アメリカには塾がない!じゃあ勉強はどうするの?

日本では、何十年も昔から塾というものがあり、多くの子供が通いますよね。塾に行かなければ高校や大学に合格できないというわけではありませんが、分からない所を教えてくれる塾、また学校では教えてくれない難しいところまで学習できる塾は、多くの受験生に人気があります。

しかしアメリカに来ると、塾という文化がないことに気づきます。サリバンなど、塾的なサービスがないわけではありません。しかしそうしたものは、都会限定、そして日本人や韓国人、中国人などアジア人が多い地域限定となっているのが一般的です。

その理由は、簡単。もともと塾という文化を知らないアメリカ人を対象にしても、ビジネスとして成立しない可能性が高いからですね。

目次

  1. 塾がない。じゃあ勉強は誰が教えるの?
  2. 必殺技。天才に聞く。
  3. 基本的には学校の勉強オンリーがアメリカ流
  4. アメリカに塾が浸透しない理由

1.塾がない。じゃあ勉強は誰が教えるの?

私の息子様が育った環境には、塾というものは全くありませんでした。塾?何それ聞いたことない、という人が大半でした。苦手な教科だけでも個人的にサポートしてくれる何かが欲しいと思い、家庭教師的なものを模索しましたが、それすら都会限定で私たちが住んでいるエリアにはありませんでした。

言葉があまり関係ない数学なら、私でもある程度教えることができます。しかし他の学科に関しては、私なんて正直何の役にも立たないでしょう。だから、最初から私が家庭教師をしようという考えは持ちませんでした。

それじゃ、誰が教えるの?

そうです。教えるのは学校の先生なのです。

アメリカの学校には、放課後に先生に個人的に勉強を見てもらえるTutor Hourなるものが存在しています。毎日すべての先生が見てくれるわけではないものの、事前に予約しておけば先生は時間を作ってくれます。

中にはライブラリを放課後に開放し、先生が交代で常駐しながら勉強を見てくれる学校もあります。

息子様の学校には、個人的に先生へ事前予約をすれば勉強を見てくれるというシステムだったはずなのですが、残念なことにやる気ゼロな先生がいたりして、まったく意味をなしていませんでした。はい、公立の学校あるあるです。

2.必殺技。天才に聞く。

そこで私は、ある必殺技を考え付きました。それは、同じ学年にいる天才少女へ聞くという方法です!

息子の学年には超絶天才な女子が一人いて、3年も飛び級しているのにVerdictorianという圧倒的な優秀さを誇っています。彼女はのちに余裕のよっちゃんでMITへ、しかも全額無料のフルライドで進学したほどの子で、ハイスクールの時からも優秀すぎて困っちゃうレベルでした。

我が家は偶然にもその天才女子と同じストリートに住んでおり、息子はそれなりに面識があったようです。同じアジア人つながりで、何回か会話をしたこともありました。

私が一度、先生の都合が悪いなら天才少女へ行けばいいじゃないの、教えてくれるのでは?と息子へ吹き込んだところ、そこからは時間がある時には彼女へ聞くこともあったようですね。

3.基本的には学校の勉強オンリーがアメリカ流

基本的にアメリカの公立校では、そんなに難しすぎて解けないというレベルはやりません。やったところで意味不明ぽかんになってしまう子が続出するだけなので。

それに、大学受験のためのSATやACTも、難しすぎて解けねーぞという日本の私大受験問題のような感じではなく、しっかり準備すれば満点も取れるような標準試験となっています。

つまり、学校の勉強をしっかりやっていればハイレベルな大学にも合格できますよ、という考え方がアメリカ人全般に浸透しているのです。学校以外の時間はクラブ活動や友達との楽しい時間、なんで勉強なんかに費やすわけ?という考えなのかもしれません。

4.アメリカに塾が浸透しない理由

アメリカに塾が浸透しない理由はずばり、

アメリカの大学進学は一発勝負じゃないから

だと思います。

  • 大学在学中の編入は日常茶飯事
  • 社会人になってから大学へ入学し直すことも可能
  • SATやACTの試験は一発ではなく、何度もチャンスがある
  • 少数ではあるものの、大学に行かなくても経済的に成功することも可能

だから、楽しい青春時代を勉強一筋に費やすことがベスト、という結論に至らないのかもしれません。

No Child Left Behind政策の真実

アメリカでは、2002年にNo Child Left Behindというプログラムがスタートしました。これは、クリントン政権が行っていた「貧困層の子供にも最低限の教育をうけさせよう」という政策の流れをブッシュ政権が引き継いだもので、2002年に政策の一つとして誕生したのです。

正式な政策となった背景には、世界に台頭する中国の理系力に対して、アメリカの子供たちが圧倒的に負けていたことに対する危惧や懸念がありました。アメリカは世界のナンバーワンなのだから、子供たちが受ける教育もナンバーワンにしようぜ、という意図だったのかもしれません。

目次

  1. 2015年に失効。成果は出たのか?
  2. 国民の完全な勘違い
  3. ワークブックを買うときの注意点

1.2015年に失効。成果は出たのか?

No Child Left Behindは、2002年にスタートして2015年までという期間限定の政策でした。具体的に何をしたのかは公式サイトを見ていただけると分かると思いますが、ざっくり一言でまとめると、

  • 学校で何を教えるかは州でも先生でもなく連邦政府が決める
  • 生徒にきっちり教えることは先生の義務

としました。皆さんもご存じの通り、アメリカは連邦政府が決めることに対して反対する人が多く、州ごとに独自の方法を好む人がたくさんいます。子供に対する教育でも、州とか学区、または先生が自由に何を教えるか決めたらよいだろう!という反発があったようですね。

またアメリカでは、日本のように全国1億人総中流階級というような横並びではなく、貧困層が多い学区もあれば、裕福な学区もあり、同じカリキュラムで同じ成果を出せというのは、現実的にも難しかったようです。

No Child Left Behindについて詳しく知りたい人はこちらから

最初から期間限定の政策だったNo Child Left Behindは、2015年をもって終了となり、現在では「政府じゃなくて州が決めようぜ」という別の政策に生まれ変わっています。

2.国民の完全な勘違い

きっとアメリカに限ったことではないのでしょう。政府が意図する政策には、それぞれ目的とか希望、理想などがあるものですけれど、国民が正確にそれを理解するとは限りません。

我が家では、No Child Left Behindがスタートしてから数年したころに、ちょうど息子がキンダーの年を迎えました。そこから私の長いボランティア生活がスタートし、たくさんの保護者と話をする中で、私はいろいろなことを考えさせられました。

  • 家庭では何もしなくても、学校が子供を天才にしてくれると思い込んでいた親
  • 学校が子供の教育に全責任を負うべきだと考え、宿題を出すなら鉛筆もよこせと先生に迫った親
  • 宿題出したらBehindになる子供が出るぞ、それでもいいのか、宿題やめろ、と先生に迫った親

などがいました。それは変だろアメリカ人。。。という人は多かったですね。

そうした親と関係しているのかどうかは知りませんけれど、先生の中にも「へ?」という人が居たりしました。

  • どういうわけか、数学の授業に民主主義を採用して答えを多数決で決めた先生
  • 「私は離婚したばっかりなので、今年はやる気ゼロです」と宣言した先生
  • 「できません、やりません、クレーム受けません」のポリシーを体現した先生

この親にしてこの教師あり。。。絶望的な気持ちになったこともありましたね。

そんな私に、最も強烈な印象を与えた人がいました。その方は、

「No Child Left Behindは、Leve Everyone Behindのことだ」

と言い切り、学校を相手にせずせっせと家庭での学習に力を入れていました。

当時の私は、まだアメリカでの教育には暗中模索な状態でした。でも私がこれまで経験してきた狭い常識を考えたら、Leave Everyone Behindがなんとなく現実味を帯びていたというか、理にかなっているなという気がしました。

それからは、我が家でも自宅での学習に力を入れるようになりました。

ちなみに、息子様が小学校の時に使っていたワークブックは、本屋とかアマゾンで格安で購入できるアイテムでした。別に難しい教材でなくても学校で習う範囲をしっかり理解できましたし、そこに私の受験経験から得た応用スキルをちょっとだけ試してみる、というスタンスで取り組みました。

3.ワークブックを買うときの注意点

子供は学校からも宿題を持って帰ってきますが、内容がないよ~という事は少なくありません。(※はい、笑う所です)

アマゾンなどで購入できるワークブックは、学校の学習だけじゃ物足りない、親として心配、というときに役立ちます。

いろんなメーカーがいろいろな難易度のワークブックを出しており、超簡単なレベルの問題しか乗っていないブックもあれば、難易度が高いのに問題だけで答えを配布していない教材もあります。そのため、できるだけ内容をチェックしてから買うことをおすすめします。

問題だけ大量に出して答えがないとは何事だ!という声が聞こえてきそうですね。はい。私もそう思いました。Answer Keyと呼ばれる解答集がきちんと同封されたものを選ぶことも、ワークブック選びでは大切なポイントだと思います。

アメリカ私大4年間のリアル収支を公開!

息子様の卒業がいよいよ数か月後に迫りました! いやぁ、長かったようで短かった4年間でした。そこで今日は、4年間に我が家が支払った教育費がどのぐらいだったのかをご紹介します!

目次

  1. 基本データ
  2. 年間8万ドルの内訳
  3. 我が家はいくら払った?その内訳は?
  4. 大学が遠方だと交通費も高い
  5. 4年間の収支!

1.基本データ

  • 私大。ファイナンシャルエイドなしの学費は年間8万ドル(約1,080万円)
  • 年度の最初と最後は車で送迎。サンクスギビング休暇、クリスマス休暇、春休みは飛行機で帰省
  • 4年間ずっと学生寮

2.年間8万ドルの内訳

年間8万ドルの学費なんて、一体全体どこにお金が使われているんだ?と気になる人は多いと思います。はい、もちろん私も気になります。

項目金額
Direct CostTuition(授業料)$62,000
Room(寮費)$9,000
Board(食費)$7,000
アクティビティ費(使途不明)$700
Indirect CostTravel(使途不明)$500
Personal(使途不明)$500
トータル$79,700
学費の内訳

TravelとかPersonal、アクティビティ費などは、もしかしたらクラブ活動費とか、キャンパスで実施していたコロナ検査費用などが含まれているような気がします。

また息子様の大学は、ニューヨーク州のド田舎にあるため、寮費は格安でした。コロンビア大学のように同じニューヨーク州でも都会にある大学だと、寮費だけでも2万ドル超だったりするようです。

3.我が家はいくら払った?その内訳は?

アメリカの大学は、皆さんもご存じの通り、世帯収入によって学費が変わります。そのため、うちがいくら払ったといっても、うちより高額所得の世帯なら、余裕のよっちゃんでもっと多額を請求されることでしょう。

ちなみに息子様の大学では、学生1人当たりの平均額が紹介されており、それによると、定価8万ドルに対して平均は約4万ドル程度となっています。

しかしここで知っておきたいのは、これはあくまでも平均という事です。大学からのお知らせには、学生の約半数は定価8万ドルを全額支払っていると明記されていました。つまり、平均的な4万ドルを払う家庭もあれば、もっと少なくて済む家庭もアリ、そして満額を徴収される家庭もあるというわけですね。

年間のざっくりした収支をご紹介すると、こんな感じです。

ファイナンシャルエイド(大学スポンサーのニードベース。返済義務なし)$39,700
★学生ローン(申し込んだら保証されているローン額)$4,000
★親が払う分(Family Contribution)$33,000
★生徒が払う分(なぜか自動的に組み込まれている)$1,000
★キャンパスでのバイト代(バイトできるかは保証されてない)$2,000
家庭が払う金額の合計$40,000
支払いの明細

★がついている分は、基本的に親が払います。

学生ローン

学生ローンには、低金利で借りられるけれど年間数千ドルしか無理という公的ローンと、そのほか高額な学費を満額で借りられる民間ローンがあります。もちろん、ローンを利用しなければ、その分は親が負担しなければいけません。

キャンパスのバイト?何それ?

基本的に世帯の収入に関わらず、生徒が負担する分$1,000とキャンパスでのバイト代$2,000はなぜか上乗せされています。子供の貯金額を見て計算しているわけではなく、学年によって1年生ならいくら、という感じで数字を出しているようです。

生徒が負担するといっても、生徒あてに請求書がくるわけではありません。

それにキャンパスでのバイト代にしても、バイトを斡旋してくれて、バイト代から学費を差し引いてくれるわけではありません。これはあくまでも「頑張ればこのぐらいバイトで稼げるでしょ」というざっくりとした見積もりです。

バイト代から学費が天引きされるわけではなく、バイト代は生徒の口座へ普通に振り込まれます。そこから学費に当てるなら、親やローンなど立て替えてくれている人へ勝手にどうぞ、というスタンスです。

キャンパスでのバイトは、正直激戦です。学生の数だけバイトがあるということはなく、バイトしたくてもできない生徒もたくさんいます。勉強が忙しすぎてバイトなんて無理という生徒もいます。

息子の場合には、

  • 大学1年の時には、ライブラリでバイト。週2時間のシフトでお給料は週に30ドル。
  • 大学2年の時には、コロナのため全バイト禁止。
  • 大学3年の時には、働きたくてもバイトがなかった。
  • 大学4年になっていきなり昇格。バイトリーダー的な仕事をゲットでき、週300ドルを獲得。

やはり上級生になると高額なバイトをゲットできるようになります。息子は、イベントを計画するようなお仕事だったようですが、詳しくは私は知りません。ほかには下級生に勉強を教えるTA(Teacher’s Assistant)バイトなどもあります。

4.大学が遠方だと交通費も高い

大学が自宅から車でさっと行けるロケーションなら、かかる費用は上記だけ。でも車で行けない距離だったり、休みの度に親が車で行くのは面倒だから飛行機で帰ってこいという我が家のような場合には、飛行機代もかかります。はい、もちろん自腹です。

息子の場合、フライト料金は、通常は往復で$350程度なのですが。サンクスギビング休暇とクリスマス休暇には価格が高騰して$800ほどになります。高いから帰らないという選択肢はないので、払いました。

そして大学4年になってからは、インフレの影響なのでしょうか、フライト料金が爆上りしてしまい、通常料金を見る機会すらなくなりました。

年間の帰省回数3回、4年間で1万ドル(約130万円)近くを使いました。

ちなみに、年度の最初と最後は荷物が多いので、車で行きました。自宅から片道6時間程度かかるのですが、渋滞するエリアが多く、7時間程度かかります。そのため、車で行ったら必ず宿泊するのが習慣となっていて、そこにも費用が掛かりました。

車で送迎したときの宿泊費は4年間で、$4,000(約52万円)ぐらいですね。

5. 4年間の収支!

これらをすべてまとめると、我が家では$174,000(約2,300万円)を大学の4年間に払ったことになります。

ちなみに、息子様が小さなころからコツコツと積み立ててきた目標額は10万ドル(1,300万円)でした。これはクリアしたのですが、想像以上に学費が高騰したこと、しかもクソ高い私大に進学したことなどで、まったくお呼びではないレベルで足りませんでした。

これから皆さんのお子様が大学へ進学される時が来たら、ぜひ参考にしてください。

修学旅行は希望者のみ!子供たちはこうして格差を学ぶ【修学旅行・前編】

日本では多くの場合、小学校と中学校、そして高校とで修学旅行なるものがありました。私が学生だった昭和の時代には、基本的には全員が参加する一大イベントで、1年から2年間ぐらいかけてコツコツと毎月学校で積み立てをしていたような記憶があります。

アメリカにも、こうした修学旅行的なSchool Tripは存在します。しかし、すべての学校がこのイベントを開催するというわけではなく、行くかどうか、また行く場所や日数などは千差万別です。

息子はミドルスクールの終わり、8年生の時に修学旅行に参加しました。いろいろな面で日本と大きく違っていたので、ここでご紹介しますね。

目次

  1. 参加は希望者のみ
  2. 払えない人はどうする?
  3. 意外とハードなFund Raiser
  4. そんな修学旅行、どうだった?

1.参加は希望者のみ

息子が通ったミドルスクールでは、毎年8年生がフロリダのディズニーワールドへ1週間の旅行に行くというのが慣例でした。子供たちはミドルスクールに入学したときから、それを楽しみにしていたそうです。

修学旅行に向けてのオリエンテーションなるものは、1年前にスタートします。保護者が足を運べるであろう夕方ぐらいに「修学旅行へ参加したい人は保護者同伴で」オリエンテーションに参加するように申し付けられました。

実際に足を運んでみると、全体の半分以下しかおらず、驚きました。しかも、大半は女子。男子生徒は、息子を含めて10人程度しかいなかったと思います。

ちなみに、1週間の滞在でかかる費用は、1,500ドル程度でした。これには渡航費と宿泊費、そして食費、それにディズニーワールドへ入園する代金も含まれていました。金額だけを見ると、とてもお得だと思います。しかし、この1,500ドルをポンと出せる家庭もあれば、どう頑張っても出せない家庭もあるわけです。

オリエンテーションは、そのためのものでした。

2.払えない人はどうする?

私たちに与えられた選択肢は、3つでした。

  • 全額を一括もしくは分割で払う(一括で払ってもディスカウントはナシ)
  • Fund Raiserをすれば、払う金額が安くなる。いくら安くなるかは自身の売上次第。
  • 金額を見て「行かない」「行けない」という選択肢もOK

金額を聞いて「やっぱり行けない」という判断をした家庭もあったと聞いています。事前にいくらぐらいかかるのかを知っていたために、最初からオリエンテーションにも参加しない家庭もあったことでしょう。

子供の中には、本人は行きたいと思っているけれど、家庭の経済的な事情で行けない子もいました。そのため息子の友達が家に遊びに来ても、傷口に塩を塗り込むような言動をしないために、

「ディズニー、君は行くの?」

「行かない」

「なんで?」

という会話は控えていました。

3.意外とハードなFund Raiser

handing of dollar bills

アメリカの学校で良く行われているFund Raiserは、楽しそうに見えますが、実際にはかなり大変です。学校側が提携するFund Raise業者からカタログをもらい、それを訪問販売するわけです。

しかも、商品はFund Raiser向けのものなので、正直ちゃっちい…。そして割高です。これを、知らない人の自宅を訪問して売らなければいけません。時間をかけても、頑張っても、まったく売れずに売り上げゼロという子もいるわけですね。

ちなみにアメリカでは、祖父母や親戚が同じコミュニティの中で暮らしているというケースがたくさんあります。また、ずっと同じ土地で生活している人なら、仲良しがたくさんいるので、子供が何もしなくても親が職場で売りさばいてくれるという事も多いものです。

しかし夫の職場では、そうした公私混同的なものが禁止されていましたし、私は友人にガラクタ的なものを販売することに抵抗があったので、できませんでした。

そのため我が家では、旅行費は全額を親が負担して払うという選択をしました。周囲のお友達も、やはり保護者の方が頑張って全額を負担していたようです。

4.そんな修学旅行、どうだった?

家庭の経済力によって参加できるかどうかが決まった修学旅行でしたが、旅行先でも息子はハプニングに見舞われました。そのエピソードについては、次回ご紹介しますね。

後半へ続く

アメリカの学年はフレキシブル!留年と飛び級制度とは?

日本の義務教育では、飛び級もなければ留年もありません。天才的に頭が良い子でも、自身の学年を飛び越えて一つ上の学年に進級することは、認められていません。留年も同じです。劇的に何も理解しなかった子でも、義務教育なら進級はできます。

しかしアメリカでは、学年の概念が日本よりもフレキシブルです。そのため、留年もあれば飛び級もあります。クラスの中に1つ年上の人がいたり、年下の子がいたりしても、不思議ではありません。

目次

  1. 飛び級とは?
  2. Gifted and Talentedでは何をする?
  3. 留年とは?
  4. こんなケースがありました

1.飛び級とは?

飛び級(Acceleration)とは、自分がいるべき年齢よりも上の年齢のクラスで授業を受けるという制度です。学校によっては、学年そのものを底上げして、本来なら7年生なのに8年生や9年生に進級できるケースもあれば、得意な教科だけ飛び級の扱いにするケースもあります。

飛び級は、アメリカでは古くから存在している制度です。ニュースなどでも、11歳の子供が大学を卒業しました、なんていう天才少年少女の話題がたまに上がりますが、これは飛び級のシステムによって、学年がどんどん上がったことによって起こることです。

飛び級に対しては、子供も保護者も賛否両論です。学問を学ぶ問部分にだけ焦点を当てるなら、飛び級は効率的に自身のレベルにあった内容を学べるという点で、メリットです。しかし自身よりも年齢が上の子供たちに混ざることによって、社交性や性格形成の面にも多少の影響はあるでしょう。そのため、飛び級を打診されても断るケースもたくさんあります。

2.Gifted and Talentedでは何をする?

a smart boy playing chess

飛び級ではないけれど、勉強が得意な子供のために提供されているカリキュラムと言えば、Gifted and Talentedプログラムがよく知られています。これは州もしくはISDが提供する試験を受けて、一定ラインを超えると認定され、Gifted and Talentedから提供されているプログラムを受ける権利が与えられるというものです。

これは、一度認定されるとハイスクールを卒業するまでずっとその資格を維持できるという特徴があります。

小学校からハイスクールまで存在していますが、学校によって具体的にどんな対応をするかは多種多様です。

息子は、小学校3年生の時にこの認定を受けました。どんな素晴らしいプログラムを経験できるのか、親の私の方がワクワクしていましたが、結局何もないまま、学年は終わりました。その学校では、人員不足という理由で、認定はするけれど特別なことはしないという方針だったようです。

ミドルスクール以降になると、Math BeeとかSpelling Beeなどアカデミックな競技大会へ参加する資格を得ることができました。ただしこれも、認定されている生徒全員が参加できるというわけではなく、学校ごとにアカデミッククラブ的なものがあり、そこに自主的に入部して参加しなければ競技大会へは参加できません。息子の場合、掛け持ちができないフットボール部に所属していたため、こうしたアカデミックなイベントとは無縁でした。

3.留年とは?

留年と聞くと、日本人の私たちにとっては、落第の烙印を押されたような気がして、とてもネガティブに受け止めてしまうかもしれません。しかしアメリカでは、留年は日常茶飯事に起こりますし、必ずしもアカデミックな原因で落第するとは限りません。

例えばキンダーぐらいの年齢に多いのは、英語を母国語としない子供たちの留年です。ESLで学びながらキンダーを2年リピートすることで、学力的にも語学的にも飛躍的な成長が期待できます。

そのほかにも、キンダーをあえて1年遅らせることで子供の学校での理解度を高めたいと考える親はたくさんいます。こういう理由の場合には、早い学年での留年を決意するケースが多いです。

ミドルスクールやハイスクールになると、授業で赤点だったことが理由の留年が多くなります。しかし多くの場合には、留年しないように学校がサマースクールなるものを実地して、生徒のサポートをします。息子が通っていたハイスクールでも、赤点で学年を終えた留年候補生は100人以上いたものの、サマースクールのおかげで実際に留年するのは0人か1人ぐらいにまで抑えられていました。

また留年の場合には、年齢制限が設けられていることが多いです。ハイスクールなら20歳以上はNG、などのルールがあるので、何回も留年を繰り返して年齢が上がりすぎてしまうと、高校の卒業はあきらめてGEDなど高校卒業と同等の資格を得られる試験を受験するという方法を選択することになります。

4.こんなケースがありました

飛び級と留年は、これまで私もごく普通に見てきました。1年程度の留年や飛び級は全く珍しくなく、話題にすらならないことが多いですね。そんな中で、少しユニークな例をいくつかご紹介しましょう。

3年の飛び級、そしてVerdictorian

man wearing black graduation gown and cap

息子のハイスクールの同級生に、3年飛び級している天才的な女子がいました。たまたま同じストリートに住んでおり、何度か顔を合わせたことはあります。

この彼女、3年の飛び級でもまだ伸びしろが多かったらしく、なんとハイスクールをVerdictorian(最優秀生徒)として卒業し、本来ならアカデミックな奨学金を出さないアイビーリーグの大学へ、フルライドと呼ばれる全額奨学金待遇で進学しました。

少年院へ送られ、時間切れ

息子のハイスクールのフットボール部に、2年年上の先輩がいました。彼は在学中に車の窃盗で逮捕され、そのまま少年送りとなってしまいました。少年院に入っていたのは1年程度だったのですが、彼はキンダーのころに1年すでに留年をしており、しかもミドルスクールでも留年した経験があったのです。その結果、少年院から戻ってきてハイスクールを修了することは年齢制限に引っかかるためにNGとなってしまいます。そのため、少年院に入った時点で退学の扱いとなりました。

ミドルスクールの試合に車でやってきた選手

happy girl posing next to car

アメリカでは、ハイスクールで自動車の免許を取得できます。しかし留年している生徒の場合には、ミドルスクールでも自動車の免許を持っているケースはあります。

息子がミドルスクールだった頃、フットボールの試合で少し離れた町へ行った時のことです。1台の車がフィールドのすぐ隣に駐車し、中から降りてきたのがミドルスクールの子供だったのです。どうやら試合の直前に自宅へ何かを取りに帰ったらしく、試合の恰好をして車から降りてきました。

今となっては全く驚かない光景ですが、最初にその光景を見た時には驚愕でした。

アメリカの子育て事情!「褒めて伸びるのは中くらいまで」は本当か?

シャロン・ストーンという女優をご存知ですか?1992年に公開された「氷の微笑」という映画で、一躍スターとなった女優なのですが、女優としてはとても遅咲きだったこともあり、売れた際には周囲からバッシングの嵐を受けたそうです。その中には、「プロデューサーに枕営業したのよ、きっと」など悪意を感じるものも多かったのだとか。

そんな彼女が放ったひとこと

「枕でのし上がれるのは、中くらいまでよ。その後は、実力が必要。」

でした。

センセーショナルな名言ですが、実はこの考え方は、育児や教育にも通じるところがあります。

「褒める教育」の本場アメリカで子育てを終了した私が、今から振り返って思う事をまとめてみました。

目次

  1. アメリカでも日本でも「褒める育児」が主流
  2. 日本で「ほめる育児」が誕生した背景
  3. アメリカと日本で違う育児スタイル
  4. 評価されるべきは努力、結果じゃない
  5. 社会はアメリカでも結果重視
  6. 褒めて延びるのは中くらいまで、その先を狙うなら?

1.アメリカでも日本でも「褒める育児」が主流

アメリカでも日本でも、現在は褒める育児が主流ではないでしょうか。アメリカは「褒める育児」という点では先進国で、もともとそういう育て方をするべきだという土壌があります。

アメリカはまだ歩けない赤ちゃんでも「個」とみなし、個性を大切にして育てる土壌があります。そのため、親子でも同じ高さで意見交換をすることもあれば、子供が親に対してダメ出しすることもあります。その際でも親は子供に対して、「親に向かってなんだ!生意気だぞ!」なんてことは言いません。

2.日本で「ほめる育児」が誕生した背景

映画「不良少女とよばれて」

もともと日本では、親が子供に対して躾をするというトップダウン式の育児がメインでした。昭和女子の私も、育児は親から「厳しくダメ出し」をされることが多かったですね。決して楽しいものではありませんでしたし、子供の頃に戻りたいという気持ちもゼロです。

80年代ぐらいまでのこうした育児スタイルは、不良とか非行という社会問題を生み出しました。親の掲げる理想についていけない子供たちは抑圧されていると感じ、親や学校、社会に対して反抗心をむき出しにしたわけです。そんなことをしても親子間の距離が縮まることはあるはずもなく、非行対策が社会全体の大きな課題となりました。

そんな背景の中で生まれたのが「ほめる育児」です。これは「叱るばかりが子育てじゃない、ほめることで子供のやる気を伸ばす」という育児方法です。

既に日本に紹介されてから半世紀近くがたっているので、自身が「ほめる育児」で育ったという人も多いかもしれませんね。

3.アメリカと日本で違う育児スタイル

褒める育児では、結果ではなくプロセスを褒めるのが特徴です。結果はどうであれ、そこに至るまでの努力に対して、褒めるのです。結果重視の日本文化で育った私にとっては、結果を見ずに努力だけを褒めろと言われても、なんとも難しいのですが、これが褒める育児の基本形ですね。

日本の育児は、褒める育児が主流になったとはいえ、まだまだ結果に対して褒めてしまうことが多いと思います。もしくは、親が期待する結果へ誘導しようと画策した褒め方をすることも多いかもしれません。

例えば子供がテストで100点を取ったとしましょう。これは快挙です。しかし、100点という結果に対して褒めるのでは、子供は「100点でなければ褒めてもらえない」というプレッシャーを感じます。

アメリカの褒める育児では、「昨日しっかり準備した成果だね!」とプロセスに対して褒めます。プロセスを褒めるので、点数は100点でも80点でも、あるいは30点ぐらいでも同じように褒めます。

なのでアメリカの子供は、頑張るというプロセスを大切だと感じるようになるのです。結果がどうであれ、頑張ることがとても大切なのだ、と。

4.評価されるべきは努力、結果じゃない

しかし、ここにアメリカの子育てや教育の闇があります。

結果度外視でプロセスだけを褒められた子供は、頑張ることが評価されるべきで、結果はどうであれ頑張ったものが勝利すると考えるようになります。これは、私がアメリカで子育てした中で、とても強く感じたことであり、もどかしく感じたことでもありました。

例えば、学校で試験を行い、85点取った子がいたとします。アメリカのハイスクールでは、成績がすべて大学入試の審査材料となるので、90点取ってAが欲しい所ですが、85点では残念ながら点数が足りません。

日本人なら、大半は「自分の頑張りが足りなかあった」とあきらめるのではないでしょうか。

しかしアメリカの子は違います。85点をなんとか90点にするべく、先生に交渉へ行くのです。これ、アメリカの学校あるあるです。

「90点にするためには、何をすれば良いですか?」

と先生に交渉しに来ます。先生もそうした交渉にはなれているので、驚くことはありません。既に、そういう生徒のために別途で宿題やプロジェクトを準備している先生もいれば、「ダメなものはダメ」と突き放す先生もいます。

しかし、この考え方は、結果よりもプロセスが大切だと教えられて育つアメリカの子供の根本にある考え方だと思います。

5.社会はアメリカでも結果重視

努力次第で結果を変えられるのは、アメリカでは大学入試でも見受けられます。基本的にアメリカの大学入試は、SATやACTのスコアだけでなく、それぞれ評価基準が違う全米のハイスクールの成績や頑張ったクラブ活動、ボランティアや仕事の経験などが、まるでAO入試のように多方向から検討されます。

アメリカの入試制度についてはこちらから

この際、大学によって何をどのぐらい重要視するかは、それぞれ異なります。SATやACTの成績が良ければ、他は何でもOKという大学もあるでしょう。何でもOKとまではいかなくても、SATやACTが最低基準を超えていなければ、他が良くても不合格にする大学もあります。特に、難関大学と呼ばれるところは、その傾向が強いかもしれませんね。

テストのスコアというのは、生徒にとっては「結果」であり、「努力」というプロセスではありません。日本の大学のように、テストの結果だけで合否が決まるというわけではないにせよ、「結果を伴わない努力は実らない」という現実をアメリカの子供が初めて突き付けられるのは、もしかしたら大学入試の時なのかもしれません。

6.褒めて伸びるのは中くらいまで、その先を狙うなら?

話を元に戻しましょう。

アメリカの育児では、結果がどうであれ、親はプロセス、つまり子供の頑張りに対して褒めます。そうすることで、子供は自信がつきます。そして、もっと頑張ろうという気持ちが湧いてきます。

。。。というのはあくまでも理想論です。

もちろん、小さな子供は皆そうです。しかし子供は成長するにしたがって、ずるがしこさを覚えます。ちょっとした演技で親をちょろまかせることが分かれば、嘘も方便とばかりに嘘を塗り重ねる子だっています。

例えば、試験の前に子供が勉強せずにゲームにはまってしまい、そのせいでテストの点が70点だったとしましょう。正直者のできた子なら、

「ゲームやり過ぎて点数が悪かった。次はもっと努力する」

と自白するかもしれません。しかしそんな子は、きっと少数派です。多くの場合には、試験がいかに難しかったのかを力説し、70点は決して悪い点数ではないと真剣に説くのではないでしょうか。

頑張って70点なら仕方ありません。でももし、頑張らずに70点だったなら、どうしますか?

ここで役立つのが、私達日本人がよく知っている「管理教育」です。

取ってしまった70点は仕方ない。でも次に同じ試験をした時には、70点以上取れるようにアフターケアすることが、「中くらいよりも上」に行くためには必要不可欠な作業だと思います。

親が家庭で勉強のフォローができればよいのですが、必ずしもそういうわけではありませんよね。その場合には、「先生に時間を作ってもらったら?」とアドバイスするだけでも、子供にとっては大きな意味があります。

私の息子がハイスクールの時にも、私が分かる科目(と言っても数学しかありませんでしたが)は家庭でサポートしました。でもほかの科目に関しては、学校の先生に放課後時間を作ってもらってフォローしてもらうなど、「わからない所を放置しない」ことを徹底しました。

アメリカにはサポートしない親が多い?

アメリカの家庭では、私が見た範囲ですが、小さな年齢でも子供の勉強には一切ノータッチという親がとても多いです。勉強が好きなのも嫌いなのも個性、やりたきゃするだろうし、しなくても生きていける、ぐらいにリラックスした育児なのかもしれません。

大半がそうしたリラックス系ペアレンツの中、少数派ですが親が家庭でしっかりと子供のケアをする所もあります。勉強だけでなく、スポーツや芸術においても、そういう家庭はあります。そして、結果を出しています。

「褒めて伸びるのは中くらいまでよ」という考え方は、あながち間違ってはいないのでしょう。

アメリカの親あるある!日本人はタイガーペアレンツ?

アメリカの親には、いろいろなタイプがあります。その一つでもあるタイガーペアレンツとは、一言でいうなら「教育ママ」と言えるかもしれません。ただしお勉強のことだけでなく、スポーツや芸術などのアクティビティにおいてもタイガーペアレンツは存在します。

目次

  1. タイガーペアレンツとは?
  2. アジア人はタイガーペアレンツだと思われてる!その理由は?
  3. タイガーペアレンツのメリットとデメリット
  4. 子供に与える影響

1.タイガーペアレンツとは?

タイガーペアレンツとは、2011年にアメリカで出版された「Battle Hymn of the Tiger Mother」という書籍を起源としています。日本でも出版されたので、もしかしたら詠んだことがある人もいるかもしれませんね。

本の中では、中国系の母親の教育法がスポットライトを浴びていました。しかし中国系だけでなく、日本人も韓国人も自国の教育方法を実践すると、それはアメリカでは「タイガーペアレンツ」なのかもしれません。

タイガーペアレンツは、

  • 完璧な結果を出すために、自己を犠牲にするべき
  • 今日の幸せより、明日の成功
  • 努力するなら結果を出せ。結果が出ない努力は努力とは呼ばない。

などの概念に基づいています。日本人なら、賛成するかどうかは別として「はいはい、分かりますよ」という教育方針ではないでしょうか。日本で生まれ育った人ならきっと、多かれ少なかれタイガー的な教育や育児を受けていると思います。

タイガーペアレンツにも、いろいろな度合いがあります。度を超えた強烈なタイガーペアレンツになってしまうと、

  • 友達との遊びは生産性がなく無駄。遊ぶべからず。
  • 結果の出ない習い事は時間の無駄。
  • 将来に役立つ学校の勉強と習い事以外は、一切を禁止。

と、子供にとっては拷問のような日々を強いることになってしまいます。

2.アジア人はタイガーペアレンツだと思われてる!その理由は?

アメリカでは、アジア人の親はタイガーペアレンツだというステレオタイプがあります。もしも子供の成績が良ければ、かなり高い確率で「もしかしてあなた、タイガーペアレンツなの?」と聞かれるでしょう。

その言葉の背景には、「あなたのお子さん、優秀なのね!」と称賛してくれているのか、それとも「そんな風には見えないのにね」というネガティブな意味があるのか、その辺は分かりません。でも多くのアジア人父兄は、この言葉を耳にしていると思います。

アジア人がタイガーペアレンツだと言われるのは、上記の通り、私達が慣れ親しんできた教育システムが大きく関係しています。日本も韓国も、そして中国も、世界でも有数の「受験大国」です。受験大国では、結果を出すことが全てです。どれだけ頑張っても、結果を伴わなければ目標とする学校に入学できません。そのために、親子は一丸となってなりふり構わず受験に取り組むわけですね。

日本には、子供4人全員を東大に入れた佐藤ママという方がいらっしゃいます。日本のメディアによく出演していらっしゃいますし、彼女の教育方法を少しでも知りたいというママたちに対して、講演会などもしていらっしゃいます。彼女も教育方法も、やはり根底にあるのはタイガーペアレンツ思想です。

日本では近年、「結果ではなく、努力をたたえよう」という褒める教育がトレンドとなっています。しかしそれでも、結果を出さなければ受験に勝てない日本人にとっては、褒めることで成績が上がってくれたらいいなとか、褒めてやる気が出るなら褒めようと、結果ありきの「褒める育児」なのかもしれません。

3.タイガーペアレンツのメリットとデメリット

タイガーペアレンツ育児には、メリットとデメリットがあります。

メリット

  • 自分の感情をコントロールするスキルが身につく
  • 結果を視野に入れての努力ができる
  • 目標達成率が高くなる
  • 将来の選択肢が広がる

デメリット

  • 個性や創造性が育たない
  • 社交性が身につかない
  • 子供時代に幅広い経験ができない
  • 勉強が得意でない子供にとっては地獄

4.子供に与える影響

タイガーペアレンツというと、どうしてもアメリカではネガティブなイメージがあるかもしれません。実際に、マイナスの意味で使われることが多い単語です、しかし、メリットもたくさんあることを忘れてはいけません。

「Battle Hymn of the Tiger Mother」は、アメリカ国内でも一台センセーショナルを巻き起こしました。特に、それまで結果重視ではなく努力重視で「褒める教育」しか知らなかったヨーロッパ系の父兄にとっては、目からうろこが出る育児本だったようです。

この本の出版後、著者の元には「私もタイガーペアレンツになりたいのですが、もっと具体的に何をしたらよいのか教えてほしい」というリクエストが殺到したのだとか。

タイガーの名言「スポーツするなら個人スポーツ」

以前、中国系のタイガーペアレンツから聞いた言葉があります。

「スポーツをするなとは言わない。才能があるならすればいい。だけど、自分の頑張りがストレートに反映される個人スポーツのみ。だってチームスポーツは、自分の頑張りが他の子の手柄になってしまうからね。」

はい、タイガーペアレンツ様。その通りだと思います。名言です。

man wearing white sweater and black shorts about to run

私も子供に対しては、タイガーペアレンツの要素が満載の育児をしてきました。チームスポーツもしてきた中では、息子の頑張りが他の子の手柄になったことも、数えきれないほどあります。息子は陸上という個人スポーツもしていたので、その違いは、経験を通して実感しましたね。

我が家の場合には、チームスポーツから学べることもたくさんあると考えて続けてきました。それはそれで、息子にとっては素晴らしい経験だったと思います。どこで線引きをするかは、その家庭次第という事なのかもしれません。

もしもタイガーペアレンツの由来となった本を読んでみたい方は、こちらからどうぞ。日本語版もあります。

アメリカでの引越し、子供は転校!学校の探し方や手続き、スクールカーストについても!

日本でも終身雇用はすでに崩壊した感がありますが、アメリカでは終身雇用という概念がなく、みなさん気軽に転職をします。日本のように転職が多すぎるからと言って仕事探しで不利になることは少ないようで、給料アップやキャリアアップを求めて積極的に転職していますね。

しかし転職による転居となると、影響を受けるのは働く親だけではありません。子供の学校のことも、調べて手続きしなければいけません。

目次

  1. アメリカの学校は高校まで学区制
  2. 転校の準備
  3. 転入の準備
  4. アメリカで転校生になることはストレス?
  5. アメリカのスクールカーストについて

1.アメリカの学校は高校まで学区制

アメリカの学校は、School Districtと呼ばれる学区制となっています。これは小学校から高校までずっとです。アメリカの高校は、日本のように高校受験をして入学が認められるというシステムにはなっておらず、中学校の延長として高校へ進学します。

アメリカの学区は、それぞれ保護者の満足度やカリキュラムが異なります。もしもお子さんがいる家庭で、引っ越し前にある程度住む場所を自分たちで選べるなら、まずは学区をチェックして、住むエリアをザックリと決めることから始めると良いでしょう。

学区や学校、カリキュラムや保護者の感想などは、GreatSchool.netで調べることができます。このサイトでは、それぞれの学校が1から10までのスコア評価されていて、学校のザックリとした目安が分かるシステムとなっています。

  • 学校の生徒数
  • 生徒の人種割合
  • Reduced Lunch適用となる生徒の割合(貧困層)
  • 教師の数や経験値
  • カリキュラム
  • 実際に関係した保護者や生徒からの口コミ

などが分かりやすくまとめられています。

高スコア=学力レベルが高い、わけではない

GreatSchools.netのスコアは、学校を選ぶ際には目安の一つとなります。スコア評価には親の満足度が大きく影響しているため、満足度が高ければスコアは高くなる傾向があります。

親の満足度が高くなる要素は、いろいろあります。もちろん、学力が高ければ親としても満足度は高くなることが多いのですが、必ずしもそうとは言えないのが、アメリカらしいのです。

私はこれまで何回か引越しをしており、その度に子供は転校生となりました。その時に、複数の学校を比較しながら住む場所を選んで来ました。リサーチの結果、私が分かったことを、独断と偏見となってしまいますが、いくつかあげたいと思います。

  • 学力レベルが高い学校は、アジア人生徒の割合が高い。
  • 白人が90%以上で多様性がない学校は、親の満足度が高い傾向にある。
  • 貧困層が多い学区にある学校では、難易度が高いカリキュラムを提供して生徒集めに頑張っている。

あくまでも、これは私が自身でリサーチした中で、ぼんやりと浮かんできた傾向です。必ずそうだというわけではないので、参考程度にしてくださいね。

2.転校の準備

転校することが決まったら、現在通っている学校のカウンセラーに届出を出します。何カ月も前に通知する必要はなく、2週間~3週間ぐらい前でも十分です。

カウンセラーに届出を出すと、次の学校へ転入するために必要な書類を集めてくれます。大きめの封筒にいろいろな書類が入っていて、主に成績表などの記録が渡されます。しかしこの封筒は、封印されていて、転入先の学校のカウンセラーに封印された状態で渡さなければいけません。うっかり中を見たり、破ってしまうと、無効になるので注意してくださいね。

小学校の場合には、クラスの先生が気を利かせて、最終日にサヨナラパーティをしてくれる、なんてことがあるかもしれません。しかし、特別なことは何もなく、いたって普通の最終日、ということも多いです。私の子供が小学校の時に転校した時には、最終日に担任の先生が使い捨てカメラをくれて、友達との思い出を写真にとって楽しんでいました。また別の時には、クラスの友達が大きな画用紙に一言ずつ寄せ書きをしてくれたものを、最終日に持って帰ってきました。

転入手続きに必要な書類は手荷物として持参

引越しでは、家財道具を全て荷造りして業者に運んでもらうことが多いですよね。しかし、引越し先で転入の手続をすぐにしたい場合には、できるだけ転入に必要な書類は、手荷物として持っていくようにしましょう。梱包されてしまうと、どのダンボールの中に必要な書類が入っているか分からなくなってしまいますし、最悪の場合には紛失のリスクもあります。

子供は、転校することに対して精神的に大きなストレスを抱えます。だからこそ、できるだけスムーズに手続きを済ませて、新しい環境に慣れてもらうためには、親としてできる限りの準備をしておくのが良いと思います。

3.転入の準備

引っ越したら、まず最初に転入の手続をしに、新しい学校へ足を運びます。アメリカの学校では、それぞれの学区を管理しているISD(Independent School District)がありますが、転入の手続でISDのオフィスに行けと言われることはほとんどなく、大抵は学校のカウンセラーが対応してくれます。

転入の手続には、

などが必要でした。

住所を確認できる書類

ISDごとに学区が決まっているので、それを確認するために必要な書類です。引っ越したばかりの時には、光熱費の領収書などは持っていないことが多いので、アパートの賃貸契約書とか、家を購入した人ならその契約書を持って行けばOKです。

住所を確認したいだけの書類なので、住宅を購入する手続きをしているけれどまだクローズになっていない、という状態でも問題ありません。

生徒のBirth Certificate

子供が学校に通う資格があることを確認するための書類です。

Birth Certificateがなければ、代わりにパスポートでもOKかもしれませんが、日本発行のパスポートが認められるかどうかは、ごめんなさい、経験がないので分かりません。でも、日本のパスポートと有効なビザがあれば問題ないと思います。

ちなみに、観光というステータスだと、子供を学校に入れることは難しいですね。

ちなみに、アメリカの学校はさまざまなスタイルがあり、通学だけが選択肢ではありません。そのためでしょうか、転入に必要な書類が揃わなければ、揃ってから出直すように言われます。とりあえず学校に通わせながら、書類を後から揃えてください、という親切な対応は、期待しないほうが良い気がしますね。

不法滞在の移民でも子供は学校に通える?

税金で運営されているアメリカの公立学校ですが、不法滞在の子供でも教育を受ける権利は、法律によって認められています。少し前までは、不法滞在という理由で学校側が拒否出来ましたが、現在では基本的には学校側は拒否できません。

不法滞在だからといって、「税金払ってないのだから代わりに学費をよこせ」なんてこともありません(1970年代にはテキサスで実際にあり、裁判まで発展しました)。

生徒のSocial Security Card

これも、持参するように言われた書類の一つです。とりあえず持って行った所、その場でコピーを取ってすぐに返してくれました。

予防接種カード

これは、生徒が生まれてから現在に至るまでの予防接種の記録が記載されているVaccination Recordです。日本では、子供が小さい頃なら母子手帳にどの予防接種をいつしたかという記録を残すことができますが、持っていないという人は多いでしょう。

アメリカでは、生まれた時に黄色いカードをくれて、次回からはその紙を予防接種の度に持参して、ドクターに記録を書いてもらうことになります。

ちなみにこの予防接種カードは、いろいろなところで提出しろと求められます。大学への入学でもチェックされますし、アルバイト先からもチェックされたりします。

この予防接種カードには、摂取した日やLot 番号、対応した医師の名前とサインなどがかかれています。このうち、学校がチェックしたいのは「国や州が義務付けている接種を済ませているかどうか」という点です。ロット番号などは詳しくチェックされませんが、いつどの予防接種をしたかという点は確認されます。

予防接種カードをなくした。どうすれば良い?

もしも予防接種カードをなくした場合には、おもいだせる限り、これまでに通ったクリニックに連絡をして、いつどこでどの予防接種をしたのかを確認することをおすすめします。

転校する前の学校で入学の手続をしていれば、その記録が残っているでしょうし、転校すれば予防接種記録も封印されている封筒の中に入っています。

どうしても見つからない、いつ何を受けたかを思い出せない、記録もない時には、どうなるのでしょうか?

私自身、経験がないのでわかりませんけれど、打ち直しという羽目になる可能性は十分に考えられますね。

4.アメリカで転校生になることはストレス?

転校生になることは、アメリカでも日本でも、生徒にとっては大きな精神的なストレスです。私自身、小学校1年生の時に転校した経験がありますが、小学校1年生ですら緊張したことを覚えています。

私の子供は、小学校の時に数回の転校、そしてハイスクールで1回の転校をしました。全て夫の異動による転居が理由でしたが、親としては、何度も転校させてしまい、本当に申し訳ないと今でも感じています。

そんな複数回の転校を間近で見てきた感想をご紹介します。

  • 小学校低学年まではウェルカムムード満載なので、転校はストレスになりにくい
  • 小学校高学年からは、クラスメートに自分から話しかけるなどの積極性が重要
  • 授業ごとにクラスが変わるミドルとハイスクールの転校は、難易度高め。スポーツや音楽など、所属するクラブがあれば、救いになる。
  • 男の子より女の子の方が、馴染むのは大変かも
  • スポーツをしているイケメンや美女は例外の可能性大

年齢が上がると、学校内でヒエラルキー(スクールカーストとも呼ばれていますね)が確立されるので、転入生が来ると、みな子供なりにも防御的になることは多いです。陰湿ないじめなどは、あまり見たり聞いたりしたことはありませんが、積極的に社交をしなければ、ぼっちのまま時間が過ぎる、ということは十分にあり得ます。

私のように、引っ越しが多くて子供の転校回数が多いというお母さんは、他にもいると思います。私がこれまでしてきたことは、

  • 学校のボランティアやクラスのボランティア、遠足の付き添いは、積極的にすること。
  • クラスのボランティアは、募集されるのを待つのではなく、学校に押しかけて何かないか聞けば、何かしらあるものです。
  • 子供がクラブ活動をしているなら、進んでボランティアをしたり、役員などをする。
  • 親が積極的に他の親と社交をして、子供のプレイデートやスリープオーバー、スランバーパーティをホストすること。

などがありました。親がボランティアをすると、親自身も子供の学校の様子とか事情、内情が分かるというメリットもありますし、子供にとっても、親がすぐそばにいることが、なんとなく安心感につながることもあるようです。もちろん、これは私自身がやってきて良かったなと思っていることなので、全てのケース当てはまることではないかもしれません。

5.アメリカのスクールカーストについて

ここからは、アメリカのスクールカーストについて、一般論をお話しします。あくまでも一般論なので、もちろん例外もあります。参考程度にしてくださいね。

アメリカのミドルスクールやハイスクールでは、クラブ活動とか趣味などで共通点を持つ友達同士がグループを作ります。これは、日本でも同じですね。そして、このグループがそのまま、スクールカーストに直結することは多いです。

例えば、このカーストの頂点に君臨するのは、男子なら「ジョック」と呼ばれているスポーツクラブのメンバーたち。スポーツの種類は特に問わず、それぞれのスポーツチームごとに固まってグループとなっていることが多いです。どのスポーツがベターかという競争はなく、フットボールもサッカーも野球も、みなジョックとして学校内ではリスペクトされることが多いようです。

女子の場合には、クイーンビー(女王バチ)と呼ばれる女王様がいて、その周囲にオシャレな取り巻きがいる、というイメージですね。クイーンビーは、だいたいお金持ちの娘が多く、チアリーダーのキャプテンをやっていたりします。

その下には、スケボーが好きな子のグループとか、ゲームが好きな子のグループとか、異性に興味ありありなグループ(女の子に多い傾向あり)などがいます。

勉強熱心な生徒のグループは?と気になりませんか?多分、います。でも、スポーツとか外見がすべて、みたいなアメリカのスクールカーストでは、目立たない存在です。

グループ間の会話はほぼなし

このアメリカのスクールカーストでは、グループ間の会話はほとんどないようです。場合によっては、話しかけても無視されるなんて扱いもあります。

自分がどこかのグループに所属していれば、他のグループと会話がなくても、それほど困ることはないかもしれません。しかし転校生の場合、これは一大事です!

私の息子の場合には、アメフトをしていたので、転校初日からアメフト部のグループに入ることができました。比較的シャイな息子だったので、親としてはひそかに心配していました。初日に帰宅した息子に聞くと、ボッチにならないようにアメフト部の子が気を使ってくれて、カフェテリアで一緒に座る席を確保してくれたりなど、息子を仲間に入れてくれたようです。

こういう救いの手があれば、ハイスクールで転校生になっても、それほどロンリーな時間を過ごすことは少ないと思います。でもクラブ活動をしていない子だと、手を差し伸べてくれる子が転校初日に現れるとは限りません。そうすると、慣れるまでは腹をくくってボッチになるのかな、という気がしてしまいました。

後日アメフトの試合の日、息子に気を遣ってくれた第一人者の子の親を見つけたので、私は律義にお礼に行ったほどです。子供の学校生活のことってハイスクールぐらいになるとなかなか親の耳に入ってこないので、そういう良い話は、私は積極的に当人の親とシェアするように心がけていましたね。