日本では2016年から電力の自由化が始まり、嬉しい悲鳴を上げる人が多数かと思いきや、電力会社を変えることに大きな抵抗を持っている人も多いようですね。
アメリカでは、法律的には1990年代からエネルギー政策基本法という法律が施行されて、電気の自由化が進められていました。しかし、全米すべてのエリアで自由に電力会社を選べるかといえば、決してそういうわけではありません。地域ごとに管轄している電力会社があり、消費者が自由に選べないというエリアはたくさんあります。
しかし私が以前住んでいたテキサスでは、もうすでに電力はユーザーが自由に選ぶのが当たり前となっていて、消費者としてはとても便利でした。今回は、そんなテキサスでの電力自由化事情をご紹介しますね。
目次
1.テキサスでは電力会社を自由に選べる!
テキサスへ引っ越すまでは、電力会社を自由に選べるなんて知りませんでした。引っ越したら、不動産会社から電気はココ、水道はココ、ガスはココに電話してくださいと連絡先を渡されて、そこへ電話してサービスをスタートするというのが一般的ですよね。
しかしテキサスに引っ越したとき、不動産会社の人から、電力会社はネットで検索して、単価が安い所にすると良いよ、と教えてもらいました。
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電力の自由化といっても、私達ユーザーが選べるのは、電力の小売り業者です。大手の業者もあれば小規模な会社もあり、それぞれ契約期間や単価が大きく異なります。その中で感じたことは
- 無名の業者でも大手でも、使っていて不便を感じたことは一切ない
- 小規模な業者だからといって電力供給が不安定になったことはない
- 単価が大きく違うので、業者の知名度や規模にこだわりすぎると隣人の数倍も高い電気料金を支払う羽目になる
- 契約は数か月単位からできる。長期契約したほうが単価が安くなる。
- 期間縛りが一切ないプランも各業者から出ている。しかし単価は最も高い。
- 短期間縛りで更新するよりも、長期間縛りの方が単価が安い。
- 更新すると単価は上がる。だからサービスそのものを変える人が多い。
カリフォルニア電力危機は22年前
電力自由化に抵抗がある人の多くは、2000年あたりにカリフォルニアで起こった電力危機が頭から離れないのかもしれません。これは電力自由化に伴って多くの人が電気を使いまくり、電力会社が電力設備を新設しなければならないベルになってしまい、最終的にそうしたコストもユーザーの利用料金で賄うため、自由化によって電力が安くなるどころか以前よりも高くなったという悲劇です。
私がカリフォルニアに引っ越した時には、すでに自由化は撤回されており、住んでいる場所によって決められている電力会社からサービスを受けるという選択肢しかありませんでした。
テキサスもなぜか値上がり
テキサス州も、自由化がスタートしたばかりの時には悲劇を経験した州です。自由化すると市場競争原理が働くので、電気料金の単価が安くなるのが普通なのですが、そこに仲介業者が入り込んできて、高額な仲介料を巻き上げるようになったのです。結局エンドユーザーにとっては以前よりも高くなってしまうという悲劇が起こりました。
私がテキサスへ引っ越した時には、そうした高額さは感じませんでした。おそらくネットの比較サイトが充実していて、仲介料だろうが何だろうが単価が高ければユーザーからの契約を取りづらい状況が整備された後だったのでしょう。
2.感じた不便さ
契約期間と電力会社を自由に選べることで、毎月の電気代を大きく節約することができます。10年ほど前に私が契約したときには、大手ではkwh当たりの単価が20セント程度で高かったのですが、無名の所ではいろいろなエネルギーを組み合わせることで単価を低く抑えていて、3年契約で単価7セントというものもありました。単価が3倍違えば、同じ電気量を消費していても、かかる電気代は大きく変わりますよね。
不便だなと感じたことは、契約期間が切れると自動的に期間縛りがないプランとなるので、電気代が急に高くなります。それで気づくという人もいるぐらい、高くなります。
そのため、契約期間が切れる1か月ぐらい前から再びネットで単価を比較しながらどこと契約するかを決めて、引っ越しするまで何年あるから、と逆算しながら契約していたのを覚えています。
電力会社を切り替える時にも、停電になることはなく、あってもきっとサブリミナル的に気づかないレベルだったと思います。