アメリカ市民権vs永住権、どうするべき?

国際結婚の片道切符でアメリカに来た人、アメリカで働いていてこのまま骨をうずめようかと考えている人、日本へ帰国する予定がなくずっとアメリカに住んでいる人はたくさんいます。多くの場合、グリーンカードと呼ばれる永住権もしくはアメリカ市民になって生活しているのではないでしょうか。

アメリカ市民権は、アメリカに来てすぐに取得できるモノではなく、一定の条件を満たさなければいけません。しかし条件を満たせば抽選などをすることなく申請して取得できます。長くアメリカに住んでいると、ずっと永住権をキープしたほうが良いのか、それとも市民権をとってアメリカ人になった方が良いのか、迷うことがあるかもしれません。

目次

  1. 永住権のメリットとデメリット
  2. 市民権のメリットとデメリット
  3. 私が市民権をとった理由

1.永住権のメリットとデメリット

アメリカ市民にならず、ずっとグリーンカードのステータスを維持することには、メリットとデメリットがあります。

メリット

  • 日本のパスポートをずっとキープできる
  • 日本へ永住帰国するという選択肢も維持できる
  • 日本の親からの相続の際に手続きがスムーズ→外国人だと手続きが煩雑になる
  • 将来は日本からの年金もアメリカにいながら受け取れる
  • 日本の親の介護や看病で長期間日本に滞在しても問題なし

デメリット

  • グリーンカードを定期的に更新しなければいけない。お金もかかる。
  • 選挙権がない
  • 遺産相続の際に税金控除される金額が低い
  • 有事の際には「市民オンリー市民優先」となる可能性が否めない
  • 公務員になれない
  • 万が一の時には日本へ強制送還されるリスク
  • 一定期間以上アメリカを離れるとステータスが失効する
  • 社会保障を受けられる範囲が市民よりも限定されている
  • アメリカ市民の配偶者と離婚した場合、養育権で不利

2.市民権のメリットとデメリット

それではアメリカの市民権をとると、グリーンカードだった頃と比べてどんなメリットがあるのでしょうか?

メリット

  • 夫や子供と同じアメリカのパスポートが持てる→有事の際でも確実にアメリカに帰ってこれる
  • 公務員になれる
  • 政治家や大統領にも立候補できる
  • 国家機密に関わる仕事ができる
  • 日本の親を呼び寄せることも可能→永住権の人より手続きがスムーズで早い
  • 日本を含めた海外に長期滞在しても、問題なくアメリカへ帰ってこれる
  • 公立校で奨学金を受けやすくなる
  • 万が一の時でも日本へ強制送還されない
  • 養子を迎える際の手続きがスムーズ
  • 海外赴任の際にビザ取得がスムーズ

デメリット

  • 日本国籍を放棄する手続きをしないと、日本の親からの相続が困難
  • 日本の親の介護などで日本に長期滞在すると、不法滞在者となる
  • 世界のどこに住んでいてもアメリカへずっと納税しなければいけない
  • Jury Dutyと呼ばれる陪審員のお勤めに呼ばれるかもしれない

3.私が市民権をとった理由

私は10年ほど前に、市民権を取得しました。その理由は、

何かあっても夫と息子と同じ家に帰ってきたかったから

というもの。もちろん、そうならない可能性は極めて低いのですけれど、アメリカのパスポートを持っていないということは、少なからず有事の際にはアメリカではなくて日本へ帰されるリスクがあるという事です。

私がそう思うようになったきかっけは、とある日本人女性の記事を読んだ事でした。彼女はアメリカ人の男性と国際結婚をし、子供も生まれて幸せにアメリカで生活していたそうです。しかし何かのきっかけで、ずいぶん昔に彼女が申請した移民ビザの書類に不備があることが分かり、なんと彼女だけ強制送還されたのです。それまでは永住権で生活していたので不法滞在ではないはずですが、発行すべきではないグリーンカードが発行されたとみなされて、彼女はそこから10年間のアメリカ入国禁止になったのだとか。

また当時はグリーンカードを持って海外へ長期滞在する人が多かったのかは知りませんが、グリーンカードを持っていてもアメリカ入国拒否にあったという人や、口論になって立腹した入国管理菅にその場でグリーンカードを捨てられた、なんて話も友人から聞きました。

もちろん、友人から聞いた話は、どこまで本当なのかは分かりません。しかし当時はアメリカ大使館の日本語サイトに、グリーンカードを持っている人が海外に滞在する際の注意書きなどが掲載されたりもしました。なので、それなりに問題があったのだと予想しています。

私はすっかり怖くなり、万が一の時にも夫と息子様と同じ家に帰ってこれるようにとの思いで、アメリカの市民権を取得することに決めました。まぁ日本で暮らしている親とはもともと折り合いが悪かったので、決断するのに迷う要素が少なかったというのもありますが。

グリーンカードを持ってアメリカで生活している人を、怖がらせようとしているわけではありません。今は以前よりもネットでより多くの情報収集ができますし、万が一の時にはヘルプを求めることもできます。ネット社会が進むことは、私達のような立場の人間にとっても、大きなプラスになっている思いますね。

アメリカの給料日は月1じゃない!頻度別メリットやデメリットとは?

日本では、お給料日と言えば、ほとんどの会社が月に1回ですよね。締め日や給料支払い日は会社によって異なりますが、こちらの会社では毎週お給料がもらえるとか、こちらは隔週でお給料がもらえるということは、まずありません。

しかしアメリカでは、月1のお給料日は、逆にかなりマレです。うちもそうですが、サラリーマンとしてお給料を受け取っている人の約73%は、隔週がお給料日となっています。

ほかにも、お給料日の頻度はいろいろあります。それぞれ、メリットとデメリットがあるので、もしも選べるならよく考えて選びたいですね。

目次

  1. アメリカのお給料、どんな選択肢がある?
  2. お給料の頻度、最も多いのは「隔週」
  3. パートに多い「毎週」
  4. 「月に2回」は予算をたてやすい
  5. 「月1回」は人気なし
  6. 法律でお給料の頻度が決められている?
  7. 年金の支払いは月1回

1.アメリカのお給料、どんな選択肢がある?

アメリカのお給料は、多くの会社ではいくつかのオプションがあり、採用されたときに選ぶことができます。多くの場合には、

  • 毎週
  • 隔週
  • 月に2回
  • 月に1回

がオプションとなっていますが、私の夫の職場では、3か月ごととか6か月ごと、1年ごとという頻度もオプションとしてあります。誰が選択するのかはわかりませんし、そうしている人に出会ったこともありません。おそらく、「誰も選択しないオプション」なのだと思います。

2.お給料の頻度、最も多いのは「隔週」

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お給料の頻度で最も多いのは、隔週です。つまり、2週間に1度の頻度でお給料がもらえるというものですね。上記の通り、正社員として働いているアメリカ人の73%、それ以外のパートなどでを含めても、全体の37%は隔週払いを選択しています。

隔週でお給料を受け取ることは、

  • 毎回受け取るお給料の金額は同じ
  • 給料日は金曜日が多い
  • 年間のお給料日は26回。つまり、年に2回、給料が3回入る月がある。
  • 家賃や光熱費の支払いなど、月1で支払う経費の予算組が少し面倒

などの特徴があります。

3.パートに多い「毎週」

正社員ではなく、パートとかフリーランスのように、労働時間が不規則になったり、その時によって受け取るお給料の金額が変わるという人は、お給料の受け取りは「毎週」を選択する人が多いです。アメリカで働く人の約32%は、毎週お給料を受け取っています。1週間働いたら、翌週に1週間分のお給料をもらえる、というわけですね。

お給料の頻度が毎週だと、

  • お給料が頻繁に入ってくるので生活しやすい
  • 給料日は毎週金曜日になることが多い
  • 家賃や光熱費など月1の予算組が少し面倒、使ってしまうリスクもある
  • 従業員が少ない企業はデフォルトでこの頻度になっていることも多い
  • パートタイムはたいてい毎週の給料
  • 給料は年間52回

4.「月に2回」は予算をたてやすい

月に2回のお給料は、隔週とよく似ていますが、違う点もたくさんあります。会社によって、毎月1日と15日と決めている所もあれば、15日と30日と決めている所もあります。アメリカで働く正社員のうち、約20%は、この月2回のお給料日を選択しています。

このお給料形態では、

  • 何曜日がお給料日、ではなく、お給料日によって曜日が変わる
  • 毎月必ずお給料日は2回(隔週のように3回給料がもらえる月はない)
  • 月によって労働日数は変わりますが、正社員を対象としているのでお給料の金額は毎回同じ
  • 給料は年間24回

という特徴があります。

5.「月1回」は人気なし

two glasses of white wine next to a block calendar

日本ではデフォルトとなっている月1回のお給料日ですが、アメリカでは残念ながら人気がありません。その理由は、次のお給料日まで気が遠くなるほど待たなければならないから、だと思います。この頻度を選択しているのは、全体の11%程度と、とても少数派です。

月1回のお給料だと、

  • 給料日ごとに家賃や光熱費も含めて予算を作りやすい
  • 計画的に使えない人は次の給料日までにお金が無くなってしまうリスクあり
  • 給料は年間12回

6.法律でお給料の頻度が決められている?

アメリカには、連邦政府と州政府とで、お給料の支払い頻度に関する法律があります。

連邦政府の法律では、頻度は会社の経理の都合に合わせていくつかの選択肢を提供することは認められていますが、頻度は一定の間隔でなければいけないというルールがあります。

州の法律は、週ごとに異なります。例えばメイン州では、州法によって月1の頻度は認められていません。お給料日の間隔は、長くても16日までとなっているので、毎週、隔週、月2回という選択肢しかありません。

7.年金の支払いは月1回

働く人に対するお給料は、ほとんどが毎週とか隔週、月2回など、次のお給料日までの日数はそれほど長くありません。貯金が苦手なアメリカ人にとっては、お給料を使ってしまっても、なんとか次の給料日まで生き延びられるというメリットがありますよね。

しかしお給料の支払いに関しては、頻度は日本よりも多いですが、年金の支払いになると、やはりアメリカでも月に1回となってしまいます。

受け取った収入で1か月間も暮らしたことがない人にとっては、これは精神的にストレスかもしれません。

私自身、日本では当然ですがお給料は月1でした。その後、アメリカの企業で働いて、お給料を隔週でもらえるようになったら、すっかりその頻度に慣れてしまい、月1は給料日の間が長すぎるから嫌だと感じるようになりましたね。

ちなみに、日本には日雇いバイトなどがあり、それはお給料は働いた分をその日に受け取ることができます。夜のお仕事などでも、日払いをしてもらえる職場なら、働いた分の一部もしくは全額を当日に受け取ることができます。

アメリカには、こうした日払いの制度はありません。少なくとも私が足る限りでは、聞いたことがないです。なので、日払い制度は日本独自の文化なのかもしれませんね。

アメリカの親あるある!Because I said soは毒親かも!?

アメリカで子育てをする中で、私が何度も耳にした言葉があります。それは、親が子供に対して、”Because I said so!”というもの。意味としては、親の言うことを黙って聞け、というニュアンスですね。

例えば、子供が何かをして、親が「NO!」と叱ったとしましょう。子供は、それがどうしてNOに値するのか、理由がわからなければ、親に対して「Why?(どうして?」と聞くでしょう。しかしアメリカでは、それに対して親が逐一説明をすることは、必ずしも良しとはされていません。

私自身、育児では子供を常に対等に扱ってきました。だから、子供に「どうしてダメなの?」と聞かれれば、理由をきちんと説明してきました。しかし、そんな光景を見ていた周囲の友人からは、「子供に対していちいち説明する必要なんてないの。Because I said so! と言えばいいのよ。」と何度も私がたしなめられました。

でも理由を知りたい子供に説明しないというのは、私の中では変だと思っていたので、何度たしなめられてもスルーでしたが。

目次

  1. 親が子供に「Because I said so」をいう背景
  2. どんな親が言う傾向にあるのか?
  3. 答え方から見るあなたの育児方法
  4. アメリカにはどのタイプが多い?

1.親が子供に「Because I said so」をいう背景

親が子供に「どうして?」と聞かれたとき、説明するのが面倒だなと感じることはあると思います。私も、もちろんありました。

例えば、我が家では子供のゲームは、平日は宿題などがあるので基本的にはNG、でも金曜日と土曜日は翌日学校がないから宿題が終わってるなら夜遅くまでしてもよし、というルールにしていました。この「夜遅く」というぼんやりした線引きは、親子で誤解を生じる原因になります。

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例えば金曜日の夜12時になっても、子供が大興奮でゲームに興じているとしましょう。もうそろそろ寝てほしいな、と思っている親は、「あと10分でゲームを止めて、寝なさい」というかもしれません。しかし子供は、「どうして?」とくるわけです。

親にとっては、

  • 12時で遅い
  • 子供が寝ないと親も心配で寝られない
  • 子供が睡眠不足になると健康や成長への影響が心配

など、まぁいろいろな理由があります。しかしこれは、あくまでも親の言い分です。子供にとっては、「金曜日の夜は遅くまでゲームしても良いって言ったじゃないか!」という言い分があるわけです。だから、「どうして?」と聞いてくるわけです。

私は子供に何か言うときには、常に言われた子供の立場になって考えたうえで発言してました。夫からは「甘すぎる」と叱責されたこともありましたけれど、理不尽なNOだけは言いたくありませんでした。だから、昔も「Because I said so」と子供に対していったことは一度もありません。

2.どんな親が言う傾向にあるのか?

子供に理由を聞かれたとき、理由を言わずに「Because I said so」と言って黙らせようとするのは、権威主義的(Authoritarian)な子育てをする人に多い傾向があります。

権威主義的というのは、親は子供よりも高い位置にあり、指示を出す側でなければいけないという信念を持っている子育て方法です。親である自分の言うことは、子供にとっては絶対であり、それに対して疑問や質問を投げかけられたり、まして異議を唱えられるなんてありえない、と考えています。

金曜日のゲームの例では、親が「Because I said so」と言えば、その時点で会話は終了です。子供は「この間は、ママは金曜日は遅くまでゲームしていいって言ったのに」と不満を抱えたまま就寝することになるでしょう。

子供が受ける影響とは?

この育児方法で育てられる子供は、親が間違ったことを言っていると思っても、異議を唱えることは認められていません。「どうして?」と率直に思っても、質問できません。親の言うことは絶対であり、それが家庭のルールなのです。だから、黙って従うという選択肢しかありません。

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この育児を受けて育つ子供は、世の中や集団のルールに対して従うことが、とても上手になります。黒いものを白、白いものを黒といわれても、あまり疑うことなく「リーダーがそういうのなら、そうなのです」と信じることができます。

しかしこの従順さには、リスクが伴います。それは、自尊心が育たないという点です。必ずしもそうだというわけではありませんが、自分の考えよりも組織のルールを重視するため、自分の気持ちや考えは最優先される項目にはならないわけですね。

また権威主義的に子育てをすると、子供は親に対して恐怖を感じるようになってしまいます。親が怖い、怒られるのが怖いから何も話せないと感じると、親子間の距離はどんどん離れてしまいます。

3.答え方から見るあなたの育児方法

子供から「どうして?」と聞かれたとき、どのように対応するかによって、その家庭での育児方法を垣間見ることができます。

権威と理解を両立(Authoritative)

このタイプは、子供に「どうして?」と聞かれたときに、言葉で理由を説明します。「Because I said so」と言って突き放すことはしません。親の中で持っている持論やルールを、子供に説明するという点が、権威主義的な育児と大きく異なります。

またこのタイプは、子供の気持ちも考慮します。そのうえで、解決策を提案したり、前向きに問題を解決しようという姿勢で子供と向き合います。

金曜日のゲームの例なら、「子供が12時を過ぎて起きていると、成長にもマイナスだし、親ももう寝たいから、あなたも寝てほしい。でもその代わり、明日の朝は早起きしてゲームすれば良いじゃない?」と打開案を提案するでしょう。そうすれば子供も、親がなぜそういうのかを理解でき、提案された打開案で手を打つのも悪くないな、と考えられます。

子供が受ける影響は?

このタイプの子育てをすると、子供自身も他人に意見をする際には、その理由や背景を言葉で説明できる能力が高くなります。また、リスク管理のスキルが高くなりやすいという研究結果もあるようです。

寛容な育児(Permissive)

このタイプは、ルールを決めても子供になかなか実践できない親が該当します。例えば「もう寝なさい」といっても、子供が「だって金曜日は遅くまでゲームしていいって言ったじゃないか!僕はまだ眠くない!」と反論してきたら、「眠くないなら仕方ないか」と折れるタイプですね。

子供が受ける影響は?

子供の自主性を大切にするといえば聞こえは良いですが、子供にとっては、親の言うことに全く権威性を感じないというデメリットが発生してしまいます。理にかなっていれば、相手が親でも自分の意見を認めてくれるという方式が、成長の過程で刷り込み式に植えつけられるため、子供は自身の考えていることを主張するスキルが身に付きます。

cheerful ethnic man resting with kid on bed

これは悪く言えば「子供になめられる」親となってしまう方法なのですが、必ずしもデメリットばかりとは限りません。子供にとって親は、権威のある存在ではなくなるものの、なんでも話せる兄弟や姉妹、また友人のような存在となります。お互いに信頼関係を築くことによって、上下関係ではなく対等な関係を築けるというメリットもあります。

ただし、権威に対しての免疫を持たないため、学校のルールに従ったり、先生の指導に従うことに対して、苦労するリスクは高くなるかもしれません。子供は、ルールに従うのではなく、自分に正当性があればルールに従う必要はないと覚えてしまうからです。

無関心な親もいる(Uninvolved)

親の中には、子供は経験から自主的に学ぶという育児メソッドを持つ人もいます。この場合、親が指導したり何かを強制的にさせるのではなく、子供の自主性を大切にして、良いことも悪いことも経験を通して学べばよいという考えが多いです。

無関心と無関与とは、若干の違いはあるものの、この育児方法は「Because I said so」という子育てとは対極にある方法だといえるでしょう。

  • 子供が学校からの宿題をしたかを聞かないし、宿題はあるのかとも聞かない
  • 子供の友達のことも、すべて本人に任せている
  • 親子で過ごす時間が少ない

など、放任主義を思わせるような言動も多いです。

子供が受ける影響は?

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無関与な子育ての中で育つ子供は、親は自分に興味や関心がないと感じる機会が多くなってしまいます。その結果、自信のない人間になったり、自尊心の面でもデメリットが発生するかもしれません。

また、親にルールを守れと強制されないため、いやなルールには従わないという姿勢が確立されてしまうでしょう。学校の勉強でも苦労したり、集団生活で真野るべきルールもうまく守れないという事態が起こりかねません。

4.アメリカにはどのタイプが多い?

私がアメリカで育児をしてきた中では、「Because I said so」という権威主義的な親か、子供の自主性に完全に任せて放任無関心的なUninvolvedな親が多かったような気がします。

もちろん、子供に説明して理解を求めたり、子供と友達親子の関係を築く人もいますが、私が見てきた中では、これらのタイプは日本の親子関係によくみられるような気がしました。あくまでも私の狭い世界での経験による感想ですが。

アメリカのホームスクールはポジティブな不登校?メリットやデメリットも!

子供の頃には誰もが一度や二度、人によってはほぼ毎日という人もいるでしょうけれど、「学校に行きたくない」と思ったことがあるはずです。その理由はさまざまです。いじめや人間関係などもあれば、「学校の勉強が簡単すぎてつまらない」なんて理由もあるでしょう。

日本では、教育というと「学校に行く」「行かない」の2択しかありませんが、アメリカにはいろいろな選択肢があります。ホームスクールも、その一つです。

目次

  1. ホームスクールとは?
  2. ホームスクールの理由にはどんなものがある?
  3. ホームスクールのメリット
  4. ホームスクールのデメリット
  5. もしこれからホームスクールをするなら知っておきたいコト
  6. ホームスクールに優しい州はどこ?

1.ホームスクールとは?

ホームスクールとは、学校で勉強するのではなく、自宅で勉強するという教育スタイルを指します。「学校に行かずに家で勉強なんてできるわけないだろ!」というのは、私達典型的な日本人の考え方かもしれません。しかし多様性を良しとするアメリカでは、子供が学校に行かなくても、ホームスクールをすれば代替にできるという選択肢があります。

ホームスクールをしている子どもの数は、アメリカ全土で約170万人程度で、全体の3%程度です。決して多くはありませんね。このうち、圧倒的に多いのは白人世帯で、ホームスクール生徒全体の83%を占めています。日本人を含むアジア人世帯の場合には、約2%で他の人種と比較して少なめです。

誰が教えるの?

ホームスクールは、基本的に親が先生となって子供に勉強を教えます。親が自分で教科書などを選んで教えても良いですが、州ごとにホームスクール用のテキストを無償で提供してくれる制度もあったりします。

また州のカリキュラムに従ったホームスクール向けの授業を動画でやっていたり、有料でホームスクール向けの授業を動画でやっているサービスもあります。

「学校ではなく家で勉強する」場合でも、どんなカリキュラムに沿って勉強するのかという点で、たくさんの選択肢がある所が、アメリカらしいですね。

アメリカって義務教育はないの?

日本だと、小学校と中学校は義務教育と決められています。これは、「子供が教育を受ける権利」ではなく、親が子供に「教育を受けさせる義務」が法律で決められているからです。そのため、子供が勉強したくないからと言って何もしないのでは、親が法律で罰せられることになります。

アメリカの場合、州ごとに義務教育の年齢は異なります。高校までは公立の学校は無償で通えるので、高校までが義務教育だと考える人は多いですね。でも、中学校の途中で学校に行くのを辞めたとか、ハイスクールの途中で行くのを辞めたという「ドロップアウト」な状態でも、ホームスクールでカバーすることはできます。

どんな人がホームスクールに向いている?

ホームスクールという選択肢は、全ての人に与えられています。しかし、全ての家庭でホームスクールを選択することが、必ずしもベストとは限りません。ホームスクールが向いているのは、

  • 親子で先生と生徒の関係になって勉強ができる人
  • 教える人が昼間在宅でいられる家庭(通常は親、もしくは家庭教師など)
  • 落ち着いて集中して勉強できる時間と場所と確保できる人
  • 自主的かつ積極的に学びたいという気持ちがある人
  • なぜホームスクールにするのか理由が明確な人
  • 社交の場を家庭の外で見つけられる人
  • 病気やケガなどで長期療養が必要な人

などです。

ホームスクールだった偉人

発明王トーマス・エジソン

有名な話ですが、アメリカが生んだ発明王のエジソンは、学校になじむことができず、ずっとホームスクールをしていたことで知られています。彼の場合、「なぜそうなるのか」という物事のメカニズムや仕組みを知りたいという気持ちが強かったため、学校に通うと教師から「質問ばかりしてうるさい」「変わり者だ」と厄介者の扱いを受けたことがきっかけでした。

彼の母親は、そうした状況を前向きにとらえて、「行きたくないなら家で勉強すれば良い」と彼のホームスクールをサポートしたそうです。しかし当時はホームスクールのシステムやサポートなどは一切ありませんでしたから、基本的に彼は自分自身で学問を学んだのだとか。

2.ホームスクールの理由にはどんなものがある?

ホームスクールの理由は、ポジティブなものからネガティブなものまで様々です。例を挙げると、

などは、よく聞く理由です。

カリキュラムが気にいらない

私がアメリカで子育てをしてきた中では、ホームスクールを選ぶママ友も少なからずいました。その中でも最も多く耳にしたのが、この理由ですね。カリキュラムが気に入らないというのは、

  • 学校のカリキュラムが簡単すぎて先が思いやられる
  • 無駄な科目をやっているのが気に食わない
  • 家で教えたほうが短時間で効率的に教えられる

などの理由です。例えば、将来はプロアスリートを目指す子だと、学校で1日過ごす時間がもったいないから、家でサッと勉強を短時間で片づけて、午後はずっと練習に費やしたい、という家庭もありました。

また、日本では考えられない事なのですが、学校で「進化論(Evolution)」を教えるから行かせない、という家もありました。アメリカではキリスト教徒が大半で、キリスト教においては、サルが人間に進化するなんて言語道断な話なのです。キリスト教では、アダムとイブが何もない場所に突然現れる創造論(Creation)を信じているため、それに反することを教える学校や教師はけしからん、ということなのでしょう。

アメリカでも、州や学校によっては教師が「進化論」を意図的に教えないという所もあります。しかし、学校のカリキュラムに基づいて教える場合には、その方針に反対する親が、その時だけ学校を休ませるとか、その年は学校に通わせない、なんてことも意外とあります。

先生の教え方が気に入らない

先生の教え方が気に入らないという理由で、ホームスクールを始める家庭もあります。先生の教え方が下手なのか、それとも教え方ではなくてカリキュラムが気に入らないのか、理由はいろいろあると思いますが。

先生の教え方が気に入らないことは、珍しくないと思います。息子が小学校中学年だった時の担任の先生が、教師になったばかりだったようで、「よくわからない」「知らない」が口癖でした。よく分からないという理由で、生徒に勉強を教えないのです。

それでどうするかというと、隣のクラスの先生にお願いして、クラスを丸ごと引越しさせていました。例えば、数学はAクラスと一緒にやってもらい、英語の時間はBクラスにお邪魔する、と言う感じですね。

小学校の中学年といえば、アメリカではちょうど時計の読み方を覚えたり、掛け算、割り算あたりを覚える大事な時期だったと思います。先生の意味不明な言い訳で子供が基礎を理解できなくなったら大変だと思い、我が家ではとりあえず数学に関しては、全て私が教えました。ホームスクールではありませんでしたが。

学校でいじめの被害にあっている

私はアメリカのホームスクールに関しては、あまり手放して賛成するわけではありません。しかし、この理由に関しては、ホームスクールという選択肢があることは、子供にとっては大きな救いの手になってくれると思っています。

アメリカでは、陰険ないじめは日本ほどありません。集団でいじめることに対してマイナス感情を持つ子供が多いことが、その理由だと息子は話していました。

でも、まったくないわけではなく、存在しています。あからさまないじめではなくても、気が弱い子は精神的なストレスを感じながら学校に通っている子もいます。

そうした子供にとっては、学校に行って精神的に追い詰められなくても、自宅で勉強ができて、将来は高校や大学にも進学できるのなら、それは素晴らしい選択肢だと思います。

学校でドラッグや暴力など悪い影響がある

同じ町にある学校でも、住んでいる場所によって学校の質や雰囲気はガラリと変わります。例えば、富裕層が多く住むエリアにある学校は、暴力やドラッグなどの問題は起こりづらい傾向にあります。しかし貧困層が住むエリアにある学校だと、そうした問題が起こりやすい傾向にあるのです。治安が良くない所だと、学校の入り口に金属探知機があり、生徒が銃器を持ち込まないかチェックするところもあります。また、学校の窓に鉄格子がついている所も実際にあります。

同じ町でも、大きな差がついてしまう所は、アメリカの影の部分なのかもしれませんね。

「だったら良い学校に行ける所に住めばよいのでは?」

と考える人はいるでしょう。確かに、その選択肢は理想的です。しかしそうしたエリアには、高級住宅のみで賃貸物件がないとか、富裕層でない人にとっては環境を選べないことが少なくありません。

ガラが良くない学校に通うと言っても、そこに通う生徒が全員、そうした危険因子を持っているわけではありません。そのため、運悪くそうした学校に通うことになると、親子で話し合ってホームスクールという選択をすることもあります。

3.ホームスクールのメリット

ホームスクールには、たくさんのメリットがあります。

  • 基本的に親子でマンツーマンの授業となるので、短時間でも密度の濃い勉強ができる
  • 子供の能力に合わせて、どんどん先にすすめる
  • スポーツや音楽などに時間を使いたい人や遠征などに行く子にとっては、時間的にフレキシブルな対応がしやすい
  • 周囲の生徒から悪い影響を受けずに済む
  • いじめがない
  • 地域によってホームスクールをサポートするグループがある
  • 学校によっては体育や課外授業だけ出席というのもOK
  • 宗教や価値観と教育とで干渉せずに済む
  • いつからでも始められる(年初でなければいけないといったルールはない)
  • 事情があって出席日数を満たせなくても留年にならない

4.ホームスクールのデメリット

ホームスクールには、メリットばかりではありません。少なからずデメリットもあります。ホームスクールを検討するなら、デメリットについても理解しておくことが大切ですね。

  • 社交性が身につかない
  • 他人とトラブルが起きた時の対応の仕方が分からない
  • 子供の世界が家庭内だけになってしまい、視野が狭くなる
  • カリキュラムや使用する教材、教え方によっては最低限の学力が身につかない
  • ホームスクールでも時間割などスケジュール管理は必要
  • 共働きの世帯だと難しい
  • 州ごとに法律があるので従う必要がある(科目や対象年齢、親に必要な資格など)
  • 一人っ子の場合には孤独感を感じやすい

などがあると思います。

5.もしこれからホームスクールをするなら知っておきたいコト

もしこれからホームスクールを使用かなと考えている家庭は、目の前のカリキュラムについて調べるだけでなく、さまざまなシチュエーションをシミュレーションした上で、賢明な選択をする必要があります。

レポートカード(成績表)は必ず作る事

ホームスクールで親が子供に勉強を教える場合、わざわざ成績表を作る必要がないと考える人は多いと思います。しかしこのレポートカードは、もし近い将来、別の学校へ通学する場合や転入する際には、提出するように求められるため、必要です。「ホームスクールだったので作っていません」と言っても認めてもらえません。

大学入学ではSATやACTは必要

ホームスクールなら、レポートカードの成績は良く、GPAも親がつけるので、4.0も十分に可能だと思います。しかし、大学入試においては、GPAだけで入学できるかどうかが決まるわけではないという点は、理解しておきましょう。難関大学になればなるほど、SATやACTのスコアはチェックされます。そして、ホームスクールでのGPAが高くても、テストのスコアが悪ければ、残念ながら不合格となってしまいます。

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Resume(履歴書)に書ける内容が必要

ホームスクールが良くも悪くもどういうものなのか、どんな影響を子供に及ぼすのかという点は、大学側は理解しています。もしも大学入試の際に提出する履歴書が、ただホームスクールをしていましたというだけだと、もしかしたら「じゃあずっと家にいただけ?」と思われて不合格リスクが高くなる可能性はあるでしょう。

ホームスクールをするのなら、勉強以外にボランティアやコミュニティ活動を積極的にするとか、どこかの団体に所属して集団での活動に精を出すなど、履歴書に書ける何かが必要不可欠です。

州によって法律がある

州ごとに法律がある

6.ホームスクールに優しい州はどこ?

ホームスクールに関しては、可能な子供の年齢や教えなければいけない科目、また親が持っていなければいけない資格や届出の必要性など、州ごとに条件が定められています。条件が厳しい州もあれば緩めの州もありますが、どの州がホームスクールをしようと考えている人にとってはフレンドリーなのでしょうか。

アラスカ州

親が子供に教えるなら年齢も科目も完全自由。届け出も不要。

アイダホ州

親の資格や届け出は不要。ただし子供はホームスクールを含めて16歳までは教育が必要。

インディアナ州

親の資格や届け出は不要。年間で最低180日間の授業が必要。

ミシガン州

州から提供されている9科目の必修科目はマスト。親が教える場合には資格は不要。

ミズーリ州

生徒の数は4人まで。年間の授業時間は1000時間以上であること。子供は16歳までホームスクールを含めて教育が必要。親の資格は不要。

ニュージャージー州

親の資格は不要だが、公立学校と同等のカリキュラムでなければいけない。

オクラホマ州

親の資格は不要。年間180日以上の授業をすること。学校は5歳から18歳までを対象。

テキサス州

ホームスクールは私立校の扱い。通知や親の資格は不要。カリキュラム作成は必要。必須科目には歴史と科学を含める事。

ユタ州

通知は必要。カリキュラムは州が提供するものから選択できる。

日本に多い友達親子、アメリカでは悪?

日本には、親子が上下関係というよりは友達のような関係で仲が良い「友達親子」が大人気です。親友のように何でも話すことができるこの関係は、親が子供に対して威圧的な態度をとらず、子供は親に対して恐怖心を抱くことがありません。

日本と比べて、親は威厳ある存在であることを重視する傾向にあるアメリカでは、この友達親子は、どこまで浸透しているのでしょうか?

目次

  1. アメリカにおける友達親子の実態
  2. 友達親子のメリット
  3. 友達親子のデメリット
  4. アメリカで増えている友達親子
  5. アメリカの専門家が友達親子に否定的な理由

1.アメリカにおける友達親子の実態

アメリカにも、友達親子はいます。しかし親子関係は上下関係であるべきだと信じる人が多いからでしょうか、友達親子の関係を築いている人はそれほど多くありません。中には「そんな関係。。」と否定的な人もいます。

アメリカの市場調査によると、アメリカで暮らす親の約40%程度は、子供と親友のような関係を築きたいと考えています。そしてその多くは、子供が成人してからも実家暮らしを続けることに対して、否定的ではありません。

子供にできるだけ快適な生活環境を提供しようと、子供におねだりされたわけでもないのにモノを買い与えることも少なくありません。私はこれを書きながら、まさに自分のことだと思っております。

親が「子供の親友になりたい」と思っている一方で、子供はそんな親をどう見ているのでしょうか?

実は子供自身も、約半数は親のどちらかを「親友の一人」だとみなしているのだそうです。そうなると、子供にとっては家庭がとても居心地の良い空間となり、時間がある時にはできるだけ家にいたいと感じたり、成人しても親と同居する選択肢があるのなら、迷わずに同居を選ぶことが多くなるのだとか。

2.友達親子のメリット

upset little ethic boy looking at faceless father during argument

友達親子には、たくさんのメリットがあります。日本では、子育て専門家の尾木ママも、この友達親子の育児方法を称賛されてましたね。

  • 子供の反抗期が軽減される(親が子供の気持ちに理解を示すため)
  • 親は、子供の社交や生活環境を把握しやすい(子供が臆することなく話してくれる)
  • 子供の親に対する不満が減る
  • 親は、子供が言うことを聞いてくれるので精神的に楽

ぐらいでしょうか。友達親子の関係を築いている人のほとんどは、その関係に満足しているという点もまた、友達親子の特徴ですね。

3.友達親子のデメリット

a woman getting mad to a young girl

友達親子には、デメリットもあります。日本では友達親子に対して賛成派と反対派がきっぱり分かれる傾向にあり、賛成派は約40%程度なのに対して、反対派は30%もいて、賛成派と同じぐらい反対の人もいます。その理由は、

  • しつけができない(親に威厳がないため)
  • 子供の精神的な成長を妨げる
  • 反面教師で学べない

この点は、アメリカの専門家の多くも口をそろえて指摘する部分です。アメリカでは、親は子供の上に立って指導するべき存在という考え方が根付いており、子供に対して毅然とした態度で対応する人が、とても多いです。そして、そうあるべきだと信じている人も多いですね。

その人たちの考えは、「親は子供と同等の立場ではないのだから、友達になる必要はない。子供は友達を家の外で見つけたらよい。親は親、友達は友達。同じではない。」というものです。

専門家も、親が子供の親友になってしまうと、子供が悪いことをしても、その気持ちを理解して受け入れてしまい、正しい方向へと導くことが難しくなってしまうと指摘しています。例えば未成年の飲酒でも、威厳のある親なら、「未成年なのだからダメ」と言うでしょうけれど、友達親子だと「外はダメだけど家の中でならOK」と許可を出してしまうかもしれません。子供の「ルールに従う」スキルが育たないという点は、確かにデメリットですね。

また親子間に一定の距離があると、子供は成長過程の中で、親の悪い面を見たら「自分はそうならないように」と反面教師で学ぶ経験をするでしょう。しかし友達親子の場合には、親の悪い部分を見て、そのまま受け入れて真似をしてしまう子が増えてしまうのだそうです。

4.アメリカで増えている友達親子

専門家からは批判的な意見が多い友達親子ですが、アメリカのミレニアム世代の子は、両親と友達親子となるケースが多いようです。その理由はずばり、ヘリコプターペアレンツやブルドーザーペアレンツがそのまま友達親子になることが多いから。私も多分、このタイプだと思います。

ヘリコプターペアレンツやブルドーザーペアレンツについてはこちらから

アメリカは車社会ですし、子供が一人で近所の公園に歩いていくだけでも親が逮捕されるので、基本的に親は子供が中学生ぐらいの年齢になるまでは、四六時中べったりと張り付いています。その中では、子供にあれこれ言う大人に対して、子供の代わりに戦うこともあるでしょう。これ、ヘリコプターやブルドーザーの特徴ですね。

そうした生活が続くことによって、子供にとっては親は一番のよき理解者となります。そしてその関係が少しずつ友達親子になっていくのかもしれません。

威厳のある育て方をした場合にはどうなる?

私の周囲には、子供に対して威厳のある子育てを貫いた友人が何人もいます。彼女たちは、子供がお願いしても間髪入れずNOと言い、子供が「どうして?」と聞けば「Because I Said so!」と言っていました。

この育て方が良いか悪いかは、私が判断することではありません。しかし多くの場合、親は自分よりも上の立場にいる存在だとだと認識して育ちます。その上下関係を受け入れて、ルールを守る人間に成長する子もいましたし、子供が高校を卒業すると同時に家を出た子もいましたね。

多くの家庭に共通しているなと感じたことは、子供が18歳の段階で精神的にかなり大人だったという点です。自分は成人だと自覚して、親とは異なる考え方と価値観で行動しようと考えている子が多かった気がします。

5.アメリカの専門家が友達親子に否定的な理由

アメリカの専門家が、この友達親子に対して否定的な理由は、ほかにもあります。それは、アメリカは「成熟した文化」なので、子供がいつまでも子供の気持ちを持ち続けることは、必ずしも善ではありません。子供は成長したら早く独立して、大人としての責任と自覚をもって生活するべきだという考え方が根付いています。

友達親子だと、子供は大人になっても快適な実家から出たいと思わないでしょう。実家にいる限りは、子供が何歳になってもヘリコプターペアレンツが守ってくれるので、大人としての責任を実感する機会は減ってしまいます。この点が問題だと、専門家は指摘するわけですね。

実は私の息子も、そろそろ大学を卒業する時期が近付いており、就職先を模索しています。友達親子だった息子は、就職先は実家のそばが良いと言っておりました。

でも私は、子供には世界を見てたくさんの経験をしてほしいと思っています。なので、「獅子は子を谷へ突き落す」戦法に切り替えて、遅ればせながら子供の自立を応援している次第です。

アメリカの親あるある!放任主義はどこまで許される?

子育てには、いろいろなスタイルがあります。こんな子育てをしようと目標を設定する人もいれば、自分が育てられた育児法をそのまま自身の子供に適用する人もいます。私は子供のころ、親がかなりのタイガーペアレンツぶりを発揮していたため、放任主義で何をしても親にうるさく言われない友達が、とても羨ましかったものです。

アメリカにも、放任主義はあります。しかし日本とは異なり、放任主義を認めない厳しい法律も存在しています。ここでは、アメリカの育児における放任主義の実態をご紹介しますね。

目次

  1. 放任主義(Free Range Parents)とは?
  2. 放任主義のメリット
  3. 放任主義のデメリット
  4. アメリカでは放任主義が法律で規制されている
  5. 放任主義は普及するのか?
  6. 過保護から急に放任となるアメリカの子育て

1.放任主義(Free Range Parents)とは?

アメリカの放任主義は、Free Range Parentingと呼ばれています。子供の周囲からリスク要因を積極的に取り除いてしまうヘリコプターペアレンツとは、正反対の場所に位置する育児スタイルです。よく言えば、子供が自身の幸せを「自給自足」で手に入れられる子育て、悪く言えば、子供を「放し飼い」の状態にする子育てです。

放任主義とは、子供が自身で考えて行動をし、経験から学習するという育児スタイルです。きっかけは1946年に出版された「The common sense book of body and child care]という本で、小児医学博士が子供の精神面における発展に関して、親が全てを管理するよりも、子供自身にもっと自由を与えて自身で考えさせた方が長期的にプラスになる、という育児方法を奨励したのが始まりです。

アメリカでは、州によって法律は異なりますが、基本的に放任主義奈子育ては厳しく制限されています。日本では「当たり前」だと考えられていることでも、アメリカでは放任主義、もしくは育児放棄だとみなされることがたくさんあります。例えば、

  • お母さんがちょっと買い物に行く間、子供が一人でお留守番
  • 「はじめてのお使い」のように子供一人での外出
  • カギっ子

これらは、アメリカでは御法度です。日本にいる感覚で気軽にしてしまうと、すぐに通報されて警察から尋問を受けると思います。最悪の場合には、児童虐待のレッテルを貼られて子供は保護施設に連れていかれる可能性すらあります。

2.放任主義のメリット

放任主義というと、親が育児を放棄して子供を野放しにするというようなネガティブなイメージがあるかもしれません。しかし実際に、メリットはたくさんあります。

  • 子供が考えて行動できるようになり、積極性が高くなる
  • 子供に自信がつく
  • 子供の創造性を養うことができる
  • 子供の責任感が育つ
  • 危険を察知するスキルを養える
  • 子供の社交性が身につく

小児児童精神学の研究でも、小学校低学年ぐらいの年齢は、リスクから学ぶスキルを身に着けられる唯一の年齢という結果が出ています。つまりこの年齢の時に、子供が親とは関係ない場所でいろいろな経験をし、怖い思いをしたり、危険から学ぶことによって、その後の人生にも危険察知能力がプラスに作用するのだとか。

もちろん、安全であることが分かっているなら、それもアリだと思います。しかしアメリカの社会の仕組みや事件や事故を見ると、残念ながら現実的なものではないですよね。

3.放任主義のデメリット

放任主義には、いくつかのデメリットももちろんあります。

  • 子供が事件や事故に巻き込まれるリスクが劇的に高くなる
  • 度を超えると育児放棄という犯罪になる
  • 法規制がある場所では、親が逮捕されたり子供が保護施設に入れられる可能性もある

などです。

とくにアメリカでは、子供から一瞬目を離したすきに誘拐される事件が全米各地で日常的に起こっています。年間46万人以上の子供が誘拐されています。もちろん、大半は放任していない家庭でです。そうした環境なので、放任主義で子育てをすると、かなり高い確率で誘拐されてしまいそうです。

4.アメリカでは放任主義が法律で規制されている?

アメリカでは、州やコミュニティごとに、児童労働法などの法律が存在しています。その中で、州によっては具体的に、何歳以下は一人で留守番させてはいけないとか、一人で学校や公園まで行かせてはいけない、と言った規則があります。

例えば、子供が一人で家で留守番できる年齢を見ると、メリーランド州では8歳以上、イリノイ州では12歳以上と年齢が大きく異なります。具体的な年齢を制限していない州もありますが、その場合にはケースバイケースでの対処となっています。

育児放棄との線引きが不明瞭

アメリカの中には、フリーレンジな子育てを認めようという動きの州もあります。しかしそれはまだごく少数で、多くの州では子供の安全を確保するという目的で、子供一人だけの行動は厳しく制限されています。

育児放棄との線引きが難しいという理由もあるでしょう。アメリカでは、育児放棄は犯罪です。児童福祉情報ゲートウェイという公的機関があり、ここでは具体的に何を育児放棄や虐待とみなすのかを細かく定義しています。

5.放任主義は普及するのか?

アメリカでも近年は、育児放棄との線引きを明確にすることで、フリーレンジな子育ても認めようという動きがチラホラ出てきています。

最初に立ち上がったのはユタ州で、2018年に「子供をフリーレンジなスタイルで育てる事」を権利として認めました。ただし何でもOKというわけではなく、どこまでがOKかという線引きがあります。

またテキサス州とオクラホマ州でも、現在ではユタ州と似たような権利が州法によって認められています。

6.過保護から急に放任となるアメリカの子育て

man inside vehicle

上記のように、アメリカで育つ子供はほとんどの場合、どこに行くにも親と一緒、一人で家で留守番することもないという環境で育ちます。学校から徒歩で帰宅することも、州によっては認められていません。公園で遊ぶ際にも、親が監督として目が届く所にいなければなりません。

アメリカでは州によって多少の差はありますが、子供は16歳ごろから自動車の免許を取得できます。車社会のアメリカなので、それまでは親がいなければ1人でどこにも行けなかった子でも、免許を取得すると自分自身の世界が一気に広がります。友人と一緒にドライブするとか、友人の家に遊びに行くのも、親がいなくても車を運転できればお茶の子さいさいです。

私がアメリカで子育てをしてきて感じたことなのですが、アメリカでは、多くの親は自動車の免許を取れない15歳あたりまではとても過保護に育てます。しかし、子供が自動車免許を取ったら突然放任主義になることが多いですね。

その時によく耳にする言葉は「Well, that’s his(her) decision」(子供が決めたことだから)です。悪い判断をしても、そこから学べば良いじゃないかというフリーレンジな子育てのメソッドに基づく子育てへと、突然切り替わるのです。

ここで注意したいのは、突然自分では管理できないほどの自由を手に入れたことで、羽目を外し過ぎてしまったり、事件に巻き込まれて矯正施設へ送られる子もいるということです。高校生ぐらいの年齢は、背伸びして大人になりたくて仕方ない年齢ですし、反抗期の子もいますよね。そこに親から「放任」という特権をもらうことで、良からぬ方向に行ってしまうこともあるのです。

我が家はLife360アプリで問題解決

私の息子も、似たようなものでした。車の免許を取るや否や、週末には夜遅くになっても帰ってこないのです。テキストすればすぐに返信をくれますが、やはり親としては夜中の11時や12時に息子が帰宅しないというのは、心配でたまりません。

息子は「友達の親はみんなもう寝てるから、ママも寝てていいよ」というのですが、心配で寝れるはずがありません。

子供が羽を伸ばして自由を謳歌したいのは理解できます。私自身、親から非現実的な門限を強制されていたため、自身の子供にもそうするのは嫌だという気持ちもありました。それに、学生としての義務はしっかり果たしているのだから、自由を与えるべきだという考えもありましたね。

そこでいろいろリサーチして、Life360というGPSアプリを子供に入れてもらうことにしたのです。このアプリは、以前は無料だったのですが、今では無料版と有料版とがあります。無料版だけでも使い勝手はとても良いので、もしも思春期のお子さんを持つ方には、おすすめですよ!

ちなみに我が家では、

  • Life360を勝手に削除したりDeactivateしないこと
  • 翌日に学校がある日は、深夜に遊ぶのはナシ
  • 金曜と土曜は、12時までに帰ってくること。遅れる時には必ず連絡すること。

というルールを作りました。Meet the half Way、つまり落としどころを決めたわけです。

子供を一方的に押さえつけると、たぶん反発するだけで事態は改善しにくいと思います。しかし野放しにするのも、親としては心配ですよね。家庭で話し合って、両者が歩み寄れる中間地点を作ることが、子育てでは大切なのかなと思います。

アメリカの親あるある!日本人はタイガーペアレンツ?

アメリカの親には、いろいろなタイプがあります。その一つでもあるタイガーペアレンツとは、一言でいうなら「教育ママ」と言えるかもしれません。ただしお勉強のことだけでなく、スポーツや芸術などのアクティビティにおいてもタイガーペアレンツは存在します。

目次

  1. タイガーペアレンツとは?
  2. アジア人はタイガーペアレンツだと思われてる!その理由は?
  3. タイガーペアレンツのメリットとデメリット
  4. 子供に与える影響

1.タイガーペアレンツとは?

タイガーペアレンツとは、2011年にアメリカで出版された「Battle Hymn of the Tiger Mother」という書籍を起源としています。日本でも出版されたので、もしかしたら詠んだことがある人もいるかもしれませんね。

本の中では、中国系の母親の教育法がスポットライトを浴びていました。しかし中国系だけでなく、日本人も韓国人も自国の教育方法を実践すると、それはアメリカでは「タイガーペアレンツ」なのかもしれません。

タイガーペアレンツは、

  • 完璧な結果を出すために、自己を犠牲にするべき
  • 今日の幸せより、明日の成功
  • 努力するなら結果を出せ。結果が出ない努力は努力とは呼ばない。

などの概念に基づいています。日本人なら、賛成するかどうかは別として「はいはい、分かりますよ」という教育方針ではないでしょうか。日本で生まれ育った人ならきっと、多かれ少なかれタイガー的な教育や育児を受けていると思います。

タイガーペアレンツにも、いろいろな度合いがあります。度を超えた強烈なタイガーペアレンツになってしまうと、

  • 友達との遊びは生産性がなく無駄。遊ぶべからず。
  • 結果の出ない習い事は時間の無駄。
  • 将来に役立つ学校の勉強と習い事以外は、一切を禁止。

と、子供にとっては拷問のような日々を強いることになってしまいます。

2.アジア人はタイガーペアレンツだと思われてる!その理由は?

アメリカでは、アジア人の親はタイガーペアレンツだというステレオタイプがあります。もしも子供の成績が良ければ、かなり高い確率で「もしかしてあなた、タイガーペアレンツなの?」と聞かれるでしょう。

その言葉の背景には、「あなたのお子さん、優秀なのね!」と称賛してくれているのか、それとも「そんな風には見えないのにね」というネガティブな意味があるのか、その辺は分かりません。でも多くのアジア人父兄は、この言葉を耳にしていると思います。

アジア人がタイガーペアレンツだと言われるのは、上記の通り、私達が慣れ親しんできた教育システムが大きく関係しています。日本も韓国も、そして中国も、世界でも有数の「受験大国」です。受験大国では、結果を出すことが全てです。どれだけ頑張っても、結果を伴わなければ目標とする学校に入学できません。そのために、親子は一丸となってなりふり構わず受験に取り組むわけですね。

日本には、子供4人全員を東大に入れた佐藤ママという方がいらっしゃいます。日本のメディアによく出演していらっしゃいますし、彼女の教育方法を少しでも知りたいというママたちに対して、講演会などもしていらっしゃいます。彼女も教育方法も、やはり根底にあるのはタイガーペアレンツ思想です。

日本では近年、「結果ではなく、努力をたたえよう」という褒める教育がトレンドとなっています。しかしそれでも、結果を出さなければ受験に勝てない日本人にとっては、褒めることで成績が上がってくれたらいいなとか、褒めてやる気が出るなら褒めようと、結果ありきの「褒める育児」なのかもしれません。

3.タイガーペアレンツのメリットとデメリット

タイガーペアレンツ育児には、メリットとデメリットがあります。

メリット

  • 自分の感情をコントロールするスキルが身につく
  • 結果を視野に入れての努力ができる
  • 目標達成率が高くなる
  • 将来の選択肢が広がる

デメリット

  • 個性や創造性が育たない
  • 社交性が身につかない
  • 子供時代に幅広い経験ができない
  • 勉強が得意でない子供にとっては地獄

4.子供に与える影響

タイガーペアレンツというと、どうしてもアメリカではネガティブなイメージがあるかもしれません。実際に、マイナスの意味で使われることが多い単語です、しかし、メリットもたくさんあることを忘れてはいけません。

「Battle Hymn of the Tiger Mother」は、アメリカ国内でも一台センセーショナルを巻き起こしました。特に、それまで結果重視ではなく努力重視で「褒める教育」しか知らなかったヨーロッパ系の父兄にとっては、目からうろこが出る育児本だったようです。

この本の出版後、著者の元には「私もタイガーペアレンツになりたいのですが、もっと具体的に何をしたらよいのか教えてほしい」というリクエストが殺到したのだとか。

タイガーの名言「スポーツするなら個人スポーツ」

以前、中国系のタイガーペアレンツから聞いた言葉があります。

「スポーツをするなとは言わない。才能があるならすればいい。だけど、自分の頑張りがストレートに反映される個人スポーツのみ。だってチームスポーツは、自分の頑張りが他の子の手柄になってしまうからね。」

はい、タイガーペアレンツ様。その通りだと思います。名言です。

man wearing white sweater and black shorts about to run

私も子供に対しては、タイガーペアレンツの要素が満載の育児をしてきました。チームスポーツもしてきた中では、息子の頑張りが他の子の手柄になったことも、数えきれないほどあります。息子は陸上という個人スポーツもしていたので、その違いは、経験を通して実感しましたね。

我が家の場合には、チームスポーツから学べることもたくさんあると考えて続けてきました。それはそれで、息子にとっては素晴らしい経験だったと思います。どこで線引きをするかは、その家庭次第という事なのかもしれません。

もしもタイガーペアレンツの由来となった本を読んでみたい方は、こちらからどうぞ。日本語版もあります。