを間違えると、なんと減点される仕組みとなっています。この点は、日本の試験とは大きく異なる点ですね。正解すれば+1点、間違えると―0.25点の減点となります。

もちろん、全ての問題が同じ配点となっているわけではなく、試験の採点方法や配点については、公表されていません。

4.SATはどこで申し込める?

SATは、高校でも大学でもない、独立した機関が主催する共通テストです。申し込みは、高校を通して受験できることもありますが、学校とは別に個人でCollegeboard.orgで申し込めます。

高校を通して申し込めるかどうかは、その学校のISDによって異なります。学校を通して申し込む場合には、受験料はISDが支払ってくれるケースもあり、無料で受験することも可能ですね。ただし、学校を通して受験する場合でも、費用がかかることもあります。

なお、高校によっては、SAT受験には一切関知しないという学校もあります。その場合には、学校から何もお知らせなどを受け取らない可能性もあるので、個人でCollegeboard.orgから申し込みましょう。

SAT試験は、年間に複数回開催されていて、全国で受験できます。日本にも受験会場があるので、日本からの留学生なら、日本にいてSATを受験することも可能です。ただし、日本で受験する場合には、受験できる頻度はアメリカ国内ほど多くなく、年間で5回程度です。そのため、期間には余裕をもって受験することをおすすめします。

5.SATの申し込み方法

SAT試験は、全ての科目を受験すると、受験時間は約3時間程度となります。

必要な書類

  • 身分証明書(運転免許証、学生証など。日本で受験する場合にはパスポートでOK)
  • 支払をするためのクレジットカード

を準備して、Collegeboard.orgのサイトから申し込みをしましょう。College Boardのサイトは、まず最初にアカウントを作らなければいけません。このサイトは、ただSATを受験するためだけでなく、高校から大学へTranscriptを送ったり、大学在学中にはFAFSAと合わせてファイルが必要なCSSのアプリケーションとしても使います。そのため、ログインIDやパスワードは、なくさずに大切に保管しておくことをおすすめします。

受験場所は自由に選べる

SATは、アメリカ全土で同じ日に開催されています。自宅から足を運びやすいロケーションを選ぶのが便利ですが、必ずしも自宅のそばでなければいけないというルールはありません。人気がある受験会場だと、受け入れ可能な人数をオーバーしてしまうこともあります。その場合には、希望してもそのロケーションでは受験できないため、別のロケーションを選ばなければいけません。

オンラインで受験の申し込みを終えたら、当日に必要な持ち物や受験票をプリントアウトしておきましょう。受験票は、当日確認されるので、忘れずに持参しなければいけません。

受験当日の持ち物

SATの受験当日には、いくつかの持ち物が必要です。スマホを使うことは認められていないため、オフにしてカバンに入れておくか、自宅に置いていく必要があります。

  • 鉛筆(シャープペンシルはNGです)
  • 消しゴム
  • 身分証明書(試験会場で確認されます。写真付きの身分証明書のみがOK)
  • 腕時計(試験会場によっては、壁時計がないこともあります)
  • 電卓(オンライン機能がついていないモノは持ち込みOK)
  • ドリンクや軽食など(試験中の飲食はNGですが、休憩時間はOKです)

6.受験結果はどうやってわかる?

SATを受験すると、約1週間~2週間ぐらいで、結果が通知されます。合否という結果ではなく、スコアが計算されるので、受験した人は全員がこの結果通知を受け取ることになります。

受験結果は、

  • Collegeboardのサイトでチェックできる
  • 携帯のテキストで通知される
  • 願書を出している大学へ直接通知してもらうことも可能

大学への直接通知に間しては、既にその大学へ願書を出しているけれど、SATのスコアだけまだ提出していないという場合や、もしかしたら今回のスコアが良ければ記録を塗り替えるかもしれない、なんて時に便利です。

7.Super Scoreとは?

SATでは、Englishのスコアが何点、Mathのスコアが何点、合計は何点、と言う感じで結果が出ます。これまで複数回受験したことがある人にとっては、

「Englishは今回が最高点だけれど、Mathは前回の方が良かったな」

なんてことも起こりうるわけですよね。そんな時には、大学によってはSuper Scoreと呼ばれる「各科目ごとの最高得点」を合計して、自分の合計点とする事ができます。全ての大学でSuper Scoreを採用しているというわけではありませんが、採用している所なら、過去に受験したSATの中から、最も良いEnglishのスコアとMathのスコアを抽出して合計点として申告できるのですから、入学できる確率もアップしそうですよね。

ちなみに、Super ScoreでSATスコアを申請する場合には、それぞれの科目の最高得点が記録されているSATスコアを大学へ送ります。CollegeBoardのサイトから、大学へスコアを通知できるので、やり方はそれほど難しくありません。

ちなみに、大学へSATスコアを送る際には、費用がかかります。そのため、出願する際にはSATスコアは自己申告で、合格通知をもらって入学すると決めた大学のみに対して、正式にCollegeBoardからスコアを送る、という方法がおすすめです。

SATスコアを自己申告なら、すこし水増ししてもOKかな?なんて考える人がいるかもしれませんね。しかし、大学から受け取る入学通知は、あくまでも仮のものです。合格してから実際に入学するまでの間に、SATの正式なスコアなども含めて必要な書類を提出するわけですが、その際にスコアが虚偽の申請だったとバレると、合格取り消しになることもあります。注意しましょう。

8.SAT受験にかかる費用は?

SAT受験にかかる費用は、2021年現在では$55となっています。基本的には、オンラインでSATの申し込みをした時にクレジットカード払いをします。受験会場で払うというわけではないので注意してください。

この受験料は、低所得世帯だと免除してもらえる可能性があります。もしも高校で、Reduced lunchのプログラムに加入している人なら、免除してもらえる可能性が高いですね。

受験費用を免除してもらうためには、通学している学校のカウンセラーから、免除用のコードを受け取ります。それをSATの申し込みの際に入力して、どの高校に通っていて、どんな理由で免除になっているのかという点を記入すれば、SAT運営側で確認をした上で、免除が認められます。

9.SATは何回まで受験できる?

SATは、年間で約10回程度開催されています。そして、取得したスコアは5年間有効です。そう考えると、大学に進学する5年ぐらい前から、年間10回受験する、ということも可能ですね。合計、50回も受験するなんて、考えただけでも気が遠くなりそうですが、実質的には可能です。

受験回数が複数回あっても、それが大学受験の審査でマイナスの影響を与えることは、あまりありません。しかし、それはあくまでも、受験回数が10回未満ぐらいの場合です。

あまりにも受験回数が多い場合には、それが何かしらマイナスの影響を与える可能性はあるかもしれません。

その理由は、何回か受けることでスコアアップできる可能性が高いから。SATは共通テストのため、出題傾向が類似することが少なくありません。つまり、1回しか受験しない人よりも、複数回受験したほうが、確実に高得点を獲得しやすいという土壌があります。

一回の受験で$50以上かかる試験なので、複数回受験するとなると、やはりその世帯の経済力が大きく影響するでしょう。同じSATスコアでも、20回受験してそのスコアにたどり着いた生徒と、1回のみの受験でそのスコアを獲得した生徒の場合には、どちらが「より優秀な生徒である可能性が高いか」を予測できます。

ちなみに、私の子供は高校のFreshmanでSATをお試し受験し、Sophomoreでさらに1回。Juniorに2回受けました。

出題範囲に関しては、高校のFreshmanあたりで習う範囲も出題されるので、Freshmanで高得点を取るのは大変かもしれません。しかし、うちの場合ですが、受験するたびにスコアが上がり、最終的には初回スコアよりもプラス200点になりました。

ちなみに、複数か受験してアップできるスコアの平均は、100+だそうです。

アメリカ大学への入学手続き:スコア、成績、推薦状

日本の大学へ入学したければ、受験勉強をして入学試験を受け、合格しなければいけませんよね。近年では、AO入試と呼ばれるスタイルが増えていて、入試試験1発で合否が決まるのではなく、高校時代に頑張ってきたことや特技などが評価されて大学入学が認められる傾向が増えています。

アメリカの大学では、日本のように受験日が決められていて、その日に受ける入試問題の結果だけで合否が決まるというわけではありません。これからアメリカの大学へ留学しようと考えている人、もしくは既にアメリカに移住して子育てをしている人は、ぜひアメリカの大学入試の仕組みを理解することで、賢い選択ができるのではないでしょうか。

目次

  1. アメリカの大学の種類
  2. 大学の共通試験、SATとACTとは?
  3. 日本からでもSATとACTは受験できる?
  4. 試験だけじゃない!入学選抜に必要なもの
  5. 願書はいつから受付開始
  6. 合格発表はいつわかるの?
  7. Early Decision, Early Action, Regular Decisionの違いとは?
  8. 複数から合格通知をもらった!どうする?

1.アメリカの大学の種類

アメリカには、大学と言ってもいくつかの種類があります。公立の大学と私立の大学がある点では日本と同じですが、公立の大学の場合には、国立ではなく州立、つまり州の資金で運営されているという点が、日本と異なりますね。

  • Selective(大学が定める基準を満たした人が入学できるタイプ。州立大学はここに分類)
  • Competitive(競争型。有名私立大学が該当し、高いレベルの入学希望者を、いくつかの方法で振り分ける)
  • Open(開放型。基本的に高校を卒業していれば誰でも入学ができる。2年制のコミュニティカレッジはここに分類)

Selectiveの入学条件

アメリカの高校生が「大学」と呼ぶ教育機関の多くは、このSelectiveと呼ばれるスタイルを採用していて、州立の大学を始め、私立大学などが含まれます。満たさなければいけない条件は複数あり、

  • 高校を卒業していること
  • 高校時代の成績
  • SATやACTなどの共通試験のスコア

など、高校ごとに異なるレベルを定めており、これをクリアした学生が入学できる仕組みとなっています。

Competitiveの入学条件

アイビーリーグなどに代表される、一流難関の私立大学がCompetitiveに分類されますが、基本的にはSelectiveの入学形式と同じです。ただし、大学側が求める基準がとても高いため、合格率は1ケタ台という特徴があります。

Open型は社会人にもオススメ

コミュニティカレッジと呼ばれる2年制の大学の多くは、4年制の大学ほど厳しい入学基準を設けておらず、高校を卒業していれば誰でも入学できるシステムとなっている所が多いです。高校を卒業したばかりの若者が入学できるだけでなく、社会人になってからでも入学しやすいですし、学費もリーズナブルです。

2.大学入試SATとACTとは?

アメリカの大学には、日本のような入学試験はありません。しかし、全く試験を受けずに入学できるのかと言えば、そういうわけでもありません。

アメリカの多くの大学では、学力のレベルを把握するためのStanderized Test (共通試験)として、SATもしくはACTを受験し、そのスコアを大学側へ提出することを義務付けています。

SATの申し込みはこちらから

ACTの申し込みはこちらから

SATとACT、どこでいつ受験できるの?

SATとACTは、高校と大学から独立した機関が提供している標準テストです。それぞれ、年間に複数回開催されていて、何回でも受験することができます。標準テストということで、似たような問題が出題されることもあります。そのため、1回しか受験しない人よりも、何回か受験したほうがスコアは良くなる傾向があるようですね。

SATとACTは、通学している高校で申し込みができることもあれば、高校は一切関知せず、自分でネットを使って申込まなければいけないこともあります。州によって違うというよりは、ISDと呼ばれる学区ごとに方針が異なるようです。どちらの申し込み方法でも、受験する場所が異なるだけで試験の内容が変わるということはありません。

SATもACTも、全国で一斉に開催され、同じ受験日なら受ける試験の内容も同じです。共通試験と呼ばれているのは、そのためですね。ただし、年間に何回も開催されているため、試験ごとの難易度は若干変わります。この辺りは、スコアを計算する際に考慮されており、「難しすぎてダメだった」と思っていたら、想像以上によいスコアだったということもあります。

SATとACTはどう違うの?

SATとACTでは、試験の出題傾向やスタイルが若干異なります。一般には、理系に強い人ならACTの方が適している、なんて言われていますが、どちらの試験が自分に合っているか相性もあるので、どちらも受けてスコアを比較すると良いでしょう。

SATとACTは無料?それとも有料?

SATとACTは、基本的に有料です。

SATの場合には、受験する度に$49.50~$64.50がかかり、受験課題の数によって費用は変わります。日本からの留学生の場合には、費用は$53と定められています。

SATの受験料はこちらから

ACTも受験項目によって費用はことなり、$55~$70がかかります。

ACTの受験料はこちらから

なお、SATもACTも、低所得世帯の場合には、受験費用がかからず無料で受けられるWaiverの制度もあります。留学生の場合には受験料を免除してもらうことは難しいですが、アメリカの高校に通っている子供なら、ランチプログラムの料金が免除されているなどの条件を満たせば、受験料はかかりません。

3.日本からでもSATやACTは受験できる?

日本からアメリカの大学へ留学を考えている人は、日本にいながらSATを受験することができます。日本で受験する場合でも、申し込み方法はアメリカ国内にいる学生と同じで、Collegeboard.orgから行います。

ただし日本で受験する場合には、アメリカ国内のように毎月受験できるというわけではなく、どうしても頻度は少なくなってしまいます。そのため、留学したいなと考えたら、まずは腕試しのつもりでSATを受けてみてはいかがでしょうか?時間に余裕があれば、何回か受験してスコアをアップすることもできますよね。

4.試験だけじゃない!入学選抜に必要なもの

アメリカの大学は、難易度が高い大学になればなるほど、SATやACTのスコアが重視される傾向にあります。しかし、入学選抜に必要なものは、それだけではありません。

高校の成績

高校時代の成績も、アメリカの大学では重視されています。アメリカでは、高校は中学校の延長で、入学の際に入試などはありませんし、自宅から通いやすいエリア内で学区訳がされています。しかし日本では、難関高校に行けば、そこで良い成績をとることは難しいですよね。そうした点も、日本からの留学生を受け入れている大学では理解しているので、安心してください。

高校の成績に自信がない人は、どうしたら良いのでしょうか?

大学ごとに、基準とするGPA(成績の平均)が設定されていて、そのラインを満たすことが条件となっています。しかし、このGPAは。学校や学区によって計算方法が異なりますし、学校によっても成績のつけ方が異なるなど、決して一律ではありません。

アメリカの大学では、そうした地域やエリアごとの差についても、ある程度理解しています。そのため、できることは、現在通学している高校で、できるだけ良い成績を取ることを目指すという点ですね。

アメリカの高校に通っている人が今からできることは

  • できるだけハイレベルなクラス(APやPre-AP、Dual Credit、IBなど)を選択する事
  • B+で甘んじるのではなく、Aを目指すこと

です。

チャレンジクラスでBを取るリスクがあるなら、確実にAを取れる基礎クラスの方が良いのかな、と考える人がいます。大学側としては、ハイレベルなクラスに挑戦する姿勢も評価するので、基礎クラスばかりより、ハイレベルなクラスに挑戦する子供の方が、高評価されることが多いです。

教師からの推薦状(Recommendation Letter)

アメリカの大学では、ほとんどの場合、高校時代の教師からの推薦状が必要です。基本的にはどの教科でも良いのですが、大学から高評価されるのは、EnglishかMathの教師からの推薦状です。

この推薦状は、ペーパーで書いてもらったものを郵送で大学へ送ってもOKです。しかし、全米で広く利用されている大学受験のためのサイト The Common Applicationを利用するなら、願書の申請から推薦状の提出まで、全てオンラインでできます。

推薦状が何通必要かは、大学によって異なります。最低でも1通という大学もあれば、3通必要という大学もあります。また、最低1通だけれど多く提出してもOKという大学もあり、その場合には、できるだけ多くの推薦状を提出することで、大学へ入学したい気持ちをアピールできます。

Resume(履歴書)

大学入試では、Resumeと呼ばれる履歴書も必要です。日本では、履歴書というと既に決められたテンプレートがあり、そこに記入すればよいのですが、アメリカでは基本的にはフリーフォーマットです。そのため、ゼロの状態から自分で作り込んでいきます。

ネットでは、お手本となるような履歴書がたくさん紹介されています。そうしたテンプレートを真似しながら、記載する内容を自分でカスタマイズしていくという方法でも、OKです。ただし、大学受験のためのResumeは、1ページにまとめるのが原則です。

Resumeに何を記入すればよいかという点ですが、主に

  • Header:名前、住所、メールアドレス、連絡先などの情報を記入
  • Objective:どんな性格の人間なのかという点を、2行ぐらいに簡潔にまとめる。
  • Education:高校生なので、高校名と現在のGPAを記入。取得したAPクラスなども記入すると良し。
  • Extra Canicular:クラブ活動や、参加したコンテストなど、学業以外でアピールしたい点を記入
  • Community Service;ボランティアの内容を記入。アメリカの大学ではボランティアが重視されます。

Essay(エッセイ)

アメリカの大学では、エッセイの提出が求められるケースが多いです。Common Applicationを利用して願書申請するなら、Common Application内にエッセイをアップロードし、同じエッセイを全ての大学の願書に使うことができます。

それ以外に、大学ごとにテーマを出題し、それに対して生徒がエッセイを書くという課題もあります。どんなテーマかは大学によりますし、文字数なども大学によって異なります。

エッセイを書く際には、テーマが決められていなければ何を書いてもOKです。しかし、大学から高評価されやすいエッセイは、「困難をいかに乗り越えて成功体験へ結びつけたか」というストーリーですね。もちろん、創作の小説を書くわけではないので、全く実体験に基づかない内容は控えたほうが良いでしょう。しかし、「自分はこんなに素晴らしい人間です」をアピールするよりも「自分は困難を乗り越える力を持っている強い人間です」をアピールしたほうが、評価という点では高くなりやすいですね。

5.願書はいつから受付開始?

アメリカの大学への願書は、8月1日ごろに受付開始となります。多くの大学が使用しているCommon Applicationは、8月1日から受付開始となり、必要な書類がすべてそろっている人なら8月初旬に出願のプロセスを終えることができます。

出願の締め切りはいつ?

出願の締め切りは、出願形態によって異なり、11月中旬もあれば、1月下旬という所もあります。できるだけ早めに出願したほうが、早く合否を知ることができるという点てもおすすめです。

Common Applicationを使用する際の注意点

カリフォルニア州やテキサス州の州立大や、一部の私立大学では、Common Applicationではなく、独自の出願システムを採用している所もあります。しかし、全米を広く見渡すと、やはり大半の大学は、このCommon Applicationを採用しています。

大学への進学を考えたら、まずはこのCommon Applicationにアカウントを作り、大学のリサーチや出願に必要な書類集めを始めることになります。しかしこのCommon Applicationを利用する際には、注意点があります。

それは、8月1日に、それまでのデータがすべてリセットされてしまうという点です。アカウントの基本的なプロフィール情報はリセットされませんが、それまでコツコツ集めた教師からの推薦状や、既にアップロードしたエッセイなどは、全て8月1日でリセットされてしまいます。そのため、早めに準備をしていた人は、再アップロードが必要となりますし、教師からの推薦状も、教師にもう一度サイトへアップロードしてもらうように依頼しなければいけません。

この二度手間を回避するためには、書いたエッセイなどは、ワードファイルなどで保存しておくという方法がおすすめです。大学の多くは、毎年同じテーマのエッセイを出題するので、すでに書いてあれば、後はそれをコピー&ペーストするだけで済みますよね。

6.合格発表はいつ?

日本の大学では、受験日が決まっているだけでなく、合格発表の日も決められていますよね。そのため、合格発表の日になると、ワクワクドキドキしながら、合否を確認することになります。

アメリカの大学でも、合格発表の日が決まっている大学はたくさんあります。その場合には、決められた合格発表の日時に、指定されたホームページへ行くと、Congratulation!という合格通知のレターがあるか、残念でしたと言うレターが届いているので、それを確認するという方法で合否をチェックします。

しかしアメリカの大学の中には、特定の合格発表の日は設けず、出願した人から順番に合否を通知するというシステムを採用している所もたくさんあります。大学が設定する条件をクリアしている人なら、大学側にとっても合格通知を出しやすいわけで、その場合には、出願してからたったの2週間で合格通知を受け取ったということもありますね。

大学に合格すると、大学のパンフレットや入学までの手続プロセスなどの書類が、分厚い郵送で自宅に届けられることになります。ただし、郵送で送られてくる情報は、基本的に大学の受験者用のサイトでも確認できるので、郵送はまだ受け取っていないけれど合格したことは分かっているし、どんな手続きが必要かも知っている、ということはよくあります。

7.Early Decision, Early Action, Regular Decisionの違いとは?

アメリカの大学へ出願する際には、Admissionのタイプを選びます。大きく分類すると、

  • Early Decision
  • Early Action
  • Regular Decision

との3つがあり、出願の際にどのタイプにするかを決めた上で、願書を申請します。

Early DecisionEarly ActionRegular Decision
願書受付開始日8月1日8月1日8月1日
願書受付締め切り11月15日あたり11月15日あたり1月末あたり
合格しても行かないという選択できないできるできる
競争率

表から分かるように、必要な書類が早めに揃った人は、競争率が高くなって合格しづらくなるRegular Decisionではなく、Early Actionを選ぶのがおすすめです。

また、Early DecisionとEarly Actionの違いですが、これはBindingと呼ばれるものが大きく関係しています。

Early Decisionの場合には、合格したらその大学へ行かなければいけない、という条件のもとに出願します。他の大学へ願書を提出するのはOKですが、Early Decisionでの出願は、大学1校しか認められていません。

多くの場合には、Early Decisionは、第1希望の大学に対して用いるのが一般的です。普通に受験したらハードル高そうだけれど、入学できるならぜひ行きたい!という憧れの大学に対しても、Early Decisionが良いでしょう。

早めに応募して早めに合格発表を頂いていくと、気持ち的に安心できます。early actionなら何校に出願しても良いので、ぜひおすすめです。

我が家では、早めに準備を始め、8月中旬に超電工から滑り止めまで、全てに出願しました。周囲と比べて、これはかなり早めでした。

滑り止め校からは9月中旬に合格発表をいただきました。全てEarlyで出したので、クリスマス前には進学先が決まりました。

Early Decisionは断れるのか?

もしもEarly Decisionで受験して合格したけれど、やっぱり行きたくないという場合には、どうなるのでしょうか?

大学によって対応は異なりますが、1年分の学費を払えと請求されるケースもあれば、金銭的なペナルティはゼロというケースもあります。

しかしいずれの場合でも、Early Decisionを蹴ることによって、その年は他の大学には行けないというペナルティがつきます。つまり、他の大学から合格通知を受け取っていても、自動的に浪人決定となってしまいます。

8.複数から合格通知をもらった!どうする?

複数の大学から合格通知を受け取った場合、どの大学へ進学するのかという意思表示をしなければいけません。多くの場合には、大学の受験者用ホームページにアクセスして、そこから入学するかどうかを選択して通知します。

入学しないという意思表示をした場合には、「どの大学へ進学するのですか?」という質問をされることが多いです。この場合には、正直にどこへ進学するのかを記入しましょう。こうした情報は、大学の外に漏れることもなければ、何かの目的で使われることもありません。あくまでも、参考資料や統計を取るために使われるだけです。

アメリカの歯医者は高額!?

アメリカに来ると、とにかく医療費が高額というイメージが強すぎて、医者にかかることもためらってしまう人は多いですよね?確かに、アメリカの医療は日本と比べると比較できないほど高額ですが、その中でも歯医者は別格です。ここでは、アメリカの歯医者にかかると、どのぐらいの費用がかかるのか、そして歯医者で治療を受ける方法などをご紹介します。

目次

  1. アメリカの歯科治療は高額?
    • 加入している健康保険に歯科プランがあるかを確認する方法
    • ガッカリ、歯科はカバーされていなかった。どうする?
    • うちは駐在。大丈夫だよね?
  2. アメリカでの歯医者の見つけ方
  3. 歯科治療はどのように進む?
    • クリニックに来院してチェックイン
    • まずは歯科助手がお口の中をクリーニング
    • いよいよ医師が登場
    • 治療はその日は行わず
  4. 歯科治療の相場はどのぐらい?
    • 歯科検診とクリーニング
    • 虫歯治療
    • 神経の根幹治療(Root Canal)
    • 歯周病によるディープクリーニング
  5. 歯科保険の選び方
    • Deductible(年間の免責額)
    • 保険を安く抑えるコツ
  6. アメリカの歯医者はココがすごい!
    • 麻酔フレンドリー
    • テレビ付き歯医者が多い
    • 通院回数が少ない
    • 待ち時間が少ない
※写真はイメージです

1.アメリカの歯科治療は高額?

アメリカで歯科治療を受ける際には、まず最初に、健康保険で歯科治療がカバーされているかどうかをチェックすることから始めましょう。日本では、健康保険に加入していれば、内科でも外科でも歯科でも、基本的にはリーズナブルな料金で治療を受けられます。しかしアメリカでは、健康保険の中に歯科プランが含まれていない場合があるので、要注意です。

この場合には、まずは歯科保健に加入した上で歯医者に行くことを、強くお勧めします!

加入している健康保険に歯科プランがあるかを確認する方法

健康保険は、プランごとにどこまでカバーされるかが異なります。歯科治療でも、チェックアップやクリーニングなどの予防歯科分野ならカバーするけれど、後はしないというプランもありますし、歯科治療は全くカバーしないというプランもあります。

確認する方法としては、加入している健康保険の会社に電話をして確認するか、それともホームページで紹介されているプランのBenefitを確認するという方法が良いでしょう。

ガッカリ、歯科はカバーされていなかった。どうする?

もしも加入している健康保険で歯科の治療がカバーされていない場合には、どうしたら良いのでしょうか?方法は3つあります。

  • 加入している健康保険のOpen Season(11月ごろ)まで待ってから、歯科プランを追加する
  • 個人で歯科保険を購入する
  • 自費でそのまま治療する

ちなみに、自費でそのまま治療することは、おすすめしません。信じられないほど高額な治療費になってしまいます。

うちは駐在。大丈夫だよね?

駐在でも、保険会社のプランによっては歯科治療がカバーされていないというケースは少なくありません。手厚い保険を会社が選んでくれているはず、だと過度の期待をせずに、まずはBenefitをチェックしましょう。

2.アメリカで歯医者を見つける方法

アメリカには、たくさんの歯医者があります。しかし、歯医者ならどこに行っても良いというわけではありません。健康保険プランのネットワークごとに、ネットワーク対象となる歯医者と、そうでない歯医者とがあります。

自分が通えるネットワーク内の歯医者を見つけるためには、健康保険のホームページもしくはアプリを使い、dentist(歯医者)を検索して見つけます。歯医者と言っても、口腔内手術を行えるOrthodontistなどもいますが、チェックアップや虫歯治療、歯周病治療などは、General DentistなどでOKです。

歯医者を見つけたら、いよいよ電話で予約を入れます。日本でも歯医者は予約制が多いですが、それでも緊急の時にはアポなしでも来院すれば受診できますよね。

しかしアメリカでは、アポがなければ見てもらえない可能性が大です。そのため、まずは電話で予約を入れてください。緊急の場合には、いかに緊急なのかを電話で訴えれば、できるだけ早い時間や日時に予約を入れてもらうことができるかもしれません。

電話予約をする際には、どんな目的で受診したいのかという質問をされるほか、健康保険の種類についても確認されます。ここで、うっかりネットワーク外の歯医者だと、「その保険はうちで取り扱っていませんよ」と教えてくれます。

3.歯科治療はどのように進む?

クリニックによって、多少の順番は違うかもしれませんが、簡単な流れをご紹介しますね。

クリニックに来院してチェックイン

クリニックにいったら、受付で名前とアポの時間を告げて、チェックインします。これは、日本と同じですよね。この時、初診だと、健康保険証のコピーを取ることが多いので、提示を求められます。2回目以降は、「健康保険は前回と同じですか?」と聞かれ、同じなら再コピーは必要ありません。

一般的なクリニックだと、受付する時にCo-Payを徴収されるところも多いのですが、歯科の場合にはCo-Payシステムが少ないからでしょうか。受付時に徴収される歯医者は、ほとんどありませんね。

まずは歯科助手がお口の中をクリーニング

アメリカの歯医者は、完全個室というわけではありませんが、患者同士が顔をあわせずに済むような個室のようなスペースになっています。そこへ通されると、まずは歯科助手がやって来て、レントゲンを撮るなど、必要な作業を行います。

その上で、医師が診察しやすいように、お口の中をクリーニングしてくれます。日本のクリーニングだと、超音波を使う所が多いのですが、アメリカはマニュアル式が多いですね。私は個人的に、超音波だとキーという高音で謎の痛みを感じるので、アメリカ式のマニュアルクリーニング、つまり手彫りタイプが好きです。

いよいよ医師が登場

歯科助手がお口の中をある程度綺麗にしてくれたら、医師がやってきます。レントゲンを確認したり、口の中を実際にチェックして、虫歯の有無とか歯周病の有無などを検査してくれます。

もし虫歯や歯周病で治療が必要な場合には、どんな状態のトラブルがあって、どんな治療が必要かという説明を受けた後で、治療にかかる費用の見積もりを出してもらえます。

見積もりの出し方ですが、クリニックが健康保険会社に連絡をして、ざっと見積もりを出すことになります。

そして、治療方針及び見積もりに納得した上で、治療を開始することになります。

ここで注意したいのは、アメリカの歯医者では、見積もりを取って患者が納得してから、治療が始まるという点ですね。なんせ日本よりも歯科治療が高額なので、場合によっては「これ、高いな、今回はちょっと無理」なんてことがあるかもしれません。万が一のトラブルを避けるために、まずはお金の話、治療はその後、なのです。

治療はその日は行わず

歯科検診でトラブルが見つかっても、その場で治療することはまずありません。

多くの場合には、次の予約を取らなければいけません。

その理由は、歯医者は完全予約制で、一人の患者の治療時間が決められているからですね。歯科検診だけのはずだった人に、あれもこれもと治療をしてしまうと、時間がかかって次の患者さんに影響があります。そのため、治療が必要な場合には、治療は次回しましょう、となるわけです。

ちなみに、アメリカの歯医者では、何度通院しても再診料はかかりません。治療の内容に対して費用がかかるので、それを1度に終わらせても、3回に分けても、歯医者が受け取れる治療報酬の金額は同じです。

日本だと、再診料が発生するので、ダラダラと治療を続ける医師もいたりしますよね、アメリカにはそういうモノはないので、治療は基本的に早いです。

4.歯科治療の相場はどのぐらい?

アメリカの歯科治療は、内科や外科に行った時と同じで、健康保険がどこまでカバーしてくれるかによって治療費は大きく変わります。ザックリとした目安とか相場を見ても、日本よりはかなり高額だと感じる人は多いですね。

歯科検診とクリーニング

特に問題がない人でも、6か月に1回は歯科検診とクリーニングを進められます。もしもこれを無保険で行うと、相場としては300ドル~500ドル程度かかることが多いですね。しかし、健康保険が歯科治療をカバーしている場合には、自己負担ゼロとなることが多いです。

しかし近年では、健康保険のカバーが劣悪になりつつあり、クリーニングはカバーするけれどレントゲンはカバーしません、なんてこともあります。

虫歯治療

簡単な詰め物をするだけの虫歯治療だと、保険が適用される銀歯(アマルガム)でも、70ドルぐらいかかります。しかし、銀歯の人気が最低なアメリカでは、健康保険がきかない白色のセラミックを所望する人も多く、この場合には1本あたり150ドル~200ドルぐらいかかります。

神経の根幹治療(Root Canal)

虫歯を放置すると、やがては歯の神経にも影響がでて、根幹治療が必要になります。この場合、保険を使っても200ドル~500ドルぐらいかかりますが、無保険だと、治療費は2500ドル~ということが多いです。

歯周病によるディープクリーニング

歯周病の治療としては、スケーリングと呼ばれるディープクリーニングを行うのが一般的ですよね。これは、歯と歯茎の間の隙間をスッキリクリーニングするという治療で、麻酔をかけて行います。かかる治療費は、上下左右のスケーリングで、700ドル~900ドルぐらいが相場となります。

5.歯科保険の選び方

歯科保険商品を選ぶ際には、どんな点に注意して比較検討したら良いのでしょうか?

Deductible(年間の免責額)

歯科保険にも、Deductibleはあります。Deductibleとはつまり、健康保険を適用する前に自己負担として払わなければいけない金額ということです。

例えば、Deductibleが1000ドルの歯科保険だとしましょう。ルートカナル2500ドルという治療をすると、まず自己負担分の1000ドルに関しては、支払いが確定します。そして、残りの1500ドルに対して、保険の適用率に応じた額がカバーされます。もしもルートカナルの適用率が80%だとすると、自己負担分は

Deductibleの分 $1,000

保険適用分($1,500分のうちの自己負担)300ドル

合計の支払額 $1,300ドル となります。

お口の中に自信がある人なら、このDeductibleの額が高めの保険を選んで毎月の保険料を安く抑えるという方法もありますが、年に2回の歯科検診が無料になる保険プランを選ぶのが得策です。

歯科保険を安く抑えるコツ

歯科保険を少しでも安く抑えるためには、既に加入している健康保険に、歯科保険の特約が付いていないかを調べてみてください。独立した歯科保険を個人で購入するよりも、健康保険の特約としてつける方がリーズナブルになることが多いです。

また、保険会社の中には、異なるDeductibleのプランを複数ラインナップしている所もあります。毎月の保険料が高くなれば、やはりカバー率も良くなるわけですが、お口の中の状態によって歯科保険のニーズは変わりますよね。そのため、自分にとって最もリーズナブルな保険を選びたいものです。

6.アメリカの歯医者はココがすごい!

アメリカの歯医者は、日本の歯医者とは大きく違う点がたくさんあります。

麻酔フレンドリー

アメリカの歯医者は、患者の痛みに対してとても良心的です。「何となく痛い気がする」というわずかな痛みでも、より強力な麻酔をしてくれます。ただし、強い麻酔になると、そのあと半日、顔が麻酔で動かない、なんてこともあるので注意してくださいね。

また、痛みに対して恐怖心がある人には、笑気ガスを使ってくれます。ただし、このガスは神経をリラックスさせるものなので、痛みを取り除く作用はありません。

テレビ付きの歯医者が多い

完全個室タイプの治療スペースがある歯医者では、患者の目の前にテレビが設置されていて、治療中には視聴できるところもあります。ただし、映画などは放送されてはおらず、基本的には地上波やケーブルテレビでやっているニュース系を流しています。チャンネルを変えてほしいというリクエストにも、応じてもらえます。

通院回数が少ない

上記した通り、アメリカの医療機関には、再診料という概念がありません。一つの治療に対して費用がかかるので、1回で治療を終わらせても3回に分けても、医師が受け取る報酬は同じなのです。それなら、1回で治療を終わらせた方が、医師にとっては効率的ですよね。

患者にとっても、少ない通院回数で治療が終わることは、大きなメリットがあります。

待ち時間が少ない

完全予約制、アポなし患者は受診不可、となっているからでしょうか。アメリカの歯科クリニックは、基本的に待ち時間はかなり少なめです。受付に座っている人も1人とか2人ぐらいですね。

WICプログラムの基本ガイド

アメリカには、自分で調べなければ分からない福祉制度がたくさんあります。WICとはNutrition program for Women, Infants, and Childrenのことで、略してWIC(ウィック)とと呼ばれています。

目次

  1. WICとは?
  2. WICは誰が利用できる?
  3. WICの申請方法
  4. WICでは何をもらえる?
  5. WICの利用方法

1.WICとは?

WICとは、妊娠している女性や、小さな子供を抱える女性がシッカリと栄養補給できるように、という福祉プログラムのことです。妊娠6週目ぐらいの妊娠初期から、子供が5歳になるまで受給できます。

WICについてはこちらから

2.WICは誰が利用できる?

WICは、妊娠している人や、小さな子供がいる人なら全員が利用できるというわけではありません。福祉制度の一つなので、やはり経済的な弱者であることが必要条件となります。WICを利用できる条件としては

  • 妊娠している女性(妊娠6週目から出産するまで)
  • 子供が1歳未満で母乳育児をしている女性
  • 母乳育児ではないけれど、子供が生後6か月までの女性
  • 子供が1歳未満の母親
  • 5歳未満の幼児
  • 世帯収入が政府が定める基準以下

となります。妊娠している女性や母乳育児をしている女性、また産後すぐの女性なら、女性に対してWICが支給されます。しかしそれ以降は、5歳以下の子供に対して支給されることになります。ちなみに、アメリカで生まれる新生児のなんと53%は、WICを受給しているのだとか。

世帯収入がいくら以下なら受給できる?

WICの受給資格は、州ごとに基準が決められているわけではなく、アラスカとハワイを除くすべての州で一律の基準となっています。そのため、物価が高くて収入も高めのにニューヨークやカリフォルニアなどでは、そうでないノースダコタやアーカンソーなどと比較すると、受給しづらい傾向にありますね。

政府が定める受給資格の世帯収入はこちら

ここで注意したいのは、WICには所得制限は設けられていますが、必ずしもフードスタンプを受給できる所得上限と一致するわけではありませんし、貧困層だと定義される所得というわけでもありません。

また、州ごとに独自のWICラインを設けている州もたくさんあります。連邦政府が決める所得上限を超えていても、州ごとの上限を超えていなければ、WICを受けられます!

州ごとの受給資格の世帯収入はこちら

州によって多少の差はありますが、目安としては、母子家庭のような2人世帯だと、年収3万ドル以下、3人世帯だと4万ドル以下ぐらいが目安となります。

自動的にWIC受給対象となるケースもある

WICは低所得世帯向けの福祉プログラムなので、既に別の低所得世帯向けの福祉制度を利用している人なら、自動的に受給対象となることもあります。例えば、

  • SNAP(フードスタンプ)やメディケイドを既に利用している人
  • 家族がメディケイドを利用している人
  • 州政府が提供する福祉制度を利用している人

こんな人も受給対象

アメリカでも、妊婦さん検診があり、妊娠すると定期的に病院へ行って検診を受けることになります。その際、医師や看護師、もしくは栄養士から危機的な栄養状態にあると判断された人は、WICの受給対象となりますね。例えば、極度の貧血とか、妊娠しているのに体重が増えていないとか、また劣悪な栄養状態にある人は、医師の判断でWIC対象となります。

まずは、自分がWICの対象となるかどうかをチェックしてみましょう。

WIC PreScreening Toolはこちらから

3.WICの申請方法

WICを申請するためには、ローカルオフィスで面接を受ける必要があります。面接と言っても難しいことはなく、妊娠や育児で困っていることを相談しながら、どんなアイテムがオススメかという点をアドバイスしてくれたり、書類の確認をします。

申請に必要なモノ

  • 母親の身分証明書(運転免許証など)
  • 世帯の収入を証明するための書類(給料明細や雇用主からの収入証明レターなど)
  • 子供の出生証明書
  • 現住所を確認できるもの(運転免許証でOK)

まずは電話予約

以上の書類を揃えたら、まずは足を運びやすいロケーションにあるローカルオフィスへ電話をしましょう。面接には予約が必要です。

WICローカルオフィスはこちらから

申請面接では血液検査もアリ

WICのローカルオフィスには、看護師が常駐しています。そして、書類をチェックしなら血液検査も行います。この血液検査では、主に貧血で内科をチェックするのが目的です。

面接では、栄養士の人と木綿男子、どんな食事を心がけたほうが良いのかという説明を受け、WIC制度についての説明も受けます。

結構時間がかかり、アポをとった時間からの所要時間は3時間ぐらいかかったという人も多いですね。

4.WICで何がもらえる?

WICでは、妊娠中の妊婦さんに必要な栄養成分、そして乳児や幼児に必要な栄養成分をしっかりとれるような食品を受け取ることができます。ただし食品なら何でもOKというわけではなく、お菓子とかスナックなどは、ありません。主に、乳製品と考えると良いでしょう。

粉ミルク牛乳チーズヨーグルト
豆乳ベビーフードベビー用シリアル
ピーナツバター缶詰に入ったお魚全粒のパンやパスタ100%フルーツジュース
野菜フルーツ全粒のトルティーヤ玄米

具体的に、このプログラムで何がもらえるのかは、州によって若干異なります。

詳しく知りたい人はこちらから

ちなみに、粉ミルクの支給は、子供が1歳になるまでとなっています。

5.WICの利用方法

WICを利用する場合には、3ヶ月に1回、WICオフィスに足を運び、子供の検診をしたり、育児の相談をしながら、スーパーで商品に交換できるクーポンや、プリペイドタイプのカードを受け取ります。

粉ミルクやベビーフードなどは、クーポンを提示してお店で交換してもらうというシステムですが、野菜やフルーツなどの食品に関しては、WICオフィスが事前にチャージしてくれたプリペイド式のカードを受け取り、それで自分たちでショッピングをします。

アメリカのスーパーでは、WICが使える商品にはマークが付けられているので、何を選べばよいかが分かりやすくなっています。ただし、食料品なら何でも買えるわけではなく、お米とかシリアルなどのカテゴリーごとに、毎月いくらまで使えるかという点は決められています。

医療費請求書が高すぎる時の対処法

アメリカでは、約4300万人が医療費未払と言われています。日本と比較して高額すぎる医療費が悪いと言えばそれまでなのですが、実際に自分の元へ、信じられない金額の医療費請求が来たら、パニックになってしまいますよね?そんな時には、どうしたら良いのでしょうか?

目次

  1. アメリカの医療費はいつ払う?
  2. 医療機関からの請求書を見てびっくり!払えない!どうする?
  3. アメリカ人の平均医療費未払額はいくら?

1.アメリカの医療費はいつ払う?

アメリカで医療機関を受診すると、加入している保険によって、窓口で診療前に払う人もいれば、その場では払わずに後日、請求書が送られてくる人もいます。

HMOプランという自己負担分がすでに分かっている場合には、病院に行って受付をする際に、その場で請求されることが多いですね。

「2時にアポが入っているメアリー・スミスです」

「はい、スミスさんね。お会計は、Co-payで40ドルになります。」

のような感じですね。この時の支払は、現金でも良いですし、大抵のクリニックではクレジットカードやデビットカードでも払えるので、多くの場合にはカード払いが多いのではないでしょうか。

一方、PPOプランの場合には、年間の自己負担額や保険のカバー率など、ややこしい計算が必要となります。この計算をするのは医療機関ではなくて保険会社なので、医療機関はその場で患者さんの正確な自己負担額を出すことはできません。だから、後日、郵送で請求書が送られてくるわけですね。

医療機関によっては、HMOプランでも、いつ払うかを選べることがあります。クリニックごとに、「受付の時に支払いが必要」というルールの所もあれば、「後から請求するのもアリ」と、患者に選択させてくれる所もありますね。

いずれの場合でも、払わなければいけないことに変わりはないので、私はいつも、窓口でサッとCo-Payをカード払いしています。

2.請求書を見てびっくり!払えない!どうする?

健康診断やちょっとした風邪など、医療費がそれほど高くならないだろうと予測できる時には、後から請求書が送られてきても、それほど不安や恐怖を感じることはないと思います。しかし、超音波検査とかCTスキャンなどの検査を行った場合には、医療費の請求がどんどん高額になってしまいます。

もしも医療費請求を受け取って、金額が高すぎて払えない!という時には、どうしたら良いのでしょうか?

分割払いも可能

アメリカの医療費が高いことは、誰もが理解しています。そして、金額によっては一度に支払えないことに関しても、多くの人は理解を示してくれます。そのため、もしも請求書を受け取っても一括払いが無理という場合には、分割払いで払うという方法もアリです。

分割払いは、医療機関に相談して分割払いをアレンジしても良いですし、自分でその時に支払えるだけの金額を払うという姿勢でも、特に問題はありません。

2000ドルの請求書が来たのに200ドルしか支払わないなんて、さぞかし医療機関はご立腹に違いない、という不安を感じるかもしれませんよね。しかし、毎月それなりの金額を継続して払い続けているなら、医療機関は特に大事にすることなく、毎月請求書を送ってきます。ちなみに、分割払いにしたからと言って、クレジットカードのように利息が付くということはないので、安心してくださいね。

現金一括ならディスカウントもアリ

医療機関によって、そして請求された金額によってケースバイケースですが、請求された多額の医療費をディスカウントしてもらうことも可能です。

その方法は、請求書を持って医療機関の窓口へ行き、なんとか勉強してもらえないかとお願いするのです。安くしてもらえるなら一括払いも考えるから、と。

もちろん、交渉術は必要ですし、相手を怒らせてはいけません。しかし、何十万円、何百万円という医療費請求の場合には、病院側も回収できないよりもディスカウントして回収したほうがメリットがあると考えるので、いくらか割引いてもらえる可能性が期待できます。

3.アメリカ人の平均医療費未払額は?

アメリカ人の平均医療費未払額は、約1800ドル(21万円程度)と言われています。貯金という習慣を持つ人が少ないアメリカでは、21万円を一括で払えと言われても、「いや無理だから!」となってしまう人が多いのです。

この未払医療費は、毎月医療機関から送られてくる請求書に対して、クレジットカードで少額ずつを分割払いにする人が多いようです。

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