日本では、会社によって60歳ぐらいを定年退職の年齢として社内規定などで定めていて、その年齢になると、よほどの重役的なポジションでない限りは、肩をポンポンと叩かれてお疲れ様と強制的に定年退職となる、、というケースが多いのではないでしょうか。
アメリカの場合、定年退職はどうなっているのでしょうか?また、皆さん何歳で退職するのでしょうか?
目次
1.辞めなければいけない定年退職はない
アメリカには、何歳になったら定年退職しなければいけないという法律もなければ、社内の規定もありません。フリーダムの国なので、基本的にはどんなにヨボヨボになっても、働きたい年齢までずっと働くことができます。
日本人と比べて貯蓄という習慣を持たない人が多いアメリカ人の場合、会社を辞めると食べていけないという人が少なくありません。だから、何歳で会社を卒業しなければいけないというルールがないことは、大きなメリットかもしれませんね。それに近年では60代は元気なので、できるだけ長く働きたいという人もたくさんいます。
2.何歳で退職する人が多い?
会社から強制的に年齢を理由に辞めさせられることは、アメリカではありません。しかし皆さん60代になるとソワソワしだして、何歳で退職しようかなという計算を始めます。
それは60歳前後から、さまざまな老後資金を捻出するためのリタイアメント口座がペナルティなしで引き出せるようになるからです!
- 59歳6か月~ IRAと401Kの引き出しができる
- 62歳~ ソーシャルセキュリティの受給年齢(早期ペナルティはかかりますが受給可能)
- 67歳 ソーシャルセキュリティを満額で受給できる年齢
つまり60代になると、「働かなくても自動的に入ってくる年金がスタート」するので、それで生活が成り立つ人はストレスまみれの仕事にサヨナラして、さっさと退職するわけです。
警察や消防士、軍人などのように、20年間勤めれば、退職後に年齢にかかわらずリタイアメントの支給が始まるというお仕事もあります。しかし一般的な民間企業は、55歳以上でなければ年金支給はスタートしない所が多いです。
3.退職できない人はどうすればよい?
金銭的に余裕がある人は、ソーシャルセキュリティの受給が開始となる62歳から少しずつ辞めはじめ、満額支給できる67歳になると、多くは退職します。
しかし上記のように、貯金何それ美味しいの?という人が多いアメリカでは、退職の年齢になったからといって、金銭的な理由で退職できない人も大勢います。この場合、退職すると毎月の収入がガクンと減るので、最悪の場合には家を失うリスクさえあるでしょう。
退職できない人は、残念ながら働き続けるという選択肢しかありません。もしくは、退職してソーシャルセキュリティなどを受け取りながら、低所得者向けの公的なサービスを利用するかのどちらかとなります。
退職せずに働き続けた場合、どうなるのでしょうか?元気に働けて仕事のパフォーマンスにも問題がなければ、まさに理想的かもしれません。しかし年齢によって仕事のパフォーマンスが低下したり、使い物にならなくなってしまうと、企業は容赦なくレイオフするでしょう。私も過去に、そうした人を複数見てきました。
ちなみに、レイオフの場合には企業が社員に対して一時金を支払う義務はありません。倫理的な理由でわずかな一時金を支払う会社は多いですが、それは会社の善意でしていることです。
その日をもってレイオフされた人は事実上の無職となってしまいます。失業手当を数か月間受け取ることはできますが、残念ながら働いていた時と同じ金額というわけではありません。
4.退職したら働けない?
退職しても、雇用してくれる企業があれば働けます。地域密着型のサービスをコンセプトとしているウォルマートなどでは、入り口の所に高齢者がスタンバイしており、買い物客に挨拶をしています。はい、グリーター(Greeter)と呼ばれるお仕事で、高齢者にとっては人気が高い激戦職なのだそうです。
一般的には、若い年齢よりも高齢者を積極的に採用しようという企業は少ないので、仕事は見つけづらくなります。
5.たまに耳にするEarly Retireって何?
日本でもアメリカでもたまにいますが、30代とか40代ぐらいで「僕はEarly Retireなのさ」という人がいたりします。FIRE(Financially Independent Retire Early)と呼ぶ人もいますね。
一般的なEarly Retireというのは、「すでにたくさん稼いだので、もう働かなくても食べていける」という超うらやましい人々を指すことが多いですね。どうしてそんな若くして「働かなくても食べていける」経済状況になるのかというと、
- 宝くじで大当たりした
- 不労収入(株の配当とか賃貸収入とか)だけで食べていける
- 高額所得の仕事でコツコツと貯め続けて財を成した
- 起業して大成功、それを売却して大金を手に入れた
- 親の遺産相続
などが多いですね。働かなくても十分な資金があれば、働かないという選択をすることも可能です!
ちなみにこのEarly Retireは、自分で勝手に宣言していることなので、その年齢からソーシャルセキュリティ年金が受け取れるとか、そういうわけではありません。働かない選択をすることは悪くありませんけれど、そこから年金を受給できる年齢になるまでどうやって生活していくのか、しっかり計算した上で慎重に決めることをおすすめします。