日本人にとっては、アメリカ横断とかアメリカ縦断ときくと、とても壮大なロマンを感じるのではないでしょうか。私自身、息子が2歳のころに、夫の異動でアメリカ横断をした経験があります。その他にも何回か数日間かけて車で移動する経験をしていますが、こうした経験をしているアメリカ人は、とても多いと思いますね。その理由は、アメリカ人は車での移動がデフォルトだから!だと思います。
ここでは、アメリカ横断(縦断でも)で失敗しないプランニングや知っておくと便利なコツをご紹介しますね。
目次
1.あなたはどちらのタイプ?
アメリカは広いです。グーグルマップで東海岸の都市と西海岸の都市の距離を計算すると、ニューヨークからロサンゼルスまでは車で41時間かかると出てきます。
「あ、41時間ね。1日は24時間だから、4日ぐらいでつくね。」
なんて単純計算しているあなた!それはいくら何でも無謀です!
この41時間を、1日当たり何時間ぐらい運転すればよいのかを計算すれば、大体何日ぐらいかかるのかが分かります。しかしこれはあくまでも、「このぐらい運転できるだろう」という仮定で、渋滞や天候などによる影響は全く考慮していないベストな状態での予測です。
何日もかかる距離を車で移動する場合、
- 毎日できるだけ進み、暗くなってきたり疲れてきたら、そこで宿泊先を見つけるタイプ
- 最初に毎日何マイル走るかを計画し、事前に宿泊先を押さえておきたいタイプ
のどちらが自分の性格に合っているかを考えて、旅の計画を立てることをおすすめします。
フレキシブルに対応したいタイプ
事前に計画を立てると、今日はどこまで行かなければならないという義務感が生まれます。それが精神的な圧になるという人なら、その日の気分で可能な限り走り、一日の終わりには気に入ったところで宿泊先を探すという旅の方法が良いかもしれません。
ただし、アメリカは日本のように高速道路が整備されているわけではありませんし、ガソリンスタンドや宿泊できる場所が充実しているわけでもありません。かなり疲れてきたけれど、山の中だったり砂漠の中だったりして、宿泊先もガソリンスタンドも見つからずに走りつづけなければならないという事態が起こるリスクはあります。
事前に計画したいタイプ
これは、会社の異動などで移動に自由気ままな日数をかけられない人にオススメの方法です。出発前に、今日は何マイル走ってどこに泊まる、という計画をすべて立ててしまうので、計画通りに目的地に到着できるという安心感があります。しかし無理な計画をすると、疲労困憊の状態に陥ったり、道中を楽しむ気力も体力も残っていないという悲惨な状況にもなりかねません。
2.1日どのぐらい走るのが目安?

人によって、何時間ぐらいの運転なら疲れないかという基準は違います。3時間ぐらいでダウンしてしまう人もいれば、10時間ぐらい走れるという人もいるでしょう。アメリカ横断や縦断では、旅の期間が10日前後かかることが多いです。そのため、疲れすぎない状態を維持するのが最終的にはベストだと思いますね。
アメリカ政府が公務員の異動に対して推奨している一日の移動距離は、350マイルです。これは563kmに当たります。民間企業でも社員が車で異動する場合には、このぐらいの距離を走ると推定して、交通費や宿泊費などの手当てを計算することが多いようです。
1日350マイルって疲れる距離?
もしも高速道路を70マイルで走れば、350マイルは5時間です。80マイルで走行すれば、4時間半ぐらいで到着します。普段運転しなれている人なら、このぐらいの距離は「全く問題ない」距離だと思います。
ただし、アメリカ横断や縦断では、大都市も通過します。時間帯によっては通過する際に渋滞に引っかかったりすることがあり、5時間のつもりが7時間になってしまう事はもちろんあります。疲れている時にそうした状況になると、さらに疲れがアップします。
上限はどのぐらい?
10日ぐらい連日運転しなければいけないことを考えると、1日の上限は450マイルから500マイルぐらいが限度だと思います。もちろん、強靭な精神を持っている人なら、もっと長距離を運転してもへっちゃらでしょう。私が横断したときには、夫が一人でドライバーをしていたため、1日450マイル以上は走らないような計画を立てました。
3.宿泊先の決め方



高速道路沿いには、モーテルと呼ばれるホテルがたくさんあります。ヒルトンやリッツカールトンなどと比べれば、当然ですが高級感はありません。しかし、お得感は確実にありますし、ホテルを選べば衛生面でも問題なく泊まれます。
日本人にとって衛生面で抵抗なく泊まれるモーテルを選ぶなら、Best WesternとかHoliday Inn、Comfort Innあたりがおすすめです。もしも価格重視でチャレンジャーな衛生環境もいとわないなら、ごめんなさい、Super 8とかEconomy Inn、そのほかチェーンになっていないローカルな激安モーテルもたくさんあります。旅の記念にどうぞ。
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都市部を避ければ節約できる
宿泊先を事前に決める際には、渋滞になりやすい都市部はできるだけ避けるのが得策です。人里離れた場所にあえて宿泊する必要はありませんが、都市部の近郊なら安心感があると思います。
アメリカの人里離れた場所での宿泊は、土地勘がある人か肌で危険を察知できる人以外は、避けたほうが無難だと思います。部外者は目立ちますし、狙われやすいものです。
ディスカウントは積極活用
アメリカのホテルの多くは、さまざまな割引制度があります。早めに予約するだけでも割り引いてもらえたりしますし、場合によっては半額ぐらいになったりするのでお得です。
4.持っていると便利なもの
アメリカ横断や縦断では、車に携帯していると便利なものがいくつかあります。
GPSシステム
スマホのキャリアによっては、電波が届かない地域があります。土地勘が全くない場所でスマホの電波も入らないとなると、かなり精神的なストレスとなってしまうでしょう。出発前に必ず携帯している携帯キャリアの電波状況マップを見て、怪しいなと感じたらBest Buyなどでサテライトを使ったGPSシステムを購入しておきましょう。
ミネラルウォーター
500ml入りのミネラルウォーターは、数本ではなくケースでトランクに入れておくことをおすすめします。高速道路沿いのガソリンスタンドで販売されている水は、高いです。しかも、万が一路上でトラブルが起こった時には、水がないと熱中症や脱水症状のリスクもあります。
トイレットペーパー
私は心配性なので、トイレットペーパーを必ず持参します。その理由は、アメリカ横断中や縦断中には、信じられないほど人里離れた場所でトイレに行きたくなったりすることがあるからです。トイレはあっても、ペーパーがないという事は普通にありますし、高速道路沿いのトイレにも、ペーパーがないという事もあります。大量に持っていく必要はありませんが、万が一の時のために持参しておくと安心感が違います。
薬
解熱剤、整腸剤はマストです。私が横断したときには東海岸北部のマサチューセッツ州から、西海岸南部のロサンゼルスまで3200マイル程度の旅でした。9日間という日数を会社から頂いていたので、事前に計画を立ててドライブしましたが、2歳の息子は道中、ちょうどオクラホマ当たりまでついたところで、熱を出しました。おそらく精神的なストレスだったのだのでしょう。
医者に連れて行ったところで寝かせておくことには変わらないですし、引き返すことも滞在することもできなかったため、解熱剤を飲ませて車の後部座席に寝かせ、そのまま移動を続行しました。
子供の退屈しのぎはゲーム
一日の大半を車の中に座りっぱなしの状態でいると、誰でもイライラするし退屈もします。道中の景色を楽しむことはできますが、毎日そればかりでは子供は退屈してしまうでしょう。
そんな時には、場所を取らずに長く子供を楽しませてくれるスマホやタブレットの一択です。ゲーム三昧に対して否定的な人でも、背に腹は代えられません。
5.高速道路での注意点
アメリカの高速道路では、いくつか注意点があります。
基本的には無料、しかしTollは有料



アメリカの高速道路は、基本的に無料です。しかし都市部の周辺には、Tollと呼ばれる有料道路もあります。避けて通ることは可能ですが、アメリカ横断や縦断ではできるだけ労力を最小限に抑えたほうが良いので、支払うことをおすすめします。場所によっては通行料金が10ドルぐらいすることはあるものの、2ドルとか3ドルぐらいが多いです。
このToll料金は、基本的に現金オンリーとなっている所が多いです。中にはおつりすら出ないという事もあるので、1ドル札と25セントを多めに準備しておくと安心です。
夜間の走行は控えよう
日本の高速道路は、夜間には照明がついて明るいですよね。しかしアメリカの場合、照明が全くなく、自身のヘッドライドだけが頼りとなることは少なくありません。疲労の度合いが昼間とは大きく変わりますし、動物の飛び出しなどもあるので危険です。
ちなみに、鹿など大型動物が飛び出してきて轢いてしまうと、旅行を続行できないレベルで車にダメージを負います。昼間なら視界が良くて見えるので、避けることもできますよね。しかし夜は、真っ暗な中を走るので、そういった危険にも注意が必要です。
また、夜間には高速道路沿いのパーキングエリアなども危険です。ずいぶん昔ですが、早朝4時ぐらいの高速道路パーキングで、トイレに行った女性がレイプされて殺害されるという事件が起こりました。それ以来私は、暗くなってから高速道路のRest Area系のパーキング(長距離トラックのドライバーが仮眠をとっていることが多いです)には近寄りません。
ただし、フードコートがあるサービスエリアは別です。
6.ハードだけど一生の思い出になる
私が東海岸から西海岸まで横断したのは、30代前半のころです。夫がずっと運転してくれたこともあり、当時はほとんど疲れることなく、道中を楽しみながら旅ができました。その前にも後にもたくさんの旅行をしましたが、一生のうち最も思い出に残っているのは、この横断の旅です。特に観光をしたわけでもなければおいしいグルメをいただいたわけでもないのに、です。
40代後半にも似たような横断をしましたが、この時は死ぬほど疲れました。良い思い出にならなかったどころか、ハードな1週間だったという記憶しかありません(笑)。
もしもアメリカ横断や縦断の旅をするなら、ぜひ若いうちに慣行することをおすすめします!