アメリカの裁判所から出頭命令⁉私、なにした?

私がテキサス州に越したばかりのころ、裁判所からの出頭命令らしき紙が玄関のドアに挟んでありました。裁判所からの通達なんぞ、アメリカだけでなく日本でも受け取ったことがないという人は多いでしょう。異国の地アメリカで、そうした紙を受け取った場合、どうしたら良いのでしょうか?

目次

  1. それはある日突然起こった
  2. 裁判所には長蛇の列が・・
  3. NOLOとは?
  4. こんな時はどうする

1.それはある日突然起こった

アメリカと言っても国土は広く、州ごとにルールは異なります。同じ州の中でも、カウンティなど地域ごとに独自のルールがあったりします。同じ場所にずっと暮らしていれば、生活の中で少しずつそうしたローカルなルールを学ぶことはできるでしょう。しかし、引っ越したばかりの時や転勤などで引越しが多い人にとっては、ローカルルールとは簡単に学べそうで、意外と難しい存在なのかもしれません。

私にとっても、その日は突然やってきました。

朝6時ごろに玄関の扉を開けたら、ストームドア(玄関のドアの外についているガラスのドアです)の部分にピンク色をした紙が挟まっていました。誰かがチラシでも入れたのかな?とみると、なんと裁判所からの通達らしきお手紙が。

寝ている夫を起こして見せてもよかったのですが、我が家では職務分担制を採用していて、子供の仕事は「学校に行って勉学に励むこと」、夫の仕事は「仕事を頑張ってお給料をたっぷり稼ぐこと」、そして私の仕事は、「自分の仕事を適度に頑張りながら、家事と育児、その他全てに対応すること」です。

つまり、裁判所からの通達に対応するのは、私の職務なのです。

通達の内容を読むと、どうやら引っ越してきたエリアでは干ばつが起こりやすいエリアらしく、ちょうど取水制限をしていた時期のようでした。そんなことをつゆも知らない我が家では、早朝に庭のスプリンクラーを使っていたのです。そして、それを目撃した近所の誰かが通報して、警察官に切符(Citation)を切られた、というわけでした。

Citation [ sɑɪtéɪʃən ]

【法律, 法学】召喚.召喚状

このCitationというのは、スピード違反をして切られる切符などにも使われます。警察官が切る切符=Citation と覚えておきましょう。

ちなみに、日本の警察官が切る交通違反切符の場合には、青とかピンクの色によって罪の重さが違いますが、アメリカの場合には、色の違いによる分類はありません。私が受け取った切符はピンク色でしたが、その他にも黄色とか白とか、自治体によっていろいろあるようです。

2.裁判所には長蛇の列が・・

Citationをよく読むと、どうして切符が切られたのかという理由が、紙の裏面に、おそらく警察官の手書きなのでしょうけれど、ほぼ殴り書きかつ箇条書きで書かれていました。

2021.8.6, 05:46, Sprinkler usage

みたいな感じだったと思います。具体的にいつ出頭しろとは記載されておらず。とりあえずこの裁判所へ行くように、と住所が記載されていました。

何しろ初めての経験なので、右も左も分かりません。とりあえず行ってみようと、スマホのナビをセットして裁判所に向かったところ、裁判所らしき建物を発見。その前には、長蛇の列ができていました。

おそらく100人ほどいたと思います。その人たち、皆が手にピンクの紙を持っています(笑)。Citationを持ってきた人たちで、きっと何かの罰金を払うためにやってきたのだということは想像できました。

3.NOLOとは?

長蛇の列に参戦して待つこと約30分程度。意外と早いなと思いながら自分番がやってきました。

アメリカでも日本でも官公庁が無愛想なことは共通しているらしく、窓口の人はニコリともせずに「How can I help you?」と一言。

私は、朝起きたらこんな紙が玄関にあって、とりあえず来た、と伝えました。するとその女性係員は、表情を全く変えることなく、その切符を見て、「で、どうするの?」と私に聞きました。

私は、相手の不親切な対応にイラッとし、少しだけ強めの口調で「どうするって何が?」と聞き返しました。そしたら彼女はCitationに書かれている3つの選択肢、

  • 「はい、私は有罪です。有罪であることを認めて、罰金を払います。」
  • 「いいえ、私は無罪です。裁判で徹底的に争います。」
  • NOLO

を指して、どれかを選べというのです。最初の2つは、まあ読めば理解できました。しかし、3つ目のNOLOってなんじゃ?と思ったので、聞いたのです。そしたら、

「有罪だと認めないけど、裁判になるのは面倒なので、とりあえず罰金は払います」

という選択肢でした。

Nolo contendere is a legal term that comes from the Latin phrase for “I do not wish to contend”. It is also referred to as a plea of no contest. In criminal trials in certain United States jurisdictions, it is a plea where the defendant neither admits nor disputes a charge, serving as an alternative to a pleading of guilty or not guilty.

Wikipedia

私の場合、越して来たばかりで知らなかったため、有罪と認めるのは嫌でした。しかし、罰金は数十ドル。裁判に出廷して戦うほどのコトでもありません。なので、NOLOを選択して、その場で罰金をカード払いにし、トラブルを収めることができました。

4.こんな時はどうする?

この時は、自宅で切符を切られ、自宅から車で5分程度の裁判所に出頭して罰金を払えばOKでした。

しかし、もしも旅行中にスピード違反などで切符を切られたとしたら、わざわざ遠く離れたロケーションにある裁判所へ出頭するのは無理ですよね。来いと言われても、イヤです。

その時には、CitaionにWebサイトや電話番号がかかれているので、まずはWebサイトへアクセスしてみて、自分にどんな選択肢があるのかをチェックすることをおすすめします。

多くの場合、オンラインで罰金を払うという選択肢があります。そうすれば、遠方の裁判所まで出かける必要はありません。広いアメリカだからこそ、トラブルになりたくない善良な市民のために、オンラインを活用してさっさと罰金を収められるシステムが確立されています。