食料を現物提供で利用しやすい「フードバンク」って知ってる?

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アメリカには、生きるために必要な食糧が手に入らないFood Insecurity(食料不安定)な状態に陥っている人の数は、全米で3,830万人もいます。これは、アメリカで暮らす国民の8人に1人という割合で、決して低くはありません。日本でも近年では経済格差が広がっており、フードバンクなどの食料供給サービスが行われていますが、アメリカにもこうしたサービスはあります。

アメリカの食糧供給サービスとしては、フードスタンプ(現在ではSNAPと呼ばれています)がよく知られていますが、これは事前の登録など手続きが必要です。しかしフードバンクは、フードスタンプよりも利用しやすく、場合によっては登録も必要ないという点が大きな魅力となっています。

目次

  1. フードバンク(Food Bank)とは?
  2. フードバンクは誰が運営しているの?
  3. 誰が利用できる?
  4. 利用方法
  5. 家庭で調理できる人向けのサービス

1.フードバンク(Food Bank)とは?

フードバンクとは、個人や団体から寄付された食料を、食料が必要な人々へと配給する団体のことです。全米にいくつかの期間がありますが、全て非営利団体として運営されています。

フードバンクへ食料を提供するのは、その地域にあるスーパーなどが多いです。食料品を取り扱う店では、どうしても賞味期限までに販売できないアイテムが少なからず出てしまいます。そうした食料品をフードバンクへ無償で提供してくれています。そうした「余り物」以外にも、社会貢献としてストアブランドの食料品を提供してくれる店も多くあり、フードバンクでは野菜やフルーツ、肉や魚などの生鮮品から、小麦粉や缶詰に至るまで、必要な食料品が揃っています。

フードバンクへ食料品を寄付するのは、スーパーなどの法人だけではありません。

  • 製造業者(品質に問題ないけれど出荷できなかったアウトレット的なものが多く寄付されています)
  • 生産者(農家など)
  • 公的機関や民間企業
  • 包装業者

などが、フードバンクの在庫を支える主なサポーターです。しかし間接的には、地域のコミュニティも、フードバンクに貢献していることは少なくありません。

例えば子供の学校などでは、イベントとして食料品の寄付を募り、集まった食料をフードバンクへ寄付します。また、そうしたイベントの一環として、子供達が家をピンポンして廻り、食料品の寄付を各家庭から募るという運動もしていますね。

もともとは食料ロス削減を目的

フードバンクのサービスは、アメリカにおいては1967年にスタートしました。現在では公共の福祉サービスとして機能していますが、もともとは食料ロスを削減する目的でおこなわれていたそうです。食料が必要な人たちがいて、破棄される食糧があるという事実を踏まえ、そのマッチングを行おうというサービスだったのです。

2.フードバンクは誰が運営しているの?

フードバンクを運営している機関は、全米で200以上あります。州やカウンティなどの単位で運営している所が多いですが、それらを元締めとして取りまとめているのが、Feeding Americaです。

Feeding America

アメリカ国内では最大規模のフードバンクです。全米ほぼすべてをカバーしていて、利用者は4,000万人もいます。州やカウンティ、および自治体のフードバンクやフードパントリーの多くは、このフードバンクのネットワーク傘下となっていて、お互いに協力しながら運営しています。

最寄りのフードバンクを探したい人はこちらから

食料を無償で配給してくれるサービスには、フードバンクの他にもフードドライブやフードパントリーなどに多様な呼び方のサービスがいくつかあります。しかしこれらは、配給方法が異なるだけで、基本的には同じモノだと考えてOKです。

企業から寄付された食料がまず最初にフードバンクへ行き、そこからローカルエリアのフードパントリーへ届けられて一般市民へ配られるという流れになっていたり、フードバンクがフードドライブと呼ばれる配給イベントを開催して、そこに集まった人たちへ食料を配布するなど、具体的なサービスの種類や特徴によって、呼び方は若干異なります。

3.誰が利用できる?

従来は、フードバンクもフードスタンプと同じように、利用できる世帯の所得に上限が設けられていました。所得の上限は、全米で統一されたラインではなく、州やカウンティなど自治体によって異なります。

しかしコロナの影響で、一時的にこの利用条件を排除した地域はたくさんあります。例えば、高所得世帯であっても、突然失業して収入も貯金もなくなれば、今日明日の食べ物にも困ることはあるでしょう。持ち家があるならカネ持ってるだろう、というわけではないのです。そうした事情や背景を考慮して、受給条件を撤廃した地域は多いので、もしもニーズがある人は、ぜひチェックすることをおすすめします。

世帯の所得条件がなければ、利用したい人はニーズに合わせて誰でも利用できます。また現在では面倒な登録手続きが簡略化された所も多く、より多くの人が気軽に利用できるサービスとなりました。

4.利用方法

利用できるかどうか、また利用方法は、州やカウンティなどによって扱いは異なります。州内で生活していることを証明できる公共料金の請求書とか運転免許証などを提示すれば誰でも利用できるという所もあれば、事前にオンラインで登録申請をしてApproveされなければ利用できない、と言ったところもあります。

その場で申し込んでその場で利用できるところが多い

フードバンクおよびフードパントリーは、アポなしで足を運んでもその場で手続して、その日のうちに食料がもらえる迅速なサービスが多いです。食料難民の救済を目的としているので、手続きに何週間もかかるということはありません。

STEP1:フードパントリーに行く

地域によって申請方法は異なります。なので、アポなしで行くよりも、できれば事前にネットで申し込み方法や手続き方法をチェックすることをおすすめします。もしも事前登録が必要な場合だと、アポなしで行っても食料をもらうことはできません。丁寧に申請の方法などを教えてもらうことはできるでしょうけれど、特別にその場で手続きをさせてもらうことは難しいかもしません。しかし、もしもアポなしOKのフードパントリーなら、必要な書類があればその場で手続きをしてその場で利用できます。

フードパントリーには、たくさんの食料品が在庫としてあります。しかし、在庫には限りがあるので、利用者が多ければ全員に平等にいきわたらない可能性もあります。だから、できるだけ早めの時間に行くことをおすすめします。

STEP2:もらえる量が決まったらいよいよ食糧選び

利用者が何をもらいたいか事由に選べるフードパントリーでは、できるだけ多くの人に平等に食料がいきわたるように、いろいろな工夫をしています。例えば、世帯の人数によって、肉や魚、乳製品をどのぐらいもらえるかが決められています。自治体によって決め方やシステムは若干異なりますが、ポイント制を採用している所が多いようですね。

例えば、野菜を4ポイントまでもらえると言われたら、その4ポイント内で野菜マークがついているアイテムを探すことになります。野菜1つで1ポイントというわけではなく、例えばリンゴなら4つで1ポイントの扱いになるなど、細かく設定されていることが多いです。そういう場合には、リンゴ2個、オレンジ2個で1ポイントにして、ホウレンソウやキャベツ、ニンジンやジャガイモなどの野菜を合計4ポイント以内に収まるように、利用する側が工夫できます。使わない野菜ばっかりもらわざるを得ない、という事態にはなりません。

STEP3:在庫切れの可能性は高い

フードパントリーは、企業などからの寄付によって成立している福祉サービスです。できるだけ多くの人に平等に食料がいきわたる工夫や配慮はされていますが、場合によっては欲しいものが手に入らないという事態はあります。特に、人気が高い肉や魚などは、欲しいという希望者が殺到するアイテムです。午後にのんびり足を運ぶと、肉が全くないという事態にもなりかねません。

いろいろな食品をバランスよくほしい人は、開店時間と同時に入れるように、できるだけ早めに行くことをおすすめします。

コロナ禍ではこんな工夫も

ちなみに私が住んでいる地域では、コロナ禍ということもあり、フードパントリーに加えてフードドライブが州内に月2回やってくるようになりました。コロナ禍におけるフードドライブでは、できるだけ感染リスクを最小限に抑えるためにドライブスルー方式となっていて、ドライバーは車の中から一歩も降りずに食料品を受け取ることができました。

ただし、配給される内容は一律で、利用者自信では選べません。あらかじめボランティアのスタッフがダンボールに食料品を詰めてくれていて、ドライブスルーでは順番にトランクを開けて、そこに食料を入れてもらえるというシステムでした。

ローカルテレビでのニュースでも報道されていたのですが、コロナ禍においては食料のニーズが増大したため、ドライブスルーの待ち時間は何と5時間以上だったのだとか。

5.家庭で調理できる人向けのサービス

食料供給の福祉サービスというと、日本では炊き出しをイメージする人は多いと思います。これは、すでにボランティアが食事を調理した状態で配給するというものですよね。

このフードパントリーは、調理された食料を提供するサービスではなく、自宅で調理できる人を対象にしています。缶詰のスープとかパンなど、そのまま食べられる食材もありますが、それを軸としているわけではありません。

また、フードバンクやフードパントリーは、欲しいものがもらえない可能性があります。もしも、もっと確実に欲しいものをゲットしたい人は、フードスタンプのプログラムを要チェックです。フードバンクと併用してもOKなので、野菜やフルーツなどフードバンクでもらいやすいものはそちらで、肉や魚など人気の商品ならフードスタンプを使ってショップで購入するなど、工夫することもできます。

フードスタンプについてはこちらから

投稿者: samuraipassport

こんにちは!アメリカ在住のジャーナリスト兼ライターです。アメリカへの移住から生活まで初心者が知っておきたい情報を発信していきます!アメリカに住んでみたい人や海外に憧れている人にとっても役立つ情報が満載です!

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